はちみつ太郎 作
| ８４ 工場の営繕部の男性が昇に声をかけた。明るい声だった。 「立川くん、助かったよぉ。」 「あ、連絡来ました？」 「昨日、来てもらって、見積もりしてもらったよ、他業者より１５パーセントは安いんだわ。」 「へぇ、そんなにですか。じゃぁ・・・ヤードの空調の改善も。」 「期待しててよ、すぐには無理だけどさ、浮いた金で何とかするし、・・・それより、営繕にこないか？」 「本当ですか？」 「あぁ、転勤もないし、・・・一人空いてるしさ。」 「いいですねぇ。」 「チーフにはそれとなく声かけしとくよ。」 「ありがとうございます。」 「東山組だったよね、・・・あそこの若い社長、夜遊びのほうも、どうですかって。」 「そ、そうなんですかぁ。」 「いい女、宛がうっていってくれてさぁ。・・・今晩、ご馳走してくれるんだよ。」 「へぇ、いい女、都合してくれるんですかねぇ、どうせ、商売女でしょ。」 「いや、・・・なんだか付き合いのある人妻らしいんだ。・・・スケベな女らしいよ。」 営繕部の係長は、雑談を猥談にかえ、昇の興味をひきつける。昇の興味は、人事異動の話に触れたいが、話題はそれていった。２、３分女の話が進むと、最後に昇の本題だけ伝えると、任せておけといわんばかりの鼻息でその場から立ち去った。 夜勤の始まりのベルとともに営繕部の係長は、ゲートを後にする。その姿を見つめながら昇は作業ヤードにとぼとぼと、向かい作業服の乱れを整えていく。 ゲートを出、最寄り駅のまじかにあるコンビニに立ち寄るとクラクションが係長の耳に飛び込んできた。 「須山さん・・・お迎えに来ましたよぉ。」 「あぁ、すいません、横いいですか？」 「後ろにどうぞ・・・お供え物も積んでるんで。」 後部座席のドアを須山が開ける。フルスモークのガラスからは中が見えないが、開け広げた瞬間、奥のシートに体を寄せた女が座っていた。須山は、お供えといわれた存在に気が付くと、形だけの挨拶をする。 「こんばんは、いいですか・・・横？」 「あ、はい、どうぞ。」 須山は覗き込もうとはしないが、女の風体に目をなんどか寄せ、女の持つ空気感を確認し続ける。会話のない車内はそう長く続かない。口火を切るのは、ホストである東山だった。 素性は伏せながらも行き着く先、女との関係性を回りくどく説明していた。下を見ているだけで須山にはかたくなに心を許さない女に、昇が言った商売女の臭いは感じなかった。 「須山係長、・・・ここ、カメラなしのラブホですから。・・・０時前に迎えに来ますんで・・・楽しんでください。」 「え、いいの・・・あ、じゃ、お言葉に甘えます。」 「先生・・・いい声あげろよなぁ。」 ラブホの駐車場に進入すると、駐車場にバック止めする。後部座席の須山は女の手を握り、車を降りた。鍵を受け取ると、肩を抱き寄せ扉の向こうに消えた。 東山は股間の膨らみに気が付くと、フロントに足を向けカップめんをすする年配の男に席を譲られる。 「あぁ、親分さん。・・・どの部屋かな・・・お、これか・・・１０４。」 「そうだ、爺さん。満室のネオンに変えて・・・これで、飯でも食ってこいよ。」 東山は追い立てるように千円札を一枚握らせる。 「これじゃ、ラーメンにチャーハンがつけられんよ。・・・なぁ。」 もう一枚渡すと、爺さんはスイッチングを切り替え、１０４号室のカメラを４つの分割画面から一つの画面を大写しにする。ニヤニヤしながら外にでる爺さんは、テッシュペーパーの箱を指差しながら一笑いすると、扉を軽く閉める。 始まりの合図は、須山が鳴らしている。大写しにした画面には、背後から抱きつかれる女のシルエットが写っている。首筋に舌を這わされ何事か須山の問いかけに頷いていると、背を反転させ、からみ付かせるように唇から這い出た舌の先を須山に供している。 東山はつぶやいた。 「やっぱ、おれも寝取られだわ。」 股間に手を当てたまま、食い入るように画面を注視し続けている。部屋全体が見渡せるくらいでしか鮮明なる画像は届かない。ＺＯＯＭすれば、それだけ荒く、カメラの性能を憂う。 押し倒された女は、ベッドに横たわると体を九の字に曲げ、防御するように女を見せないように必死だ。必死さを映し出すその画像を東山は視線を少しだけそらし、別の部屋にスイッチを変える。 「なんか、見てられねぇ、なんでや。」 変えられた画面には４０代後半の交わりが映し出されてしまう。 