はちみつ太郎 作
| ７３ よいさ踊りの本番は、明後日だった。リハーサルを終えた悟と蘭は恋人同士、いや、それ以上の雰囲気でマンションに入っていった。 初めて２人で食事をしたのが３週前。その日には、舌を絡ませあうキスを車内でした。性的行為に及んだのはその次の週。 ベランダでのフェラ、ベッドルームでの自慰。小山蘭の性癖は、２０という年齢を超えていくように日増しに悟の性癖に侵食されていた。 及ぶ行為は、悟に進められピルを服用しての生交尾。毎日のように入り浸っていた蘭は、日を追うごとにハードさをライトに感じさせられていく。 笙子の残した鶉の卵の大きさのローターは、東山の狙う穴にも潜り込み、二穴を冒される感触も二十歳ながらに活き具合を会得しているようだ。 持ち主を変えたローターは使う穴をも変え、いつしか、再びその穴を狙う者が同じとなっていくのも知らずに蘭は悟に声をあげさせられていく。 ６人目の犠牲者は、５人目の犠牲者のことを知らない。５人目の犠牲者は６人目の犠牲者を目撃させられている。 撮られた動画を再生し、笙子の眼前にスマホを見せつけると暗がりながら、良く知る間取りの中での交わりを見せつけられている。 実の父、実の子に口内を蹂躙されたことを知った笙子はそのまま視認させられている。陥れた男と、陥れられる女の交わり。 「おいおい、笙子先生より激しいな、最近の二十歳は。」 「くちゅ、くちゅくちゅくちゅっ。」 「アナルも使うし・・・こりゃ、笙子先生より上か・・・お払い箱も近いなぁ。」 「だ、だったら・・・もう、終わりにしてっ。」 「ははは、小山蘭って小娘に取られた憎しみか？」 「そ、そんなことないっ・・・ありません。」 「まぁ、よいさ踊りの前に喰いやがったからな・・・どんな手を使ったのか、ま、笙子先生より尻は軽いし、その穴を解すこともなさそうだし・・・捨ててやってもいいぜ。」 「くちゅくちゅ・・・じゃぁ。」 「じゃぁ？・・・江藤悟の元に戻るんならなぁ。どうするよ・・・旦那を捨てて、江藤と籍入れるって言うんなら考えてやってもいい。」 「・・・、で、できません、そんなことっ。」 「いやぁ・・・少し考えたな。・・・未練って言葉が顔から出てるよ。・・・小山蘭、この娘に対する嫉妬満々の顔だ。」 「くちゅ・・・・・くちゅ。」 笙子の口淫は、少しペースを落としスマホの動画に見入っていた。東山のアイデアは満更、嘘でもないようだった。 笙子の反応を見逃すことのない東山は、まだ残る悟への未練をあざ笑うように口内を奥底まで犯しつづけていく。 吐き出された東山の射精液は胃に収められる。一回の量が多く、青臭い。笙子以外には妊娠中の妻とも行為を持たずにいるためだった。 青臭いものを胃に収めると、佐々木が現れ本日の終焉を告げる。東山、佐々木は、笙子に蔑んだ言葉だけを浴びせ、その場から立ち去った。 笙子の心の中には、「今日も犯されることなく終わった」事と「悟に新たなパートナーが生まれていた」という事が渦をまいて惑わせている。 笙子はシャワーヘッドを手に持ち、ショーツだけを脱ぎ去ると、冷水を性器に直接浴びせる。挿入されることなく、嘗め回されただけの赤身は冷水で流されると、粘性を失い食材のように肉は締まった。 指先は、もう一つ蹂躙されかけたままの第三の穴にも触れる。中指で拭うように冷水をかけ続けると、内なる笙子は行き止まりの看板を開けた。 第二関節のみをくぐらせた笙子は、背後を気にし、誰もいないことを確かめると親指で陰唇を割り二穴を解してしまう。 声は制御できた。だが、熱い感情は抑えることが出来ていない。 「悟さんっ・・・どうしてっ・・・あぁ。」 小山蘭との交わりをカメラ越しにだが見せつけた東山の作戦は、９分９厘正当性を見出せていた。 笙子は、着替えを終えると警備システムを作動させ、車に乗り込んだ。帰宅の向きは、最近向かっていない方向だった。 ９分９厘のうちの１厘を埋める行動は、誰にも見られてはいない。 ４ヶ月ぶりの道すがらはほぼ変わることはないが、何軒かの家が建ち、コンビニが開店している程度。が、笙子の私性活は一変している。 １３階建てのマンションのいつも止めていた駐車場。そこにあったのは、黄色の軽自動車。初心者マークが付けられたその車は、新卒の保育士の車であることを容易に想像させる。 笙子は、来客用の所に止めた。そこに止める事は、敗北感を助長させる。が、これから敗北するのは小山蘭であることも知っていた。 おそらく男女の最中であろう二人に、声をかける術はない。立ち去ろうか、声をかけようか悩む。インターフォンを押しても出てこないのは判っていたが、どうして自分を陥れたのかの真意を聞きたいのが今の笙子だった。 でも、意を決することは出来なかった。 クラクションが軽い音で鳴る。隣を見ると国産高級車が止まっている。運転席の顔はあの男だった。手招きをする東山に吸い寄せられるように自分の車から降りると、助手席のドアを開けてしまう。 「やっぱり来てたんだなっ、悔しいんだろ？」 「・・・。」 「なぁ、笙子先生。・・・踏み込んでやってもいいんだぜ、一緒に。」 「・・・。」 「そうすれば、あんたと小山蘭、交換してやることも可能だ。・・・なんせ、尻の穴も許す女なんだ、使い道が増えるのは二十歳の小娘。・・・どうだ、今の旦那と別れて江藤の籍ってのは。」 「できませんっ・・・そんなこと、だって、・・・だって、・・・私を売ったんでしょ。」 「そうかな、売らされたって事は・・・感じねぇの？」 「・・・。」 「まぁいい・・・微妙なニュアンスの違いは男と女にはつきものだ。」 「売らされた？」 「旦那は今日も夜勤なんだろ。」 「か、帰ります。・・・一人で。」 「まぁいいよ・・・帰って、指ででもしてろっ。これが・・・欲しくなったら電話してくれても構わんけどな。」 笙子は助手席で深く息を吸い、東山に一度視線を合わせてからドアを開け車を出た。東山は確信を持った。笙子の帰宅後の行動と、自ら排泄穴に導く日までのカウントダウンが今日始まったことを。 |
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| 2014.6.16掲載 |
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