香菜子はその夜のことが忘れられなかった。
　酔って帰ったのではっきりした記憶はなかったが、たぶんアパートの玄関のカギを掛け忘れたのだろう。深夜に目を覚ますと、その男はすでに香菜子の部屋に侵入していた。
　それだけでなく、気がついた時には、香菜子の着ていたＴシャツは切り刻まれ、パンティまで剥がされていて、香菜子は全裸の状態でその男に刃物を突きつけられながら、強姦されたのだった。

　男が逃げた後、香菜子は警察に届けることを考えた。しかし、高校の教師という立場上、そんな強姦事件の被害者であることが世間に知れたら、どんな目にあうか知れなかった。
　香菜子はどうしても泣き寝入りの道を選ばざるを得なかった。
　しかし、しばらくすると、もう一つ別の意味で、香菜子はその夜のことを思い出すようになった。

　もちろん、強姦された時に、香菜子は処女というわけではなかった。
　香菜子は福島の女子高校を卒業して東京の大学に進学したのだが、高校時代は恋愛などとはまったく縁のない、今思えばかなり子供じみた生活だった。そして、大学に入って初めて出来た恋人が大島謙二という男だった。
　香菜子の処女を破ったのはその謙二だった。
　付き合いだして二ヶ月ぐらいたった頃、彼のアパートで香菜子は体を求められた。
　彼女はあまり気が進まなかったが、男に求められるままに抱かれた。
　もちろん香菜子にもセックスへの期待がまったくなかったわけではないが、その初めてのセックスは痛いばかりで、快感を覚えるまでには至らなかった。

　一度体を与えると、男は会うたびにそれを求めるようになった。香菜子はそれから何度も謙二とセックスを重ねるようになった。
　謙二は香菜子の豊満な乳房を特に喜んだ。セックスのたびごとにそれは激しく揉まれ、強く吸われた。そして、香菜子も、次第に男に乳房を愛撫されたり、女の器の敏感な芯の部分をいじられたりすることに、少しは悦びを感じるようにはなったが、大学の女友達が話してくれるような、「気を失う」ような性の快感を感じることはなかった。

それから一度、謙二がほかの女に夢中になり、香菜子の前から去った時期があった。そのころ、香菜子はやけになり、二人の男に次々抱かれたが、これは謙二に対する当てつけのようなもので、性の満足を得るようなものではなかった。
　その後、謙二と再び付き合うようにはなったが、セックスの悦びについては何の変化もなかった。

　ところが、あの夜、香菜子は強姦されているという恐怖の中で、自分の体の奥が妙に疼き、自分の女の器が熱くなるのを初めて体験した。
　それは香奈子にとって信じられないことだった。
「ひょっとしたら、私は異常なのかしら……」
　香菜子はそんな疑問をかすかに感じ、そのことから、ますますあの強姦事件は、人に言えない秘密になった。

　表面上、香菜子の生活はあれから何も変わらなかった。ただ、できるだけ帰りが遅くならないようにして、部屋の戸締まりを慎重にする程度だった。そして、香菜子はあの夜のことを忘れようと努力した。

　それからしばらくたったある日、帰宅した香菜子は、自分のアパートの前の道で、滝原和彦にばったり会った。
　和彦は香菜子が顧問をしているバレー部のキャプテンだった。身長が１８５センチくらいあり、勉強も出来る明るい生徒だ。
「あれっ？　滝原君、どうしたの？」香菜子は声をかけた。
「あっ、立花先生……。先生のアパート、ここでしょ？」
「そうよ、この二階に住んでるの」
　すると、和彦は笑いながら、
「俺の家、すぐこの近所なんだ。ほらあそこの四階」と近くのマンションを指さした。
「えっ？　こんなに近いんだ」香菜子は少し驚いた。
「うん、近いよ。それに、俺の部屋こっち側だから、俺、毎日先生が出かけるところとか見てるんだよ」
「えぇーっ、そうなんだ」
　香菜子はそう答えながらも、そんな和彦の自分に対する興味を、単なる好意以上の、どちらかと言えば、性的な関心を含んだものであると直感的に覚った。しかし、表面上はあくまでもさりげなく、冗談めかして、
「じゃあ、私の家に泥棒とか入ったら、真っ先に滝原君に助けを求めなくっちゃね」と言ったが、和彦は意外に真剣に、こんなふうに答えた。
「一番心配なのは、泥棒よりも……変態みたいな奴じゃないかな？」
　
　それを聞いて香菜子は少しぎょっとした。もしかしたら和彦は、香菜子が強姦された夜ことを何か知っているのではないか、と思ったのである。そこで、
「えっ？　変態って、この辺、そんな事件が起きてるの？」と聞いてみた。
　しかし、和彦は特別のことを知っているというわけではないようだった。
「いや、別に事件とかあるわけじゃないけど、先生、すごい美人だから、誰かにねらわれたりしたら大変だと思って……」そう言うと、少し顔を赤らめて下を向いてしまった。
　
　そう言う和彦こそ、実は香菜子のアパートを毎晩のように盗み見て、淫靡なことを想像している張本人ではないか、という考えが浮かんだが、それは和彦くらいの年齢では当たり前のことでもあり、特別にいやらしいこととは思えなかった。それどころか、香菜子は自分に単なる好意以上の気持ちを持つこの少年のことが、少しかわいらしくさえ思えてきた。
そこで香菜子は、
「じゃあ、私に何かあったら滝原君に守ってもらうから、お願いね」と言って、和彦の背中に軽く手で触れた。
　和彦は、香菜子に触れられると、びくっとして、
「あっ、わかりました。必ず先生のことを守ります」と言った。
　そして、慌てたように自分の家の方に走り去ってしまった。
　それが６月上旬のことだった。

