奥様は接待秘書
浩一 作
自供する女　５

　留置場のコンクリート床に響く深夜の見回りの靴音、悪夢に時よりうなされ、鉄格子の高窓から差し込む薄明かりの陽炎に、病院の窓から眺めた港の風景を思い出しました。
　よくも人生観を変える出来事が、あの半年間に起こった物だと思いました。

　想えば遙か昔のようにも、妊娠、初めてで最後の妊娠。月の物が来ない遅れているだけではない。すぐに分かりました。
　うれしさよりも恐れ、主人とはありませんでしたから。南野社長の子、時期的に重なる理事長のじいちゃんにも、まだ能力があればそうかもと、どちらにしろ不倫の子を宿した女です。

　当たり前のことなのに、妊娠なんて気にも留めもしなかった。１８で主人と結ばれ、結婚後の７年、その兆候すらなかったんです。それがお腹の痛みが気になって、不安が顔に出てたのか社長から言われたんです。

『顔色がわるいけど、緋紗子君はどうしたのかな』
　社内でも社長は下の名で、わたしを呼びます。それが特別のようでうれしかったけど、その時はただ虞れ、正直に話をしました。
　妊娠、わたし産みたいんです。と、戸惑う社長の顔。

『確かめてみなさい』
　社長からこの病院を指示されて。控え室から下がるとき扉の隙間に社長の声が聞こえた。

『妊娠したから生みたいなんぞと俺を脅迫しやがって、清麿…！どういうことだ。緋紗子にピルも飲ませてなかったのか…！？』
　怒りからの苛立ちに村田に電話をしてる声でした。
　脅迫なんて、思いもしなかった言葉に唯々ショックでした。

　お腹の痛み、検査の結果は最悪でした。子宮外妊娠で手術しなければダメなんだって。ドクターは社長に連絡を入れたのか、すぐに入院と決まりました。

『今回は断念してもらわなければ仕方ないかな。片方の卵管は残すから望めば妊娠することが出来ますよ』と、言われた。
　ドクターの言葉は今も忘れません。本当に赤ちゃんが欲しかったのです。なのに悪いことは続く物です。

　ドクターは今回だけって言ったのに、手術後、残る卵管や子宮にも障害があり自然妊娠の可能性は、ほぼゼロ、良くて１００分の２〜３もないだろうだって。
　ここ５０年、日本人の精液中の精子数減少に伴う、精子の運動能力の低下により、自然妊娠は無理と、ドクターから聞かされた高説に、体外受精を勧められた。
　体外受精ならと言われても、いっときの赤ちゃんを得た喜びは去り、そこまでして主人に内緒で南野社長の子種をと考えたらイヤになって、まあいいかってそれっきり。
　社長から気を落とさないようにと、励まされてもねえ。
　もう以前と同じ目で社長を見ることは出来ませんでした。

　退院後の長期休暇、術後の傷痕の癒えと共に社長のお勧め通り、ＶＩＯの永久脱毛に医療エステ通い。除毛状態が必然になると、少し伸びても気になるんです。
　体毛の濃い男性の皆さんなら分かると思うんですけど、毎朝のひげ剃りって大変でしょ。毛って毎日伸びてくるんですよね。
　ブラジリアンが秘書室のステイタスだけど、わたしだけがまだ腹腔内鏡傷痕に恥毛を残してる。今にして思えばそれもまた貴重品か。

　出社しても自己管理出来ない女と、この妊娠騒動に先輩秘書から総スカン。良人を持つ職業婦人として、不倫の子を出産したいなどと言う発言を咎められ、室長だった由香利から社長秘書室勤務を解かれれる始末に、身は望んでの迎賓館勤務の自由職。
　愛人という安住の暮らしを捨て、社長から惜しまれつつもコンドームの扱い方を指導され、身一つ接待秘書という名の特別雇用の契約社員になったんですよね。

　接待秘書、名刺には秘書室迎賓館付と書かれてはいたけれど、立場上社員でおられる分けもなく、社中においては数少ない性接待のスペシャリストとしての契約でした。

　理事長のじいちゃんに指南されし四十八手の技に、大和撫子としての振る舞いに、顧客様を一夜限りと最上級のおもてなし。きれい事と言っても所詮はお金、お金がなくてはこの先も、南野一族の慰み者でいるしかないのです。

　夜のビジネス最前線に活躍する職業婦人として、秘書室長たる由香利との確執に愛人ひとり守れない南野社長への当て付けに、将来もなく捨て鉢な思いに突き動かされ、接待秘書を志願いたした所存です。

