次の日の朝、香菜子は眠い目をこすりながら体育館に向かった。
　夕子はもう体育館に来ていた。
「先生、おはようございます」夕子は明るい声で言った。
「あっ、高橋さんおはよう。早いのね」
「はい。朝からやらなくちゃいけないことがたくさんありますから」
　夕子はそう言うと、てきぱきと練習の準備をすませ、
「朝ご飯の準備をします」と言って、体育館を出て行った。
　香菜子は急いでその後を追った。何だか教師である自分よりも夕子の方が年上で、自分が夕子の指図を受ける部下のような印象だった。
　夕子は部員達が食事を食べるための教室に入り、配達された朝食を配膳しだした。香菜子は慌ててそれを手伝った。皿を配りながら夕子が話しかけてきた。
「先生、昨日はよく眠れましたか？」
　香菜子は何気なく、
「ううん。あんまり」と答えた。すると、夕子は、
「そうですよね。きっとあんまり寝られなかったんじゃないかと思います」と言いながら、香菜子の様子を窺うような素振りをした。
　香菜子が思わず言葉に詰まって、何も言わずに夕子の顔を見ると、夕子は、
「先生の部屋って、森内先生の隣でしたよね」と言った。
　香菜子は何と答えていいかわからず、しばらく不自然な間が出来たあとに、
「えっ、そうよ。教員宿泊室だから」と答えた。
　夕子はもう香菜子の顔から視線をそらし、独り言のように、
「そうなんですよね。私、今朝になって立花先生が部屋から出るのを見かけて、それを思い出したんです」と言った。香菜子は、また返事が出来なかった。
　夕子はそのまま手早く配膳をすますと、何もなかったように次の仕事のために部屋を出て行った。
　
　その日も厳しい練習が続いた。夕子は一日中働き詰めに働き、香菜子もしかたなく、それに付き合うようにいろいろな仕事を手伝った。ようやく夜の練習が終わり、香奈子達も洗濯を終えて、自分の部屋に戻れる時間になった。
　香菜子は少しどきどきしながら部屋に戻った。
　朝の会話の様子では、夕子は昨日、香菜子が隣で寝ていることを知らなくて、森内の部屋に来たらしかった。そして、後になってから、それに気づき、ひょっとしたら自分たちのセックスの時の声を香菜子に聞かれたのではないかと疑い、香菜子の反応を見たようだった。
　あの時の香菜子の反応は、あまりにも素直すぎた。あれでは誰が見ても、香菜子が隣の部屋で森内と夕子が交わる声を聞いたということが明らかだった。それに、朝の夕子の様子では、夕子は最初からそういう疑いを持ち、香菜子の反応を確かめたようとしたようだった。
　そうなると、もう今日は夕子は隣の部屋には忍んでこないだろうと思う反面、もし忍んでこないとしたらどうするのだろうかという興味もあった。
　香菜子はそれを思うと、香菜子は隣の部屋の音が気になって、なかなか寝付けなかった。
　
　香菜子から少し遅れて、森内が部屋に戻ってきた。
　森内はシャワーを浴びると、大きな声で、
「おお、俺だ。早く来い」と言った。どうやら携帯で誰かと話しているようだった。この様子だと、たぶん夕子を部屋に呼びつけようとしているのだろうと香菜子は思った。
「何言ってるんだ。とにかく早く来い」
　森内は乱暴に言って、携帯を切ったようだった。
　すぐに廊下に足音が聞こえ、ドアをノックする音がした。そして、
「失礼します」という夕子の声がした。
　香菜子は我慢できず、森内の部屋との境の壁際に移動して、壁に耳を付けて隣室の様子を窺った。

「先生、だめです。立花先生はもう部屋にいますよ」
　夕子の声がした。
「そんなことわかってるさ」
　森内はいらいらしたようにそう言った。
「俺はもう我慢できなくなってるんだから、よけいなこと言わないで、早くジャージを脱げ。素っ裸になって、まず俺のを舐めろ」
　そう言いながら、森内は服を脱いだようだった。
「先生、だから、隣に聞こえます」
　夕子が必死にそう言うと、
「いいから、早く舐めろ。隣に聞こえるのが嫌なら、後で俺がお前に入れた時、お前が声を立てるのを我慢すればいいだけじゃないか」森内はまったく気にする様子はなかった。
　夕子は、
「先生……」と言いながらも、森内の指示には逆らえないようで、部屋の中央に移動する気配がした。しばらく何も聞こえなかったが、その後で、
「よし、早くしろ」という森内の声がした。
　どうやら森内は、部屋の中央に裸で立ち、夕子にフェラチオをさせるつもりのようだった。たぶん洋子は、森内に言われたように、裸になって、森内の肉棒に口での奉仕を始めたのだろうと香菜子は思った。

