はちみつ太郎 作
| １１７ 仰向けになり、肉身は天を向いている。天を向いた砲身に唾液を纏わせるようにしていく笙子。シングルベット並の大きさのソファーベットの上で唾液にまみれた肉身をなんどもしごき、血流の促進を図っている。 風俗嬢のように仰向けの松山に乗りかかり、ずらしたＴバックショーツからはみ出す陰唇を肉身に覆い被せている。 「こうでいいの？・・・気持ちいい？・・・あっ、あぁぁんっ。」 「だろ？・・・素股っすげぇいいし、笙子のヌルヌル、外まで出てるからぁぁ。」 「あんっ・・・わたしもっ・・・こ、これっ・・・いいねっ。」 笙子は知らないわけでもない素股を初めてと装い松山にこすり付けていく。東山にさせられていた頃を思い出すと、腰に鈍痛を覚える。重苦しく圧し掛かる男たちの責めを思い出しながら、癒えていたはずの痛みは悦に変わっていくほど、遠くにあるようだった。 陰唇からはみ出す松山の肉身は、ホットドッグのように見えている。上から覗き込んでいる笙子は、気持ちよさと笑いを堪えながら腰を振り、膣前庭をなんども擦り付けていく。 「いいね、あんっ・・・これ、すごく、きもちいぃぃ。」 「汚れ、落ちてる？」 「あんっ、そこまで見えんよぉぉ。」 擦られていく肉身は、あわ立つようなクリーミーな笙子の淫汁に覆われている。摩擦熱で熱せられたその汁はホイップクリームのように二人の生殖器を包んでいる。 「笙子さぁ・・・やばくない？」 「うん、・・・やばいね。なんか、啓輔さんが・・・出しちゃってるみたいだし。」 「旦那さんに見られたいな、この姿。」 「ね、・・・。」 短い一言だが同意した笙子に松山は少し驚くと、腰を振り陰唇と膣前庭の包み込みを感じ続けていく。先端は隠れたり露出したりをなんども繰り返している。 笙子は休憩と称し松山の胸板に顔をうずめ、毛の生えた乳首に吸い付き、悶えるように素股を繰り返していた。 「あっ、だめ、だって・・・危ない危ないっ・・・ダメだよ、絶対。」 「罰金か？」 「そう、罰金どころじゃないしっ。」 「だってさぁ、ヌルヌルで・・・意図してないのに・・・入ろうとするんだもん。居心地がいいのしってるからぁ、こいつ。」 「だぁめっ。」 笙子は素股の姿勢を解除する。膝をつき跨りをやめると、陰唇の濡れ具合を指で確かめる。指先のヌルつきは想像以上で、拭う先を迷っている。松山は指先を引っ張り、そのぬめりを舐め取った。 「汚いしっ。」 「いい味っ・・・言ったろ、俺はこれが好きな匂いっだって。」 「でもぉぉ、・・・。」 有無を言わさないように松山は笙子の体を押し倒した。ソファーベットに仰向けにされた笙子は、足首をつかまれ股を開かされていくと、恥ずかしそうに手で一瞬陰部を隠すが程なくして松山の目線の言うことを聞いた。 「こう？」 「そう。」 腕を上げ両手を頭の上に組まされる。腋の処理はしているが、暗いとはいえ近づく距離では処理の自信はない。松山は、もじもじとしている笙子の両手を押さえつける。 手錠は持ち合わせていないのか笙子の手首は松山の片手で押さえ込まれる。接近させた顔は、舌先を絡ませるようせがむとそれに答えた笙子は、腋への責めが遠ざかると信じた。 甘く弾んだ吐息は、笙子の口から発せられ、舌の絡みつきを解かされる。松山は手首を押さえ込んだまま、乳首の回りに吸い付くが先ほどまでの甘い吸い付き具合ではなかった。 「あぁ・・・きついよぉぉ。」 「ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅっ。」 乳房の周りは２、３箇所のうっ血が出現している。キスマーク、唇の形ではないが、施された内出血の染まりはつけた男のモノと主張している。 右の乳房に５つ、左の乳房に５つ均等に主張を示すと、笙子はその意味を知ることになった。 「さぁ、笙子、・・・ゴム、取ってきなよ。・・・ここにはないよね。」 「え、あ、・・・そのために？」 「あぁ、俺の物って印。・・・旦那さん・・・屈辱だよな。」 「ブラしちゃ・・だめ？」 「だめ・・・手ぶらなら許す。・・・な、取って来いよ。旦那さんが見たいって言うなら・・・拒否しないし。」 「うぅぅ・・・困った。」 笙子は一度起き上がり胡坐をかくと、両方の乳房を覆い隠しながら、松山の印を隠す方法を考えた。両方とも散弾されたうっ血は、物理的に隠す方法を見出せない。 もう一つは、見慣れた笙子の乳房を隠すことの意味だった。昇は、うっ血の存在を知らないのにそれを隠す意味。穿違えて伝わることは必定だと感じている。 見る人のいないリビングでも笙子はその乳房を隠したまま、なんども振り返りながら寝室への道のりを歩く。ドアを閉め廊下に出るときもそのままだ。 「コンコンッ。・・・昇さん・・・起きてる？」 「あぁ、・・・起きてる。・・・帰ったの？」 「ううんっ、まだ、・・・居るよ。」 「どうした？」 