はちみつ太郎 作
| ４ 気のあった同僚メンバーでの夕食は終わる。それぞれが、発散したといわんばかりに楽しさを口々に言ってのけた。 その中の笙子はいささか、おとなしく、どこかよそよそしかった。笙子の素顔を知る細田らは、気には留めていたが、会話の中でそれを問い詰めることはない。 「じゃ、おなかも一杯だし、帰りましょうか。」 「え、え、もう一軒・・・とか？」 江藤の元同僚の保育士は食い下がるがだれも賛同しなかった。独り者は２人あとの者はすべて既婚者だったからだ。 「家庭がある人が多いからここまでよ。」 あるベテラン保育士が言葉にすると皆、納得していた。 「笙子先生、園まで送りますよ。乗って。」 元同僚保育士を煙たがるように笙子を助手席に追いやると、エンジンをかけ、他の保育士に会釈をしながらその場を立ち去った。 「はぁ、あの娘、いつもあのテンションでねぇ、疲れちゃうんですよねぇ。もう、おれ、おじさんだって言うのに。」 「え、でも、独身同士なんだからいいんじゃないですか、あの先生もかわいい感じだし。」 「そうですかねぇ、活発っていっても、ノリがヤンキーっぽくて苦手ですね。活発さだったら笙子先生ののりのほうが好きですよ・・・僕は。」 「・・・。」 驚いた表情に笙子は、数秒無言になり、社交辞令な会話だと飲み込んだ。 「いや、ホント。笙子先生のガムシャラ感ってなんか、好印象なんですよ。いや、僕だけが言ってるんじゃないですよ。園の先生みなさんそういってる。村野保育園のムードメーカーって。」 「そう、ですかぁ。」 「そう、なんだか最近、少し元気がないねぇって、副園長も言ってたし、気になってるんですけど、なんかありました？」 「・・・いえいえ、何もないですよ。」 「そうですか、だったらいいんですけど、もし、保護者間のトラブルとかだったら、相談に乗るし、みんなで解決しましょうよ。」 「ありがとうございます、江藤先生って、・・・なんか、頼もしいですね。」 「そうですか、てれちゃうなぁ。園であまり言われたことないからなぁ。暑苦しいとか、はしゃぎすぎとか。」 「そうですね、向かいの部屋まで声、聞こえてきますからね。」 「ははっははっ。」 家庭の問題を吐露する間柄でもない二人は、園の駐車場でそれぞれの車に乗り込み、クラクションを一つ鳴らし合図した。 笙子にはそのクラクションが、夫と付き合う前の淡い片思いの感覚と同じであることに気がついた。角を曲がるテールランプが見えなくなってからも数十秒の間、視線で追い続けていた笙子は、現実に引き戻されるように、夫へメールする。 『今から帰ります。』 端的なメールにはどこか愛情が薄らぎつつある笙子の心の底を、映し出しているようだった。 自宅の電気はついていたが、昇の声はなく、笙子は寝ている夫をおこさまいと、静かに入浴の準備を進めた。 シャワーのヘッドを握る笙子は、頭から湯をかぶり彩り鮮やかなシャンプーボトルを数度押す。シャワーヘッドをフックにかけると、頭をあわ立たせ髪を洗う。 ヘッドからの湯は、胸元に刺激を与える。７８のＢカップのアンダーとトップの差の少ない笙子の胸の突起は、刺激を受けただけか、脳内変換によるクラクションの合図の刺激か、あからさまに堅くなっていた。 シャワーを頭に流し、泡を取り除いていくと、トリートメントを髪に染み込ませ放置するように、手にはボディーソープのボトルを近づかせた。 三滴ほど、手のひらに載せると、いつも使うスポンジは掛けたままでシトラスの香りのする液体を、突起した乳首付近に塗りこんだ。 あわ立ちはさほどではないにしろ、肌触りにヌルヌル感は、自らの指先からの刺激ではなく、ある男に背後から揉みしだかている様を想像し続ける。 両手で、貧弱な乳房を揉み、最大限突起させた娘のような乳首の先端を転がしている。首筋を反らせると、天を向き乳首を下からはじくように指先で遊ぶ。 繰り返しすると、催眠に掛けられたように右手だけを乳房に這わせ、左手は、濃い目の繁茂を潜り抜けた。 繁茂の奥にある陰核包皮へは、残ったボディーソープの滑りだけで十分だった。より以上の滑りは、笙子の膣奥から相当数が沸き始めている。 中指だけを包皮の周りでグニグニさせると、滑るように陰唇の割れ目を通り越した。笙子の中指は割れ目の前庭を通り越し、肛門との陰門の間の薄い皮膚にたどり着く。 肛門周りを洗うように中指に人差し指を合わせ、ついているソープを尻襞の洗浄にあてる。洗浄よりも、た自らの昂ぶりのために刺激している笙子。 指先を前側にずらすと門渡りを戻り、湯音より暖かめの蜜壷に潜り込んだ。 「あぁっんっ。」 小さな喘ぎ声は、刷りガラスの向こうには届いていない。シャワーの湯量を減らすことなく流しっぱなしの音のほうがはるかに大きかった。 ２、３度指を奥まで沈めると、閉じかけていた内腿は半開きになりがに股になっていく。腰を落としたような状態のままはきつかったのか、バスタブに腰をかけ、自らの陰唇をのぞくように首を曲げた。 潜り込んだ指先の腹は、笙子の自らがよく知る感度の高い部分に到達する。手首を曲げるようにし、淫肉の裏側、尿道口の裏側を掻き出すように動かした。 「あっ・・・あっ・・・あっ・・・え、とう・せん・・せ・・あぁぁ。」 旦那の名ではなく、江藤の名を呼んだのは気がついていない笙子。少量の潮を吹いたのは自覚していた。 潮吹きのつぼを教えられたのは昇ではなく、短大時代に付き合った、クライミング部の先輩だった。 指先の強いその男の手マンで、何度となく、いや、ほぼ性交のたびにＡＶのような潮吹きをさせられていた笙子。 別れた後も、どのあたりを刺激すれば快楽の絶頂を味わえるかを心得ながら、風呂場での自慰の際は潮を吹いている。 昇と結婚後の自慰は、頻繁ではないものの、昇の出張や、１週間夜の営みが遠ざかった時などは指先での刺激を数分間楽しんでいた。 「ガタガタ」 「はぁはぁ・・・はぁ。」 無色透明な笙子の潮は、排水溝の中に吸い込まれ、物音のする脱衣場の気配に、笙子の女の昂ぶりも流されてしまう。 「ガチャ」 ユニットバスの戸を声もかけずにあける笙子は、昇の一瞬の行動を見逃さなかった。 「あ、おか、えり。・・洗濯、回しとく・・・から。」 「あ、ただいま、寝てたと思ったから、シャワー浴びちゃった。いいよ、バスタオルも一緒に入れるから。置いといて。」 「あぁ、じゃぁ・・・おれ、寝るわ。」 「うん、お休み。」 昇の手の中にあったのは、笙子の脱ぎ捨てたブルーのショーツだった。股布の部分を裏返されていることは、洗濯かごに投げ入れられた姿を見てわかった。 笙子は、くるっと丸めるように、汚れた部分を隠して入れる癖がある。むき出された、布地の部分は、かすかな汚れがあったので、間違いない。 昇の性的欲求なのか、妻にもいえない性嗜好なのか、はたまた笙子の浮気を気にしての行動なのかは、理解できていないまま、３０分後には昇の横で眠る笙子だった。 |
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| 2013.12.16掲載 |
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