「ぺちゃぺちゃ音を立てて舐めるんだ」
　森内の声がした。すぐに、夕子が森内の肉棒をしゃぶる音が聞こえだした。森内は時々「うーん」というような、満足の声を出しながらその奉仕を受けているようだったが、少したつと、
「よし、今度はお前が立て。今日は特別に、お前が立ったまんまでいるところを、俺が舐めてやる」と言った。
　夕子は泣きそうな声で、
「先生、お願いです。大きな声出さないで下さい。隣に聞こえます」と言った。
「さっきからそんなことばかり言ってるが、別に聞こえたっていいじゃないか」
　森内は平気な様子だった。
「だって、立花先生に知られたらまずいじゃないですか」
「大丈夫さ。立花先生だって、あんなおっぱいなんだから、もう男を知り尽くしているさ。大人の女なんだから、俺とお前がセックスしてるのを知ったって、何とも思わないよ。それとも何か。お前は、俺を欲求不満のままにしておいて、後で立花先生の部屋に忍んで行かせようとでも思ってるのか」
　夕子はすぐに言った。
「先生、それはだめです。いくら立花先生が素敵でも、先生は私のものです。立花先生なんかに取られるのは嫌です」
「それじゃぁ、早く言ったとおりにしろ」
「はい」夕子は素直に答えた。

それからしばらく、二人の声は聞こえず、ただ、夕子が動く気配がした。
　しばらくたつと、
「ほら、俺の肩に手を置いて、もっと両足を広げろ」と森内の声がした。
　どうやら、森内はさっき命じたように、夕子を部屋の中央に立たせ、その前に膝立ちになって夕子の秘部を舐めているのだろう。
　夕子はすぐに、
「ぁあっ……」という小さな声を立てたが、やはり香菜子のことが気になるのか、必死でそれ以上の声を出すのを我慢しているようだった。
　無言の時間がしばらく過ぎた。
　ついに、夕子が、
「ぁぁあっ、先生、だ、だめです」という声を出した。
「だめって、何がだめなんだ？」森内がからかうように聞いた。
「そ、そんなに……、ぁぁぁっ、ぁあっ、そこは……」
「何言ってるんだ。お前はクリトリスしゃぶられるの、大好きなんだろ？」
「ぁぁあっ……、で、でも……、今日は、あっ、ああっ……、勘弁して下さい」
　森内はそれには答えなかった。そして、ただ、何かをすするような音が高くなった。
「あああっ、はぁああっ……、せ、先生、も、もう……、立っていられません」
　夕子は、絞り出すような細い声を立てた。森内は笑って、
「ははあ、高橋。我慢が足りないぞ」と言ったが、すぐに、
「よし。俺もそろそろ入れたくなったから、ベッドに行け」と命じた。

　夕子はベッドに倒れ込むように横たわったようだった。
　ベッドは、香菜子が聞き耳を立てている壁際にあるようなので、香菜子には夕子の荒い息づかいまでもが、手に取るように聞き取れた。
　夕子に続いて、森内もベッドに来た。
「ほら、まず、おまえが上になれ」
　森内が命じた。しかし、すぐに、
「違う。そうじゃなくて、お前のオ××コが俺の口のところに来るようにするんだ」と言った。
　森内は夕子に、女性上位のシックスナインを求めているようだった。すぐに体を動かす気配がした。
「さっきみたいに、音を立てて俺のをしゃぶるんだぞ」
　森内が命じると、すぐにぺちゃぺちゃという音が聞こえだした。
「よしよし、うまいぞ。じゃあ、俺もお前のをもう一度しゃぶってやろう」
　森内はそう言って、こちらも音を立てて夕子の秘所を舐めているようだった。

　しばらくは夕子の苦しそうな息づかいが、かすかに聞こえていたが、少しして、
「ああっあああっ、はっ、ぁぁぁぁぁあっ……」
　たまらなくなった夕子が、押し殺した小さな声を出した。それを聞くと、森内は面白そうに、
「おっ、お前、本当に今日は声を出すのを少しは我慢しているようだな」と言った。
「そんなら、これはどうだ」森内が言った瞬間、
「あっ！　ああっ！」夕子の鋭い声がした。
「せ、先生、そ、それっ……、あっ！　あっ！　指っ……、そ、そんなに、指は……」
　夕子は明らかに身もだえしているようだった。たぶん、舌に加え、指で秘所に対する攻撃を仕掛けたのだろうとは思ったが、何をしたかまではわからなかった。それがいっそう、香菜子の想像を刺激して、その興奮を高めた。
　香菜子の手は、自然と自分の股間に伸び、パンティの上から秘所を撫でていた。そこは明らかに湿り気を帯び始めていた。

