| １１ 未だ稚い愛のかたち さて、思わぬ形で愛の告白をしてしまった二人なのだが、もちろん問題もある。 途中から忘れかけていたが、いざ、となると思い出してしまうその存在とは、もちろんノンのことである。 いくらヒカリのほうから『抱いてください』と言われたとはいえ、ノンがいる場所で抱き合うわけにもいかない。 とはいえ、部屋を移動してはノンが危ないかもしれないし、ノンを八重樫や北見夫妻に預けるのでは色々邪推されかねない。幸い、深く寝入っているようなので先ほどまでの会話の内容は聞いていないようではある。 それと、巴としては複雑な状況でもある。ヒカリを危険な場所に行かせなければならない、という状況だ。 それも『酷い目に遭う』のを覚悟している。 「…ヒカリちゃん、聞きそびれたけど…なんで、ヒカリちゃんがその『離れ』という場所に行く必要が？」 ただ調査に行くだけならば、誰かを残して男総出で行けばいい。ヒカリが行く必要はまったくない。 「…わたしは、先ほどの夢に呼ばれた…呼ばれたというより、助けを求められたんじゃないか、って…」 「助け？」 二人とも顔が赤い。あんな話をしたあとなのだから当然だ。巴としては下腹部も全然落ち着いてくれないので、結局またヒカリに背中を向けてしまっている。 「はい。夢の中で走っていた女の子に」 「…そんな馬鹿な、って言いたいけど…」 そこまで言って、巴は口を濁す。現に聖は幽霊たちに暴行を受けている。何もかもが非現実なのだ。 ひょっとしたら、今現在の自分達も『幽霊の少年』たちに見張られ続けているのかもしれない。 だが、それでも疑問はある。 「…北見の叔父さんたちは、今までだってこのペンションに住んでいたんだ。叔母さん一人になるときだってあったはず。 なんで、俺達がこのペンションに集まってきた今になって、あんなことが起こったんだろう？」 むしろ巴たちが来たことで、聖に手を出しづらくなった、と考えるべきなのだ。もちろん、幽霊に常識は通用しないのかもしれないが。 「…もしかしたら、わたしたちがこのペンションに来たことが、却って引き金になってしまったのかもしれません」 眠れなくなってしまったヒカリは、体を起こしてベッドに腰掛ける。背中を向けていた巴は、仰向けに寝返ってヒカリのほうを向いた。 「つまり、今まで大人しくしていたものを俺達が起こしてしまったのかもしれないのか…」 巴も体を起こしてヒカリの隣に座った。彼女の話に興味を持った…のだが…。 （あ、忘れてた…） 隣に座った巴に、当然のようにヒカリの視線が移る。自身のズボンの中がとても狭苦しく思える。 暗かった部屋も、ずっと起きて話をしていたためもう目が大分慣れてしまっている。 「…と、巴…さん…？」 ヒカリとしては、別に見る気はなかったのだろう。ごく自然に下の方に視線がいってしまったに違いない。 しかし、その目はもう隠す間もなく、巴のその場所に釘付けになってしまっていた。 「…あ、いや、ヒカリちゃん、これは、その…」 言い訳を必死に考える巴。考えてみれば、胸の豊かな美少女が間近で寝ていたところこうなったのだから、ある意味男として若者として健全かつ健康な証拠ともいえるのだが、今ヒカリに見られていいものではない。 ヒカリのほうは口元を両手で覆ってしまいながらも、目はしっかりと巴の盛り上がったズボンの一部分を凝視していた。 「…あ、い、いえいえいえ、べべべ別にその、軽蔑するとかそういうのではなくて、ちょっと男性がこうなるのを知らなかったわけでもなく、知ってはいるのですが見たことはなくて、いえ、見たことが多数あってもまた問題は問題なのですが…」 ヒカリのほうもかなり錯乱してしまっている。身振り手振りを交えて珍しく早口にまくしたてた上、その直後に 「あいたっ！」 と舌をかんだ。 （ど、どうしましょう、まさか巴さんがあんなになっているなんて…、というか本当にあぁなるものなんですね、 つまりまぁ、わたしのほうから『抱いてください』と言っちゃったからには、アレがわたしの中に入るわけで、 どう考えてもわたしに入るにはサイズが大きすぎるわけで…あわわわわ） 舌の痛みを我慢してモノを凝視しつつ、ヒカリの頭の中身は錯乱を繰り返す。 （うぅ、今までは『好きなんです』と気づいてほしかった面もあって、それとなく色々試して来たつもりですが、 いざ『そのとき』になってしまうと…こ、心の準備が…） と、ヒカリが自身の錯乱状態を抑えられずにいると、ふわりと暖かい感触が自分を包んだ。 「…ヒカリちゃん」 目の前に、いつの間にか巴の体がある。直後に、宙に浮いたような感覚、そして背中に当たる硬いもの。 （あ、これって…） 『押し倒されたんだ』と気づくのに、ヒカリは少しだけ時間を要した。そして、その後、彼女は気づいた。 （わたしも…興奮している…？） 仰向けにベッドに押し倒され、ヒカリの体は熱を帯び始めていた。隣のベッドにはノンが寝ているというのに。 「…巴さん、向きを変えましょう、これじゃ、落ちてしまいそうです」 座っているところを押し倒されたため、頭がベッドから落ちそうになってしまっている。ヒカリも巴も、もはやノンの存在を忘れかけていた。 『改めて』押し倒され直し、抱き締められ、ヒカリは言い知れぬ幸福感に包まれていた。 気がつくと自分の両腕も巴の背中に回り、強く抱き締めている。 （…すごい、ただ抱き締められているだけなのに…気持ちいい…） 「んぁ…」 今までに発したことがない、間の抜けた声が出てしまう。ただ抱き締められているだけ、他には何もされていないというのに、巴の温かみがとても心地よい。 「ヒカリちゃん」 「…」 「ヒカリちゃん？」 その感触と幸福感のあまり、ヒカリは巴の呼びかけにしばらく気づかなかった。 「…あ、はい…、なんでしょうか？」 「…キス、していいかな？」 返事はすでに決まっている。…が、すぐに『はい』の言葉を出すことが出来なかったヒカリは、黙って目を閉じていた。 「ん…っ」 やがてやってきた、柔らかい感触。初めて。何もかもが初めての体験、そして感触。高潮する顔、硬直する体。 そして興奮していく全身。すべてが今までにないものだった。 「んはっ…」 一旦唇が離れたあと、すぐにまたそこを塞がれる。薄く開かれた唇の間に、熱い舌が優しくねじ込まれる。 （…あっ、舌が…） 箱入り娘に育てられたヒカリは、AVだとかそういうものを見た、見せられたことは一切ない。 そのため、キス一つにしてもただ単に『唇を触れ合わせる行為』としか取っていなかった。 思わず体が抵抗してしまい、巴の体を退けようとする。しかし、抱きすくめられたヒカリは巴の重みを跳ね返すことはできず、ただ受け止めるしかできない。 そこでまた、巴の唇が離れた。 「…ヒカリちゃんも、舌を出して」 「…はい。初めてですから、受け止めてくださいね」 「大丈夫、俺ももちろん初めてだし」 何が『もちろん』なのかはよく解らないが、巴も初めてなのはよく理解できる瞬間だった。 三度、唇が重なる。今度はヒカリもがんばって舌を出す。が、すぐに巴の舌に当たってしまい、びっくりして引っ込む。 （…！？今の、巴さんの舌…） もう一度、ためらいながらも舌を出す。その間、唇は優しく巴の舌に舐め取られている。 「んぁぅっ」 出した舌の先端を吸い上げられてしまい、ヒカリは変な声を出した。 「んーっ！？んっ、んぁ…んぅう…っ」 （何ですか、これ、舌を吸われて…あぁ、舌に舌を絡められて…き、気持ちいい…！？ キスって、こんなに気持ちいいものなんですか…っ） 思わずベッドのシーツを強く掴む。 （お、俺…今、ヒカリちゃんとキスしてるのか…、ヒカリちゃんの唇、柔らかくて、プニプニしてて、暖かくて…） 巴は巴で、色々『見よう見まね』で試してはいるものの、いっぱいいっぱいなのはヒカリと同じだった。 それでも、ヒカリのほうは相当に快感らしく、巴は興奮すると同時に嬉しかった。 自分が行っている拙い愛撫に、ヒカリが素直に反応してくれていることがとても嬉しかった。 （…気持ちいい…キスって…ヒカリちゃんとキスするのって、こんなに気持ちいいのか…） 巴は、シーツを掴んで快感に耐えるヒカリを強く抱き締めていた。 二人とも、胸の鼓動が高まるのを止められなかった。十数秒のうちには、貪りあうように口付けを交わし、舌を絡めあい、どちらがどちらを求めているのか解らなくなっている状態だった。ただただ夢中に口づけを続けた。 二人はまだあまりにも若い。しかしそれでも思いあっていた時間は短くはない。