はちみつ太郎 作
| ４４ 本来の主が、チャイムを鳴らす。鍵も持っているにもかかわらずだった。 「おかえり、鍵、忘れたの？」 「あ、癖でね。」 「癖？、単身赴任で？」 「ん、おかしいね。」 「おかしいね、おかえり。」 「ただいま。なんか、笙子。」 「ん、なぁに？」 「いや、・・・きれいになった。・・・な。」 「ん？・・・うれしい、それがお土産？」 「あ、・・・そうだな、・・・うん、土産。」 「ありがと。」 玄関で靴を脱ぐと、エプロン姿の笙子にハグをする。急に抱きつかれた笙子は、目を少し丸くするが、思い出したかのように首に手を廻す。 「なぁ・・・笙子、・・・溜まってる。・・・んだよ。」 「治ったの？」 「うん、・・・最近、立つようになった。・・・で、自分で出しちゃうと怖いから・・・してないんだ。」 「何日くらい？」 「６日目、かな。」 「・・・シャワー浴びる？」 「ううん、・・・笙子の匂いが嗅ぎたい。・・・その方が・・・勃起する。」 「え、・・・うん、いいよ。ベッドいこっか？」 「リビングで・・・しよ。・・・このまま、フェラ・・・できる？」 「うん、・・・昇さんの匂い・・・嗅いであげる。」 「うん、臭いかも。」 「いいの、おしっこの臭い嫌いじゃないよ。」 笙子は、廊下の壁にもたれかかる昇のデニムをベルトから外し、足先を抜いた。靴下はそのままでが、パンツはエレクトの具合がわかったのでそのままにしている。 グレーのパンツの先は、米粒ほど湿っている。おしっこにしては小さい。潤滑油に間違いはないだろう。昇の勃起を見たのは数ヶ月ぶりだった。どのやり方が夫婦の仕方かを忘れかけている。 グレーのパンツの勃起部を口に収める。先端に触れる程度ではなく、亀頭全体を口内で転がし始めている。パンツの摩擦と、舌先での摩擦が昇には心地よい。 勃起の具合も衰えるより、睾丸の皮まで引っ張られる具合だった。見えない睾丸も笙子は転がす。何度か声をあげる昇を上目で見つめると、柔らかい顔で笙子に語りかける。 「あぁぁ、・・・いい。・・・笙子、・・・ごめんな、・・・もう、大丈夫そうだ。」 「ふぐぅ、ふぐぅ・・・うん、大きくなってる。・・・一回、口に出す？」 「え、いいんか？」 「うん、・・・飲んであげる。・・・旦那さまのだもん。」 「あぁぁ、あぁぁ・・・直に、咥えて、笙子っ。」 「うん、・・・真っ赤か。・・・パンパンだよ。」 「あぁぁ、あぁぁ、あぁぁ、はぁぁ。」 「気持ちいい？・・・上脱いで、乳首も舐めたげるし。」 昇はパーカーとＴシャツを脱ぎ、靴下一枚だけになった。 「笙子も、下着だけになれよ。」 「全部じゃないの？」 「カウンセリング、受けたんだ。・・・全裸より、そのほうが効果的らしい、俺には。」 「そうなんだ、カウンセリングって、病院？」 「うん、病院。・・・薬はないんだけど、そこで色々教わった。」 「そうか、・・・じゃ、ちょっと、まってて。」 昇の勃起に手をかざしたまま、笙子は部屋着のトレーナーをＴシャツ一緒に脱ぎ去った。昇は始めてみる笙子のブラはあまり気にならないでいる。 笙子は昇の反応をみたが、見たことのなかったブラには無反応だった。 「ブラも取らないの？」 「あぁ、そのままがいい。」 カップを直すようにワイヤーの部分を押し上げ、肩紐も直した。ベルトのない７分のデニムはボタンを外すと、昇にわかるように後ろを向いてずり降ろす。足から抜く前に昇はそれに気がついた。 「それ、エロいな。持ってたっけ、きわどいの。」 「これ、この前・・・ぼ、忘年会に行ったとき、倉ちゃんがここのブランド使ってて、通販で機能きたんだ。