「うん・・・ちょ、ちょっと。・・・言いにくい。」 「・・・。」 笙子はドアノブを持ったまま動きを止めている。昇は笙子の状況を悟っている。裸、もしくは半裸だろうと、下手をしたら繋がったまま後ろに松山が居るかもしれないとそこまで想像している。 「タンスのね・・・上から二番目。」 上から二番目をいわれるまま開ける。避妊具の箱がそこにはあった。笙子のきれいに揃った下着の寝床の横にそれはある。箱は封が被されたまま。 その箱を手に取ると、ドアをあけられずにいる笙子に声をかける。 「開けていいか？」 「え、うん・・・裸だけど。」 「見たい・・・いいよな。」 「うん。」 笙子のほうからドアノブを押す。薄暗いが近寄る距離では印の有無は確認できるだろう。片手に箱を持つ昇は、笙子の隠した乳房を見ながら一声かける。 「どうしたん？・・・傷、つけられたとか？」 昇は笙子の手を取り去った。うっ血は１０個。均等に記され、乳房の周りを彩っている。それは、刺青より衝撃が大きい。 「ごめん。」 「吸われた？」 「うん、・・・きつく吸われた。」 隠すことなく両手をだらりと下げた笙子は、手持ち無沙汰で左手は右ひじをつかみ、数個のキスマークを隠していた。 「これから？」 「うん、・・・多分ってか・・・これから。」 笙子は、手渡された避妊具の箱を持ち、昇の目を見つめることが出来ない。一声かける勇気は二人とも持ち合わせていなかった。 「そっか。」 昇の力ない声は、笙子の言葉を待っていた。 「いいん？」 「あぁ、ここまで来てるのに・・・今さら・・・するなって、言えない。」 「うん、・・・じゃ、・・・うん。」 昇には踏ん切りという言葉が頭をなんどもよぎる。遠くに行ってしまいそうな笙子を引き寄せるにはその言葉しかなかった。 「笙子・・・隠れて見てもいいか？・・・リビングのカーテン・・・少し開けててくれないか・・・窓も。」 「・・・うん、・・・うん。」 笙子は一度だけ昇に振り返る。指で○を作り、音を立てることなく階段を下りていく。踏ん切りという言葉、昇以上に今度は笙子に大きく圧し掛かった。 箱を手にリビングとの境のドアを開け、寝転がる松山の元に歩み寄る。手渡すように箱を渡す。封を切るのは松山だった。 開けた箱の中身を手に取ると、３つを一くくりにし切り取った。笙子は、三回交わることを欲している松山の昂ぶりを感じている。 「暑いね。」 「火照ってるな。」 「窓、少し開けていい？」 「声、聞こえるんじゃないか？」 「どうだろ。」 松山の答えの前に掃きだしの窓を少し開け、風の通りを感じた。厚手のカーテンを少しだけさわり、気がつかれないようにルーズにする。 「テレビ・・・消すか？」 「ううん、声が誤魔化せるし・・・点けとこ。」 「そうだな、・・・少しの明かりも必要だしな。」 「なんで？」 「笙子の顔・・・気持ちいいときの顔・・・好きだし。」 ソファーベットに倒れこむように松山の横に寝転がると、窓を背にして抱き合いながら、お互いの生殖器を弄りあった。昇の踏ん切りはつき、音を消し、玄関を出、南向きの掃きだし窓に体を寄せていく。 網戸ごしに広がる景色。紛れもない愛する妻の背中が見えている。ショーツはあまり見たことのないピンク色のＴバックショーツ。松山の顔は見えないが、背中を弄る手は右手のみで腋を閉めた左手の行き先は想像しているところと同じだった。 くねる笙子の背骨。仰け反りと丸まりを交互に繰り返し、左手の動きは少し早い。見えぬその手が握るのは松山の血の滾りだろう。舌を絡める音もテレビのボリュームより大きく、次第にハァハァと息づかいは荒くなっていた。 松山の右手は、笙子の尻をなんども摩り、Ｔバックショーツの腰紐を少し緩めるように潜り込んでいく。尻の肉間に指先を這わせ、指先の行き着く先を知らせにかかる。 指先の締め付けに焦れた松山の右足は笙子の左足太ももを跳ね上げ、ずらしたＴバックショーツの隙間に指先の動きを這わせていた。笙子は跳ね上げた左足を下ろすことなくがに股のようにしたまま、指先の蹂躙を受け入れている。 ぬるっと入り込む瞬間は見逃すが、二本の指が笙子の陰唇の奥をなんども往復しているのは判る。往復のスピードは、笙子の声にあわせているように、タイミングが合っている。 エッチの相性、傍からみることは他にはないが、昇から見ても相性は悪いとは感じない。どちらかが夫婦といわれれば間違いなくこの二人だろうと感じさせられている。 昇は気がついた。若かりし頃の性衝動。笙子の喘ぐ姿と声、背中越しだが伝わっている言葉は「昇さん、元気になって」と。それに答えるように少し膨らんできた股間を昇は摩り始めていく。 |
| あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。 |
はちみつ太郎さんの作品群→ |
|
| 2014.10.1掲載 |
無断転載禁止！