はちみつ太郎 作
| ８７ 昇と須山は、職場の自販機の前で缶コーヒーをすすっている。手にもたれているのは須山の携帯電話。見せびらかすようにされた画像フォルダには、だらしないながらも内股に拒絶の感じが残る、股を広げた女の生殖器が映し出されている。 １５枚ほどの画像をスクロールしながら昇は目に焼き付けている。一枚目には、ショーツを脱ぎ去り、繁茂で陰唇の判別がつかない画像。三枚目くらいになると、男の指で繁茂を別け、陰唇の部分を映し出し、その次の画像は、それのアップだった。 赤身を帯びた膣肉と同じように昨晩の己の摩擦で赤くなったビラビラは、昇の想像のなかでは指の主にいじられすぎたものだと理由付けしている。 七枚目あたりには、男の指がしっかり突き刺さり、指先を曲げ、粘液をかき出すしぐさで指の部分がぶれて映されている。十枚目のころには、手のひらに水分がまみれており、女のしぶきが男の手首にまでたれていた。 最後の写真に映し出されていたのは、穿いていたショーツを裏返され、そこに来るまでの女のシミを見せ付けるように映していた。女の指先は、それを阻止するように少しだけ映っていたがマニュキュアも着け爪もない素の女の爪が見えている。 「いいだろぉ・・・こんな女、って言うか、人妻。」 「人妻なんですか、いやらしいですね、・・・これ、その、東山さんの？」 「あぁ、いいよねぇ、自由に出来る他人妻なんてさぁ。」 「そうですねぇ・・・。」 「営繕部の空きが確定になってなぁ・・・１２月くらいから・・・正式に移動しないか、立川くん。」 「いいんですか、グループリーダーには・・・。」 「あぁ、正式に人事から通達をしてもらってる。でも、結果・・・夜勤が出来る人間が必要でね。」 「あ、やっぱり。」 「あぁ、本来は夜勤なしの人間だったんだけど、辞めるやつが夜勤シフトの人間だったんだ。」 「そうですかぁ・・・少し、考えさせてもらってもいいですか。」 「あぁ、悪いなぁ、・・・今度、東山さんの食事・・・君も誘うからさぁ。」 「あ、はい、・・・時間が合えば。」 昇は少し力なく返事をした。夜勤シフトを変えられるチャンスと踏んでいたのに、当てと目論見が外れたのは誤算だった。だが、夜勤なしの営繕ポストに移れる可能性も聞いていた。 将来を見越して、移動する気が無いわけでもないが、自分の一存に任せず笙子の意見を聞き入れることを判断の隙間で、昇は決めていた。 帰宅途中であるはずの笙子にメールで、今起きている決断について相談目貸したものを送信する。作業服のポケットに携帯を仕舞うと、すぐさまに返信のメールが返ってきた。 『移動したらいいんじゃない、営繕部に。夜勤シフトから変わる可能性もあるんだよね。』 届いたメールを噛み砕き、まだ遠くない須山の背中を昇は追った。 ６時過ぎの慰安保育園では、笙子の携帯を握る東山がいた。返信のメールを打ち終えると、下着姿で陰茎を口に含む笙子に承諾の意を問うた。 「旦那、営繕部勤務を承諾するだろうな。これで・・・須山の部下だ。」 「グチュグチュ・・・お願いです。・・その、変なドリンクは・・・使わないでください。旦那には、絶対に。」 「俺は、須山に流しただけだよ。・・・1本８千円だ、・・・サンプルは５本渡した。・・・病み付きになれば買うかもしれないが、なかなか毎日８千円のドリンクは工場勤務の男には買えないだろ。」 「いったい・・・、何が、入ってるんですか。・・・非合法な、ドラッグとか。」 「欲しいのか？笙子先生も。」 「要りません、絶対だめです。・・・東山さん、あなたも、やめてください。」 「あ、・・ありがとうよ、体を気にしてくれてのか。」 「ち、ちがいます、竜神くんと・・・雷神くんの為です。」 「ち○ぽこ、しゃぶってても、保育士の魂は抜けねぇな。」 笙子はそう言われると、再び伏せ目がちに目を背けると、業務の一環と化した口淫を黙々と続けていく。絶頂を迎える前に東山は、笙子の口を制すると、次の動きは指図される前に起動する。 ベッドに登る前、投げ落とされたサックの袋を丁寧に破くと、笙子の唾液を纏った肉棒にかぶせを掛ける。根元までいかないが、４分の３を覆ったゴムサックにも唾液を忍ばせるように口に１０秒ほど含くませた。 口を離すと、置き古しのベッドの上の敷布団に四つんばいで服従のポーズをとった。楽になる体勢も身についている。胸の部分をつけ、尻を高く向けるポーズは、受け入れる菊門への負担を軽くすることを学習している。 Ｔバックショーツは、脱がされること無く二つの性穴を露出させるだけずらされる。いつもどおり、生殖をつかさどる方の穴へは先端だけの挨拶をし、笙子の鳴き声と、服従の姿勢に変わりないことを見届けると、排泄穴に亀頭を埋没していった。 