なごり雪 『新・ＳＭ小説書庫２』二次元世界の調教師 作
２．謎の中年夫婦に拾われ上京（３８５１字） 　美里が家に来て、まさかの告白をした日より数日前。俺は、親父のツーリング仲間のおっちゃんに、風変りな話を、持ち掛けられていた。 「なあ、浩平君。いつまでもここに住んでるわけには、いかんやろ。東京に行って、働く気はないか」 「……でも俺、東京に行った事ないんで」 「それは心配いらん。親父さんの知り合いだった人が、住み込みの見習いを探しとるらしいんや」 「……考えてみます」 　それは、他にアテのない俺にとって、渡りに船の提案だった。東京どころか、大阪より東には行った事のない俺だが、直後にあった電話に、承諾しない選択肢はなかった。電話の主は聞いた覚えのない、妙に甲高い声の男性だったが、なぜか俺の事をよく知ってるらしい。 「アンタのお父さんとは、昔よく一緒にツーリングに行った事があるんだ。今は、東京で自動車整備工場をやってる。俺の所に来ないか？　小遣い程度しか給料は出せんがね」 　誰だ？　この人は。俺の事を知っていると言われても、生憎全く思い出せなかった。親父は、得体の知れないツーリング仲間を、よく家に連れ込んでいた。その中の1人だろうか？　自動車整備工の見習いと言うのも、学のない俺には好適で、美味しい話。俺はもう、正体不明だが親切なこのおじさんに、すがるよりない気分になっていた。だが、家内に代わるよ、と奥さんに聞かされたのは、正に青天の霹靂であった。 「浩平君、覚えてる？　まりおばさんよ」 　対照的にハスキーな低音で、セクシーな声だと思ったが、困った事にとんと覚えがなかった。親父は１人っ子だし、俺を捨てて出て行った母親とは、未だに音信不通だ。葬儀にすら親族は誰一人来なかったのだから。 　どうやら、この「まりおばさん」、俺がものごころ付くより前に、何度も会った事があるらしい。母の妹だそうだが、俺は母の事すら、うろ覚えだ。自分におばがいた事自体、初めて知ったのである。誰かにかつがれてるような、奇妙な気分だった。 「あなたのお母さんの紹介で、まさおじさんと結婚したのよ」 「ああ、名前も言ってなかったな。俺は田中正志。正しい志（こころざし）と書く。家内は真実の理屈で、真理だ。よろしくな」 　そんな感じで、田中夫婦は自己紹介し、俺が良ければ、すぐにでも迎えに来てくれると言う。俺は、この家を引き上げる支度があるからと、１週間後に約束し、その実、親父の事故車が戻って来るのを待って、乗り回してたわけだ。何しろほとんど大事な物などない、殺風景な部屋に住んでるのだ。その気になれば、引っ越しの支度など、半日で十分だ。 　そんな時期に美里はやって来たのである。そして俺が東京へ引っ越すと知り、突然の告白と恋人宣言。俺は「勝手にしろ！」と吐き捨てたけど、他に何が出来ただろう。こっちは初めての東京で、仕事を始めるのだ。いくら美里の愛らしさに初めて気付き、恋心を覚えたとしても、いっぱいいっぱいで、構ってやる余裕はなかった。 　そんなわけで、後数日の俺は、昼間バイクを乗り回し、帰ってから少しずつ、ゴミだらけの部屋を片付けた。でも最後まで残していたのは、エロ雑誌。「CREAM」のパンチラと、「SMスナイパー」の緊縛写真がオカズで、俺はもちろん恋人になった美里の、セーラー服を思い浮かべながら、チンポをしごいた。全然「女」を意識した事のなかった美里だけど、あの日、雑誌を見て恥ずかしがっていたアイツの姿は、クッキリと脳裏に焼き付いていた。 「美里……うお！　出た」　 　色白。黒髪。ポニーテール。その気になってみれば、美里は正しく俺好みの女だった。精子の製造が面白いように捗り、俺はサルのようにチンポをしごきまくる。トイレットペーパーが、俺のザーメン処理で、小山のように転がっていった。 　結局大して片付けるでもなく、迎えた田中夫妻の来訪。トヨタカローラが止まったので、俺は家を離れ、出迎えた。まず、グレーのシャツにデニムのGパンをはいた、中年男性が出て来る。正志さんだろう。正志さんは親しげに、俺の背中をバンと叩いて言った。 「よお！　浩平君か、久しぶり。大きくなったな」 「お久しぶりです」 　めちゃくちゃ素っ気ないけど、実際全然覚えてないんだから、仕方ない。正志さんは、１７２センチの俺と同じくらいの背丈で、少し腹が出ていたが、チョビ髭で愛嬌があり、気のいいオッサンと言う感じだった。彼は、停めてあったバイクを見て確かめる。 「おっ、カタナやないか。いいバイク乗ってるな」 「国産の名機だって、親父も自慢してました。でも……親父はこれで……」 「マサ君！　ホントにバイクになると、目がないんだから」 「そやったか。すまん。線香でも上げさせてくれんか」 　いつの間にか降りていた女性が、親父の事故したバイクを、称賛する正志さんの無神経さを、たしなめる。