はちみつ太郎 作
| ４６ 新しい年は誰にも迎えられている。変わらぬ一年になるものもいれば、変化に対応できないものもいるだろう。３６５日たってから感じる変化なのか、日々の変化に気づいているのかで、成長の幅は変わる。 昇の正社員復帰は、笙子の中に収められたまま口外していない。喜ぶべきことを隠してしまうのは、後ろめたさと、手にした悦楽の放棄がもたらしているのか。 転職を告げた瞬間の昇の顔はさほどの驚きはなかった。収入のアップがそうさせたのだろう。誰が変化をもたらせたのかは、わかっていない。でも、到着点で変化の大きさに気がつきそうだった。 笙子は、園長に退職を告げる。何が原因かを聞くが、おおよその答えを理解してくれていた。昨年も、優秀な保育士を転職で失っている。 管理職の園長は、特別公務員としての保育士の待遇を改善すべきことはわかっていても、現業の立場では物を申せないことをなげく。 了承はされた、次に行く保育園のことは薄々感じ取られていた。が、笑顔で残りの三ヶ月を園児と楽しんで欲しいと声を掛けられると少し、涙ぐんだ。 日々の変化は、園児以上ではないが笙子の女の変化は大きい。悟との交わりは、忘れていたというか、知らなかった物を与えられたような感触だ。 昇は帰ってくる。ＥＤも完治ではないのだろうが、直によくなるだろうと推測される正月休みだった。満足感はないが、夫婦という時間を与えられたのは大きな変化のゆり戻しだった。 タイミングは良い。３月には、ここを離れる。ここに残る悟には、未練が残るのか、あと８０日ほどで結論を出さなければならないだろうと女心は声をあげる。 実質、８０日もない、２ヶ月では遅いのだろう。変化を与えてくれた人間に変化を与えなければならない自分に戸惑いを隠せない。 正月明け、１５日。成人の日は今日ではなかった。保育園の新年会を終えた二人は、住処には寄らず、近場のホテルにしけこんでいる。 ラブホテルでないビジネスホテル風の駅前ホテル。狭いシングルの部屋を２部屋取ると、一部屋は朝まで空だった。 角部屋のシングルルームのベッドは隣の部屋、空いた部屋のほうの壁に添っている。２重張りのボード越しに聞かれる声は、空の部屋までだった。 飲みすぎではないにしろ、ある程度の飲酒は２週間以上はなれた二人の交わりに影響を与えている。 「立たないよ？」 「そんなに飲んでないけど。」 「酎ハイ２杯くらい？」 「いや、４杯・・・生、２杯。」 「うーん・・・飲みすぎかなぁ。」 「いやぁ・・・そんなことはないよ。これくらいで駄目にならないもん、いつも。」 「へぇ、飲んでした事ってそんなにありましたっけ？」 「あ、あぁ・・・昔の話、むかーしむかーし、あるところに、インポ親父がおりました。酒を飲みすぎて、・・・笙子という嫁を満足に・・・往かしてやることも出来ませんでした。」 「そんなことないよ・・・お正月は・・・できたもん。」 「その嫁の笙子というおなごは、インポ親父を見限り、違う男のち○ぽに喰らいつきましたとさ・・・。」 「おしまい！」 笙子は、少しむくれた感じの頬で悟の根元を扱いている。亀頭に力はなく乾燥した粘膜は潤いを欲していた。 シングルベッドに寄り添うように寝転がり、唇を重ね舌をねぶりあう二人。肝心の潤いは笙子の壷だけがホテルの乾燥に勝利している。 根元を扱き、睾丸を指先で刺激するが、無脊椎動物は起き上がる気配がない。笙子は悟の指先をショーツの上から感じている。いつもと違う刺激ならどうかと、ショーツのまま悟の顔面を跨いで布の厚い部分を鼻先に押し当てる。 「笙子・・・おしっこの匂い・・・すっぱい感じ。」 「恥ずかしいね。・・・でも、こういうのって・・・どうなの？」 「興奮するか？ってこと？」 「うん・・・洗ってない、お○んこって・・・どう？」 「すぅぅぅぅぅぅ。」 大きく深呼吸をするように悟は、鼻で笙子の臭いを嗅ぎつける。臭いだけではあきたらず、舌はショーツ脇の毛の生えかけた陰唇外の汗と汚れを舐め取った。 「あっ・・・。」 「うん、きれいなものよりいいね。・・・汚い女の汚い部分は、幻滅するが。きれいな女の汚い部分は、逆の作用があるだろうね。」 「あぁ・・・ほんとだぁ。」 笙子は腰をくねらせ悟の乾いた陰茎を視界に入れる。血流は肝臓のアルコール処理から生殖活動へ移行させている。 笙子は反転すると顎の部分に股布を押し当て、潤いを欲している悟のち○ぽの先を咥え込んだ。 「笙子、・・・旦那くんに試すつもりだろ。」 「んー、ヤキモチ？」 「うん、焼き餅。・・・だよなぁ、正月・・・毎日？」 「ううん、・・・３回・・・くらいかな。」 