鞭を執れ
はちみつ太郎 作
１９

　腰を打ち付けるたびに潤滑油のおつりが床を濡らす。ワックスほどではないが、人造大理石は、水分を弾き足元に緊張を与えている。

　小春の両足は死んだカエルのように割り裂かれ、生を削がれたように見える。操り人形のように足を操るビルドは、わき腹に挟み込むようにすると、覆いかぶさるように小春に重なる。

　重みを感じながらも、蛇の巣穴に潜り込んだビルドの陰茎は衰えることなく出入りを繰り返す。二人の視界から消えた舐め地蔵は、小春のハンドバッグを探っている。

　携帯電話を探し当てた舐め地蔵は、小春とビルドの交わる皮ベッドに近寄った。電話番号を検索されると、「黒田計」と記された欄を見せ付ける。

「奥さん、そろそろ、旦那さんとお話タイムだよ。」

「はぁぁ・・・はぁぁ、そ、そんなことぉぉぉ・・・・あぁぁ、やめてっ、聞いてないぃぃぃ。」

「いやいや、このタイミングで、電話を掛ける約束でね、・・・この番号、そうだよねぇ。」
　小春の視線に近づけると、画面を注視する。計の番号を見つけると、あずさにかかるはずの番号に血の気を失う。

　両手のバンドはキツク締め上げられている。ビルドの睾丸を蹴飛ばす余裕は小春には残っていなかった。

「プルルルルル・・・・プルルルルル・・・・カチャ。」

「はい、黒田です。」
　あずさではなく黒田の声に小春は驚いた。説明のつけようがない小春は、無言を通そうとする。言葉にならない喘ぎ声は、ビルドのいたずらな腰使いで無言を打ち破る。

「あぁぁんっ・・・だ、だめぇぇぇ・・・聞いちゃっ・・・・ああぁぁぁぁぁぁっ。」
　オンフックにしたまま小春の頭上に置かれた携帯。そこから聞こえる声はまさしく計の声だった。焦った感じはなく小春の喘ぎの具合に面食らっているそんな感じを受けた。

「け、けいさんっ・・・・聞かないでぇぇ・・・き、きってくださいぃぃぃ。」

「小春、・・・小春、・・・。」

「ほぉら、奥さん、旦那さんが聞いてるよ、おいらのお○んちんより・・・どうだって？」
　奥まで擦り付けるように腰骨辺りをつかみ、打ち付けるビルド。耳元で、台詞を伝えられる小春は観念してそれを伝聞のように伝え読む。

「あぁ・・・ビ、ビルドさんの・・おち○んぽがぁぁ・・・小春の奥をぉぉ。」

「どうしてる？」

「突いてるぅぅぅぅ・・・何回も・・・いっちゃったぁぁぁ。」

「じゃぁ、離婚れる？・・・僕の子供、産んじゃう？」

「だ、だめぇぇ・・・それは、あぁぁぁぁん。」

「旦那さん、安心して、奥さん、旦那さんの元に帰りたがってるから・・・あと３０分の辛抱だよ。オナニーでもしててね。・・・ガチャッ。」

　小春の携帯の電話番号は、非表示だったため、リダイヤルすらできない。あずさへの連絡も一方通行のため、黒田は小春の身を案じるだけしか術はない。

　ラブホでの潜入捜査、大体のことは予想していたが、いつもの喘ぎとは違う小春の牝の声は黒田の心を大きく揺さぶった。

　ドアを蹴破り、男から陵辱を受け入れている小春を助けたいその一心は、秒刻みで増していく。車のキーを抜くと、ドアに手をやり、意気込みが鼻から抜ける。

「プルル・・・プルル。」
　再び、小春の相手からと思った黒田は、ハイとだけ伝え表示された番号すら見なかった。

「桧山です・・・乗り込もうと？」

「え、・・・見てるんですか？」

「いえ、聞いてたの、電話をあなたに入れたでしょ・・・男が。」

「は、はい、小春・・・ちゃんは、・・・。」

「大丈夫、そんなに柔じゃない、・・・それより、小春の潜入捜査、大体理解できたでしょ。」

「・・・。」

「次からは、黒田くんにも、登場してもらうからね。」

「登場？」

「えぇ、次の潜入先、小春と二人じゃなきゃ・・・できないから。」

「二人って・・・まさか、・・・セックスを？」

「そうね、そうなることは、確かね。」

「今度は、小春が嫉妬する番かもしれないから。・・・そろそろ、終わりそうよ。追跡の準備よろしくね。・・・ガチャッ。」

　黒田は、電話をポケットにしまうと再びエンジンを掛け、待機の体勢に入る。股間の血流は待機ではなく突入の準備すら整っているのにだ。



「どう？・・・他人のち○ぽ入れられたまま、旦那とお話しするって？」

「あぁぁん・・・は、はずかしぃぃぃ・・・あぁ、あっあっ・・・あっあっ、またっ。」

「１１回目？」

「い、い、往くっ・・・・はぅぅぅぅぅぅぅ。」
　大きく息を吸い込んだ小春は、絶頂を宣言したまま顎を上向かせ、足の指先までその絶頂を表現させた。

「ぼくちん、まだまだ、これから・・・でも、このホテルで延長に入るわけにいかないから、ラストスパートするよ奥さん。」

　深々と突き上げ、叩きつける音は、外に居る黒田に聞こえやしないか不安になるくらいだったが、１１回目の絶頂を迎えていた小春は、失神の手前で体中の生気が失われている。

「あらら、奥さん完全に往っちゃったねぇ・・・師匠、・・・中で、出してもいいよねぇ。」

「あぁ、安全日だって、言うんだから、卵にご挨拶させておいたらいい。」

「この後、旦那と・・・いやいや、そんな気力残ってないかぁ。」
　リアルドールに打ち付けるように動きのない小春の膣道を蹂躙し続ける。生気を再び呼び戻すように、舐め地蔵が小春の頬を二度ほどはたくと、生気を取り戻した。

「あっ・・・あっ・・・もぉぉ・・・。」

「あぁぁ、でるでる・・・絞めてる絞めてるぅぅ・・・あっ。」
　ビルドは、ニ、三回痙攣のようにビクつくと、小春の胸元に顔を埋める。ピンクの膣襞を白に染めんばかりに射精したビルドの分身は、我先に小春の分身を目指している。
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2012年12月22日掲載
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