鞭を執れ
はちみつ太郎 作
４

　６部屋ある集合住宅の玄関には、表札すらない。

「ピンポーン」

「おつかれさまです、あがってください。」

「おつかれ。」
　上司と思われる女は、奥を覗くと、相方の留守を確認すると、名前で呼び合った。

「小春、・・・機動隊の旦那さまは？」

「昨日から１週間、京都へ・・・イギリスの首相が来日するとかで、警備に。」

「ふーん、寂しそうね。」

「そ、そんなこと・・・。」

「ところで、『他人との相性』、どうなってる？」
　ブックマークには登録せず、検索サイトに打ち込むと、会員認証画面が現れた。パスワードを打ち込み、自らのＩＤの画面に到達すると、あずさへモニターを近づけた。

「動画も、アップした？」

「えぇ、一分ほどの・・・でも、黒田巡査長の協力がなくて。」

「ふぅん、確かに、夫の願望がなければ、ただの痴女動画だもんね。」

「旦那が取ってる風に、編集してるんですけど。」

「でも、食いつきは、よさそうじゃない。何件も、コメントが入ってる。」

『ブラックさんの奥さんって、小柄で華奢で、マジ好みっす。小生、東北方面ですが、どこへでも行きます。お相手させてもらえないですか。』

『はじめまして、ブラックの嫁のフェラ動画とかないのでしょうか。アップ希望です。』

『投稿が止まって、寂しい限りです。早めの復活お願いします。』

『動画なくても、ブラックの嫁さんの画像だけで、３回抜きました。お忙しいと思いますが、画像だけでもお願いします』

『ブラックの嫁ちゃんって、ｊｋじゃないっすよね（笑）。学生の頃の制服あったら、コス動画も見てみたイッス。』
　スクロールをするあずさは、すべてのコメントを声にして読み上げる。視線を画面から外し、お茶を汲みにいく小春を制した。

「小春、これ、この『ＭＡＤ』ってＩＤのコメント。読んだ？」

「え？・・・いつのコメント？」

「２０分前に来てる。」

『４０代の単独です。いつも拝見させて頂いてます。素敵な奥様で本当羨ましいです。昼間っからしごかせていただきました。他人棒のご経験ってありますか？リアルに視姦してみたいですね＾＾』

「これが？、普通のコメントっぽいけど。」

「４人目の時と同じようなコメントしてるし、投稿ＩＤが、一緒ね。」
　コメント欄を凝視する小春。他の投稿者と大きく変わりはないように感じた。あずさは、他のサイトにも目を配らせてる関係上、細かなことにも神経が及んでいると小春は思い、指示を仰いだ。

「あずささん、どうします？」

「小春、下着姿になって、・・・それと、エプロンってある？」

「えぇ、ありますけど。」

「バイブはないよね。・・・じゃぁ、お茄子・・・あった。」

「なにを・・・。」

「この時間帯に投稿してる『ＭＡＤ』にカマかけよ。」
　長茄子を片手に小春にストリップを促したあずさ。カーテンを閉め始めると、小春の意は固まっていた。


『何枚か撮り溜めた、嫁の下着エプロン姿投稿します。動画は、私が京都主張から帰る来週に投稿しますね。』

　投稿画像は、５枚。上下紺色の下着のままエプロンをし、台所で料理する小春のバックショット。ブラホックだけを外されたバックショット。

　エプロンで顔を隠しながら乳首が隠れていないフロントからの一枚。細長い長茄子を手に、同色のショーツのクロッチに擦り付ける接写。

　長茄子をショーツに潜らせ、割れ目に添わせたまま、隙間から覗く小陰唇を接写したもの。


　５枚の写真投稿が承認されると、更新ボタンを押して反応をまった。小春は、下着姿のまま座らせられ、あずさの微笑にあきれている。

「恐らく、煽ってくるわね。もっと激しいのはないかって。」

「えぇ多分、もっと、撮るんですか？」

「ＭＡＤしだいね。」

　他の投稿者の画像や動画を参考にしながらあずさは、小春に指導する。興味をもたれる投稿者は、丁寧な返信を素早く返しているのが特徴だった。

　１５分ほど経ったとき、更新ボタンを押すと『ブラックの嫁』の投稿にコメントがあるとの表記が現れた。

「きたきた。」
　小春は下着姿のまま、あずさの肩口からモニターを覗く。そこには、『ＭＡＤ』の文字のコメントが貼られている。

『出張お疲れ様です。五枚の投稿感謝します。奥さまの小陰唇、わずかに濡れているように見えました。このあと、茄子を埋め込まれたのでしょうか？小さめの襞に食われた茄子を食らいたいですね。出張からの帰り楽しみにしています。時間が許すならば、他の画像のアップよろしくお願いしますね。』

