はちみつ太郎 作
| ９７ 不必要と言われる物にも。必要とされる時はある。客観的に不必要と言われても、主観的に見ると必ずしも当てはまらない物を失わされる日が近づいていた。 「笙子、明日、急なんだけど、営繕部の忘年会でさ・・・温泉に行くことになって。」 「え、・・・ど、どこの？」 「それがはっきりしないんだよ。・・・場所を教えてくれなくて。まぁ、連れて行ってくれるんだから問題はないんだけど。」 「ど、どこか、わからないって。」 「ん、浮気じゃないよ。・・・着いたら連絡するから。」 「あ、うん。」 笙子は歯切れ悪く頷くと、昇の出勤を見送った。思い浮かばれるのは、田山らが画策している笙子への施術だった。陰核に投与された薬剤の影響は、この数日で如実に現れている。 勃起前の乳首とまでは言いがたいが、感覚的には２倍近くの腫れ、肥大化は実感していた。そこに集中する笙子の性感中枢は、面積体積を大きくさせたがゆえに、接触するショーツとの折り合いをつけてくれていない。 包皮に包まれてるとはいえ、幾分、包まれた中での摩擦もゼロでなく、歩幅を変えざるを得ないほどだった。声に出すほどの喘ぎは漏れないにしても、腹のそこに伝わる刺激は勤務中にもそれを感じさせ続けていた。 事実、投与後は、ショーツの替えを保育園に持参し、子供らの昼寝時に更衣室で替えるほど湿潤の具合を増している。昇の求めがないのは幸いしているが、笙子の夜は永く感じられていた。 扉の閉まった玄関は、誰かが訪れる気配もない。鍵をかけることもせぬまま笙子は、ジンジンと疼いて仕方がない陰部の熱源をさする。 ジャージのゴムは、きつくなく、指先は簡単に潜り込んだ。ガーゼは外されている。ショーツの上から陰唇の上にある容器の上から指先で何度かさすると、コリコリとした感じはないが、包皮の中で右へ左へと行き場を変える感覚は中枢を駆け上る。 「あひぃ、ひぃ。」 短い喘ぎを何度も繰り返していると、中から湧く淫水の量を指先のショーツにも感じた。尻の狭間も締まりを感じ、押し出されるように分泌する膣液は、パープルのショーツを染みさせていく。 半ずらしにジャージを太ももに引っ掛け、ショーツをそのままにし、玄関の壁際に背をもたれさせた。尻を突き出しショーツを張るように指先を入れるが、無尽に動けない指先は笙子への刺激を最小限に抑えさせている。 中指だけがその意に反して、肥大した核の熱源に蓋をする格納容器に触れた。昨晩はそこまでの探索で終えている。熱源は指先にも伝わるのか、中指は慎重にその容器を確認し続けている。 押えるようにすると、なかのデブリは位置を変えるように動く。笙子の指先から逃げ出すように意思を持っているようだった。追いかける指先は、その意図を知ってか知らずか、探索するだけ熱源の情報を会得した。 「あぁ、ぁぁんっ。・・・あぃぃ。」 包皮に柔らかくクリックし続け、目を閉じると、明日の情景がシンクロしていた。出てきてほしくない顔が、なぜか浮かんでいる。 「だ、だめっ。・・・・いぃ、くっ。」 出てきた顔の印象を削除するように目を開けた時、指先が包皮を意図せず押さえ込んでしまい、往き声を上げてしまった。昇が出勤して１０分も経っていない。 笙子は、ずぶ濡れであろう陰唇の奥を指でなぞる。熱源を抱くその蜜壺は、氷河を溶かしだしたように溶融していた。一番長い中指は、探索リーダーを務めている。 ヌルと入り込むのは、何度も経験しているが、熱量の具合は今までと格段に違っていた。司令所の命令は、最奥の防壁まで到達せよと発していた。 「あぁぁ、コ、コリコリぃぃ・・・してるぅ。・・・・あぃぃぃぃ、くぅぅぅぅ。」 ドーナツ状の防壁を前に、限界を知らせるアラームは鳴っていた。早急にそこから戻るよう指示しているが、探索リーダーはそこからの撤退を少し待った。 防壁の触り心地は、しこりのように感じ、筋腫と疑う時もあったが、男らに触られた感触から子宮の入り口であると受け止める。 