はちみつ太郎 作
| ３５ 目を瞑ったままの二人は、夢の中に完落ちていると錯覚するくらい深い闇の中にいる。 闇の訪問者は、想像通りの男だった。田沢貫一、勲がＯＢである私立大学３回生のアメフト部キャプテンだった。 田沢は、こんもりと膨らんだ一つの布団を闇の中で見つける。迷いがあった。実は、二人は行為の最中ではないかという迷いだった。 最中を引き離し、笙子を自分のものにしてしまおうということまでは躊躇し、シナリオにはないことだった。 枕元に笙子の髪の毛が見える。使われてない布団側に背を向けて、横になっているのが笙子だと判った。 田沢は、もう一つの布団を近づける。笙子と悟の布団の片方を少しめくると、笙子の猫背になった浴衣姿が見て取れる。 寝ている。そう、田沢が感じ取った。時間が過ぎていたからだった。２３時３０分まで、躊躇してしまったことが笙子を眠りに誘ってしまっていた。 だが、好都合にも、悟からもすこしいびきに近い音が漏れている。旦那の遠慮よりも、よりリアルに近い夜這いが実行されようとしていた。 田沢は、人口密度の高い布団には入り込まず。笙子に添い寝をするように体を近づけた。布団を少しだけめくり、手を侵入させると、かすかな反応があった。 背筋が少しだけ伸びた。触り始めた田沢の手は、震えを押えながら丸みのある腰骨辺りを行き来している。田沢は半信半疑のまま、手のひらを笙子の腰骨を越えさせた。滑落気味に臍辺りまで降下させると、半信半疑の田沢にはある確信的な反応を受けた。 浴衣の上から臍下を弄り始めたその時、田沢の手のひらをガイドするように笙子の温かい手のひらが触れる。右手同士のふれあいは、田沢にもたらす行動力を開放させる。 浴衣の帯を、解くと笙子の下腹部の肌を摩り、胸元に指先を這わせていく。カップの部分に田沢は指を近づけたとき、下乳に触れると指先の動きは緩慢となった。 紐状のブラにはワイヤーカップはなかった。ナイトウェアとしか見えないそのブラは、いともたやすく田沢に笙子の尖がりを触診させてしまう。 背筋が反射的に仰け反った笙子は、揉み込もうとする田沢の指先を押えるかのように強く握る。すると、反対の左手を笙子のわき腹から布団の隙間をくぐり、二つ目の尖がりを陥落させる。 田沢は、二つの尖りを、いっぺんに転がし尖り高さを変えていく。尖りの高さが、指先まで伝わり、最高点に到達した頃、笙子は体を反転させる。 目を閉じたままの笙子に、田沢は一声かけることなく、首筋に吸い付いた。細身の笙子の鎖骨に興奮を覚えると、それを舌で這わせ首を仰け反らせた。 脇に手を差し入れるとホールドし、擬似夫婦に眠るぬくもりの布団から、冷えた狩場に笙子を引きずり込んだ。 布団の中は冷たいが、熱い熱量を感じる二人には、仕切りなおしの効果はあった。狩場に引きずり込まれた笙子は、まだ目を開けることはない。恐怖からではない、踏ん切りの問題だった。 キスを迫るように若い田沢は、笙子の顎の下から舌を這わせ、下唇に到達する。甘噛みすると、笙子は耐え切れずに甘い声を漏らす。 その甘さが、田沢には血糖値を上げさせ、肉体と分身への熱量を増加させている。笙子は、目を開けていないが、田沢が半裸に近いのは判っている。玄関先で脱いだのか、恐らくブリーフだけを着装しているだろうと感じている。 笙子の指先は、田沢の舌先を受け入れたと同時に、その一枚だけのブリーフに触手を伸ばした。先端に触れた瞬間、笙子は閉じた目を半開きにする。 小さめのブリーフからは、完全にゴムを乗り越え亀頭が露出していたのだった。その先端からはおびただしいほどの潤滑液が漏れ、笙子の洞穴深くに眠る、同種の潤滑油を渇望しているようだった。 中指と親指で尿道口を摩ると田沢は、分身をビクつかせ、大きさを誇示しているようだった。張り裂けんほど血流を増している亀頭を苦しさから開放させるように笙子は、ブリーフのゴムを緩め太股までずり下げる。 そこから先は田沢自身が、足元から抜きさると布団の中に丸まったままにする。笙子は、解放された若い猛々しさの象徴を、丁寧に摩るだけだった。 二人は、目を開いて、アイコンタクトを取った。笙子は、とろりとした目を田沢に向ける。いつでもいいよと言わんばかりの牝の目だった。 田沢は、若い牡がみせる貪欲さではなく、母のリードを待つ巣立ち前の牡のようだった。 職業柄、子供の言わんとすることを察知する能力を持ち合わせた人妻保育士は、巣立ち前の牡に、牝が持つ母性と淫らさを教えようと、指先と舌先を活発にさせる。 先程までしていた笙子の表情と同じように田沢の首筋は反り返り、甘くはない声を漏らしている。笙子の指先は亀頭を甘くタッチし、潤滑液だけを満遍なく塗りこんでいる。 目を閉じ嗚咽の表情をしているのは田沢。責め立てる訳ではなく、教え込むように牝の施しを受け続けている。牝である笙子が教え込むには理由がある。 