真理おばさんは、電話の声で想像していたのと異なり、小柄でとても上品そうな、清楚な美人だった。着ていたのは喪服で、正志さんのラフな格好とは対照的。俺は一気に緊張した。 「浩平君。私にもお線香上げさせてもらえないかしら」 「でも、うち仏壇も何もないんですけど」 　仏壇どころか、小さなテレビとビデオレコーダーが、ポツンと残ってるだけ。親父が借りて来るエロビデオを見るためで、今はビデオはない。そして、エロ本が残されていると言う、いくら父子家庭と言っても、欲望剥き出しで、恥ずかしい部屋なのだ。なのに、正志さんと真理おばさんは、ズカズカと遠慮なく入って行く。俺は慌てて、まとめて会ったエロ雑誌をどけようとしたのだが。 「おっ、懐かしいな、SMスナイパー。浩平君も興味あるんか。おい、真理……」 「トイレ貸してもらえないかしら」 　事もあろうに、SM雑誌を見て、真理おばさんに声を掛ける正志さん。おばさんは、チラッと見ただけで、恥かしそうに赤面し、トイレを所望した。俺はトイレに案内したのだが、そこで声を潜めた正志さんは、とんでもない秘密を教えてくれたのだった。 「おいおいわかる事やけど、覚悟して聞いてくれ。アンタのおばさんな、美人やし、家事も得意やし、性格もいい、申し分のないヨメや」 　ただのノロケかと思ったら、正志さんは爆弾発言。俺は本当にひっくり返りそうになっていた。 「ただしな、とてつもないスキモノなんや」 「スキモノって？」 「俺もたいがいやが、あの女の足元にも及ばんな。なんせ、三度の飯よりエッチ好きでな、構ってやらんと、すぐ機嫌が悪うなるんや。今だって、調教してやってるんだよ」 　そこまで話したところで、水を流す音が聞こえたので、打ち切って真理おばさんを待つ。SMスナイパーの雑誌を積んだ上に、線香を上げよう、と言う正志さんの、常軌を逸した提案にも、おばさんは無言で従った。 「仏さんも、大のSMファンやったからな。真理、浩平君に見てもらいなさい」 「ああ……はい」 　おばさんが、喪服の上をはだけていくと、何と赤い紐縄がギチギチに豊満な体に食い込み、亀甲縛りになっていた。大きな乳房は根元を括られて、バンと張り出し、プリプリの両乳首がピョコンと飛び出している。それだけではない。スカートをずらすと、腰部から繋がる紐縄が、キリキリと股間を締め上げ、いわゆる「股縄」責めだった。実際俺も興味があったが、エロ雑誌のグラビアや小説で読んだ事はあっても、本物にお目に掛かるのは初めてである。しかも真理おばさんは若くないけど、グラビアに出て来るどんな女性にも負けない美人なのだ。俺はゴクリと生ツバを飲み込み、正志さんが股縄の食い込み具合を披露するのに見入ってしまう。ちなみにおばさんは、中腰でしゃがみ、正志さんのエッチな手に、大事な股間を弄らせていた。 「マン毛を剃ってやったから、ツルツルで、良く見えるだろう」 「ああ、恥ずかしいわ」 「何を言うんだ。浩平君に見せたる、言うて、張り切って自分で毛を剃っとったくせに。ホレ、股縄が食い込んどる、木の芽も、マ○コも、ケツアナもバッチリやで」 　体の恥ずかしい部分を見られて歓ぶ、露出狂と言うんだろうか、変態性癖が暴露され、上品で清楚な美人、と言うおばさんに対する俺の第一印象は、地に落ちた。だが裏腹に俺の股間のボルテージは上がる一方で、ピョンピョン飛び跳ねたい気分だった、正志さんが股縄に細工した、３つの結び目が、クリとマ○コと尻穴に食い込む、モロな画像を見続けていたら、俺は鼻血を吹き出し、倒れていたかも知れない。 「よし、それじゃも一度しっかり食い込ませるんだ。この股縄を締めて、腰を揺さぶれば、気持ちいい所に結び目が擦れて、気をやる事が出来るんだ。縛られたままでも出来る、便利な自家発電装置だな」 　股縄をキッチリ締め直した正志さんは、小さな卵型の道具を、おばさんの大きな両乳首に、テープで貼った。 「甥っ子にイヤラシイ部分を見せ付けて喜んどる、はしたない変態女にお仕置きだ。浩平君、これを持ってくれ」 　正志さんが手渡してくれたのは、リモコンのコントローラ。さっき乳首に貼った道具を動かすものらしい。正志さんが試しに操作すると、ウィーンとくぐもったモーター音が聞こえる。振動してるのだ。真理おばさんは、気持ち良さそうにだらしなく表情を緩め、へたりと座り込んだ腰をモジモジ揺さぶり「自家発電」を始めてしまっていた。 「勝手に気をやったら、承知せんぞ」 「アン！　イジワルう……」 　こうして俺は、この変態夫婦のプレイに、参加を余儀なくされたのだった、
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新・ＳＭ小説書庫２
2024年9月1日掲載
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