教え子の母 ＹＯＫＯ 作
５． 　家庭訪問で真理子と接してから弘樹はますます真理子のことが好きになっていた。 　他のドブスで不美人な醜女な保護者たちは化粧も濃く派手な格好をしていた。 　だが真理子は違った。 　すっぴんで服装もシンプル。 　それでも他の誰よりも美しかった。 　世界で一番美しいと思っていた妻にも何も感じない。 　真理子ともっと早くに出会いを結婚したかった。 　真理子の家には写真が飾られていた。 　誰かの結婚式だろうか。 　真理子はドレスを着ていた。 　その姿がなんとも言えないほど美しかった。 　ウエディングドレスを着た花嫁よりも美しく感じた。 　真理子の花嫁姿も見てみたいと思った。 　真理子こそ本来自分が結婚すべき女性だったと弘樹は思った。 　真理子にとっても自分が運命の男性だったに違いないとも思った。 　二度目の授業参観が近づいていた。 　弘樹は真理子に電話をした。 　電話に出た真理子の声は美しかった。 「お話したいことがあります」と言った。 　また家に伺いたいという弘樹の思いに真理子は答えてくれた。 「優人くん、あまりにも宿題を忘れるので心配なんです」と言った。 　真理子は申し訳なさそうに謝罪をする。 　そんな姿もまた美しいと弘樹は感じる。 「優人くん今はどちらに？」と言うと近所の子たちと遊んでいるとのことだった。 　そこでまた案内をしてもらうことにした。 　真理子と並んで歩く時間は最高だった。 　そんなとき弘樹は鼻がムズムズしてしまう。 　そして咄嗟に太陽を見上げた。 「ぶしゅー」とくしゃみをすると「くしゃみをするとき太陽を見るときれいなくしゃみが出る」と言った。 「まあ弘樹先生ったら」と真理子は笑顔を見せた。 　その笑顔が実に美しかった。 　笑顔を見れたことでくしゃみをしてよかったと思った。 　すると真理子の様子がおかしくなった。 　鼻を擦っている。 　そして真理子も太陽を見上げた。 「ふぇしゅー」と真理子はくしゃみをした。 「まあ弘樹先生の言うとおり。くしゃみをするとき太陽を見るときれいなくしゃみが出ますね」と真理子はまた笑顔を見せた。 「真理子さんのくしゃみ上品ですね」と言った。 　真理子は名前で呼ばれたことに驚いた様子だが「そんなことないです」と言った。 　先日聞いた豪快なくしゃみが真理子のではと少し疑っていたがやはり違ったと思った。 　豪快にくしゃみを連発する女性がいきなりこんな上品にできるわけないと思った。 　優人には宿題をやるように話すとまた真理子と歩き出し話の続きをした。 「真理子さんに保護者役員長になって欲しいです」と話した。 　真理子はいきなりの推薦に驚いた様子だが「考えておきます」と言った。 　真理子の中で息子のことも熱心に考え保護者一人一人の名前まで覚えて良い教師だと好感度が上がった。
【前】/【次】
あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
ＹＯＫＯさんの作品集→
2017年2月11日掲載
Copyright (c)2017 ＹＯＫＯ All rights reserved.

▲