　接待秘書、まず求められた物は、男性から見て女としての理想的な体形、ロードスターの軽快さを残しつつ、レクサスＬＳの後部座席の乗り心地。
　村田に切られた散切り頭のグラボブも、ミディアムボブに毛が伸びて、柔肌の手入れも怠りもなく。プロの指導に自慢の肉体のケアには特に念入り。

　わたしのような乳房が大きすぎる女は、胸の筋肉を落とすとすぐにオッパイの張りに影響しちゃってダメなんですね。魅惑的なオッパイも土台は筋肉、維持するのも大変なんです。

　性感が落ち不満ではありましたが、顧客様と直接肌を接触するのではなくコンドームという隔たりをしてのこと、バイブやローターを入れられるのと何ら違いはありません。
　残念なことに、理事長のじいちゃんにしてミミズ千匹と形容するわたしのを、職業倫理上、顧客様には極薄のコンドームを通してでしか、味わってもらう分けには行かないのです。

　生シャクに固くされた顧客様の物に、口に入れたコンドームをかぶせスルスルと唇で下ろして行くしか仕方がなくて、申し訳ない気持ちに意図的に膣の締め付けを多くすると、顧客様に早出しされるこのジレンマ。

　日本女性の楚々とした美と淫乱とも思える女の性癖に、悦びにわたしを抱かれた政財界の著名人の方々、来日された海外の要人、官僚からヤクザ紛いの殿方まで。
　叱咤激励に年齢も忘れ２発３発と頑張って頂き、望まれれば顔射に生飲みゴックン。キスや口淫では感染症の心配もしないで済みますし。
　一夜妻として、お相手した顧客様からの再指名、それが接待秘書としての、わたしの誇りでもありましたから。

　とは言う物の、誰にでも初仕事の恥ずかしい失敗はある物です。接待秘書としての初仕事というか、社長の陰謀というか、退職の手続きを終え、新たに時給４万円の雇用契約を結んだその日の午後でした。
　由香利から会うように指示されたのは、西アフリカ国の方で日本の大学に留学中の、現大統領の一族ということでした。

　これからお仕事をいただく契約社員の処世術でしょうか、人事部長から即され、退職のご挨拶と今後の予定とかを秘書室に伺ったときに、由香利から突然言われたんです。
　部屋には和美さんと言う先輩の接待秘書さんがおられて、話の真っ最中。わたしは軽い会釈に奥の椅子に腰掛け、待つつもりだったのです。

「５ッ星ホテルっても由香利さん、いくら何でもイヤですよ。断れないのですか？」
　接待秘書の方が相手によって拒否されることは間々あることです。ただ和美さんに限って、そんなこと初めてだったんです。
　だからつい話に聞き耳を立てちゃって。

「だからお願い。ねえ和美、話をよく聞いて欲しいの」
　和美さんは今夜の接待相手にかなりナーバスになっていました。

「またあんなの接待するくらいなら、ジャングルに住むゴリラのほうがまだましですよ。あの顔、あんなのにキスされ抱かれたかと思うと、ゾッォーっと虫酸が走ります」

「それは和美、あなたが黒人も嫌いじゃないと言ってたからでしょ」

「でも由香利さん、いくら私が元黒専だって、私が付き合ってきた黒人って、日本語も話せる教養人ですよ。ついこの間までヤリを持って、ライオンを追いかけてた人たちとは訳が違いますよ」

「まあ、確かに日に焼けて色は真っ黒けで、白いのは歯だけってとこはあるけど」

「黒人っても限度ってあるじゃないですか、あのご面相に精力絶倫ときて、黒人にして並以上のビッグサイズですよ。私一人を相手にそれも体が壊れるほどしつこく責められちゃ、１０万円の特別手当をもらってもイヤですよ」

「あら、それがいいって言った人は誰かしら、まあ、今日のところは元社長秘書の新人さんが、代わりにお相手して戴けるそうだけど」
　由香利がわたしを目で指します。

「新人？あっ、そういうことですか…！良かったァ。じゃ緋紗子さんお願いね」
　と、よりによって２人、わたしを目の前にして。

　あっけにとられたわたしを残して、和美さんは部屋を出て行くんです。そうなると新人の契約社員の立場じゃ、断れないじゃないですか。

　なんの用意も心の準備もなく、急遽決まった最初の顧客が評判の良くない黒人だって。しかも相手国大使館近くのホテルでの出張接待です。
　トラブルがあってもガードされることもない悪条件、５ッ星ホテルというのがわずかな救いでした。