　それからしばらくたった金曜日の夜、外では強い雨が降り続いていた。そのせいで、６月にしては珍しく肌寒いほどの気温だった。
　香菜子は早めに風呂に入り、長袖のパジャマに着替えて、自分の部屋でテレビを見ていた。すると、11時近くなって、玄関のチャイムが鳴り、香菜子は「どきっ」とした。確かあの強姦事件も、金曜日の夜の出来事だった。そこで、彼女は慎重にドアの外の様子をうかがった。しかし、チャイムは一度だけしか鳴らず、廊下は静かだった。

「どなた？」香菜子は小声で言った。すると、廊下からは、やはり小声で、
「先生……、滝原です」という返事が聞こえた。
「えっ？　滝原君？」
　香菜子は少し安心するとともに、来訪者が和彦だったことに驚き、思わずドアを細めに開けてみた。
　廊下には雨でびしょ濡れになった和彦が立っていた。
「どうしたの、滝原君、こんな時間に」香菜子がそう言うと、和彦は、
「実は……、先生に相談したいことがあって……」と大きな体を縮めるようにして言った。
「とにかく、中に入りなさい」香奈子は彼を部屋に上げた。

「滝原君どうしたの、こんな時間に」
　香菜子は和彦の体をバスタオルで拭いてやりながら聞いてみた。
　和彦は顔を赤くして、香菜子にされるままにしていたが、香菜子が彼の腕や首筋をタオルでぬぐっていくにつれて、さらに顔が赤くなっていくようだった。
　そして、香菜子に甘えるように、
「先生、このタオル……、先生の匂いがしますね」と言った。
　そう言ってしまってから、あわてて
「先生、すみません」と言って頭を下げた。

　香菜子は、和彦の突然の訪問に気が動転していて、今まで気にしていなかったが、その言葉を聞いて「はっ」と我に返ると、いくら長袖のパジャマを着ているとはいえ、その下はノーブラで、しかもパジャマの襟元は大きく開いていた。さっき和彦が赤い顔をしたのは、そこから少し胸が見え、香菜子がブラジャーを着けていないことに気づいたせいかもしれなかった。

　香菜子は慌てて和彦から体を離し、パジャマの上から乳房を押さえながら、
「滝原君、こんな時間に、何かあったの？　家の人が心配してるんじゃない？」と言った。
　和彦は、
「いいえ……、今日はバレーボール部の打ち上げがあって、友達の家に泊まることになっているんです」と言った。
　少年は顔を伏せてはいるが、その目線は明らかに、パジャマに包まれた香菜子の肢体に注がれていた。香菜子はその刺すような男の視線を受けることで、体が少し熱くなるような感じがした。

「バレーボール部の打ち上げって、ひょっとしてお酒なんか飲んだんじゃないよね？」
　香菜子は一応、そう聞いてみた。運動部の最後の試合の後、３年生がみんなで宴会を開くと言うことを香菜子もよく知っていた。そして、もちろん、高校生ともなれば、そういう席に酒が入らないわけはなかった。
　
　和彦はすまなそうに目を伏せたが、何も答えなかった。そして、黙ってＴシャツの下にバスタオルを入れて、胸や背中を拭いている。
　その様子を観察すると、Ｇパンの前の部分が明らかに膨らんでいる。
　この少年は香菜子を抱きたくて仕方がなくなっているのだろう。それで、酒の勢いで香菜子の部屋まで訪ねてきたのに違いなかった。

　和彦の肉棒の勃起を意識することで、香菜子も膣の奥がむずむずするような感覚を覚え始めていた。しかし、相手は未成年で、しかも自分が勤める高校の生徒なのだ。女教師の香菜子としては、とうてい抱かれるわけにはいかない。
　香菜子はあわてて話題を変えようとした。

「……ところで、滝原君。さっき私に相談があるって言ってたけど、それ、何かしら」
　和彦は顔を伏せたまま、香菜子の胸のあたりを盗み見て言った。
「実は……、好きな人が出来て……、その人のことで頭がいっぱいで、何も出来なくなってしまったんです」
　香菜子は、和彦が「好きな人」というのが香菜子自身であることを確信していた。そこで、何と答えていいかわからず、しばらく黙っていたが、沈黙が続くことに耐えられなくなり、つい、
「じゃあ、その人に告白しちゃえばいいじゃない」と言ってしまった。
「でも……、それ、年上の人なんです」
「年上だって、関係ないわよ。一度、告白して、すっきりした方がいいわ。それに……、ひょっとしたら、その人とうまくいって、恋人になれるかもしれないじゃない」
　香菜子は、冗談めかしてそう言いながら、心の中で『男に抱かれたい』という欲望が次第に深くなっていくのを自覚した。

　和彦の方も、香菜子と会話を交わすうちに次第に気持ちが高ぶっていくようだった。少し息が荒くなって、ついに香菜子の方に近寄りながら、
「先生、実は……俺、先生のことが好きなんです」と一気に言った。
　香菜子は、戸惑ったふりをして、
「あら、私？　えっ、好きな人って、私のことなの？」と言い、自分を指さしながら、和彦の方に少し体を寄せた。そして、左肩を和彦のすぐ近くに突き出すようにして、さらにわざと体を傾けることでパジャマの襟を開き、豊満な乳房の谷間が和彦にも見えるようにした。

　若い和彦がこの挑発に耐えられるわけもなかった。この瞬間、和彦の自制心が弾け、和彦は香奈子の期待通り、野獣のように香菜子に襲いかかった。
　和彦は両手で香菜子の肩を掴むと、畳に押し倒し、「先生、好きです」と言ってのしかかってきた。男の力は強く、香菜子はたちまち組み伏せられた。
　和彦は「先生！、先生！」と言いながら、香菜子の下半身を自分の両足で挟み、左手で肩を畳に押しつけて動けないようにしておいて、右手でパジャマのボタンを外した。
　たちまちパジャマの前が開けられ、香菜子の乳房が露わになった。
　香菜子は、「ああっ、だめっ」と言いながらも、早く乳房を吸われたくてしかたなくなってきた。