・・・エロイ？」 「あぁ、十分エロい。・・・もしかしたら、倉田先生も？」 「うん、これに似てる・・・の着けてた。Ｆカップだった。・・わたしは、Ｃだけど。」 「お尻のリボン、相当やばいな。え、着替えたん？」 「ううん、・・・保育園穿いていった。倉ちゃんに見せようと思ったから。」 「お尻の肉、隠れてないんだな。・・・倉田先生は、どんなの穿いてた？」 「倉ちゃんに興味ありすぎ、・・・脱がなかったからわかんないけど、多分、生理の日だよ。」 「ふーん、生々しいな。・・・笙子は？」 「ん、大丈夫な日。・・・あ、エッチするのはってことよ。」 「排卵日？」 「違うと思う、・・・もう少し後。」 「じゃ、中で・・・出しても？」 「うん・・・その前に、お口でするよ。」 「あぁ、・・・ソファー座ろうか？」 「そうだね。・・・ファンヒータついてるし。」 握った陰茎を離さないように、リビングのドアをくぐる。室温は２２℃くらいか、裸でもそう気にならない。ソファに腰をおろした昇は、握られていた笙子の手を握り締める。指と指を交わらせる。笙子は思い出す。 昇がフェラをねだるとき、いつも指を絡めさせる癖。笙子もそれが好きだった。片手だけ絡め、もう一つの手のひらは胸板をまさぐり、乳首を弄っていく。 溜まらず声をあげた昇の表情をみて、笙子は全体を口に含み、頭を小刻みに動かしていく。くちゅくちゅと唾液を混ぜる音を立てている。その音が昇には新鮮だった。新婚の時を思い出す。２日に一回は必ずだった頃だ。献身的に口に含んだものを舐めあげる姿に昇は笙子の跳ねのないショートヘアを撫でている。 「クチュクチュ・・・クチュクチュ。ふぅぅぅ・・・クチュクチュクチュクチュチュチュチュ。」 何度か口元に垂れるよだれを手で拭うとき、乳首から離れる。戻ってきたその手に指を絡めると、口に含んだままの笙子がにっこり微笑んだ。 ストロークが大きくなる。窄めた口は、いつしか奥まで頬張るため、開きを大きくしている。音も変わる。 「カポカポッ・・・カポ。・・・ハァァァ、カポカポカポポ。」 息継ぎのたびにストロークは早さを増す。昇も精管を駆け上がる熱いものを感じていた。首を仰け反らせると、笙子の頭に手をやり、往き果てる瞬間だけ声をあげた。 「で、でるっ・・・あぁぁ、あぁぁ、ド、ド、ドクッ・・・ドビュビュ。」 「うぐっぅぅぅうえぇぇ。」 笙子は少しむせていた。吐き出さないように口は含んだままだが、熱い精液の濃さに喉がえづき、胃酸が少しだけ食道を逆流したのがわかる。 「うぇぇぇ・・・げ、げほっ。」 「ご、ごめん、むせたか？・・・水、もってこようか？」 「うぅぅ、ぇぇ、・・・大丈夫。」 顎に手をやりこぼれを口に含ませる。３分の２ほど喉を通したら、鼻につく栗の香りが男を感じさせた。貫一のときは、若い味がした。昇の味には、少し甘さがある。悟のはどうだったかと、３分の１を飲み込んだときそう思った。 「濃いかったぁ。・・・うえっ、てなったけど、・・・お帰りなさいって感じだね。」 「あぁ、・・・まだ、立ってるな。」 「うん、・・・元気だね。・・・大丈夫だね。」 「怖いから・・・すぐ、入れたい。」 「いいよ・・・でも、私の・・・。」 「濡れてる？」 笙子は、昇の問いかけに微笑し、昇の手を取った。誘う先は二人も承知だ。ブルーのショーツの隙間に手を当てさせる。 隙間から昇の指は、食い込みの脇をくぐり、陰唇の濡れに気がつく。 「クジュ・・・クジュ。」 「痛くない？」 「ううん、・・・気持ちいいよ。・・・ちょっと、指、入れて・・・中、入れてみて。」 