　和美さんから異様なまで容姿が嫌われてはいたけれど、顔かたちや人種でその人を判断することは、接待秘書にしていけないことと思いつつです。
　送迎のレクサスの中、ひとり不安にホテルに向かう最中、社長から電話をもらったのです。
　何のことはない今回の設定は社長が企てたことでした。

「うん、緋紗子君なら引き受けてくれると思ってね。だからホテルにしたんだ。顔は少しブサメンだけど、気の良い黒人でさ」
　社長に秘書室での会話を聞かせてあげたいくらいです。

「社長…和美さんが断らなければ、どうされました…！？」
　シャクに障るので、少し皮肉に聞いてみた。

「アア、その件なら由香利に任せてあったから。緋紗子君、せっかくのチャンスなんだよ。ビデオ撮影を置き土産と承諾してくれたのはヤツだけなんだよ。絶対外部に出すことはない。１００万円を臨時ボーナスとして弾むから、緋紗子君も承知してくれよ」

「えっ、ビデオで撮影って、わたしのを撮るってことですか…！？」

「まあ、とにかくホテルまで来てくれ。話はその後にしよう」だって。
　送迎のレクサスの中ですから、とにかくホテルまで行かねばなりません。

　ビデオ撮影、無修正ＡＶや異人種間性交のアメリカンポルノを見慣れていたけど、正直自分が写るとなると気が引けるんです。
　でも今更ですよ。これから金銭目的を含め接待秘書を志そうとする女がですよ、簡単に断れないじゃないですか。
　社長の愛人を辞した今１００万円の臨時収入はありがたいし、並外れたサイズで絶倫、それも気になりました。黒人、ビデオ撮影、絶対後ろに理事長の影。

「もう社長ったら、それ理事長じいちゃんに頼まれたんでしょ…？」

「いや、まあそれもあるが、そのなんだ、俺も緋紗子君の今後が気になってね。じゃ早速撮影の準備だけはしておくよ。１８時になったらフロントに俺の名前出してくれ。ちょっと考え事があってさ、それまでに軽い食事かなんか摂ってロビーで待っててよ。そうエレベーターホールから見えるとこでさ」
　返事をする前に電話を切られた。

　なにか騙されたみたいに、とんとん拍子にことが進み、１７時過ぎに送迎のレクサスは地下駐車場に、降りるとき気がついたのです。
　ホテルでの出張接待と初仕事に支給された衣類、履いていたのが５インチの米国製のピンヒールだったのです。
　今から思えばたかが１３センチですが、あのときのわたしには限られた屋内でしか履いたことがなかったのです。

　ホント、この時間にこの格好の女一人、どこで食事をしろって言うんだよ。あの一族、全〜部、自分勝手なんだから。
　と、非常食のカロリーメイトをこっそりと、地下エレベーター前の通路で囓る。朝も晩も、なんて情けない食生活だろ。

　フロントから外れた椅子に腰掛けた。女一人、秘書のときより短い膝上２０センチ、タイトミニのスーツの下に正装の黒下着、座るとタイトスカートの裾からシームストッキング端の、レースの飾りやサスペンダーまでが丸見えでした。
　バッグを太ももの上に置き、両手でそれとなく隠すしかなかった。
　キャリアウーマンを気取っても５インチのヒールじゃ、足を斜めに揃えたり、足組んでもどうあがいても下着が見えるんです。
　５ッ星ホテルですよ、場所柄周りの視線が気になりますよね。

　もう少しで悲鳴を上げるところでした。変装しアタッシュケースの隠しカメラを床に置き、エレベーターホールの壁にもたれ、わたしの姿を盗撮する、社長の姿を見つけたんです。
　ショック…！もうバレて警察に通報されないかと、こっちが心配するぐらい。

「なにやってんですか…！」
　と、言って睨みつけてやりました。

「バレちゃったか、さすがうちの秘書、周りに目を配ってるもんだね」
　気がつけば人が少ないロビーの片隅とはいえこの時間、好奇な視線がわたしの身に。

「エレベーターからこっち、おかげでいい絵が撮れた。緋紗子君行くぞ」
　手を引かれエレベーターに、よろけそうな５インチのハイヒールについて行くのが精一杯。
　行き先は最上階直下のスイートでした。

　笑ってはいけない。最近のビデオカメラはライトまで点灯するんです。スイートが並ぶフロアを、大会社の社長とあろう男が、這いつくばっての下からのアングルで撮してる中、その格好で精一杯セクシーに歩いてる女を想像して欲しいのです。