「うそだな、３回だったら「くらい」なんていわない。・・・正直に話せよ。」 「４回・・・大晦日と元旦だけ・・・してないのは。」 「２９、３０、２、３、かぁ・・・。」 「うん。」 「毎回、往けた？」 「往けてない。・・・と、思う。」 「中？」 「ううん、正月前までは生だったけど、お腹に出したり、・・・明けてからは、・・・ゴムしたよ。」 「赤ちゃん出来る日？」 「うん、・・・っぽかったから・・・着けた。」 「出来ても良いじゃん、夫婦なんだし。」 「でも・・・転職決まったのに・・・ねぇ。」 「そうだなぁ・・・いきなり産休ってのも。」 「でしょ。・・・今日は、大丈夫な日だけど・・・。」 「生でも？」 「う、うん・・・。」 「旦那くんより、特別ってこと？」 「どういうこと？」 「生、中出しってこと。」 「うーん・・・。」 「いいじゃん、いっぱい、出したげるわ。旦那くんに寝取られた笙子にっ。」 「なんか、ちがうくない？」 「違わない・・・おれは、寝取られ他人棒だから。」 悟は笙子のショーツの脇に指先をこじ入れる。両方の指で割り裂くように指を粘膜に吸い付かせる。白のショーツはサーモンピンクの粘膜を透けさせている。 ショーツに潤滑液がしみこむと膣肉すら透け、モザイクを通り越すくらい薄消しだった。ホルモンのような膣肉を蹂躙し、指先で誰のものなのかを覚えこませようと指紋をこすりつける。 指先の臭いは笙子の加工されていない匂い。アンモニア臭はひどくないが、鉄分を感じさせる臭いはアルコール分を体内から飛ばし、笙子の舌で舐めまわされる陰茎に血流を押し流す。 「笙子、お尻・・・も洗ってないよな。」 「うんちは・・・してないよ。お風呂入ってからは。・・・まって、触ったら駄目だかんね。」 「臭い嗅いでいい？」 「舐めたら駄目だよ・・・絶対。・・チューしないからね。」 「うん、・・ち。」 「あきとくんみたい・・・２歳児なみ。」 悟はショーツをずり下げた。お尻の穴を塞ぐように手をあてがう笙子だが、たやすくはねられた。尻肉に力を入れるが手の力には遠く及ばない。 「おしっこの臭いだけだな。・・・ウォシュレット？」 「うん、汗かくから・・・おしっこの時にも、お尻の穴にウォシュレットするよ。」 「気持ちいんだ・・・アナルオナニみたいで。」 「ちがう、そんな感じじゃない。蒸れてお尻がむずむずするから、洗い流してるの。」 会話のやり取りが飽和し、両方の湿潤がある一定の飽和をむかえると、どちらからともなく交わりの時を告げる。昇との正月休みには、昇がペースを乱し、笙子の牝の昂ぶるタイミングを逸して挿入が始まって、達することがなかったのだった。 根元を掴み股の間にある陰唇に触れさせると、汗ばみ、流し落とされていない汚れを纏ったまま自然なながれで生殖を共にした。 午前２時を回ったホテルの玄関を見渡せるコンビニの駐車場から、微弱な電波が発信されている。 『河探偵業務社より 向山室長様 １６日 ＡＭ２：１０ チェックインより３時間 対象者２名のみ チェックアウトする気配なし。 『河探偵業務社より 向山室長様 対象者のうち、男性の身元を照会したところ、市立村野保育園勤務の江藤悟（３３）と判明しております。』 微弱電波を受け取った向山は、返信メールを発信すると時計を見ながら目を閉じた。 『河社長 チェックアウト後は、間男の所在をつきとめてください。おやすみなさい。』 探偵業の男は、コンビニのカップコーヒーをすすり、スマホの画面と交互にロビーの明かりを目に入れている。 スマホ画面は、夜中のニュースをトピックスだけ伝えている。１０秒置きに繰り返し視界に入れているロビーに写真で何度も記憶した笙子の姿が見えている。 「ん？あれ、奥さん・・・だよなぁ。」 フロントで何かをお願いしている姿。おそらくタクシーを呼ぶ算段だろう。５分ほど待つことなく迎車のタクシーが停まる。笙子はそれに乗り込んだ。時刻は２：５５分。 「間男は・・・。気配なしか、交尾が終わればさっさと帰るって感じか。」 『向山室長 ２：５５ 対象者 立川笙子 一名でタクシーに乗車。もう一名の対象者は、見送りもせず。この場で調査を続行します。』 二人の対象者を見つめる探偵のするどい目には、関係の破綻を感じさせることはないようだった。 |
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| 2014.4.12掲載 |
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