　香菜子の望みはすぐに叶えられた。香菜子の乳房は、和彦に手荒く掴まれ、激しく揉まれた。そして、和彦は乳房にむしゃぶりついた。その歯が痛いほど乳首の周辺に当たった。香菜子は悦びの声を立てそうになるのを必死でこらえて、「だめよ、だめ」と言いながら、和彦の肩を押さえるふりをし続けた。
　しかし、香菜子はたちまち激しく欲情しはじめていた。膣の奥が熱くなり、そこから愛液がほとばしり出るのをはっきりと自覚した。
和彦の方は、香菜子の大きな乳房を目の当たりにし、それを口に含むと、もうそれだけに夢中になって、「ああっ、先生の胸、大きい……、すごい……」とつぶやきながら、必死で乳房を貪っている。今は女の乳房だけしか見えなくなって、先に進むことを忘れてしまったようだ。
もう香菜子の女の器は十分に熟れ、男の愛撫を受けたくてしかたなくなっている。香菜子は和彦が次の段階に進むことを密かに望んだ。
　そこで、「滝原君、もうだめ……、これ以上はだめ。もう……、これ以上、私の下着を脱がしたりは、絶対にしないで」と、繰り返し和彦の耳元でささやいた。

　和彦はそれを聞くと、はっとしたようで、右手を香菜子の下半身に伸ばすと、パジャマのズボンを脱がそうとした。
　香菜子はそれを避けるふりをして、わざと体をひねり、尻を浮かせてパジャマを下げやすいようにした。和彦は女のズボンが膝まで下がると、一度乳房を口に含むのをやめ、女の下半身の方に移動して、今度はパンティを下げようとした。
　香菜子の期待が高まった。香菜子は「今、自分は、男に無理矢理下着を脱がされ、犯されようとしている」という意識で恍惚になりながら、自分の性器が剥き出しにされ、男の目にさらされる瞬間を全身で感じようとした。

　香菜子の小さなピンクのパンティは一気に膝まで下ろされ、そして、すぐに体から外された。その瞬間、香菜子は体を仰け反らせ、思わず「あっ、……ああっ」という声を発してしまった。今、女教師の香菜子を陵辱しようとしているのは、未成年の、しかも教え子なのだという倒錯した意識が、香菜子をますます熱くさせた。香菜子は完全に発情しているといってよかった。
　しかし、この場でこれ以上の悦びの声を上げるわけにはいかなかった。
　香菜子は、「滝原君、だめ、だめよ」と言いながら、和彦の下から逃れない程度に抵抗の素振りをした。

和彦の方は、たぶん初めて女の陰部を目の当たりにしたことで、興奮がいっそう高まったようだった。「先生！、先生！」という声が大きくなったかと思うと、香菜子の股が乱暴に広げられ、その一番の秘密の部分が大きく開かれた。
「ああっ、先生……、とても……きれいです」和彦は香菜子の股間に顔を埋め、まずは陰毛の生え際あたりをじっくりと見ている。思った通り、和彦は、女の一番秘密の部分の構造には、あまり詳しくはないようだった。
「ダメ！　見ないで！　お願い、見ないで！　そこから……下は」その言葉とは裏腹に、香菜子は体をもぞもぞと動かして、陰毛の下の、本当は一番見てほしい部分が露出するようにした。
　香菜子は、「濡れているのを見られてはいけない」という意識はどこかに持ちながらも、男に性器を見られているという悦びによって、自分の秘所にますます愛液が溢れてくるのを覚えた。たぶん、今、そこには、女の蜜が、雫となってこぼれるほどにわき出しているはずだった。

　和彦は「先生、すごい……、すごい……」と言いながら、指で香菜子の性器をいじりはじめた。それは、愛撫とはほど遠いものだった。
　しかし、香菜子はその乱暴な指の動きだけでも、「うぅっ」という悦びの声をこらえるのに苦労した。
　和彦の指は女の大陰唇を割り、クレバスの中に入ってきた。
「ああっ、ここですね……、ここなんですね……」
　ついに和彦は女の膣の入り口を見つけ、そこを乱暴に指でいじった。
　そして、我慢が出来なくなったというように、香菜子から一度体を離し、自分のＧパンを下ろして、肉棒を取り出す気配がした。
　若い和彦には、駆け引きとかテクニックとかいうものはなかった。自分の欲望だけが全てで、今は目の前の女の性器に、自分のいきり立った肉棒をぶち込むことしか頭にないようだった。

　香菜子の欲望も深くなっていた。
　ただ、ここまで進みながらも、香菜子は不安に感じる点もあった。それは、和彦が避妊具を持っているか、ということだった。そこで、香菜子は、和彦が挿入する前に必死で言った。
「待って、滝原君、ちょっと待って」香菜子は、本気で和彦の体を押さえた。
「滝原君、分かってるの？　そんなことしたら、私、妊娠してしまうのよ。それでもいいの？」
　これは嘘ではなかった。その日は、本当に危険日だった。
　和彦は「えっ？」と言ったが、明らかに動揺している様子が感じられた。
「本当ですか、先生？　一回で、そんな簡単に妊娠しちゃうんですか？」
「当たり前じゃない」
「……だったら、俺、入れた後で、最後には先生の胸に出すよ。それならいいだろ。ビデオなんかでは、みんなそうしてるし」
　どうやら和彦の性の知識はアダルトビデオが中心のようだった。