　気が動転している間に、すっかり社長のペースに引き込まれてた。ドアを開けるシーンは、室内から撮るようで社長が先に入ったのです。
　合図のノックにドアを開け、ライトのハレーションのまぶしさの向こう側、入ったリビングとした部屋のソファーに、理事長のじいちゃんとプロレスラーのような黒人２人。

「はあ、黒人２人ぃ…！」
　社長にだまされた。それが愛すべき黒人キンちゃんとの出会い。
　座っていても分かる巨体に、真っ黒い顔の２人が並んでいた。この場に及んで今さら撮されることを断ることは出来ない雰囲気でした。

「よっ、緋紗ちゃんや、今日はよくぞじじいの頼みを引き受けてくれた。こちらにおるのがダックと言う名の今夜の主賓じゃ。横に座っておるのがキンタと言って今日から研修で、早い話が興味津々について来おったわい」
　なるほど、もう一人はギャラリーか、そのときはまさか横に座るキンちゃんと、あんなズルズルとした関係になるとは思わなかったのです。
　それよりこの男、社長がブサメンと言った以上の値打ちはある。読者様にはボビーオ○ゴンを凶悪にした顔を思い描いて欲しいのです。

「で、じいちゃんはどうなのよ。教育者なんでしょ、それが良いの」

「それはじゃ、今日は留学生支援協会の理事としての立場で、帰国するダック君の歓送会じゃ。だからリソノ一番の超極上の美女、緋紗ちゃん出番なのじゃ。よろしく頼むぞ」

「オッ、ワタシからもよろしくお願いしますだ」
　なんだこのダックて黒人、日本語話すじゃない。

「わたくし、光田緋紗子と申します。ふつつか者ではございますが、よろしくお願い致します」
　なんでわたしがこんな挨拶してるんだ。

　となりのベッドルームでは社長が撮影準備をしていた。下手の横好き素人のなんとか機材だけは立派な物だ。
　腹立ちにルームサービスに、汚しちゃならぬと支給品の高額そうなスーツの上着を脱ぎ、理事長のじいちゃんの奨めにトリカラと中華のオードブル。
　駆けつけ一杯のビールに名も知らぬ高級酒もたらふく。矢でも鉄砲でも持ってこいと、酔わずに、こんな凶悪顔の黒人とビデオに撮されながらなんか出来るもんか。

　接待秘書の初仕事、その夜は最悪というのか、最高だというのか、とにかくダックという名の凶悪顔の黒人と、キンちゃんともカメラを構えた社長の前、好色の理事長のじいちゃんがのぞき込む中で、酔っていたを言い訳に、ハイ、いたしました。
　それもコンドームも着けていません。

　撮影の開始はソファーの前、キンちゃんは請われてライト係。片側のソファーにはわたしがひとり、対面するソファーに今夜の主賓、顧客様として最悪の黒人と理事長のじいちゃんが座ってた。

「オウ、理事長さん、ヒサさんとってもとても美しいですねえ」

「だろう、あのタイトスカートの張り具合、尻の形は最高じゃぞ」

「きれいなストッキングの足ですねえ」

「太ももの白さなんか輝いておるじゃろが」

「とてもとっても魅力的な本物オッパイですか」
　カットソーの盛り上がった胸の辺りに、うっすら透ける黒ブラに、うふっ、こんな男でも気になる物は気になるんだ。

「オッ、緋紗ちゃんや、その魅力的な爆乳をダックのヤツが疑っちょる。ちょっと見せてやってはくれんか、ついでに美脚を拝めるようにスカートものう」

「もうじいちゃんったら、このスケベ」
　快い酔いに目の前の顧客にあたるダックという黒人が舐め見る前で、丸襟首のカットソーを上に脱ぎ髪を振るった。その動きに支えるだけのブラから乳房がプルルと揺れた。

「オウ、ヒサさんブラジャーとてもとても素敵でえ〜すねえ」

「オッ、さすがじゃ、緋紗ちゃんやそのブラ、乳首まで見えとるぞ」

「そう、じいちゃんの村田というバカ息子が買い与えてくれた物よ」

「ウム、さすが清麿じゃ、センスは良いのう」

「もう親バカなんだから」
　と、立ち上がり、後ろに手を回しスカートのホックを外す。ファスナーを引き下げ、ちょうど黒人が舐め見る目の高さから、窮屈なお尻を振り振り通すと、するりと足下に落とした。
　黒人とじいちゃんの目が一点、ヒモＴの小さな三角に。

