はちみつ太郎 作
| １１２ 松山との逢瀬は、２ヶ月が経ちお互いの性的欲求を何も言わず実現し続けていた。回数は、向山のテーブルカレンダーが示すように二桁を越え、交わりの場もアジトのみでなく数箇所に及んでいた。 向山は笙子に問いただした。 「笙子さん、どこの場所が一番・・・良かった？」 「・・・。一番ですか？」 「選べないの？」 「あ、そうですねぇ、・・・多分、自宅です。」 「あなたの？」 「え、あ、はい。」 「その時って、旦那さん・・・どこにいたのかしら？」 「あ、・・・外に、車の中にいました。ってか、いてもらいました。」 「先週のことよねぇ、・・・近い事柄だからじゃないの。」 「んー、違います。・・・多分、一番、近くにいてのことだし、・・・すごい、時間掛けられてじっくりだったので。」 「そぉ・・・じゃ、その時の感覚、・・・思い出してくれる？」 「はい、・・・あの日も、土曜の晩でした・・・。」 笙子のスマホは短い単音を鳴らす。 『啓輔です。外に着きました。タクシーで着たので。』 『了解。外にでてもらいますね。車に居るって言うんで出たらそのまま入ってください。』 笙子は、軽装な昇に照れながら声をかける。松山が着いたことを告げると、携帯だけを握り締め玄関に向かう。笙子はその後姿を追いかけるように玄関に向かった。 「じゃ、・・・終わったら。ほんとにその格好で、出迎えるんか？」 「うん・・・昇さん。」 笙子は昇にキスをせがむ。口を差し出し、目を閉じると軽く唇を交わす。舌は捻じ込まれることもなく軽い触れあいだけが短く感じられた。 ドアを開け振り向くことなく昇は外に出る。少し離れた電柱の影に男が居るのがわかる。松山だろうと認識するが、会釈も会話もなく昇は車の中に乗り込んだ。 乗り込み車内のライトが消えると、電柱の影の男は自宅玄関に足を進める。こちらも会釈なしに、笙子しかいない自宅玄関をチャイムも鳴らすことなくドアの向こうに消えてしまう。 「・・・、誰の家なんだ。」 昇のつぶやきは、その一言だけだった。聞こえることなく、自宅ドアは施錠され、用心のチェーンロックまで掛けられていた。そうしたのは松山だった。笙子はそれを拒むこともなく、命令されたようなスタイルで松山を出迎えた。 「似合ってる・・・スゲェェスキだよそれ、笙子。」 「うん、ありがとう、・・・啓輔さん・・・お風呂・・・沸いてるけど。」 「いや、熱帯夜になりそうななか、車内に缶詰の旦那さんに悪い。」 笙子は玄関口で唇を奪われる。逮捕術を心得ている松山は、腕を折り背後に回るとお約束のように前に回した手首に手錠を嵌める。 「旦那さんも好きだよね、これって、さぁ。淡いブルーのワイシャツに透けるノーブラ乳首。勃起改善しそうかなぁ。」 「うん、少し、興奮はしてたよ。」 「俺の趣味に興奮してくれるのかぁ。笙子の趣味は？」 「まだ、・・・。」 「この手錠姿・・・見れば、一気に終わるかもな・・・勃起治療。」 「かもだけど・・・。」 「だけど？夫婦の関係も終わりそう？」 「それはないけど・・・ねぇ。」 「ま、刺激的過ぎるのも逆効果かもな。」 笙子の手首を前に回し、ぶら下げていると背後の松山は、ノーブラの乳首をシャツの上からつまみあげる。首をのけそらし、松山の名を呼ぶ、もう苗字ではない。 「啓輔さんっ。・・お布団でっ。」 「夫婦の仕事場？」 「うん。だってそれしかないし。」 「あぁ、いこう。・・・。」 乳首、乳房をもみながら階段を上がり、寝室のベッドの前まで来ると笙子を押し、仰向けに転がしていた。松山は、Ｙシャツを脱ぎ、肌着のＴシャツも一緒に脱ぎ去り、スラックスも脱ぎ去った。 トランクス姿の松山は、笙子をベッドの上で見下ろすと、何も言わず笙子に視線を送る。不自由な手を着き、弾力性のあまりないベッドに正座した。 トランクスのゴムからは亀頭の先、尿道口が見えている。滲んでいる汁に笙子は笑みを漏らすと、手錠で拘束された手を添え、トランクスをずり下げた。 切っ先を眼前に振り下ろされた笙子は少しだけのけぞり、松山に視線を向けると、松山は髪の毛をなでさするようにし後頭部を押えると笙子のフェラを誘導する。 見つめながら先端を咥え、両手で肉身を扱く。松山は問いかける。 「どう、・・・旦那さんに悪い？」 「うん、悪い。・・・でも。」 「でも？」 「治療だもん、仕方がない。」 「仕方がない？」 「ごめん・・・、仕方がなくない、・・・したいんだもん。