なごり雪
『新・ＳＭ小説書庫２』二次元世界の調教師 作
８．幼馴染の恋人との再会と、週末だけの同棲（２６９６字）


　拘束されてたから不可抗力とは言え、血の繋がった真理おばさんとセックスしたばかりか、中出しまでやってしまった俺は、事の重大さを考え、さすがに青くなった。ところが、当の真理おばさんは、ちっとも気にしていなかった。


「いいのよ。私きっと子供の出来ないカラダだと思うの。正志さんの精子調べてもらったら、異常なかったし」
「出来ちゃったら、どうするんですか！」
「正志さんの子供って事でいいじゃない。大歓迎よ。浩平君、血液型は何？」
「A型ですけど」
「正志さんと同じよ！　ノープロブレム！」


　おばさんと正志さんは本当に仲の良い夫婦で、性生活も盛ん。なのに、今まで欲しい子宝は授からなかった、と聞いている。俺の心配をよそに、結局有耶無耶にされてしまった。もちろん暗黙の了解があったと言え、おばさんと関係した事を、正志さんに明かすわけにはいかない。この話はもう終わり。正志さんも交えた夕食時の話題は、次の土日にやって来る、俺の恋人美里の事で持ち切りとなった。


「ああ。それなら、仲間から聞いてる。いい所のお嬢様らしいじゃないか」
「どうせ、俺には似合わない、って言ってたんでしょう」
「ねえ、芸能人で言ったら、誰に似てるの？」


　俺は返答に困った。そもそもあまりテレビを見る習慣がなく、芸能人と言われても、良く知らない。そう言えば、美里は俺に告白して来た日、ピンクレディーのマネをしたんだっけ。でも似てるわけじゃない。ちょうどこの家のテレビじゃ、歌番組「ザ・ベストテン」が流れてる。誰か似た歌手でもいないか、と注目する。



　小泉今日子、中森明菜、堀ちえみ、原田知世、薬師丸ひろ子、と見てもピンと来ない。結局、その週の第一位が、雰囲気的には似てると思った。


「……松田聖子さん、に似てるかも知れません」
「お、そりゃいい！　お嬢様って感じだな」
「私もね、聖子ちゃんカットにしてるのよ。似合ってるかしら？」


　俺は又しても返答に困ったが、正直な気持ちを口にした。


「……はい。でも、おばさんの方が、ずっと美人ですけど」
「あら、浩平君ったら、お上手ね。又、デートしちゃおうかな」


　真理おばさんが、思わせぶりにそう言うと、まるでセックスのお誘いみたいで、俺はドキッとする。肌を合わせて、たっぷり精液を搾り取られた粘膜の記憶は、まだ生々しく残ってるのだ。否、それだけではない。あの衝撃的な、逆レイプ筆下ろしの一部始終は、俺の中に深く刻み込まれている。


　それにしても真理おばさんは、若若しく美形で、正に女神様。そんじょそこらのアイドルでは太刀打ち出来ない。男なら誰でも、こんな綺麗な女性とデート出来たら、舞い上がってしまうだろう。夫の正志さんが、正直羨ましい。この２人は、今でも新婚みたいな熱々のカップルなのである。


　ところがこの女神様、外見からは想像も出来ない、裏の顔を持っている。子供を授かる事を熱望し、１日も欠かさず、愛する夫との性生活に励んでいるのだ。夫の正志さんと共有する、２人の性に関する趣味は、ズバリSM。何を隠そう、専門誌「SMスナイパー」を愛読していた親父譲りで、俺もSMに強い憧れを持っている。隣室で夜な夜なSMプレイを楽しんでいる、正志さんと真理おばさんは、だから俺にとって理想の夫婦であった。


　親父が死んでから、俺は上京して、この田中家に引き取られ、本物の子供同然にかわいがってもらってる。正志さんがツーリング仲間と温泉旅行に行った、あの日。俺は後に残された、真理おばさんをよろしく頼む、と正志さんに依頼されて、親子みたいなおばさんと昼間はデート。夜になって、おばさんに拘束され、強引に童貞を奪われたのである。正志さん一筋に熱愛してる真理おばさんが、一夜限りのセックスパートナーに俺を選び、精液を大量に搾取した。やはりあれは、正志さんも合意の上での行為だった、と考えてもおかしくないだろう。


　さて、いよいよその週の土曜日。おばさんに場所を教わっていた美里は、迷いもせずやって来た。半ドンで、正志さんと仕事を切り上げようかと言う頃、おばさんが、美里を連れて来る。


「浩平くーん！　正志さーん！　美里さんが、いらっしゃったわよー」
「浩平がいつもお世話になっております。桑原美里です」
「ああ、田中です。どうも」


　俺は少し驚いていた。特徴的なポニーテールは見覚えがあるが、美里は完璧にお嬢様であった。上品な淡い色のワンピースを着こなし、ニッコリと微笑みを浮かべている。育ちの良さを絵に描いたようで、彼女の素性を知ってる正志さんも、素っ気なく応答しながら、緊張してる様子だった。


「家に上がって頂きましょう。お土産を頂いたのよ」
「詰らないものですが、皆さんでおあがりになって下さい」


　真理おばさんとは早くも打ち解けた様子で、連れられて堂々と入って行く。土産は果物の詰め合わせだったようで、おばさんが切り分けたマンゴー？　を、持って来た。俺は食べた事がないが、高級品なのは間違いなく、流石お嬢様である。俺が気圧されて手を付けずにいると、何と美里は自分のフォークで俺のマンゴーを取り、「はい、食べて」とやりやがった。


「あら、彼氏に食べさせてあげるの？」
「さすがは恋人だな」
「はい！」
「デートしていらっしゃいよ」
「そうだな」
「あ、俺着替えないと」


　よし、今こそおばさんに買って貰ったスーツの出番だ、と思ったのに。美里は、工場の作業服のままでいい、と言う。


「私いいお店知ってるんで。浩平に似合う服、買ってあげます」


　どうやら、大学の寮が結構近くにあるらしく、美里は既に土地に明るいようだ。結局おばさんとの疑似デートは意味がなく、三越デパートで服を買い、昼食。それから神田神社だの、美味しいケーキショップだの、秋葉原の商店街だのを連れ回されて、夕食時に戻って来た。お金を出したのは、もちろん全部お嬢様の美里である。


「もし良かったら、晩御飯作るの手伝わせて下さい」


ーーコイツ、実家じゃメイドにやらせてたくせに。


　厚かましい願いだったが、意気投合してた真理おばさんは、「花嫁修業ね」とアッサリ承諾。いや待て。話が早過ぎるだろ。だが、お嬢様らしくもなく、美里は超積極的だった。まさかと思ったが、俺の部屋に泊めさせてくれ、と言い出す。


「今日はちょっとね……準備してないし」
「当たり前だろ！」
「あの、土曜だけでいいんですが」
「じゃ、来週からね」
「いいんですか？　正志さん？」
「真理さえ良ければ、俺に異論はないよ」


　こうして俺は、美里と週末だけの同棲生活を送る事になったのだった。
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新・ＳＭ小説書庫２
2025年1月5日掲載
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