「オウ、さすがでえす。ランジェリー姿が最高にビューティフルですねえ」
　どんな男にも誉められればうれしい物です。ついクルリとヒモＴの後ろ姿まで見せちゃいました。

　自慢の肉体を賞賛されての中、酔った勢いに下着姿にされ、社長のカメラは全身を舐めるように撮して行く。
　わたしもついカメラを意識して、ソファーに座りハイヒールを履いたままのストッキングの足を、カメラを前に開脚しちゃったりして。
　うっすら透けるパンティの小さな三角から浮き出た溝を指で辿ったり、過剰とも思えるポーズを大サービス。

　今夜の主賓の特権とダックという凶悪顔の黒人が、待ちきれずにか、そんなわたしの横に来て肩を抱いたのです。

「マッサン、ヒサさんと始めえてよろしいでぇすか？」
　社長がマッサン…？おもわず吹き出しそうになりました。

「オオッ、早速か、まあいいだろう」
　社長は同意を得るのかじいちゃんの顔を見た。マッサンねぇ、社長の名は正道だからそれもありか。

　それが合図に、今夜が日本人女性を抱けるのが最後と、ダックという黒人はじいちゃんの言う下着姿の超極上女を前にして、我慢も出来ぬようで早速に抱きつかれ、ブチュリと最初のキス。
　泡に糸を引き粘る唾液に差し込まれる長い舌、太すぎる腕に背を抱かれ、抱きすくめられて筋肉隆々の胸の中。
　むさい黒人種の体臭に、こっちも風呂にも入ってないからお相子だと、社長に急かされるまま応じたんです。

　合わせた唇に浮かせた口元から長い舌先が、わたしの口内まさぐり舌を絡めとり、背を抱く手が這いずり、ヒモＴの何もない素肌の尻をまさぐった。
　女って便利な物、目さえ閉じればイケメンもブサメンも同じ男、あとは性的能力の比較だけです。

　世間の女もうらやむ、超いい男の愛する主人を持ち、離ればなれと暮らしても、女としてのステイタスも申し分ない。後はその主人との生活を取り戻すため、凶悪顔の黒人にも抱かれ、お金を稼ぐだけです。

　下着姿のまま抱き上げられての、お姫様抱っこにベッドルーム。傘が開いた照明付きのレフ板が２つある中、そのまま広いダブルベッドに。
　レロレロ、ブチュブチュ唾液を交わすディープキッス、首筋に男の唇が這う後方に社長のカメラ、もう身を任せるしか仕方ありませんでした。

　ダックという黒人の舌が首筋から乳房に、黒い指に肩紐がずらされる。わたしが浮かせた背からブラのホックを外された。
　肩紐が腕から抜かれ、むき出された乳房をそのごつい両手に揉まれ、あの分厚い唇がブチュリ。細めた唇につん立った乳首に舌先が。

「あは…っ！」甘息が漏れる。タラコ状の唇は乳房にキスマークを付けるかのように吸い付き犯し、やがて脇腹を這い下半身へとたどり着く。
　黒い太い指がパンティの腰ヒモに手がかかり、わたしは腰を浮かせた。ズルリとズリ下げられたヒモＴからハイヒールの足を抜くなりです。裸の陰部にあの唇で吸い付かれたのです。
　うごめく唇に舌先、もう社長のカメラが撮されているという意識はなくなり、感じすぎるクリトリスの肉芽を吸われたとき、もう夢中にダックという黒人の後頭部を両の手で抱いていました。

「あはっ…！ああっ…ああ、あああ…」
　声が出るんです。足と足の真ん中にスキンヘッドの頭が動き、あの唇が長い舌が自由自在に我が身の淫唇をもてあそぶのです。

「ああっ…だめぇ…あっ、ダクちゃん、やめてぇ…！脱がしたげるから」
　このままでは相手のペースと、接待秘書の誇りに快感を振り切り、攻守ところを変えダックの衣類を脱がせにかかったです。

　シャツ１枚の上半身、脱がせば真っ黒な肌、ベルトに手をかけズボンを緩めズリ下ろしたとき分かったんです。
　凶器、人間凶器、まだ半立ちながら３０センチの物差し以上の長さに、手に握った太さは、指を遙かに余すんです。

　その黒い、真っ黒なおチンポを口にし、クチュクチュレロレロと生シャクに成長しきったときの窮屈感、あの凶悪な顔が気持ちの良さに顔をゆがめるんですよ。
　手に感じる太さ、唾液を混ぜムングムング、ベチョベチョ、チュルチュルと音を立て、それなり以上のもてなしはしたつもりでした。