　そんな香菜子の興奮をよそに、隣室の二人も乱れ方が激しくなってきた。
「先生、先生、も、もう……、ぁぁあっ、もう、もう……」
「えっ？　何だ？　もうどうしたいんだ？」
　夕子は「はぁ、はぁ」という息をしながら、
「もう、だめです」と言った。
「もうだめとは、どういうことだ？」
　森内はまた、面白そうに言った。
「もう、我慢できません」
　夕子が小さな声で答えると、
「ふーん、何を我慢できないんだ？　俺のチ×ポをお前のオ××コに入れて欲しいなら、はっきりそう言え」
　森内は昨日の夜と同じように、夕子を言葉で攻めるようだった。そして、そうすることで自分の性感を高めているのだろうと、香菜子は思った。
　
　しかし、夕子は、
「ち、違います。私、これ以上すると、声が……、大きな声が出ちゃうんで……、隣に聞こえちゃうから……、これ以上は……」と言いかけた。
　森内は、
「馬鹿言え！」と言って、昨日と同じように夕子の体をビシッとたたいたようだった。夕子はまた、「ひっ」と小さな声を出した。
「声が出るのは、お前が俺に抱かれて、感じすぎるのがいけないだけじゃないか。だいたい、十七くらいの小娘で、そんなにひいひい言いながらオ××コぐじゅぐじゅにして、よがるからいけないのさ。俺に抱かれるだけでも、ありがたく思え。隣に聞こえることなんかいつまでも気にしないで、欲しいなら欲しいとはっきり言え」
　森内は、夕子が自分の言葉責めに従わない素振りを少し見せたので、不機嫌になったのだろう。強い口調で夕子を責めた。
「ほら、俺のチ×ポをお前のオ××コに入れて欲しいんだろ？　もう、チ×ポでここの奥を突いて欲しいんだろ？」
　森内はそう言いながら、たぶん、指を夕子の膣に入れて動かしたのだろう。夕子は、「ぁああっ！」という鋭い声を出した。
「ほら、こんなに汁をたらして、お前のオ××コは入れられたがってるじゃないか。それなら、お前の口からはっきりそう言え！」　
　そう言われると、夕子はもう森内に逆らえないようだった。
「はいっ、先生、私、もう私のオ××コに先生のチ×ポを入れてほしいです」
「入れるだけじゃないだろ。どうして欲しい？」
「はいっ、私のオ××コの中で、すごく早く動かして欲しいです」
「そうすると、おまえはどうなるんだ？」
「とても、気持ちよくなります」
「お前はオ××コが好きなんだな？」
「はい。好きで好きでしかたありません」
　夕子は消え入りそうな声で答えた。
　
「ようし、それじゃあ、入れるぞ。コンドームを持ってこい」
　森内が大きな声で命じた。
　夕子が慌てて起き上がり、コンドームを取りに行く気配がした。その姿を見ながらなのか、
「高橋、お前、そうやって裸で尻を振りながら歩くと、なかなか色っぽいぞ」と森内が言った。
　森内は、わざとベッドから離れたところにコンドームを置いて、いつも夕子に取りに行かせているのだろうと香菜子は思った。
夕子はコンドームを取ってきたようだった。
「よし、付けろ」と森内が命じた。
　夕子は無言のままだった。
「よし、それじゃあ、入れてやる。後ろを向いて、尻を突き出せ」
　森内が言った。夕子は黙ったまま、体位を変えているようだった。しかし、すぐに、
「ああっ、あぅっ」という声がした。挿入されたようだった。
　香菜子はたまらずに、自分も指を使って、秘所を慰めだした。

「あぁぁぁぁあっ、ああっ」
　夕子の声は低いが、一音一音に力が感じられた。よほど我慢をして、それでもこらえ切れずに出てしまうという感じだった。
　森内は、そんな夕子に少し不満を感じ出したようで、
「ほらっ、高橋、気持ちがいいなら、もっと気持ちよさそうな声を出してみろ」と言った。
「だ、だって……、ああっ……、先生、あっ、ぁぁあっ……、ほんとに、ほんとに立花先生に、ああっ、聞かれちゃいます……、あっ、ぁぁうぅぅあっ」
　夕子はやっとのことでそう言った。しかし、森内は平気な声で、
「聞かれたってかまわないさ。むしろ、立花先生に聞かれながらの方が、よけいに俺も燃えるぞ」と答えた。
「だって、あああっ、ああっ……、せ、先生……、あっ、そ、そんなに、ああっ」
　森内の動きが早くなったようだった。ベッドが激しくきしみ、森内の体が夕子の尻に当たる音までもが聞こえ出した。夕子はもう完全に抑制がきかなくなった。
「ああっ、先生……、い、いいです！　す、すごくいいです！」という、叫ぶような声を上げだした。