その若い分身には、悟にも勲にもない、膨張と硬直が感じられたからだった。萎縮させるにはもったいなく、目で見ることはないが、存在感は計り知れなかった。 征服されることを牝は本能的に感じている。初めての感覚を笙子は、口に出し、口を使うことを宣言する。 「お口でしてもいい？」 「・・・あ、はぃ・・・お願いします。」 体育会の若い男の返答は、少し固いが、すがすがしさがあった。にやけることもなく、女を煽り蔑むこともない。 笙子は、田沢に軽く口づけすると、布団の中に潜り込んだ。田沢は布団の中で仰向けになる。布団から顔を出し、手を頭で組むとこんもりと膨らんだ布団の内側を想像した。 笙子の顔は、暗闇の中まだ、はっきりと記憶は出来ていないが、職業、年齢すらわからない女ながら、ある程度の想像はついている。 短めの髪に薄い化粧、胸は大きくはないが手のひらに乗る、田沢の理想的な女性像だった。そしてなにより自分の不得手であるリード面もこなしてくれる。 咥えてくださいと、言い切れない自分に後悔をさせることなく、望んでか自ら分身に舌を添えることを宣言してくれた。 笙子の宣言どおり事は進んでいく。舌を這わせ発達した大胸筋の張りを手先と舌先で確かめると、指先はぬめりを感じる腺液を放出し続ける分身を先端から根元に掛けて刺激している。 しごき続けていると、太股を閉じ我慢するように力が入っている。その太股を摩り緊張を和らげると、再び大きく開きその隙間に正座をするように笙子がはまる。 目の前にある尖りは、暗闇のなかの暗闇でその色艶までは判らないが、頂の先端までの標高は感じることが出来る。 先端を手のひらで擦り、根元を両手で握り締めると、笙子は半開きの口で大きく息を吸い込み先端だけを「カプッ」と口の中に頬張った。 悟や昇にするいつもの舌先をくぐらせる動きがやりずらい。亀頭の膨張が大きいためか、舌を中で動かしづらい。 根元までくわえ込むのをあきらめると、先端だけを入念に舌で洗浄している。若い盛りの潤滑液にむせびながらも、入念に舌を這わせ、牝の存在をアピールする笙子。 布団の中で体を火照らせ始めたのか、帯のはだけた浴衣を口淫を続けながら脱ぎ去った。田沢は、布団の中から放出される人妻の浴衣を取ると、改めて匂いを嗅いだ。香水臭くなく、ほのかに香る石鹸の匂いに、母性より牝の匂いを感じ取っている。 布団がふくらみとしぼみを繰り返すさまは、視覚と触覚の差を感じさせずにいる。小刻みに動く布団は、根元までくわえ込めない笙子の先端責めの証拠だ。 時折、口内から亀頭を離し、息継ぎのように根元を舐め、睾丸に鼻をあて、牡のフェロモンを嗅いでいる。 田沢は、はっきりとアピールして睾丸を咥えこんで欲しいことを言いたいが、隣の布団の悟に遠慮してか声に出せないでいた。 笙子は、再び咥えこむと、太股の内側の筋肉を摩り、睾丸の裏側に手を廻す。コリコリと二つのボールを転がすようにすると、分身の裏筋が強張り、多目の我慢汁を分泌する。 精液ではと勘違いし、一度含んだその分泌液を舌に乗せ、臭気を確かめるが、遺伝子を含んだたんぱく質とは種類の違う臭いがした。 唾液と共に飲み込むと、再び先端を咥え、首だけを動かしていく。 田沢の手は、頭で組まれていたが、それをやめると笙子の髪の毛をなで始めていく。それを転換点だとかんじた笙子は、口から亀頭を離し、もぞもぞと布団から這い出てくる。 顔を出すと、真っ先に悟の布団をのぞき見た。 「起きてそう？」 「いえ、・・・いびきが・・・聞こえます。」 「寝てるんかなぁ？」 「そうだと・・・。・・・気持ちよかったっす。」 「おっきいんだね。・・・始めてかも・・・このサイズ。」 「経験、豊富なんっすか？」 「そうみえるん？」 「あ、ごめんなさい。」 「豊富じゃないけど、・・・大きさくらいは、わかるよ。」 「部でも、合宿のとき、言われます。・・・ち○こキャプテンって。」 「えぇ、そうなんだぁ。・・一緒の娘は彼女？」 「いえ、違うっす。・・・後輩の女子マネです。・・・佐奈は。」 「彼女も・・・誰かとこうなるために？」 「いえ、多分、勲さんと・・・おじん好きで・・・お金も援助してもらってるし・・・。」 「そうかぁ・・・ちょっと以外。本命、彼女は・・・いるん？」 「いえ、いないっす。・・・童貞は、卒業してますけど。」 「ハハ、・・・じゃ、リードしてくれるんだ？」 「・・・出来るかどうか。じゃ、ターンオーバーってことで。」 田沢は、握られたままの分身を笙子の手から外させると、攻守を変え、布団に潜り込んだ。寝返りをうった悟の目はうっすらと開いていた。 |
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| 2014.3.1掲載 |
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