はちみつ太郎 作
| ２０ 「昇さん、・・・ゴムして？」 笙子の言葉は、昇には意外だった。挿入できる位のエレクトを見せた昇の陰茎は、お預けをくらう。笙子のフェラで、エレクトを維持し続けた昇は、それを維持させられるかが不安だった。 お酒を控えた今日の夜は、夫婦の結合には申し分ない雰囲気だった。笙子は、自らが通販で購入したおろし立ての濃紺のショーツとブラに身を包み昇との交尾に色を添えていた。江藤の趣味と笙子の趣味は徐々に近づいていることがこのランジェリーでわかる。 脱がし去るのをためらったほど艶やかな女体は、いつも見ていた妻のものとは感覚が鈍るほどいやらしい。 その笙子に、自ら避妊を促される。 「だめか？」 「うん、だって、今、赤ちゃん出来ちゃったら・・・。」 「そ、そうだな。」 昇は、経済的感覚を性の場に持ち込まれたのが少し気まずかった。春先までの笙子は、赤ちゃんを望む一点で避妊には否定的だった。 それでも子が出来なかった理由は、昇が避妊優先だったからだ。一変した笙子の言動には昇も理解が出来た。 だが、安全日であることは笙子と江藤の二人は判っていた。笙子は、安全日にもかかわらず避妊を促した理由は説明できない。 自ら避妊具を装着した昇は、艶やかなランジェリーを脱ぎ去った笙子の太股を割り、陰茎に手を添えながら陰唇を割り裂こうと入り口に当てる。 腰を押し当てるように力を加えると、ぐにゃりと曲がり挿入できないでいる。硬さが失われつつある昇の陰茎は、笙子の中で回復させようと必死に洞穴の入り口を探る。 何度押し付けても、洞穴の入り口は、休業日のように閉じているのか、いや、押し入りたがるそのものに勢いが失われているのは明らかだった。 「口で、しようか？」 「あ、うん。」 昇は膝立ちのまま笙子の上の口を待った。嵌めたゴムはそのままで、咥え込む。勢いを失いかけた陰茎は、完全ではないがエレクトが戻りつつある。 「もう、いい？」 「あ、いいよ。」 「上になったほうが・・・入れやすい？」 「たのむわ。」 笙子は、エレクトの時間を気にし、咥えたものを手にすると、昇を仰向けにしその上を跨いだ。添えた手は剣先に狙いをつけさせると、筒穴の入り口に擦りつけ、割れた感覚を有すると、ゆっくり抜けぬように咥えこんでいく。 「あ、・・・んっ。」 小さめの喘ぎは、昇にも聞こえた。が、笙子の中には物足りなさだけがそこにある。深く挿入されているはずの騎乗位だが、笙子の声はいつもより小さい。 昇は執拗に笙子の腹部を撫でている。手が届きそうな時、笙子が幾分前かがみに倒れてきたときは、乳房にも手をまわす。 萎え気味になりかけている昇の陰茎を笙子の膣肉は励ますように圧迫するが、功を奏さない。笙子は、膣道への浅い刺激は、いくらか感じるが、比べれる対象があるためか演技のような声もでなかった。 ３分ほど腰を前後に動かし続ける笙子は、昇に覆いかぶさり乳首や喉元を舐め上げていくが、下半身の血流の補助とはならなかった。 血流は薄いが、射精管の圧迫は放出には十分だった。笙子の唇と昇の唇が重なりあうその時、遮蔽物のラテックスを境にして、絆深い者どおしが面会する。 「あ、・・・ごめん。・・・ドクッ。」 「え、出ちゃった？」 「うん、・・・。」 笙子は動きを止め、ぬるりと昇の陰茎を下の口から吐き出した。エレクトは案の定、半分ほどまでになり、中の射精物は、緩まったゴムの隙間から零れ落ちていた。 笙子は、ティッシュを手に、自分の股を拭うと、あまりの紙で昇の根元を拭う。零れ落ちた精液は、濃い臭いを放ちながらティッシュに絡めとられる。 ゴムを抜き、露わになった陰茎は濡れティッシュで拭われると、全てを絡めた汚れ物は、ゴミ箱に入れられた。 昇は、その紙くずと避妊具の行き先を自分とシンクロさせてしまう。大きくため息をついた昇は、笙子に問いかけた。 「おれ、だめだな。」 「・・・。」 「笙子、満足じゃないよな。」 「・・・。」 「こんなこと聞いて悪い。・・・一人で、してるのか？」 「・・・そんなこと、聞かないで。」 日曜の夜、全ての会話はこれで終わる。明日、単身赴任先に帰る昇は、夕方帰る予定を、半日以上早めていた。 振替休日の月曜日。不意ではあるが、想像の範囲内の訪問者が１３１０号室のインターホンを押した。 鍵を持っているはずのものだが、まだ残る遠慮をみせている。 「こんばんはっ。」 「こんばんは！・・・喧嘩でも・・・した？」 「・・・。」 笙子は、江藤に何も言わず抱きついた。まだドアの閉まる前にだ。口元を重ねるわけでもない笙子の雰囲気はいつもとすこし違っている。 江藤は、髪をやさしく撫で、短い前髪を上げる。おでこにキスをした江藤は、目を見つめ合わせる笙子を抱き抱えあげると、玄関横の寝室へ運んだ。 いつもと違うのは、ここから始まる笙子への愛撫。キスを長めに絡ませ続ける。会話のない会話は、それだけで相手のダメージを図り知るにはちょうど良かった。 笙子のダメージは、舌の絡ませ方で江藤は感じ取った。ダメージを回復させるには、余分な言葉はいらない。 