須山は、九の字に折れた女に寄り添うように体を沿わせると、硬くこわばった肩口に手を沿わせ、もう一度自分に向かせると、強引気味に舌を引っ張り出すように吸った。 「奥さん・・・先生って言われたけど・・・小学校？それとも・・・中学校？」 「答えなきゃ、だめですか。」 「いや、シークレットでもいいよ。・・・俺だって、シークレットだし。」 「じゃ、そういうことで。」 「彼とは、そういう関係なの？」 「いろいろ、答えないように言われてます。」 「名前も？年齢も？」 「今晩だけって聞いてるんで、・・・答えたくないんです。」 「そうか、でもこれだけ教えてよ、後は聞かないから。」 「はい。」 「旦那さんには・・・内緒なんだよね。」 「あ、あたりまえです。」 「彼は・・・他人棒・・・それに虜にされた？それとも、お金がらみ？」 「一つだけしか、・・・後は聞かないって・・・。」 「はは、そうだね、・・・２時間しかないんだ。・・・咥えてくれる？」 「・・・。」 笙子は頷くと、旦那の同僚ではあるが、笙子の素性を知らない須山のスラックスをずり下ろす。トランクスの先端は、尖りが笙子の眼前にまで伸びきると、切っ先が濡れているのも丸わかりだった。 飛び出した陰茎の先は、赤い亀頭のをほぼ大半のを隠している。尿道口はかろうじて見えているが、汚れを纏った亀頭は姿を自分からは現さない。 「奥さん、・・・半裸でしてよ。・・・なんだか、それが好きらしいじゃない。」 「す、好きじゃありません。」 「聞いたよ、そういう趣味の女性だって・・・奥さんは。」 「ち、ちがいます。・・・させられて・・・。」 「そうか、彼の趣味なんだね。・・・でも、それに付き合う従順な女なんだ。・・・俺が脱がせてもいいよ。」 「自分で、できますから。」 伸びてきた手を押しのけるようにし、着ていた衣服を脱ぎ去る。舐めるように眺めている須山は、笙子のくびれた腰と胸元の膨らみ具合の感想を述べた。 「いい体してるなぁ、彼に何人もこんなことさせられてるの？俺だけかな？」 「初めてです。」 「そうか、東山さんに仕事をたくさんださなきゃねぇ。彼は会社の専属で、奥さんは俺の専属に・・・。」 皮の剥けていない亀頭を差し出されると、笙子は何の返答も無く皮ごと口の中にほお張った。鼻に抜けるアンモニア臭と恥垢の臭いはえづくほど強烈だった。 むくむくと大きくなり始めると、口内で亀頭包皮は剥けた。が、その結果臭気は増し、舌に絡まるほどの恥垢は嫌悪の象徴のように吐き出されていった。 「２日泊り込みだったから、風呂にも入ってないんだよ。」 「シャワーを浴びてきてください。・・・臭いが。」 「奥さんの口できれいに出来るでしょ。時間ないし、シャワー浴びたら、旦那さんにばれちゃうよ、石鹸の匂い。」 「帰ってもいないんで・・・。」 「夜勤かい？・・・うちの工場も夜勤族がいるけど、よくやるよねぇ。」 「悪く言わないでください。」 「いやいや、君の旦那さんを悪く言ったわけじゃないよ。一般的に夜勤の人間のことを指したまでだ。」 笙子は、シャワーに行きそうにない須山の亀頭に濡れティッシュを当てる。脱ぎ去るように垢をまとめていくと、赤黒い亀頭は、血流を増している。 「きれいにしたら、さぁ、・・・気分出してよ。・・・ただしただけじゃ興奮しないよ。世の男性の好み教えてあげるよ。」 「・・・。」 笙子は上目で仁王立ちした須山の顔を見た。指導するように指先の動きで、笙子にそのさまを真似させる。膝立ちで再び亀頭をくわえ込んだ笙子は、指先に迷いを感じさせながら、須山の思い通りのところに落ち着かせた。 右手だった。指先はショーツの上から繁茂の覆いを触り、割れて形作っている陰唇に添って往復運動を見せ付けた。須山は見下すように上から覗き込み、笙子に指先の動きについて指示を出す。 「その程度かい？もっとしてるんだよねぇ、夜勤族の奥さんだし、旦那を感じたいから指オナは毎晩なんだろ。」 「し、しませんっ。」 「さぁ、そう、・・・わかってるじゃない。・・・パンツの隙間から指を入れて、ぬるぬるしてるんだよねぇ。」 「ショーツが汚れるから、確かめただけです。」 「脱ぎたいのかい？」 「そうじゃないです。」 「ノーハンドで、左手は乳首をつまんで乳首オナ、右手はパンツの隙間から指オナ、さぁ・・・。」 言われるがまま笙子はブラを少しずらすとカップからこぼれた乳房の先を須山に覗かれる。