　香菜子も以前、危険日に謙二と交わった時、膣外射精をしてもらった経験があり、それを知らないわけではなかったが、まだ若い和彦にそんなことが出来るとは思えなかった。
　おそらく和彦は、まだ女を知らないはずで、もし香菜子の熱い膣に、今にもはち切れそうなこの肉棒を挿入したら、それだけでもう射精してしまうことが予想できた。
　だから、どんなに香菜子がそれを望んでいるとしても、今、ここで挿入を許してしまうのは危険すぎた。香菜子は必死で欲望を抑えた。
　
「滝原君……、だめだめ、こんなことはいけないことなの」
　しかし、若い欲望がはち切れそうになっている和彦の方も、必死だった。
「でも、先生……、俺、本当に我慢できません。このままだと、気が変になりそうです」
　香菜子は、それは自分も同じだと言いたかった。しかし、その言葉を無理に押さえて、和彦に言った。
「……じゃあ、君がもうこんなことしないと約束するなら、今日は特別に、先生が手で君の欲望を処理してあげる。それで我慢しなさい」
「えっ？　手で？」和彦の不満そうな声を無視して、香菜子は体を起こして、両手で彼の肉棒を握った。

　さっきちらっと見た時から、香菜子はその大きさが気になっていたのだが、実際に手に取ってみると、和彦の肉棒は予想以上の大きさだった。
　まだ若いのに、肉棒の先端の皮は完全にまくれあがり、亀頭が露出している。そして、香菜子が驚いたのはその亀頭の大きさと、棒の太さだった。

　香菜子は今までに男と交わった時、肉棒を口に含んだこともあり、男の肉棒の大きさは知っているつもりではあったのだが、こんな大きく勃起したものを見るのは初めてだった。　それを見ただけで、また、香菜子は自分の膣の奥から、しびれるような感覚が突き上げて来るのを意識した。しかし、香菜子は、その「入れて欲しい！　自分の膣の奥を突いて欲しい！」という欲望をかろうじて抑え、あわてて和彦の肉棒を手でしごいた。

　和彦は、肉棒を反り返し、目をつぶって「あっ、先生……、ああっ！」と言った。
　肉棒はしごくとますます太くなるような気がした。
　和彦は、さらに「先生、口で……、最後は、口でして！」と言った。香菜子は、内心では「やってもいいかな」とは思ったが、
「滝原君、何言ってるの！　だめに決まってるじゃない。これだって特別なのよ」と言って、さらに激しく手を動かした。

　和彦はすぐに限界を迎えた。
「……先生、出る！　出ちゃう！」と言いながら、体をねじって、そのまま畳の上に男の精を爆発させた。その一部は香菜子の太腿から、足首の方までも飛び散った。
　香菜子はあわててティッシュであちこちを拭いた。

　射精をしてしまうと、和彦は急におとなしくなった。ごそごそとブリーフとＧパンをはき、大きな体を折り曲げるようにして正座している。
　香菜子は、自分も慌ててパジャマを身にまとうと、
「滝原君、もうこれで帰りなさい。今日のことは忘れてあげるわ。だからあなたも全部忘れなさい」と、強く言った。
　和彦は無言のまま立ち上がり、香菜子に一礼すると、逃げ出すように部屋を出て行った。

　和彦が帰った後、香菜子はぬるめのシャワーで体の火照りを静めようとした。
　さっき和彦に吸われた乳房は、まだ乳首が立ったままで、和彦の指で乱暴にいじられたクレバスには、まだその強い感触が残っていた。女教師の成熟した体は、シャワーの湯を当てるたびに疼いて仕方がなかった。
　香菜子は、今、自分が浴びているのが、男に十分満足させられた後のシャワーであったらどれほどよかったかと想像した。そして、あの時、やっぱり一度は和彦に挿入を許し、膣外射精を教え込むべきだっただろうか、と少し後悔した。
　そんなことを考えていると、香菜子の体の火照りはなかなかおさまらなかった。香菜子は、自分の性欲を持てあまし、中途半端な気持ちのまま、しかたなく寝室に戻った。

　部屋には、まだ和彦の男の精の匂いが強く残っていた。その匂いを意識しながら寝た香菜子は、その夜、淫らな夢を何度も見た。夢の中で香菜子は、何人もの男に繰り返し繰り返し強姦された。
　ただ、今の香菜子にとって、それはもう悪夢とはいえなかった。実際、朝になると香菜子のパンティは、香菜子自身のこぼした大量の蜜で、じっとりと濡れていた。
　
　次の日も冷たい雨が降っていた。
　香菜子は朝早くから起きて、シャワーを浴びた。何かが起こりそうな予感が香菜子にはあった。そして、それは予感と言うより願望に近かった。
　そんな香菜子の思いが通じたのか、昼近くに玄関のチャイムが鳴った。香菜子は恋人を迎える時のように、どきどきしながら部屋のドアを開けた。
　外に立っていたのは、思っていたとおり和彦だった。

　和彦は、「先生……」とつぶやいただけで、下を向いて動かなかった。
　香菜子は、半分は自分に言い訳するように、
「滝原君、そんなところに立ってるとこ誰かに見られたら、変に思われるじゃない。とにかく入りなさい」と言って、和彦を部屋に入れた。　

　そうなることを予想していたとはいえ、昨日のこともあり、二人は気まずい雰囲気で向き合った。最初に沈黙を破ったのは和彦だった。
「先生……、昨日はすみませんでした」そう言って、また頭を下げた。
「滝原君、昨日は酔ってたんでしょ？　だからあんなことしたのよね。でも、昨日も言ったけど、もう全部忘れなさい。先生も忘れてあげるから」
　香菜子は優しく言った。