私がしてほしいように・・・してくれるから、啓輔さんが。」 「続けてよ。笙子の口・・・絶品、これは・・・俺のもの。」 「今日のところは。」 「あぁ、そうだな。」 笙子は歯に引っかかった松山の陰毛を指で取る。布団に落とすようにはせず、そばのゴミ箱に払い落とした。 「神聖な場なのか・・・夫婦の。」 「あ、・・・ごめんなさい。どうしたらいいの？」 「落としたまま、・・・汚したい、この場を。」 半笑いで笙子は松山を見上げる。再び亀頭をくわえ込むと、松山は後頭部を押さえつけ笙子の喉奥を突きたてながら犯し気味に腰を振る。 手錠をあしらった笙子の両手は布団につき、顎を上げるようにしてノーハンドで強引なフェラチオを施させられている。歯は当たることないが、屹立の加減で上から覗き込むように尺八スタイルを見せる。 唾液は洗ってまもないシーツに垂れ、松山の数本の陰毛もそこにまみれていた。夫婦の場はもう遠い過去のものに忘れ去られようとしている。 正座では少しきつくなり、腿を伸ばし伸縮を自在にし、肉身への舌のストロークを増加させていた。 「じゅじゅじゅじゅぅぅぅぅ。・・・はぁ、はぁ。・・・いつもより？」 「あぁ、気持ちいいし、・・・大きいか？」 「うん、なんか・・・違う。じゅるじゅるるるるるるぅぅ。」 「シチュエーションって大事だし、・・・旦那さんもそういうことなんだと思うなぁ。」 「シュシュエーション？」 「言えてない、シチュエーション。・・・空気感、今の空気・・・窓の下にはここの主、自分の妻を他人に供している主・・・がいるんだ。」 「私もかな。・・・」 「いつもより？」 「うん、・・・６９して欲しい。」 「積極的だっ。・・・そういう笙子、悪くないよ。」 笙子は手錠を気にしてか、上でなく下を選ぶように仰向けた。松山は、覆いかぶさるように笙子に圧し掛かる。ぶらつかない固い肉身は、下腹部まで反り、下に向くことはない。笙子の顔前には、陰茎の裏だけが見え、近づいてきたのは睾丸の袋、それは肉身に皮を持っていかれだぶつく緩みのないものになっている。 松山はノーブラワイシャツの他にもう一つアクセントを求めていた。大き目のシャツの下、穿いているのは昇が買ってきたショーツだけだった。これも、少し彩り、形がわかるくらいに透けている。 「旦那の好みはこれ？」 「うん・・・ダメ？」 「いいセンス。・・・他人に抱かれるために嫁にはかすパンティを買ってこさせられるとは・・・。この色と形が好きなんだ。」 「こういうのって、好きみたい。」 「黒の細い紐に・・・布はサテン地のシルバーと黒のレースか。・・・リボンもついてる・・・プレゼントにどうぞってことかな。」 「そんなの恥ずかしいし、・・・あぁ、啓輔さん・・・垂れてきてる。」 「我慢しすぎ汁。・・・３日してないし。」 「右手は？」 「その間がなかった。・・・っていうか、笙子がいるのにもったいないじゃん。」 「うれしいんだか・・・なんだか。」 「３日？」 「あ、・・・嫁さんとは・・・したよ。」 「・・・。」 「妬いてる？妬いてくれてる？」 「んー・・・少し。・・・パクッ。じゅごじゅるじゅる・・・。」 「うれしい、・・・いっぱいしてやるから。」 松山は笙子のお願いの頷きを股間の間から覗く。スフィンクスがうなだれるようなスタイルで腰を少し下げ、昇のチョイスした紐ショーツをそのままにし、ビキニラインから指先をこじ入れている。 舌で湿潤する必要は、まったくといっていいほどない。触れた濡れ具合を松山は自分の鼻で確かめる。明らかに男の精を欲している臭いを放ち、笙子はその迸りを司る器官を入念に刺激し、洗浄を繰り返している。 洗浄しないのは松山だった。昇の選んだ紐ショーツのシルバーの布の部分は面積が少ない。笙子の蜜の蓋には、心細い感じはある。洗浄でなくマーキングを始める松山は、徐々に染みゆくショーツの汚れを楽しんでいた。 剥き出されていない肉芽を袋ごと揉んでいき、分泌を促せば、滲んでいく染みはあっという間に飽和量に達してしまっていた。生地に収まらない液量は、松山の擦る指先に纏わりつき、その刺激は圧力をかける笙子の睾丸袋の握りで気がついた。 「絞るなよぉぉ・・・。」 「だ、だってぇ、無理に・・・汚してないぃぃぃ？」 「あぁ、無理にだよ。・・・旦那が笙子にって、選んだパンティーだもん。・・・汚したくなるだろ普通。」 