はちみつ太郎 作
| ９６ 田山レディースクリニックには、臨月で陣痛を迎えた女性に混じり、その兆候もない笙子が時間外の診察を受けていた。１０日前の野村との接触での受精の有無を尋ねている。 「生理後２日なら、まず、大丈夫です。ま、若い精なら１０日ほど滞留するケースもありますけど。」 「・・・。」 「どっちかって言うと・・・今日・・・完全に受精できますけど・・・人工授精でも、自然受精でも。」 「か、かえります。」 肩を押さえた東山は、診察台に上るよう笙子に目配せする。今日の目的の一つを田山は軽い口ぶりで笙子に伝えた。 「来週でいいんですよね、東山さん。」 「あぁ、場所もセッティングしてあるから・・・下準備がいるんでしょ。」 「えぇ、今日は下準備です。・・・剥くだけじゃ・・・面白くないし。」 「体を・・・道具みたいに。」 笙子は、ショーツを脱ぎ診察台に足を広げさせられると、佐々木の腕で押さえつけられる。身動きできないほどではないが、大きな抵抗はしていない。 「最近、あきらめかしら？」 「園長、そうじゃないよ・・・Ｍ気が、顔を出してるんだ、笙子先生は。」 笙子は目を閉じる。陰唇の周りに衛生ゴム手をしていない田山の指先を感じたからだ。陰唇を割ると膣肉を愚弄するように指先を差し入れる。柔らかくまとわりつくその肉質を楽しむように解説する。 「笙子先生、わかるよねぇ・・・赤ちゃんを欲しがっているよ。・・・誰だろうと関係ないのさ。・・・なんなら、保存している黒白ハーフの夫婦の受精卵を着床させてあげてもいいし、遺伝子を少し壊した受精卵もある。・・・どうだい、身請け料・・・だしてもいいよ。」 「い、いりません、・・・してほしくもありません。」 田山は、Ｇスポットあたりに指をひっくり返すと、膣肉を圧迫させ数回の動きで笙子に潮を吹かせていた。 「この前ね、１０代の女子高生がね、性病の検査に来て・・・看護師がいなかったんで、ちょっといたずらしちゃってね。・・・ ２、３回圧迫するだけでビュッと、その子はびっくりしちゃってたけど、さすが笙子先生だ、それがどうしたのって顔だね。」 「そ、そんなこと、言わないでください。」 指を抜く時にもう一度圧迫をし、潮を吹かせると笙子の脱ぎ去ったショーツで指を拭い、下準備を始める。ベルトで足首を固定し、肩をつかむように佐々木は背後から覗き込んでいる。 「先生、黒ずみもとれるの？」 「えぇ、佐々木先生・・・加齢と摩擦で黒ずんだ物も、そこそこきれいになりますよ。笙子先生は、ビラビラの色素が薄いほうだけど、陰核まわりがぼってりと厚い。・・・大学生が言うのも一理あるね、ほーら、これ、・・・恥垢、男性だけじゃないんですよ笙子先生。」 指先に取り上げた白い垢を田山は嗅いでみせる。 「うーん、ブルーチーズとまでは言わないが、・・・毎日洗ってるかい？」 「あ、洗ってます。・・・言われなくても。」 「野村が言ってたろ、初対面ならクンニも出来るが、何度かした後は少し気になると、だからじゃんか、旦那がおろそかになってんの。」 「病気なんです・・・悪く言わないでください。」 「一概に言えないよ。旦那のＥＤはね、奥さんが旦那の性嗜好を理解していないことも一因なんだ。・・・旦那さんの、性思考、理解できてますか。」 「・・・。」 「病気と決め付けてるのは、笙子先生だけかも知れんな。・・・実は、俺と同じ趣味かも知れん。」 「ありえません、そんなこと。」 「一理ありますよ、・・・そういう説を裏付けるための論文を発表されている先生もいる、この近所の大学病院の教授がね。」 「へぇ、俺も手伝いたいな。」 濡れた指を陰唇に塗りつけると田山は一眼レフのカメラで術前の笙子の陰部を撮影していた。顔を撮られる事を拒むように横を何度も向こうとするが佐々木に跳ね除けられ、記憶メディアに記されていく。 第一段階といいながら田山はアルコールを滲みこませた脱脂綿で包皮の周りを消毒する。注射針を笙子に見せ付けると、内容物の説明に入った。 「健康食品っぽいけど、医薬品のヒアルロン酸・・・これでね、そうだなぁ・・・笙子先生の勃起してない乳首と同じくらいの大きさにできるんだ。」 