　和彦はその優しい言葉で、少し緊張が解けたようだった。
「……俺、昨日、先生を妊娠させそうになったんですね」
「そうよ、だから、もうあんなことしちゃダメよ」
　香菜子はそう言ったが、その言葉とは裏腹に、もう体の奥で、昨日の疼きがよみがえるのを意識した。
　和彦の方も、昨日の興奮がまだ続いているようだった。熱い眼で香菜子の肢体を見つめると、Ｇパンのポケットから箱を取り出しながらいった。
「先生、俺、コンドーム買ってきたんです」
　香菜子はその直接的な行動に驚きながらも、思わず、あの和彦の大きな肉棒が、自分の膣の中に打ち込まれる様子を思い描いてしまった。すぐに香菜子の体は反応した。香菜子はまたしても、自分の膣の奥が溶け出して、とろとろの蜜に変化していくかのような感覚を自覚しながらも、表面上は困った顔をして言った。
「……滝原君、昨日のこと、誤解しちゃだめよ。私は君に無理矢理犯されそうになったのよ。あれは犯罪なのよ」
「だって……、先生。先生は、俺を手で……いかせてくれたじゃないか」
「私は自分の身を守るために、しかたなくあんなことをしたのよ。だから、避妊すればそれでいい、ってことじゃないの」
　香菜子は、和彦の気持ちを萎えさせないためにも、できるだけ優しい口調でそう言った。

「わかってます。俺が悪いことはわかってます。それに、先生に迷惑をかけていることもわかってます。昨日、先生があんなに優しくしてくれて、俺を許してくれたのに、またこんなことを言うのは、虫が良すぎるということだってわかってます。でも……」
そう言って、和彦は正座して、頭を畳の上にすりつけるようにして、
「先生、お願いします、俺の……最初の人になってください」と言った。
「俺は、先生のことが好きで好きで、もうとても我慢できないくらいなんです。家で先生のことを考えていると、気が狂いそうになるんです。そうなると、もう我慢できなくなって……」
　
　香菜子は何も言えなくなった。それは、これ以上自分の気持ちに嘘がつけなくなるほどに性欲が高まったためと、そんな自分が、女教師として失格なのではないかという相反する二つの気持ちが生じたためだった。
　香菜子は、和彦に背を向けるようにうつむいた。
　　
　その瞬間、和彦は香菜子の背中に抱きついてきた。
　香菜子は「あっ」と言って、俯せに倒れた。
「だめ、だめ」香菜子は全身を震わせながら、和彦から逃れようと少し前に進んだ。そのために、よけい畳の上に押さえつけられることになった。

　和彦は香菜子にのしかかってきた。全部が昨日と同じようだった。ただ、昨日と違うのは、香菜子が着ているのがパジャマではないということだった。
　香菜子は朝、今日の服を選ぶ時に、和彦に犯されるということを意識していないわけではなかった。そのために、目の粗い、ブラジャーが透けて見えるサマーニットのシャツと、男が脱がせやすい、ゆったりしたフレアスカートを選んだ。もちろん、スカートの下はパンティだけで、ガードルやパンティストッキングはつけていなかった。

　和彦は香菜子の背中に体を押し当て、動けないようにしておいて、両手で香菜子のシャツをまくり上げた。たちまち、シャツは首のあたりまで上げられた。
　香菜子のその日のブラジャーは、少し小さめのカップで、フロントホックのものだった。それは、少しでも相手が外しやすいようにという意味だったのだが、和彦は香菜子の背中で、ブラジャーのホックを探している。
香菜子は、もう男に乳房を吸われたくなっていたので、じりじりした。だから、和彦に気づかれないように、自分でブラジャーのフロントホックを外し、「あっ」と声を出して偶然外れたようなふりをしてみせた。

　和彦は、突然ブラジャーが外れたのを不思議にも思わぬようで、両手を香菜子の脇の下から入れて、乳房を掴んできた。そして、その大振りの乳房の感触を味わっていたが、じきに我慢しきれなくなったようで、香菜子の体を半分仰向けにして、乳首に食らいついてきた。昨日の経験があるからか、和彦は激しく興奮しながらも、少しは女を悦ばそうとする余裕があるようで、香菜子の乳首を口に含むと、舌を使って愛撫してくる。
「だめよっ、だめっ、ああっっ……、」香菜子は和彦の舌で乳首が転がされることで、それが完全に立っていることを知った。

「ああっ、先生！、先生！　先生が欲しい！」
　そう言いながら、和彦は手をスカートに侵入させた。
　香菜子は、自分の少し汗ばんだ太腿を、和彦の大きな手が、女の一番大切な部分に向けて這い上ってくる感覚を十分に味わった。
　それは、ぞくぞくするような快感だった。
　今まで、ほかの男にも何度もそんな愛撫をされながらも、一度も感じていなかった性の悦びだった。
「（今、手が膝のあたりを通った）あっ……、（太腿の内側に滑り込んだ）ああっ……、（足の付け根のところ）あっ、あぁっ……、（パンティの中の、あっ、もう少し下）んぁあっっ……、（ああっ、そこ！）そこっ、うぅっ、い、いやっ」
　和彦の指が香菜子のパンティの中に潜り込んで、クレバスの割れ目を何度も上下した。
香菜子は「いっ、いやっ、そこ、そこは、いや」と言いながらも、膝を立てて自分の陰部が畳から浮き上がるようにして、和彦の指の動きを楽にしてやった。