「ヌジュヌジュ。」 音を立てる陰唇の隙間は、ファンヒーターの熱源より温かさを感じる。笙子は、指先をゆっくり動かされる。昇は、二本の指を折り曲げると、手のひらに感じる感覚の違いに気がついた。 陰唇の周りにざらつく毛の感触がない。脇から入れた指を抜き、恥丘側からもう一度くぐらせる。 「笙子・・・手入れしてる？今日のために？」 「今日のためってじゃぁないけどね。・・・倉ちゃんの影響。・・・あの子、彼氏に剃ってもらったらしく、きれいにＶの字にカットしてあったの。」 「温泉でみたのか？倉ちゃんって、エロいんだな。」 「うん、・・・私も、・・・エロい？」 「あぁ、今日は、十分エロい。・・・濡れ具合も・・・十分だし。」 「うん、入れていい？上に乗っても？」 「パンツはそのまま、ずらした方が・・・いい。」 「うん、・・・正直なリクエスト。・・・こんなのがいい。」 「そうだな、正直じゃなかったかもな・・・今までが。」 「押えちゃだめだね。・・・エッチは、エロく、だよ。」 笙子はソファに足を乗せ昇の股間を跨ぐ。昇の眼前には笙子のブルーのＴバックショーツ。繁茂のはみ出しはなかった。 眼前で、ショーツのビキニラインに指を入れ、陰唇と繁茂をのぞかせた。 「ずいぶん、剃ったね。」 「うん、しすぎ？」 「いや・・・好きだな、こういうの。」 笙子はじわじわと着地していく、膝を折り、昇の太股に乗り上げると、ずらしたビキニラインに尖りをあてつける。 鞘と鉾、本来の鞘に収まると、夫婦の会話は時間の軸を合わせ始めていく。 いつもは少し間をおき、挿入後も湿潤が上手くいくまでじっとしていることが多かった夫婦の交わり。今日はその間も必要ないようだった。 笙子は自分の粘膜の湿潤具合がわかっていた。昇も、亀頭のツッパリは感じないくらいヌルヌルとした膣道を感じさせてくれている。 笙子は膝を曲げ、そこを起点に板ばねのように上下運動を加速させている。 「クッチュ・・・クッチュ・・・クッチュ。」 ソファのきしむ音より笙子と昇の交わる粘膜の摩擦のほうが大きく聞こえている。視覚、聴覚、触覚、臭覚、味覚、後一つの感覚も交ざって夫婦の交尾は成立しているように昇は感じている。 笙子の乳房がカップの中で揺れている。Ｃカップブラのワイヤーは乳房をホールドしているが、指先で乳首を覗かせるのは容易だ。昇は笙子の左の乳首を吸った。敏感なのはいつも左だった。 左のわき腹を曲げ、感度のいい声をあげる。園で子供を抱きしめるように昇の頭を抱きしめる。耳たぶを甘噛みし、吐息まじりの言葉は悟にはいえない言葉がまざる。 「一人で、オナニィ、してたんだよぉ、笙子も。・・・一人のとき。」 「通販でかったのか、あのバイブ？」 「え、・・・知ってた。・・あ、あ、あ、あ、あぁぁぁ。」 「この前、笙子いないとき、・・・浮気かと思って、下着のタンス開けちゃった。そしたら・・・。」 「え、ぇぇぇ、・・・うん、・・・通販。・・・使ってみる？」 「あとで、・・・ベッドで・・・使おうか。」 「うん、・・・あぁぁ、ひぃ、ひぃぃ・・・あぁぁぁぁぁ、・・・うぅぅ、うぅぅ・・・あひぃ、あひぃ。気持ち、いぃぃよぉぉぉ・・・あぁぁんっ。」 秘め事が露わになったその瞬間、性癖という壁が一気に崩れ去り、夫婦の壁も崩壊が始まり溝を埋めていく。 |
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| 2014.3.26掲載 |
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