「な、なにを・・・。」 「あ、あぁ、この状況だから理解してると思ってたけど、クリトリスさ・・・包皮切除の前に大きくしておけば、歩く時も慣れてくれるから。・・・包皮切除後はね、・・・歩くと擦れるんだよ・・・だから、少し早めに大きくしておけば、擦れにもなれるし、感度も試せるじゃないか。」 「ひ、人の体をおもちゃにしないで、・・・お医者さまとは・・・。」 「思ってもらわなくても結構。・・・嫌われれば嫌われるほど、・・・エスカレートするんだ。だから、谷山里子には・・・。」 「先生、笙子先生にはまだ早すぎますよ。・・・後に判るほうが、聞き分けが良くなるんで。」 指先を口元にした田山は、笙子の承諾も得ず東山に目配せをするだけで、指で剥かれたクリトリスの根に注射針を突き刺した。笙子は痛みとも性感とも言いがたい痛感に襲われ、尻に力を入れ薬剤の注入を阻止することは出来ない。 口でもそれを止めるような言葉は発することすらできず、注射器の中の薬剤を全て受け入れてしまった。ジンジンとする陰核の回りは薬剤の広がりが麻酔のような感じをしている。 目に見えた膨らんだ形跡はないが、赤身を帯びたクリトリスを剥きあげ、数度擦っている反対の手にもう一つのアンプルが針で注入された。 「笙子先生、・・・二つで１０万、・・・保険は利かないよ。」 「いぃぃ・・・・たいぃぃぃ。」 「痛感を我慢すれば、・・・ほぉぉら、熱くなって来たよねぇ・・・でもこれで、おしまい。」 ガーゼを小さく切り取り、包皮を纏わせるように被せた。血が出る様でもないが、注意事項は端的に笙子ではなく東山と佐々木に告げられる。 「ま、１０日間・・・性交禁止ね・・・アナルもですよ。」 「あら、慰安保育士も、休業かしら。」 「３人・・・捕獲してるけど・・・野村って言う笙子好きのすけこましが、紹介した保育士くずれの風俗嬢。」 「あぁ、面接した、・・・１人は合格の部類で風俗未経験。・・もう二人は、風俗のアルバイト経験済みよ。新鮮味が・・・。」 「そういってられるのか・・・あんたの、ローンも滞りそうじゃねぇか。」 「背に腹は・・・よねぇ。」 「で、東山さん・・・望観楼での忘年会・・・笙子先生の剥きクリ手術には？」 「あぁ、旦那を連れて行こうと・・・なぁ、笙子先生。」 「そんなことを・・。」 「して欲しいくせに・・・田山先生もいってたろ、・・・旦那の嗜好を理解するのが・・・。」 「ＥＤの克服条件です。」 田山は笙子のショーツを履かせると、ショーツのクロッチに隠れたガーゼの具合を確かめ、親指で数度膣前庭を刺激した。 「あぃぃ・・・。」 「確実に感度が上がりましたね。・・・楽しみだね、ご主人の前で・・・笙子先生を改造するなんて。」 田山と東山は別の施術を記載したパンフレットを見ながら、次の施術を選択しているようだった。笙子に聞こえよがしに大きめに話すと、処女膜再生や陰唇切除、Ｇスポットへ感度あげの薬液注射などに触れている。 東山が最後にたずねるのは、裏門への施術だった。未知なることと田山は言うが、出来ないこともないといっている。途中から、陰核の周りの薬剤が効き始めたのか、熱くほてり始めたクリトリスの周りを気にしてしまい、二人の会話は遠ざかっていった。 「ですね・・・不可能じゃない。短期的につなげることは出来ますよお尻の穴には、・・・出産の時だけね。」 「そうかぁ・・・是非、・・・あぁ、楽しみだなぁ・・・できれば、その時は茶色い子供がいい。」 「悪趣味を通り越して、異常です。」 田山はマッドサイエンティストの顔を見せ、東山の悪趣味を笑っていた。二人の想像は、限りなく非現実ながら可能性の数パーセントを実現させるため、笙子の顔をのぞき込んでもう一度笑っている。 |
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| 2014.8.9掲載 |
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