　しかし、和彦はすぐに指だけでは満足できなくなったようだった。
　和彦は香菜子の下半身にすがりつくようにして、両手でスカートを下ろした。そしてすぐにパンティに手をかけた。
「だ、だめっ……、滝原君、あっ、あっ滝原君……、だめよ」
　そう言って香菜子は体を少し横向きにした。和彦は、今度は香菜子の尻の側からパンティを剥いだ。香菜子の尻が露出した。
　和彦は相変わらず「先生！　先生！」と呻くように言って、香菜子の体中をなで回した。ついに、パンティは完全に外され、和彦は自分の体を、香菜子の両足の間に割り込ませてきた。香菜子の股が広げられ、その女の秘密の部分が露出した。
　
和彦は香菜子の陰部に顔を埋め、今度は舌でクレバスを割った。
「あっ、先生……、これ……、これがクリトリスですか？」
　和彦の舌が香菜子の女の芯を探り当てた。香菜子は悦びの声を出すのをこらえるために、
「しっ、知らない……、そんな……、あっ……、だ、だめっ、舐めないで！」と、言葉を発したが、それが逆に和彦の欲望を刺激したようだった。
　和彦は、「……ああっ、先生、これなんですね」と言いながら、香菜子の女の芯を舌で刺激し続けた。
　若い和彦には、香菜子の乳房と秘所の両方を同時に攻めるというような余裕はなかった。今は香菜子の女の芯を舐めることにだけ集中している。しかし、香菜子はもう本当にその愛撫に耐えられなくなってしまっていた。

「いっ、いやよ、滝原君、そんなことしては、だめ！　ああっ、本当にだめよっ！」
　香菜子は体をくねらせて、本気で和彦の舌の攻撃から逃れようとした。和彦も一度、香菜子の体から手を放し、さっき取り出したコンドームの箱を乱暴に開けて、一個の包みを取り出した。
「ああっ、先生、俺……もう、我慢できません。先生が欲しい」
　和彦は、Ｇパンを脱ぎ、コンドームを装着しはじめた。

　香菜子は、手で陰部と乳房を押さえて、ゆっくりと体を起こし、部屋の隅に逃れるふりをした。そして、荒い息を整えながら、和彦がブリーフから肉棒を取り出し、コンドームを付けるのを盗み見た。肉棒はすでに極限まで膨張していて、和彦はコンドームを付けるのに手間取った。
　香菜子は、それが挿入されるのを意識しただけで、また愛液が溢れるのを自覚した。

　やっとコンドームを付け終わった和彦は、香菜子の方にすり寄ってきた。
　香菜子は、それを見ながら、興奮がより高まって来る瞬間を味わっていた。
「（滝原君の股間で、コンドームを付けた肉棒が揺れているのが見える）あっ、こ、来ないで……、（滝原君が私にしがみついた）あっ、だ、だめ、だめっ……」
　和彦の体が、完全に香菜子の上に覆い被さる。
「（ああっ、私の足がまた広げられ、その間に彼が体を入れる）ああっ、お、お願い、もうやめて……、（肉棒の先端が熱い！　今、私の股間に当てられた）ぅうっ、だ、だめ、だめ……、（そこじゃない、滝原君、もう少し、もう少し下……、下よ！）んんっ、いや、いや……、（ああっ、そっ、そこ！　そこよ！）あっ、あっ、あぁっ、（入る！　入る！）」　
　和彦の肉棒が、今、香菜子の膣を貫いた。
　香菜子は思わず「いっ、いい……いや！　いや！」という声を出してしまったが、それ以上の悦びの声を出すのを必死にこらえようとした。
　この間の夜に、強姦された時もそう感じたのだが、香菜子はこの何週間かの間に、自分の性感がどんどん強まるのを自覚していた。
　この日も、挿入されただけで、もう我慢できないくらいの疼きを感じていた。
和彦の肉棒は香菜子の膣の中で、さっきよりも何倍にも膨れあがったような存在感を香菜子にもたらした。香菜子は自分の唇を噛んで、声を立てるのをこらえ続けた。

　和彦は香菜子の中で何度か肉棒をしごいただけで、
「あっ、先生、すごくいい！　もう出ちゃいそう！」と叫んだ。
　香菜子は夢中になって、思わず、
「だめよ、まだだめ！」と言ってしまってから、あわてて、
「だめ、……、これ以上はだめ」と言って、腰を引いて肉棒を抜くような素振りをした。
　和彦は「あっ、先生、先生」と言いながら、あわてて腰を押しつけてくる。
　その動作は、香菜子が腰を使うのと同じような効果をもたらした。何度かそれを繰り返すと、香菜子の方も快感が増したが、若い和彦は射精の衝動をこらえることは出来なくなった。そして、ついに、
「あっ、先生、出る、出ちゃう！」
　と言って腰の動きを止めた。どうやら射精したようだった。

　射精が終わった後も、和彦はなかなか肉棒を抜かなかった。
　香菜子の上に覆い被さったまま、「はぁ、はぁ」と荒い息をしていた。
　香菜子は、これから登り詰めようとしていただけに、少し物足りなさを感じながらも、まだ膣の中に入ったままになっている肉棒の余韻に浸っていた。

　しばらくして、和彦はやっとのことで起きあがり、香菜子の体から肉棒を抜くと、付けていたコンドームを取り去った。それを見て香菜子は驚いた。一度放出した後なのに、若い和彦の肉棒は、まったくその大きさを変えてはいなかった。
香菜子は、自分の欲情がまだ持続しているのをはっきりと意識した。
　そして、それは快感の高まりの途中で置き去りにされてしまったために、前にも増して激しいものになっているのだった。

　香菜子は、体を起こして、和彦の手を取って言った。
「滝原君、今日のことは誰にも言わないでね。私に約束して」
香菜子の下半身は、まだ裸のままだった。
「こんなふうに強姦されたことが誰かにわかったら、私は大変なことになるけれど、君だってただではすまないわよ。だから、絶対に秘密にする、って約束して」