昇との差は、先攻と後攻の差だった。ピンチを乗り切った後の後攻めは、チャンスがめぐることが多い。楽に責められる江藤は、じっくりと笙子を解し、立川の姓を剥ぎ取っていった。 喧嘩をしたことは事実。喧嘩の内容まで聞くことはしなかった。それが、笙子には慰めになっている。癒えていく心の棘ささりは、繋がっていたはずの棘をも抜き去り始める。 「・・・お願い、悟さん。・・・もう、して。」 「うん、・・・。」 ゴムを取ろうとした江藤をさえぎるように、笙子は言った。 「そのままがいい。・・・今日は。・・・大丈夫だし。」 笙子の言葉の変化が、まだ４回の裏の攻撃で、江藤を同点のチャンスのバッターボックスに向かわせてしまう。 相手が弱小高校の１年生ピッチャーを相手にしているようなものだった。障壁となるものが一切見当たらない江藤は、笙子の投げた初球をライトスタンドに放り込んだ。 服を脱ぎ捨てる時間すら惜しく感じていた。笙子が身に着けていたのは、江藤と知り合う前のショーツの組み合わせ。 意図してか、江藤は笙子の体を裸にすると、その組み合わせを屑篭に投げ入れる。笙子はその様子を目に入れていない。 いつもする愛撫の隙に脱がせる形ではなく、今日の二人は全裸同士でベッドに倒れこむ。江藤は、生本番を依頼されたことを再確認するように、亀頭を割目にこすり付けると笙子の顔を覗き込む。 「うん、いいよ。」 江藤のプレッシャーに再度了承をした笙子には二言は無いだろう。安全な日でもサック付きだった江藤は、人妻の生暖かい膣道をリアルに体感する。 全ての塁上の選手はホームインしていく。逆転を許した笙子は、その一撃を受け入れる。愛撫は、ほんの少しのスパイスで、今日の笙子は生本番を許した言葉それだけで愛撫以上の昂ぶりが感じられていたのだった。 江藤は、ゆっくり挿入し２、３回出し入れを繰り返すと、笙子の昂ぶりの度合いを知った。ねっとりした膣内の絡まり具合は、入念な弄り合いの後より濃厚である。 サック付きの交尾よりも牡と牝に近い生交尾は、二人の密着度を深めている。ヌチャッ、ヌチャッと交わりの場所は音を立て、受け入れる側の笙子も声のトーンが上がっていく。 「は、は、ぁぁぁぁ・・きもちいぃぃっ。」 「ヌルヌル、・・・笙子のお○んこ・・・やばいよっ。」 江藤のストロークは、最初のストロークより緩慢だった。笙子の中を味わう時間を長引かせるためにはと思ての緩慢さ。 粘膜と粘膜は、摩擦によって粘り気のある分泌液に変えている。変化した粘性液は、江藤の肉茎の裏側に纏わり付き笙子の分身がそこを刺激しているように感じているのかもしれない。 「悟さんっっ・・もっと、・・・お願い、・・強く、突いてよぉぉぉ。」 「え、・・・あんまり、すると、で、出るよ。限界近いよぉ。」 「た、溜まってるのぉ？」 「昨日、笙子に出してもらっただけ・・・溜まってないけど、・・・生、だからっ。」 「うん、私も、あんっ・・いぃぃ・・・よぉぉ。・・・おっきくなるの・・・すごくわかるのぉぉ。」 「いつもより、早くてもいい？」 「うん、いいよ。・・・中に、出したい？」 「いいの？・・・出しても？」 「赤ちゃん出来ない日・・だから、いいよ。・・・いっぱい、気持ちよくさせてぇぇぇ。」 江藤のストロークは、笙子が言った人妻らしからぬ懇願を聞いた直後から早くなっている。 早くなったストロークは、ヌブヌブといった濁音を笙子の女壷の奥で鳴らしている。奥で鳴る音と笙子の口から出る音は間逆だった。 「あぁぁぁあぁぁぁ・・・いぃぃ、いぃ、いぃ・・・あひぃぃぃ、ひぃひぃあん、ま、またぁぁ・・・いぃくっ。」 何度か抜けた江藤の陰茎はストロークを変えることなく、瞬時に狙いを定め笙子の壷に剣先を収める。収めるときに大きく仰け反る笙子を見て、江藤のストロークはそれに合わせている。 「ぬ、かないぃぃぃでっ・・・・ね、ね、・・・もぉぉ、・・・あ、あ、う、うん、そ、そうぅぅぅぅ、そこっ。」 「はぁ、・・・笙子っ・・・ほんとに、出すよ。・・・あ、あ、あ、で、でるぅぅぅ・・・ドクンッ、ドクドクドクッ。」 「あ、あ、ぁぁぁぁぁ・・・は、は、は、ぁぁあ。」 「まだ、出てる・・・すごい量。・・・はぁ、はぁ・・・。」 江藤は、繋がりを解かず笙子に覆いかぶさり大きく喘ぐ唇を塞ぐ。最後の一滴まで、余さず笙子の子壷に送り込む牡の習性だった。 「すごい、出てるね。」 「あぁ、・・まだ、出るよ。・・・安全日だよね？」 「心配？」 「い、いや、安全日・・・なほうが、残念。」 「？・・・安全日だけだよ。・・・危ない日は、駄目だからね。」 「うん、判ってる。」 笑った目はいつもの保育園で園児に見せる笙子に戻っていた。繋がった陰茎を抜かず、それから１０分ほど抱き合ったまま舌を絡ませ続ける二人だった。 |
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| 2014.1.25掲載 |
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