はちみつ太郎 作
| ２２ イチジクの果肉を思い出したのは笙子だった。江藤は、指先の感覚に果実の思い入れはない。柔らかい肉感はするが、膣肉より身動きのとりにくい腸壁は、指先にかかる力具合が相当だった。 指の腹を下に向けると、親指が笙子の正規の性器を刺激する。親指も中指と同じく付け根まで食い込ませていく。 親指の動きは中指ほど制限されてはおらず、短いながらも笙子の性感スポットを絞り込む。指と指が触れ合うように内臓壁を挟みこみながら刺激されると、耐え難いうめき声を笙子は上げてしまう。 「あぁぁぁぁ、あぁぁぁ、・・・お尻のゆびぃぃ、はずしてぇぇ。・・・う、うごかしちゃっ・・・だ、だめだってぇぇぇ。」 「いいんだなぁ。・・・ま○この穴の中、・・・熱くなってるもん。いいに決まってるよ、笙子。」 「うぅぅぅぅぅ、・・・中指、抜いてっ・・・おねがいぃぃ、はずかしいもんっ。」 「一つだけ質問してもいい？」 「い、いいよぉ、・・・答えたら抜いてくれるん？」 「うん、・・・笙子って、お尻の穴・・・挿れたことって、あるの？」 「・・・。・・・・ないよぉ。そんなことしないっ。」 「ちょっと、戸惑ったよ。・・・指だけならあるんじゃない？旦那くんにか、元彼か？はたまた、笙子自身か？」 「・・・ないって、・・・ない。」 「正直にいってないなぁ。・・・抜かないよ。」 「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あぁぁぁ。・・・う、うん。・・・少しだけ、指をぉぉ。」 「やっぱ、そうか。」 「ね、ね、言ったから、ぬいてよぉぉ。・・・お尻、気持ち悪くなるの。弄ってるとぉぉぉ。」 「アナルオナニーしたことあるんだぁ。いやらしい、人妻だこと。」 「一回、だけだってぇぇ。・・・気持ち悪くなったの。・・・だから、一回で止めたの。」 「そっか、そっか。」 満足気な江藤は、中指を抜くと、自分の目の前に指を立てた。中指を突きたてると、笙子の腸壁のぬくもりが伝わりそうだった。 排便後だったのか、指先にさしたる汚れはない。江藤は、笙子が振り向くと同時に中指を鼻先に近づけ、腸壁の残り香を嗅いだ。 「ちょっとだけ、・・・ウンチの臭いがするけど・・・大丈夫。」 「え、え、え、・・・や、やめて、ながして、やめてよぉぉぉぉ。」 笙子は、江藤の手首を掴むと、鼻から外し、シャワーヘッドの水流で指先の汚れを流す。ボディーソープも用いてごしごしと洗うと、自らの恥部のように手で隠した。 「臭くないって、笙子のだから。・・・もっと、笙子を感じたいだけだよ、俺は。」 「えぇ、もしかして悟さんって・・・そっち趣味？」 「なくは、ないかなぁ。・・・笙子ぐらい好きな女なら、そうしてしまいたいって、思うものじゃないかな。・・・パートナー次第で。」 「え、じゃぁ、私が、していいって・・・して欲しいっていったら。」 「するよ。・・・したくないなら、絶対しないけど。」 「・・・。」 「して欲しいの？」 「違う。・・・そうじゃないけど、・・。」 「けど？」 「恐いけど、・・・０じゃない。」 「ふーん。・・・じゃぁ、５０くらい？」 「うーん、今の気分は、１０くらい。」 「旦那くんかぁ。」 「うん、色々あるから・・・１０くらい。」 「じゃ、７０くらいになったら教えて欲しいなぁ。」 「うん、・・・大分、先かも。」 「いい。・・・大分先でも。」 笙子は、下を向きながら軽く頷いた。江藤は、笙子の頭を濡れてないほうの手で軽く撫でている。二人はシャワーを浴び始めると、それまでの会話の内容を変えた。切り出したのは江藤だった。 「笙子ちゃん。・・・旦那くんとなんか、あった？