「先生、俺、約束します」と和彦は言い、そして、香菜子の期待通り、彼女の体を抱きしめた。香菜子は、「ああっ、滝原君」と言いながら男の耳元に熱い息を吹きかけた。
　和彦は、「先生、……先生が俺の初めての女の人になったんだ」と言いながら、香菜子の唇を求めてきた。
　香菜子は自分も手を男の体の後ろに回し、恋人に唇を与えるように和彦を受け入れた。

　和彦の息がまた荒くなった。香菜子は両手でやさしく男の背中をなで回した。
　和彦も香菜子の乳房を手のひらで愛撫しはじめた。
そうしながら、和彦は何度も「先生、好きです……、先生」と繰り返した。
　香菜子の欲情は深くなった。もう、男が欲しくてたまらない状態になっていた。

　そこで香菜子は少し笑いながら和彦に言った。
「でも、もう今日は、私、滝原君のこと警戒しなくていいのね？　そうでしょ？」
　和彦は意味がわからず、
「えっ？　先生、何でですか？」と聞き返してきた。
「だって、男の人って、一度終わってしまうと、もう当分は何もできなくなるんでしょ？　さっき、滝原君、終わってしまったみたいだから、もう、今日は私に、これ以上変なことをしようとはしないわよね？」
　和彦はむきになって、「そんなことありません。いつも俺は、家で先生のことを考えると、二度でも三度でも……」
「えっ？　二度でも三度でも、どうなるの？」

　和彦は答えるかわりに、体を少し離して、自分の下半身を香菜子に見えるようにした。そして、「ほらっ」と既に勃起した肉棒を突きだした。
「先生さえ、許してくれるなら、俺は何度でもできるんです」
　香菜子は、もちろんそれを知らないわけではなかったが、わざと驚いて見せた。
「えっ？　うそ！」

「先生も、本当はしたいんでしょ？　さっきから先生、『いや』って言いながら、ホントは全然いやがっていないみたい」
　和彦の言葉に、香菜子はどきっとした。
「……そんなことないわ、私……、無理矢理……君に……」
　しかし和彦は、香菜子の弁解を聞きたいわけではないようだった。
「先生、ああっ、先生！」と言って、再び香菜子を押し倒した。

　香菜子はたちまち和彦に抱きしめられ、目をつぶって高まってくる性欲に身をゆだねた。
　和彦はもう一度乳房を口に含んだ。そして、愛撫の邪魔になるニットのシャツを脱がそうとした。今は、香菜子はためらいもなく、シャツを脱がすのを手助けした。
　体にまとわりついていたブラジャーも取り去られ、ついに香菜子は全裸になって、教え子の少年の愛撫を受けることになった。

　豊満な乳房を味わい尽くした和彦は、次に香菜子の下半身に顔を埋めた。
　一度女を知った和彦には、男としての余裕が生まれていた。
　和彦は、さっきよりも入念に、女の一番大切な部分を、唇と舌で探索した。

「これ、俺の唾じゃないですよね。ああっ、先生、すごい！　先生、こんなに濡れてます」
「ああっ、見ないで、お願い」香菜子はそう言いながら、見られることでますます濡れるのがはっきりとわかった。そして、和彦の舌が、また女の芯に当てられた。
「先生……、さっき俺が、先生のクリトリス舐めると、先生、震えてました」
　そう言いながら、和彦は丁寧に舌を使った。
「ああぁっ、そ、それ……、いぃっ、いぃっ、いや」香菜子は恥ずかしさと快感で、また身をよじった。
　今度は和彦は、香菜子の女の芯を、指で乱暴にこねくり回した。
　香菜子は思わず「あっ、あぁっ！」とひときわ大きな声を上げたが、あわてて、
「……い、痛い！　滝原君、指は痛い！　指はダメ！」
　と言った。しかし、もう、自分の女の悦びを和彦に隠せなくなっていると思った。
　和彦は、やはり香菜子の悦びを察知しているようで、
「えっ？　指はダメなんですね？　口ならいいんですね？」
　と言って、舌を這わせてきた。
「ああぁっ、滝原君……、そんな……、そんなに、私をいじめないで」
　香菜子は快感に浸りながら、和彦に甘えるように言った。

「ああっ、俺だってもう先生に入れたいよ、でも……」
　和彦は自分の肉棒を手に持った。
「もう一息なんだ」
　香菜子にしてみれば、それはもう十分すぎるほどたくましく復活しているように見えるのだが、本人にはまだ不十分なのかもしれなかった。

　香菜子は焦れた。もう男の肉棒の挿入と、激しい抽送を受けたかった。
　今、香菜子は押し寄せてくる欲望で、完全に女教師の自制をかなぐり捨てた。
　黙ったまま、香菜子は和彦の肉棒に食らいついた。

　和彦は驚いたようだった。しかし、同時に激しく喜んで、
「あっ、先生、先生！」と言い、香菜子のフェラチオを受けながら、自分は香菜子の乳房を激しく揉んだ。

　一度射精した和彦の肉棒は、男の精の匂いに包まれていた。その匂いに刺激されながら、香菜子はすごい勢いで和彦の亀頭を口に含み、舌と唇の奉仕をした。
　和彦はたちまち高まった。
「先生、ああっ、出ちゃいそう！」
　それを聞いて、香菜子は慌ててフェラチオを中断した。
「えっ？　出ちゃう？」
　そう聞き返すと、和彦は、
「出すなら、先生の、……ええと、……先生のオ××コの中の方がいい」と言った。
　香菜子は、まじめそうな和彦の口から、そんな淫らな言葉が出るのに驚いたが、それを聞くことで自分の性欲がより強まるのを知った。それに、口よりは膣の中で出して欲しいというのにも同感だった。