評価をされるだろうと指先は少し止まったが、咥え込む陰茎の膨張に人間の思考がとまり女の思考だけが体を支配する。 「ぐちゅぐちゅ、じゅじゅじゅぅぅ。」 唾液は拭うことなく陰茎を伝い落ち、毛の多い睾丸に垂れていく。布団を汚すまではいたらないが、笙子のあごにも滴った唾液は拭うことを忘れ須山の高ぶりを早めていた。 「あぁぁ、うまいじゃないかぁぁ・・・本当に商売女じゃないのかぁぁぁぁぁ・・・だ、だめだぁ、で、でるぅぅぅ。」 「ドクゥゥゥゥ。・・・ドクッドクッ。」 口内にあふれんばかりの精は放出される。含んだ亀頭を吐き出したいが、後頭部を押さえつけられ口内からの吐出しを制限された笙子は、しかたなしに粘性の濃い射精液を喉の奥にしまいこんだ。 「あぁ、飲んでくれ・・・あ、あ、あ・・・・こっちも・・・あぁぁぁ。じょじょじょじょじょぉぉぉぉぉぉ。」 射精と間違うくらいの勢いを扁桃腺付近に感じる。レーザービームのような尿道からの熱いほう尿は、口内いっぱいに含まされると、行き場を失い吐き出し口を須山に求めた。 「飲んでくれよ、それも。」 「ふぐふぐ、ふぐふぐ。」 笙子はかぶりを振り、その行為を断り続ける。後頭部をつかまれたまま、揺さぶられると吐き出しそうになるが、その衝動はかろうじて抑えた。 涙目で訴えかけると、笙子は脇をつかまれ、掛けられるように須山に連れられる。行き着いた風呂場でようやく吐出しを許される。 排水口を覗き込むように含んだ尿を吐き出すと、うがいをするために蛇口をひねろうとするが、手が届くと同時にそこから引き離される。 バスタブに座った須山は四つんばいの笙子の腰をひきつける。亀頭の先端をショーツの隙間にあわせ、ひきつけの勢いのまま先端を割り入るように挿入させていった。 「期待してたなぁ・・・奥さん、抵抗なくぬるぬるなんだねぇぇ。拒絶しないところと、東山さんが貸し出した訳は、・・・そういうことでいいんだね、・・・奥さん。」 腰を揺すり始めた須山は、避妊具に言及することなく尿道内の残精液を笙子の膣肉に擦り付けるように交わりを開始した。笙子の拒絶は大きくないため、言い聞かされているのか排卵日ではないことを須山は確信していた。 笙子が、膣肉のこすれで女を感じ始めたとき、東山はスイッチングを１０４に戻したが、カメラの届く範囲には二人の姿は無い。反響の声だけが低性能のマイクに拾われている。笙子の女の声を東山は聞き取ることが出来たが、姿を視認することは出来ていない。 「あぁぁ、くそぉぉ、声を上げやがってぇぇぇ。」 東山はテレビのリモコンを投げつけると画面が変わり笙子のかすかな喘ぎから４０代の悶える声に切り替わってしまった。 尻を近づけたり遠ざけたり、須山の腰は動くことなく笙子の膝は風呂の床タイルにこすられ赤くなっている。ブラホックは閉じたままだが垂れさがった乳房は須山に横から覗き込まれている。 「垂れること無いのは、まだ、子供がいない証拠だな。どうして子作りしないんだ？これだけの女、しないのは理由があるんだろ？」 「あぁ、あぁ、あぁ、あぁぁぁぁんっ。・・・んっっ、んっんっ。」 「そのことには、だんまりだねぇ、ま、いいよ、どんな夫婦でも悩みはある。片方は上等でも、片方がぽんこつ、良くあるよ。」 笙子のショーツは尻に引っかかるようにずらされている。そのおかげか、須山からはくわえ込んでいる赤く染まった生殖器は見えていない。 「あぁぁ、他人妻に・・・生で出来る幸せ・・・どれもこれも・・・立川くんのおかげだなあぁぁ。」 「・・・え？・・・んんんんんんっっっっ・・・・あひぃあひぃぃぃぃぃ、ああんっ。」 喘ぎの隙間に疑問符が点ったことに須山は気が付くはずもない。笙子の心音だけが性的興奮を押しのけるように血流を増幅させている。須山の素性、知りたくも無いが、知らされた夫との繋がりに、この場を設けた東山の魂胆は監視カメラのように筒抜けとなってしまった。 ぬめるように膣奥から湧き出されてしまう膣液は、重力に負け床タイルに垂れ落ちていく。笙子の見つめる床タイルには巻き込まれてしまうだろう夫の顔が涙の向こうに見え隠れしていた。 |
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| 2014.7.12掲載 |
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