「あぁ、あぁぁ・・・いぃぃぃぃ。・・・ひ、ひ、ひぃぃぃ・・・・あぁぁぁぁんっ。」 「どうだ、笙子先生。やっぱり、こっちだろ？」 「そ、そう・・ですぅ。」 笙子はためらうことなく東山の問いに答える。仕打ちを恐れての答えは、いつしか、自分の中の女の部分だけが答えているように錯覚していた。 東山は、一番奥まで押入れ、咥え込ませると、笙子は苦悶の声をいつものように上げた。その声を聞き、指先を睾丸の下にし、寂しげにたたずんでいる陰門に差し向けると、蝶の羽をむしりとるように赤黒い羽を引っ張った。 「いぃぃ、いたいぃっ。」 「写真の時は、赤く擦れてたなぁ。」 「変な、ドリンクを・・・使うからっ。」 「あぁ、須山が悪いんだ。・・・あいつが、渡さなけりゃなぁ旦那も惨めなままだった。」 「あぁ、あぁあぁ、し、りませんっ。」 東山は、笙子の腰を鷲つかみにすると押し引きを四拍子のリズムで刻み始める。押し付けのときと引き離しの間に、尻を弾く手のリズムも加えている。 「そうだ、・・・先生、美容整形したことねぇのか？田山クリニック・・・美容整形も・・・始めるらしい。」 「な、なにを・・・するつもりなんですか。」 「尻の穴ぁ、きちっと締めてろよ。笙子先生みたいになぁ・・・使いすぎのこういう、ビラビラ、気にする女が多いんだそうだ。」 「あ、あぁぁぁぁ・・・。」 「黒ずんだ女、・・・まぁ、笙子先生は、俺の感覚では、きれいな方だが、・・・行田真知子、あれはかなりの使い込みだな。悟さんも言ってなかったか？」 「真知子先生を・・・実験台にするつもりなのね。」 「いいや、・・・真知子先生も孕んだらしいじゃないか・・・そこで、身請けの男探しをして、そいつの希望らしいんだ。」 「なんて・・・ひどいことを、するつもり・・・やめてあげてください。・・・身重になってまで・・・そんな仕打ちを。」 「手始めになぁ・・・処女幕再生から始めるんだとさ。・・・身請けのおっさんの趣味でな。処女じゃないと要らんのだと。」 笙子は絶句しながら言葉を発することをやめる。自分に火の粉が飛んでくるのは、この先、いや、近い将来、訪れるはずの仕打ちを予想してしまったからだった。 「お相手は、バスの運転手らしいな・・・園の送迎の。」 「樋口さん。・・・が、そんな。」 「あぁ、汚げなおっさんだろ・・・でもな、６１だけど、公務員上がりの・・・リタイヤ組み。子供好きが高じて、園の運転手に手を上げたんだと。」 腰を押し付けられながら笙子は、想像の範囲の樋口の人物像を思い描くが、次の言葉でその好々爺の印象は崩れ去る。 「実はなぁ、がき好きは、建前さ・・・内実はな、お前らの尻目当て・・・女保育士連中の・・・透けたパンティラインにご執心だそうだ。・・・なけなしの公務員の退職金、一括で支払うんだとさ。」 「そ、そんな、樋口さんが。」 笙子は何度か園外保育で、園のバスを利用していた。柔らしい笑顔の樋口には好感を持っていた。 「その樋口がなぁ・・・佐々木のおばさんの目は誤魔化せないようだ。園長が、樋口の嗜好に気がついたのは、お前さんの尻を眺め見てたときらしい。携帯で、何度かお前さんの後姿を撮っていたようだ。」 「・・・そ、そんなこと。」 「あぁ、・・・これ、・・・見てみろよ。・・・くっきり映ってるだろ・・・Ｔバックじゃないほうのパンティだろ、エロパンティのびっちりラインが。」 「・・・。」 笙子は携帯の画面をチラ見すると、そこには紛れもない自分のグレーのジャージの後姿が映されている。鮮明な感じではないものの、意図的に撮影されたようにパンティーのラインはくっきり写し撮られていた。 「本音を聞いたんだ・・・ここの園で・・・一番のエロ尻は誰かって・・・誰だと思う？」 笙子の耳元まで覆いかぶさると、耳たぶに息を吹きかけながら聞き入れたくない名前を聞いた。 「笙子先生だと、・・・出来るんなら、立川笙子を身請けしたいとよ。」 「わ、わたしが、ここにいることも・・・告げたのですかっ。」 「さぁなぁ・・・明日聞いてみろ・・・樋口の顔見りゃ、わかるだろ。あぁ、おれは園一番のエロ尻の穴んこにぶち込めて幸せだぜぇぇ。」 花梨、真知子と続いた妊娠。そして、身請けの話、どちらが幸せなのか、笙子には判別がしがたい。判別を迷っている笙子には、二つの性器どちらが女を感じさせてくれるのかという疑問に東山がすり替えているように感じてしまった。 |
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| 2014.7.19掲載 |
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