「そうなんだぁぁぁぁ・・・でも、でもぉぉぉ・・・奥、を・・・くちゅくちゅがいい。・・・あぁぁ、ね、ね。」 「まだだ、もっとして欲しくなるまで、このままだって。」 指を何度も行き来させる。シルバーの布地は色を変えていく。擦れば、色をつけ染みの部分を広げると、隠している繁茂にまで湿潤を拡げ、汗ではないものが密林を覆っていった。 「あぁ、ぃぃぃぃ・・・・ね、ね、け、啓輔さんっ・・・ね、くちゅくちゅってぇぇぇ・・・ね。」 「おねだりかぁ。かわいいな、・・・子供たちに先生あのねって言われてる反動かい？」 「ううん、だ、だってぇぇ、パンツ汚れちゃうしぃぃ。」 「もう、手遅れだって、染みる布はないよ。」 「あぁんっ・・・どう言ったらぁぁぁんっ。」 「どういってもしない。・・・俺がしたいときにする。・・・そういう日だよ。今日は。」 「あん、い、いじわるい。・・・カムッ。」 「反撃かぁ・・・でも笙子、・・・噛み切ってたら・・・出来ないけど？」 「もぉぉ、・・・して欲しいって、いってるのにぃぃぃぃ。」 「わかった、指でしてやるし、・・・よっと。」 太ももの裏を腕で開き、ぬれたショーツに隠れている膣身を天井に向ける。体の具合が少し変わり、松山の腰は少し深く笙子の顔に圧し掛かる。 尻の穴も覗けるくらいに跨がれると、口での施しがしづらくなり、睾丸袋を口に含みながら時間を稼いでいる。自分の方はというと右左に分けられた太ももの付け根、少ない布切れで隠し通せぬ陰唇は、ショーツの隙間からはみ出てしまっていた。 染み付いた淫汁の飽和した液汁が、尻を伝い冷ややかな感触を笙子に伝えている。太ももを広げられただけで、陰唇は勝手に広がりを見せる。松山の親指は、とぎ汁のように染み付いた笙子の淫汁を掬い、それを潤滑に穴ぼこに押し込んでいった。 「あぁ、・・・。」 押し込まれた指を認識した周りの女肉は、異物を排斥するように力を加え押し出そうとしている。でも、そうではなかった。親指は吸い込まれるように笙子のピンク色に染まっている膣肉に飲み込まれ、欲するようにＧスポットの場所を教えていた。 「っそ、ぉぉぉ・・・ぐちゅぐちゅわぁぁぁ。」 掻き毟るように、牝肉を穿り返す。年度末の道路工事のように、意味のないものではなく、意図した施しで笙子を妻から女、そして一匹の牝に変えていった。 完工にまでいたらず、随意契約は結ばれ、更なる奥の工事の契約を結んでいた。親指を抜き、別の工事部が請け負った工事に取り掛かる。二本の指を突き立てると、奥にまで届けと笙子のまだ見ぬ子供部屋をノックした。 子宮口の周り、厚くぼてりとした壁が松山の指に纏わりつく。ドーナツ型の肉の周りを指でかき回すと、昇にも聞こえんばかりの声をあげてしまい、のけぞった。松山は跳ね飛ばされるかと思うくらいの衝撃を腰に感じ、笙子は含んでいた睾丸袋を吐き出した。 「あぁ・・・そこってぇぇ、一番っ。」 「届かないんだよな、・・・旦那さんじゃ。」 「う、うん。・・・指は、何度かぁぁ・・・・で、でも・・・それだけじゃぁぁ、だめなん、・・です。」 震えるような声を出し、笙子は子宮口あたりのポルチヲ性感帯を責めて欲しいと望む。力をセーブしながら子宮口のドーナツを指で確認しながら、つまみ出すように周りの肉を押し込んでいる。耐え切れぬように声を震わせる笙子は、声をあげることに怯え、屹立の肉身を頬張り、口枷にしていた。 漏れるように声を出し、何度も吐き出されるようになると、あきらめ、松山の毛深い太ももに噛み付き、甘噛みで対抗する。ジェラートをスプーンで取り出すように、笙子の母なる入り口は回転を加えた松山の指先の施しで違えた主人を認識してしまっていた。 「あぃぃぃぃぃ、あぃぃぃぃ・・・・き、もちぃぃぃしぃぃぃぃぃぃ・・・・たまらないぃぃぃぃぃぃ、も、もっとぉぉぉ、してぇ、ねぇ、してぇぇ・・・・あんっ、またぁぁぁ、きもちいぃぃのがきたぁぁぁぁぁぁ。」 松山の手首まで淫汁でまみれ、敷かれたシーツにははっきりとわかる未知なる大陸が染みとなり記されている。かき回しをやめることなく、また、笙子も続けるよう欲しているのであれば、その領土は果てしなく拡大していくだろう。 |
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| 2014.9.17掲載 |
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