聞きたくなかったけど、言いたくなかったら言わなくてもいいよ。」 「・・・。うん、たいしたことじゃ、ないんだけど、・・・ね。」 「いいよ、言いたくないならいい、・・・忘れて。」 「んー、・・・旦那さん・・・リストラ候補で・・・さぁ。」 「あぁ、・・・今の会社・・・単身、派遣だよね。」 「うん、・・・となると、お給料・・・下がるし、ね・・・色々、お金の面とか、ローンとか。」 「だよね。・・・気苦労？」 「うん、昇、・・旦那さんが、・・・駄目になってるし。」 「インポ？」 「うん、・・・治りかけているけど・・・。」 「そっかぁ。そっちは、無理かもしれないけど、・・・お給料の件なら、笙子ちゃん次第で。」 「え、市立保育園じゃ・・・給料は上げられないでしょ。」 「いや、そうじゃなくて、・・・この前、よいさ踊りの時、同級の野河卓ってのが、いたでしょ。」 「あ、軽そうな。・・・名刺くれた。」 「そう、あいつのところなら、給料、多めにくれるよ。俺が言えば。」 「んー、でも、・・・。」 「少し前だけど、２年前かなぁ、紹介した同い年の保育士さん。・・・俺より１０万くらい多いって月の手取り、ありえんよね。」 「え、そうなんだ。それって、おいしいけど・・・。」 「裏がありそうだけど、そんなことないって、言ってたなぁ。・・・延長保育が・・・遅めだから、ってのはあるらしいけど、２時間ほど長くて、１０万多いならって。」 「ふーん。」 「紹介、してもいいよ。」 「え、でも、でもぉ。」 「あ、俺といられないのが・・・さ、み、し、・・。」 「くないよ。・・・お尻弄る人となら・・・離れたほうが。」 「えーー。」 「少し、考えます。・・・でも、悟さんは、なんで・・・そこに行かないの？」 「俺は、市の保育士になるのに、実はコネ使ったから、１抜けたするわけにいかんのよ。・・・おじさんが、市の福祉課長してた関係で、おじさん退職するまで・・・。」 「義理かぁ。」 「とりあえず、あいつに話だけは通しておくから、いつでも言って。・・・職場が変わったって、な。」 「うん。」 「おれ、恐らく来年度、配置換えだと思うし。」 「え、そうなんだ。」 「村野、５年目だし、・・・なんとなく、笙子との仲・・・副園長あたり、見抜いてんじゃないかって・・。」 「副園長は、そうかも。」 「なんか、言われた？」 「んー、直接じゃないけど、保護者に言われたって、・・・そういう、噂があるって。」 「そっか、気をつけよ。」 「そうだね。」 笙子は、シャワーの湯を止める。江藤に心の底の半分くらいを吐露しただけで、安らかな心が戻ってきていた。 バスタオルで体を拭きあげると、廊下に零れていた精液のかたまりを笙子はフローリングワイパーで擦り取る。何滴か、照明の当て具合で見過ごそうと仕掛けたが、体を屈めながら拭き去った。 四つんばいまでいかない姿勢でいる笙子の尻肉の割目に指を当てた江藤。笙子が、振り返ると冗談めかして言った。 「２０くらいになった？」 「なってない！・・・５になったかもっ。」 くすくす笑いあいながら、寝室に入ると、汚れた敷布団を外し、笙子は洗濯を始める。回復を言い渡されたわけではないが、江藤は、リビングのソファーに腰掛けると、笙子の人妻の動きに目を細めていた。 「いい奥さんだね。・・・もったいねぇなぁ。」 聞こえないくらいの大きさで本音を吐くが、笙子には聞こえず、新しいシーツの場所を聞かれていた。 |
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| 2014.1.29掲載 |
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