　香菜子の方も、壁にもたれたまま、片手をパンティに突っ込んで、指を使っていたが、それだけでは我慢できなくなって、パンティを下ろそうと下を向いた瞬間、曲げたひじがテーブルの上においてあったジュースの空き缶に触れた。空き缶が倒れ、テーブルを滑って、一度壁に当たり、それからテーブルから床に落ちた。
　缶はリノリウムの床にあたってすごい音を立て、くるくると回りながら部屋の端まで転がっていった。
　たぶんそれが聞こえたのだろう、夕子が喘ぎながら、
「あぁぁぅっ、ああっ、先生、先生……、と、隣、隣……、き、聞いてます、立花先生、聞いてます」と、急に小な声になって、必死に森内に訴えた。
　しかし、森内はまるで取り合わなかった。
「だから、いいじゃないか。立花先生が聞きたければ、聞かせてやればいいんだ。それに、俺に抱かれて、お前がこんなによがってるのを聞いたら、立花先生だって、一度くらいは俺に抱かれてみたいって思うかもしれないぞ」
　それを聞くと夕子はまた狂ったように、
「だ、だめです。先生。先生は立花先生なんか抱いちゃだめです。先生は私のものです」と言った。
「ふん。それなら、お前が俺の女だとはっきり知らせるためにも、お前はもっとよがり声を立てて、立花先生に聞かせてやらなくちゃな」
　森内は笑いながら言った。
「はい、先生。だったら、もっと、もっと……、私を狂わせてください。」　
　夕子もだんだん、香菜子に聞かれてもいいという気になってきたのだろうか、声を荒立ててそう言い、さらに、わざとのように、
「先生、ああっ、先生……、ああっ、いいです、すごくいいです」と大きな声を立てた。

　森内は満足そうに、
「よし、高橋。ほら、今度は前からだ」と言って体位を変えさせたようだった。たぶん、昨日と同じように、最後は正常位で激しく攻め立てるつもりのようだった。
「ああっ、先生、お願いします、早く入れて下さい。先生のチ×ポを私のオ××コの中に、早く下さい」
　夕子の声は、もうほとんど香菜子に聞かせるために出しているように感じられた。
　たぶん、夕子は、森内の言葉の中に、香菜子に対する強い関心を読みとって、それに嫉妬をしたのだろう。その嫉妬心が、夕子の羞恥心を完全に取り去る結果になったようだった。
　森内は、そんな夕子の心を知ってか知らずか、
「おおっ、高橋、何だか急にやる気出したみたいじゃないか。いくら隠したって、お前は体の奥底から本当の好き者なんだから、しかたがないさ。よし、それじゃあ俺も、本気で行くからな」と言った。
「はいっ。先生、お願いします」
　夕子はいつものマネージャーの声になって、そう言った。

　すぐに激しくベッドが軋む音がした。
　その後はもう、夕子の絶叫の連続だった。
「あああっ、先生、すごいです！　あっ！　すごいです！」
「どんなにすごいか、言ってみろ」
「あっ！　今まで……、こ、こんなの、ありません！　あっ、あぁぁああっ！」
「高橋！　いいぞ、お前も。おっ、やっぱり若い女の締め付けはすごいな」
「ううっ、あぁぁああっ、せ、先生……、も、もう……、ぁぁああああっ、い、いいっ。よすぎて……、い、息が、息が出来ません。あっああ！　死んじゃいます！　死んじゃいます！」
「待て、ちょっと待て。今俺もいくぞ。もう少し我慢しろ」
「ああああっ、ぅぅぅううっ……、は、はいっ。我慢……、我慢します。でも、先生、先生、本当に、あっ、ああっ、死にそうです」
　ベッドの軋みが最高潮に達した。
　森内は「うぉー」というような叫びを上げながら、最後の激しい動きに入ったようだった。そして、じきに、
「よし、高橋、ほら死んでいいぞ」と言った。射精に至ったようだ。
「ああっ、はいっ！　死にます！　先生、死にます！」夕子もそう言いながら、果てたようだった。
　さすがに森内もしばらくは言葉が出なかった。
　二人の男女は荒い息をしながら、セックスの余韻に浸っていた。

　そして、香菜子は、そのすぐ隣の部屋で、陰部からたっぷりの蜜を滴らせながら、いつまでも寝られずに過ごすしかなかった。

（以下、次回に続く）