　二人はまた抱き合い、激しく口を吸い合った。香菜子は既に自分の欲望を和彦に隠すことを完全にやめていた。
「滝原君……、抱いて……、私を抱いて！　そして、君のチ×ポを私にちょうだい！」
　そう和彦の耳元でささやくと、和彦は「うぉー」というような低い叫びを上げて、香菜子を抱きしめた。
　そして、香菜子を畳に押し倒しておいて、今度は手早くコンドームを付け、香菜子にまたがった。と同時に、いきなり肉棒を挿入してきた。

　肉棒は香菜子の膣の奥まで一気に突き立てられた。そして、一度放出をすませた肉棒は、今度は容易には射精までは登り詰めないようだった。
「ああっ、先生、いいです、いいです、とても」
　和彦は今まで感じたことのないほどの性感で恍惚となりながら、目をつぶって肉棒を香菜子の中で動かしてはいるのだが、腰を使い方は十分ではなく、その肉棒の動きは今の香菜子を満足させるものではなかった。
「滝原君、滝原君、お願い、お願いだから……」
　そう言ってしまってから、香菜子は今の自分の欲求を、和彦にどう伝えようか、戸惑った。
『もっと激しく突いて』『私をめちゃくちゃにして』と言いたい、そして、『犯して！　私を強姦するように淫らに、乱暴に扱って！』とまで言ってしまいたい自分に気がつき、怖くなりもした。

　しかし、抽送を続けるうちに、和彦の動きにはリズムが出てきた。香菜子はそれに合わせて迎え腰を使った。
　和彦はまた「うぉー」という声を出した。だが、今度は「出ちゃう！」とは言わず、必死でこらえている。
　そして、そのまま抽送を続けながら、
「ああっ、先生をいかせたい……、いかせてあげたい。どうすればいいの？」と言った。
　香菜子は、思わず、
「は、早く動いて！」と言ってしまった。
　和彦はそれを聞くと、一度動きを中断して、自分の体を起こし、手を香菜子の体の腰に当てて、膝を進めた。
　そして、さっきよりも早く、激しく抽送を再開した。

　たちまち、膣と肉棒の摩擦が高まった。香菜子も小刻みに腰を使ううちに頂点が訪れたようだった。
「ああぁっ、ねっ、滝原君、それ……、すごい！　あっ、ぅあぁっ、い、ぃ、ぃ……、」
　和彦は完全に射精のぎりぎりのところまで来ているようだった。
「ああっ、いくよ、先生……、もう、俺……」
「ぃ、いいわ……、いって！　滝原君、私もいく！　ぃ、ぃ、いく！」
　和彦は「うぉー！」と吠え、香菜子は「いく！」と叫びながら、二人はともに頂点の快感を味わった。
　香菜子はもう自分がどんなことをやっているのか、わからなくなっていた。
　女教師は、今は完全に自分の表面を包むからを脱ぎ去り、一人の淫らな女となって、教え子と一緒に性の欲望の海に漂っていた。
　
　二人は昼食を食べることもしないで、ずっと裸で抱き合った。
　香菜子は自分の布団を部屋に敷いて、それに二人でくるまって、ひたすらお互いの欲望を満たしあった。
　若い和彦は、香菜子が望むと、何度でも肉棒を硬くした。香菜子も、男の精の匂いに包まれたそれを繰り返し口に含み、和彦が早く回復出来るようにした。
　和彦は合わせて五度、精を放った。その後はさすがに、勃起はするものの射精までには至らなくなったようだが、それでもその肉棒の硬さと大きさは、最初と変わらず、香菜子はそれを挿入されることで、何度も登り詰めることが出来た。
　最後には和彦も香菜子も疲れ切って、裸で抱き合ったまま少し眠ったりもした。

和彦が香菜子の部屋から帰ったのは、五時を過ぎてからだった。
　香菜子はシャワーを浴びて、ようやく服を着た。
　悪いことをした、という自覚はなかった。女教師の香菜子は、今は一人の女として、満ち足りた気分になっていた。
　その夜、香菜子はオナニーをしたくなっている自分に気がついた。
　昼間、あれほど何度もいかされたのに、まだ、体は快感を求めているのだった。
　香菜子は自分の性欲が完全に変化したことを知った。自分は、すればするほど、またしたくなるタイプの女なのだ、とも思った。
　そう思いながら、香菜子の右手は自分の秘所に伸び、左手は自分の乳房を下から揉みあげるように動いた。
　「（ここ……、ここを、こうされたいの）あっ、ああっ、うぅ〜ん」
　香菜子はなかなか眠れなかった。

　次の週の水曜日、香菜子が学校から自分のアパートに戻ってくると、郵便受けに中型の封筒が入っていた。宛名も、差出人も見あたらないが、よく見ると下に「立花香菜子先生の性教育講座　その１」と書いてある。
　香菜子は「はっ」として、慌てて部屋に入り、封筒を開けてみた。
　中からは一枚のＣＤが出てきた。
　震える手でそれをプレーヤーにセットして、再生すると、聞こえてきたのはどうやらあの日の香菜子自身と和彦の声のようだった。

　まず、「先生、好きです」という和彦の声に続き、争うような音が続いた後、
「先生！、先生！」と和彦が言うと、次に、
「ああっ、だめっ」という香菜子の声が聞こえる。次は激しい和彦の息づかい。そして、
「ああっ、先生の胸、大きい……、すごい……」という和彦の声。
「滝原君、もうだめ……、これ以上はだめ。もう……、これ以上、私の下着を脱がしたりは、絶対にしないで」という香菜子の声も、かすかだがはっきりと聞き取れる。
　香菜子は全身が熱くなって、それ以上聞き続けることが出来なかった。