ポルチオ性感をいじる中指は、指令所の命令を無視し続け、防壁の気密扉を弄っている。下がり気味の子宮口は、排卵の兆候を見せている。生理日を計算しなくても笙子は、昨日あたりからの体のバランスでそれを察していた。 指先を奥までこじ入れることで包皮は手のひらで押さえつけられ、二点での自責めを効率よく高めることが出来ていく。 「あひ、ひぃぃ、ひぃぃぃ、いぃ、・・・・あんっ。」 中指に加え薬指も参加した探索チームは、限界のアラームに気を取られることなく、任務を忘れポルチオ部の刺激に勤しんでいた。 既婚者には大事な左手の薬指。笙子は、自分の子宮口を弄り、そういう女に落とした江藤悟はその筋の男らにその薬指を押さえつけられていた。 「やめろっ・・・糞っ。離せって。」 もがき、動くがエナジードリンクの多量摂取のためか野村が温泉場で見せた動きと同じだった。 「東山・・・本当にいいのか？」 「あ、はい。後がまも用意したんで。」 「そうかぁ・・・なんて名前だったか、あの、若い保育士。」 「あ、小山蘭・・・。」 「そうそう、蘭ちゃん。・・・相当のアナル好きの蘭ちゃん。」 「蘭は・・・お、おひゃもろに・・・おやもろに・・・かえせぇぇ。」 親元といえぬ程、ろれつを次第に回らなくさせていく悟は、何度も目を瞬かせながら、東山の隣の男を睨みつける。 「心配するなって、ボディバッグ（死体袋）に入れて戻すかもしれないけどよ、・・・家には帰れるから。でもなぁ、簡単に金を稼ぐ方法を見つけた女はよう、なかなか、帰ろうとはしないんだよ。」 「１５万そこそこしかもらえねぇ地上の保育士と違ってなぁ・・・慰安保育士さんは、高給取りだから。」 「のりひれぇぇ・・・。」 「あんたが持ちかけたんじゃないか。・・・別れたい女がいるって・・・木島翠、・・・なぁ。それからだろ、６人も味占めたのは自業自得、・・・四文字熟語でもこれくらいは知ってるよ、中卒の俺でもな。」 「・・・。」 「しかたないな、それじゃぁ、色男。・・・良かったよ、俺の嫁は保育士じゃなくて。お前に、慰安保育士に落とされずにすんだ。」 「兄貴、黙っててすんませんでした。」 「いいってよ。・・・感づいてはいたよ。・・・お前の言う、寝取られ・・・おれも、満更じゃぁねぇしな。」 笑みを浮かべた兄貴分の男は、東山ではない子分の男衆に声をかける。仕置きを始める時間が来たようだった。 「色男・・・これで、結婚もできないな・・・エンコ飛ばすより効き目があんだろうよ。・・・女との契り、むすべねぇけど悪く思うな。子分共の示しもある。親分が寝取られ趣味じゃ・・・。」 「パイプカットは・・・直にします。」 東山は兄貴分にそういうと、２４０ｍｍの出刃包丁をまな板に突き当ててサイドブレーキを戻すように悟の薬指にそれを押し当てた。 絶命しそうなほどの声は、暗い慰安保育所に響き渡り、まな板から転がり落ちた契りの証を備えるはずの薬指は笙子のロッカーの前に転がっていった。 「いつ聞いても嫌な声だ。」 「えぇ、される側には回りたくないっす。」 「ここの月収益・・・どれくらいある？」 「え、・・・上納の・・・３ヶ月分です。」 「湯女をいれて・・・増やすことは、できねぇか。」 「やっぱり、素人じゃねぇと・・意味が。」 「そんな時代だな。・・・風俗も、・・・ＡＶも・・・ほんものがいいみてぇだ。」 「はい・・・だから、この男が。」 「もう必要ないんだろ。」 「え、えぇ・・・まぁ。」 そう東山が言うと、転がった指をつまみ、笙子のロッカーに放り投げた。身もだえ気を失いそうな悟は、止血程度の処置を施されただけで、濃い目にコカをいれたエナジードリンクを含まされると、意識を飛ばされた。 |
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| 2014.8.11掲載 |
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