「どう、小春。」

「ん、なんか、すこし、興奮しますね。」

「ジュクジュクしてきた？」

「え、・・・そ、そんなことは・・・。」

「見られてるのよ、全世界のスケベに、小春のお○んこ。」

「・・・。」
　図星ねって感じの顔を小春に投げかけ、スクロールしながら返信のコメントをあずさは考える。数秒で思いついたあずさは、キーボードに指を這わせた。

『ＭＡＤさま。いつも、コメントいただきありがとうございます。この後、キツメのお○んこに少しだけ入れてみました。抜けなくなるんじゃ（笑）と思ったので止めましたけど、こすり付けるようにしたら、目が潤んでました。他人棒・・・いい響きです。僕はいつでもＯＫなんですが、嫁は３０：７０な雰囲気です。他の投稿者さまの動画を拝見し、「いいなぁ」と言う時もあれば、「２人っきりって怖くないのかなぁ」って言う時も。・・・女心って・・・秋の空ですね。』

　調子に乗ったあずさは、小春の承諾なしでモニターを覗き込む体を押し倒した。

「ちょ、ちょっと・・・あずさせんぱいぃ。」

「茄子、入れてみよっか？」

「えぇ・・・だめですって・・・。」
　あずさは転がったままの長茄子を手に取り、茄子と同色のショーツに指を差し入れた。差し入れた瞬間に女であるあずさには、全てが手にとれた。

「あら、ＭＡＤの他人棒、期待してる。」

「そ、そんなぁぁぁ。・・・クチュクチュッ。」
　陰唇に添わせたあずさの指先は、クチュクチュと湿潤を撹拌する。ショーツを下げぬまま、隙間から長茄子をくぐらせると、へたの部分を握り、圧迫というより撫でさするように膣前庭を散策させる。

「欲しい？お茄子ちゃん？」

「・・・。」
　無言で首を横向け、頬を赤らめると承諾の意ととったあずさは、柔々と先端を押し当てた。薄目の淫液がサポートし、五センチほどの茄子の頭が隠れると、小春の腰は引け、Ｍ字開脚のまま仰け反った。

「そのまま、・・・パシャッ・・・パシャッ。」
　シャッター音の後、画像を覗き込み顔の写りこみを確認する。顎のラインだけが判別されると、フォルダーに入れ、再び撮影モードに切り替える。

「このスマホって、動画も？」

「は、はいぃぃっ。」

「いい、ちょっと、抜き差しして、私の手が写るわけにいかない。レズビアンと思われても。」

「あぁぁ・・・こ、こう・・・うぅぅぅ。」

「ピコッ」
　あずさが無口になった瞬間、動画撮影が始まったと悟る。しゃべり言葉は消えると、甘い息だけがスマホのメモリーに記録される。

「あぁぁぁ・・・うぅ・・・はあぁぁぁ。」
　Ｍ字のまま仰け反った体だが、顔の写りこみを考えたあずさは、Ｍ字の間に体を潜り込ませ、ショーツの隙間を接写した。

　肝心な陰唇付近が写らないため、言葉を消し小春にショーツを下げるよう促す。理解した小春は、膝までずらし片足に引っ掛けると、これでいい？と視線を当てた。

　あずさは、指先でＯＫと合図すると、接写を始め茄子の抜き差しを録画する。

「ぬ、抜いてもいぃぃぃ？」

　再びあずさは指で合図する。

「だ、だってぇぇ・・・はいんないよぉぉぉ。」
　あずさの合図を無視し、小春は限界手前で茄子を抜き取った。抜き取られた茄子の先端は黒光りし淫液をこびり付かせてる。

　宿であった膣道は小さいながらもパックリと開き、画質が荒くなければ尿道口などの器官も写りこんでいただろう。

「ピコリッ」

「声、入ったわよ。」

「だって、この大きさは・・無理ですよ。」

「でも、リアルに感じてもらえるんじゃない・・・ＭＡＤには。」
　一分ほどの動画を編集無しにアップし、再びコメントを待った。

『画像さがしてたら、短い動画があったので、アップしておきます。小さめのお○んこなので、この茄子は流石に無理っぽかったようです。』

　茄子を片手にキーボードを叩くあずさ。黒田に協力を仰ぎたいが、自分の域まで到達するのは時間がかかりそうであると感じ、これからの手段を画策する。

『ＭＡＤ』の反応は、この日はなく、他のコメントは１０数件ほどあった。一段登るべき梯子をあずさは登らせようと小春に仕掛けをいそがせた。
　男と女の会話は視線のやり取りだけで再び成立していた。
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2012年11月10日掲載
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