その想いをぶつけ合うような時間…。 正確にはわずか数分であったものの、二人はお互いの情熱をその数分間を何十分何時間分にして舌を絡めて分かち合っていた。 「巴さん」 唇が離れた直後、巴の下にいるヒカリが言葉を漏らした。熱が篭っていて、苦しそうにすら思える声だった。 「…ん？」 巴のほうも、半ば呆けているような状態だった。自分の胸に当たる、パジャマに隠れたヒカリの胸の感触に心を奪われながら、必死に意識を戻してヒカリの言葉に耳を傾けようとしていた。 「…次、お願いします。…このままじゃ、キスだけで、満足しちゃいそうです」 巴もそれは同じだったが、それをヒカリのほうから言われたのは意外なような情けないような、であった。 （次、って何だっけ…？キスの次…えーっと…） 巴のほうも『初めて』は同じである。 （押し倒してキスもしたから、次は…ふ、服…を、脱がせる…のかな？） 「…そ、それじゃ…俺が、その、脱がせるから…」 「は、恥ずかしいですから、そこは黙って脱がせてほしかったです…」 顔を真っ赤にしたヒカリに言われてしまい、巴が目を伏せた。 『ただのパジャマだというのに』悪戦苦闘しつつ、なんとか上を脱がせた巴は、あらわになったヒカリの素肌に見とれていた。二つの乳房はヒカリが腕で隠している。恥ずかしさに巴を直視できず、そっぽを向いてしまっている。 「お、大きい…」 思わず、素直に言葉が出てしまった。つい先ほどまで、自分の背中や胸に、この乳房がパジャマ越しに当たっていたのである。 ヒカリは、同学年のなかでは胸が大きく、制服越しだとかなり目立つのである。 本人は『邪魔』だとか『重い』とか愚痴をこぼしているらしいものの、巴を含む男子の目は釘付けになるし、小さめの女子からも羨望の眼差しで見られることが多かった。 （え…と、ここは胸を触るべきか、それとも下も脱がせるべきなんだっけ…？あー、どうだったっけ…） もともと奥手な巴である。興奮のままに体を動かすことが出来ず、しどろもどろしてしまっている。 （なんだか俺、今男としてすごくみっともないところを見せてる気がする…！？） たしかに、『今がこのとき！』と覚悟した少女の目前であわてふためく男子はあまり格好良くは見えない。 （…よし！） 意を決した巴は、ヒカリの上に覆いかぶさっていった。 「きゃぁっ！？」 まさかいきなりのしかかられるとは思わなかったヒカリは、目前に迫った巴の緊張した顔を見て、さらに自分の顔も緊張させる。 もしこの、『行為に及んでいるくせになかなか進まない二人』を忍が見ていたら、さぞかしイライラしていたことだろう。 ともすると、『早くやれ！』と背中を蹴飛ばされかねない。 巴の左手が、ヒカリの右乳房下側に触れ、ゆっくりと揉み始める。ヒカリの腕はまだ胸の上に乗ったままである。 「あっ…」 先ほど覆いかぶさってきた勢いとは裏腹に優しい手の動き方に、ヒカリのほうは小さく声を上げたあと、安心したかのように身を任せて揉ませていた。 「ヒカリちゃん…おっぱい、見せて」 「…はい」 しばらくの愛撫の後、ヒカリは巴に言われて腕をついに解いた。 豊富な乳房の脂肪の頂点には、鮮やかなピンクの小さな輪があった。先端部分はまだ完全に顔を出してはいない。 顔を上げてヒカリの顔を見る。顔を隠してはいないが、恥ずかしそうというか情熱的というか、複雑な表情なのだが、巴にはそれがどこか艶かしく思えて仕方がない。いつもは可愛らしい顔なのに。 「…わたし、は、裸を…見られてるんですね…」 ぽつり、とヒカリがそう言った。こういう言葉が出るのは、やはり初めてだからなのか、それとも『お嬢様』だからなのだろうか。 しかし、巴にしてもヒカリにしても、これで終わることは出来ない。終わろうとしても、もはや双方止めることが出来ないだろう。 「あ、んあっ！？」 パジャマのズボンの上から、右手で下腹部をまさぐる、左手はまだその豊満な乳房を愛撫している。 「ひゃ、ひゃあぁ、そ、それは…んっ！あっ！やっ！？」 そのままズボンの中に手を入れられてしまったヒカリは、脚をばたつかせる。下着の上から、誰にも触れさせたことのない場所を愛撫されている。そして、そこは、すでに…。 