惠　ルーズリーフ


惠　ルーズリーフ『愛と官能の美学』Ｓｈｙｒｏｃｋ作
第８話「真吾と直也」　ふたりが眠っていたのは１０分にも満たないわずかな時間であった。「ん？　あ……ごめんなさい少し寝てしまって……」「いいのよ……私も寝ちゃってたみたい」「せんせい……」「なぁに？　真吾く……んあぁん、んっ！んんん」　ほぼ同時に目覚めた惠と真吾は、すぐにまた互いに身体を絡め合い、キスを交わしていた。「ん、んぐ！ん、ん」「んんっ、はぁ、む、ん」「ん！　はぁぁ……せ、先生……僕、また……」「あぁぁ、んっ、いいのよ真吾くん、来て。好きなだけしていいのよ」　真吾はすぐに力を取り戻し惠の身体を求めてきたので、惠も喜んでそれに応じた。　真吾は今度も正常位で挑んできた。　　惠の端正な顔を眺め母性あふれる美しい乳房に吸いつきながら、惠の肉壷を味わえる体位がお気に入りなのだ。「んんっ、あぁっあぁぁっ、真吾くん……あぁ！　気持ちいぃっ！」「先生！　僕も、僕も気持ちいいよぉ」　惠のあえぎが再び大きくなっていくなか、真吾は大好きな乳房をしがみつくように掴んで揉みしだき、キスの雨を降らせながら、懸命に腰を使っていた。　真吾にのしかかられた惠が肉柱に突かれながら髪をかきあげると、そのセクシーな仕草に真吾は歓喜し、惠も真吾が与えてくる甘味な律動に自ら腰をゆらめかせ、ゆすり立てていった。「あっ、あ、あ、せ、先生！　あぁっ！　うぅぅぅ」　うねうねとうごめき締めつけてくる内壁に感化された真吾の腰の動きが早くなっていく。「あぁぁぁ……いいわ、真吾くん！ん！　あ、あぁぁっ、もっと、もっと突いて！……もっとしてっ！　あ、あ、あ、あぁ！　あぁぁぁぁ！」　背をのけぞらせ、髪を振り乱しより貪欲に快楽を求め、己の体内で律動する肉柱を締めるように包み込む。　惠は現実的な意識が薄れる中、性器から得る快感に全身を支配され、牝と化していった。「あっあぁぁん！　あっ、あっ……あっあぁっ、あっ！　し、真吾くんっ……あぁぁっ……おっぱい、おっぱい触ってぇぇ……」　すぐに真吾の両手が形良く実った惠の乳房を鷲づかみにして揉みしごき、広げた指を食いこませながら乳首ごときつく握りしめてくる。「あぁぁぁぁ！　し、真吾　くん！　それ気持ちいいぃっ！　あんっ！　あぁぁぁっ、ん、ん、ん……」「あぁ！　うぅぅぅ……せんせいっ！あ、あ、あぁぁ……」「あぁぁぁっ！　真吾くぅん！　おっぱい吸ってぇぇ！」　惠に促され、真吾が乳首にむしゃぶりついた。　ものすごい力で乳房を掴み、揉みしだきながら夢中で乳首に吸いついてくる。「あぁぁっ、真吾くん、気持ちいいっ！　乳首かんじるぅぅっ、んっ……あっ！　あうっあぁっあっ……あひっ……あっあっあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ！！」　乳房を激しく揉みこまれ、こわばりを刺し貫かれるたびに、沸き立つ愛液がねっとりと快感を伝え、惠を高みへといざなう。「あ、あ、あぁぁっ！　私もうだめっ、んんっ！　ん、ん、」　真吾が乳房にしがみつき、凄まじい速さで腰を打ちつけてきた。「あぁぁぁっ！　い……やぁぁぁぁっ、あっ、あっ、あっ、こわれちゃう！　あ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁ……」「先生！　ぼ、僕……僕もうだめ！　出ちゃう、出ちゃうよっ！」「あ、あ、あ、あ、あっ、真吾くん、私もっ！　私もイくっ、イっちゃう！　イくぅぅぅぅっ！、あ、あっ！　あぁぁぁぁぁっ、いぃぃっ、あぁぁぁぁぁぁぁ～っ！！」　内腿と下腹部が痙攣し身体と腰をガクガクさせながら、惠の背が弓なりに反り返って小さなアーチを形作りながら惠は昇りつめていった。　真吾もほぼ同時に、惠の身体にしがみつきガクガクと腰を震わせながら四度目の精を放ったのだった。　挿入から射精まで、それはまたたく間に過ぎ去った。　それでも惠の心は十分に満たされていた。　それは真吾という愛らしい少年の初体験が自身であり、しかも泣けるほどに感動してくれたからだろう。 ◇◇◇ 　　帰り道、惠は考えた。（これからどうなるのだろうか……私は十六歳の男性を好きになってしまったかもしれない……）　恋人と呼ぶにはあまりにもおさな過ぎる。　空を見上げると、ふたつの幻影が揺らいでいた。　一つは真吾……そしてもう一つは直也…… 　その夜、直也から電話があった。　この前はすまなかった、許して欲しい……としおらしく謝って来た。　ふだん謝ることのできない直也としては珍しいことだった。「んで、明日会ってくれない？　バイト休み取ったんだ。どうしても惠に会いたいから」「んもう～、私の都合も聞かないで休み取っちゃうんだから」「じゃあ、ダメなの？」　惠は少し間をおいてから答えた。「うん、いいよ。美味しいものをご馳走したいんでしょ？」「もう、すぐにそれなんだから。バイトの給料まだもらってないんだよ。だから、大したご馳走はできないけど、いいかなあ。顔を見せてくれるだけでいいんだよ」「冗談だよ～。ご馳走なんていらないわ。私も直也の顔が見たいから」「ところで……」「なに？」「惠は浮気したいって思ったことある？」「な、何よ、それ。急に。そんなの思う訳ないじゃないの」　惠は一瞬、心の内を見透かされたみたいに狼狽した。「だろうね。安心したよ。実は、友達の彼女が浮気したとかで今すごくトラブっているんだ。今日はその仲裁に入ってたんだ。まじで疲れたよ」「あっ、そうなんだ……。それは大変だったね。おつかれさま」 ◇◇◇ 　翌日、惠は派遣会社に電話を入れた。　学業に専念するため、家庭教師のアルバイトを辞めたいと連絡したのだった。　真吾には心からすまないと思ったが、彼から遠ざかることが彼への思いやりであるとも考えた。　これ以上家庭教師を続けると、真吾はきっと惠に対し今以上に夢中になるだろう。　恋におぼれてしまうと、成績向上どころか低下の可能性だって十分に考えられる。。（ごめんね、真吾くん……もう君には会わない方がいいものね……）　惠の瞳にはきらりと光るものがあった。　大学の授業を終えた惠は、直也が待つ駅前広場に向かった。　ひんやりとした風が惠の髪をなびかせる。　耳の裏側に一滴つけてきたオーデコロンの甘い香りが、今日に限っては何故かほろ苦い香りに感じられた。完
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2021年5月30日掲載
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