「…ヒカリちゃん、ここ、本当に…濡れるんだ…」 巴のほうは、『自分がヒカリをリードしなければならない』という妙な使命感にとらわれていることもあって、少しずつ積極的に行動し始めていた。気がついてみれば、濡れた下着の手触りを指先で愉しむ余裕も少しは出来ていた。 「やあぁ、言わないでください」 いつもののんびりした話し方ながらも、ヒカリのほうはもう羞恥で爆発しそうな顔である。目頭に少し涙も溜まっている。 （あぁ、わたしのあんなところが、巴さんの指で、触られて、くしゅくしゅされてる…） 自分に今起こっていることを脳内で理解し、そして理解することでさらに興奮していく。 不思議と、処女の自分が壊されていく、という感覚はない。奪われる、という恐怖もない。 （えーっと、最終的にはアレをああするわけだから、とりあえずヒカリちゃんのほうの準備を完了させないとならないわけで、このくらい濡れればいいのかな？でも、初めてみたいだし、もっと色々…愛撫、したほうがいいのかな…？ っていうか俺、ヒカリちゃんの初めてを貰うのか） 『それはすごいことなんだ』というのを改めて実感する巴。忘れそうになっていたものの、ここにいるのは大財閥の令嬢でもあるのだ。自分はそんなヒカリの肌を一番最初に（親以外で）触った男なのだ。 さて、残るズボン（とショーツ）を脱がさなくてはならない。…が、さすがに躊躇ってしまう。 「ヒカリちゃん、目を閉じて…」 そこで巴は、ヒカリに目を閉じさせることにする。素直に目を閉じたヒカリの眼前に顔を持っていき、再び唇を合わせる。何度やっても気持ちいい。唇のふくらみと柔らかさ、ほのかな髪の香りすべてが快い。 「ん…っ」 ヒカリも大人しく従っている…のを見計らって、巴は急に顔を上げると、両手で左右からズボンを掴み、一気にスルリと下げた。 「きゃっ！？」 ヒカリの手が反射的に動いたものの間に合わず、ヒカリの脚までがあらわになり、残るは本当に布一枚だけになってしまった。 薄いピンク色のショーツ。もはやヒカリの裸身を隠しているものはただそれだけである。 そのショーツも、脚の間辺りはもう湿っていて、小さく染みを作っている。 「と、巴さんっ！」 「ご、ごめん…」 怒られて謝ってしまう巴。胸の高鳴りと同時に、下半身がもう痛いくらいに張っている。 目の前に初恋の相手が、もはや全裸のような状態でいるのだから無理もない。 「…あの、巴さん…？」 「…ん？」 「先ほどから、巴さんばかり色々動いてますし、わたしも巴さんに何かしないと…ですよね」 そう言って、ヒカリは胸を両腕で覆いつつ、ゆっくりと起き上がった。…と同時に、巴の背後のベッドに眠るノンが眼に入った。 （あっ…よかった、まだ眠ってる…） 内心でほっ、としながら、彼女は呆けている巴を、今度は自分から押し倒した。 「…すごい、巴さん、パジャマが破けそうなくらいになってます」 そう言いながら、巴の立派なテントを掌で撫でるヒカリ。 「…えいっ！」 今度は、巴が『うわっ』と声を上げた。先ほどの巴と同じように、一気にズボンを下ろしてしまったのである。しかも下着ごと。 枷を外されたモノは『ビン』と跳ねて、まっすぐに上を向いた。 「…こ、こ、ここ、こうなって、る…んですね…、初めて、見ました。…いえ、たぶん父のものを見たことはあるんでしょうけど、でも間近でこうなってるのを見たことはさすがに初めてで…」 天を衝くような怒張、そしてその大きさにヒカリも思わず眼を見張った。今まで我慢していたこともあり、先端からは粘っこい液体まで出ている。 （…こ、これが男性の…こんなに大きいものなんですか。それとも、巴さんが特別大きいのでしょうか…？） 巴がヒカリの裸を見たときと同様の錯乱状態を、ヒカリのほうも体験している。 （先ほど巴さんは、わたしの胸を手で揉みましたし、ここはやはり…） そう考えたヒカリは、仰向けになった巴の脚の間に座り、ゆっくりと右手を伸ばして『それ』を優しく握るのだった。 |
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| 2013.7.31掲載 |
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