　なのに凶悪な黒人の腕に突き飛ばされるように引き離され、今度は彼がのしかかって来ました。男と女の名誉をかけた主導権争い。
　黒い男の手で膨れきった亀頭の膨らみが淫口に押し当てられ、ズブリ唾液と淫汁まみれにグスリと中に。膨らみを飲み込んだ膣口は歪に丸くカリ首を喰わえてた。
　褶曲する尻の動きに、上方に反り返り血筋を浮かべた肉胴がムグリと押し込まれ、ややも発達した亀頭が、膣肉の襞粘膜を押し広げるその強烈な侵入の快感に。
　思わずまた喘ぎをあげたんです。

「ああっ…いい…いいぃ…わぁ…」
　ズンズブズブリ、ズンズブ、ズブズブと湿りを帯びた黒人のリズミカルな抽挿に、もうのっけから声を上げたのです。押し込まれる先端の巨肉に、カリ首に膣襞が絡み引き抜かれる。この気持ちよさにビンビンと感じちゃったのです。

「うっ…ああぅ…ああっ…だめえ…だめぇ…！うふっ…あはぁ…」
　肉体が壊れるかと思えるほど動く巨肉がもたらす快感でした。黒人ってすごい、あの太いバイブと違って、これが人間の生なんですよ。
　わたしの上に腕立て伏せで乗っかり、真っ黒でその柔軟な肉体に、常識外れに発達した背筋に打ち込まれる肉のピストン。
　ズンズン、ズボズボ、アクセルを吹かせ、黒塗りのダッジバンが大排気量の性能をあらわに、良人や南野一族、わずかな日本人しか知らないバージンロードを、超大型の黒光りした車体で縦横無尽に駆け回るのです。

「あはぁ…いいぃ…いいわぁ」
　巨物につらぬかれるまま、駅弁に抱え上げられたのです。尻近くの太ももを持たれ、不安定にわたしは黒人の首っ玉に手を回し、ぶら下がるような格好です。
　３５センチはあるのだろうか、そんなのが重力に奥深くまで挿入されたのです。小柄な和美さんが壊されると言ったわけです。

「ソーリー クジュー スローリー プリーズ」
　と、わたしは３５センチクラスの化け物への対抗上、乱暴はしないでとカリ首を意識して膣肉で締め付けてやりました。
　下手な英語を理解したのか、上下に適度に揺すられ無重力の空中遊泳、自由落下を太い肉棒が支え、そのたびに擦りあげられる膣粘膜。もう最高でした。

　黒い手に抱え上げられる上下運動に２メートル近くある黒人目線、その宇宙から見下ろす気持ちよさに、撮影ライトを移動するキンちゃんや、理事長のじいちゃんという見物客がいることにも、また気づきました。
　巨躯の黒人との繋がりを、黒肌と白肌のまぐあいを注視しているじいちゃんの、その薄い白髪頭が起き、目が合いました。

「仏壇返しを駅弁で出来るかの」
　わたしに言ったのか、理事長のじいちゃんがそう言うと、キンちゃんが現地語で通訳。

「オッ、理事長さんオーケーね」
　自慢げなダックという黒人に足を着かされ後ろ向き、わたしは前に手を付き少し足を開いて仏壇返しの体位を取りました。
　細腰を持たれ後ろからズイーンと、巨太さに馴れた膣肉が快感に受け入れます。
　軽い抽挿に手を取られ、後ろ手にされたところで気がつきました。体重５０キロの女を仏壇返しに駅弁で、そんなのじいちゃんや並の日本人に出来るわけないと。

　後ろ手を黒人の太首に組みました。そのままスィーと空中へ持ち上げられた。空中でハイヒールを履いたままストッキングの足を広げた肌白い女が、カガミのようになった窓ガラスに映っていました。
　ズンゴズンゴと下からまた、持ち上げられるように揺すられ身が上下に動き出し、乳房はブルブルと震え、黒く影のような肉体に背後からもてあそばれる我が身に、快感にまた打ち震えました。

「あはぁ…あふ…あふん…うっ…うふうっ…」
　わたしの目にもやっと、背後の巨体の黒人から挿入されている股間までが、窓ガラスに映って見えたのです。
　わたしという女体を後ろから串刺し、ストッキングの太ももをその太い腕で軽く抱える真っ黒の巨体は、じいちゃんがいるソファーへと向きを変えたのです。
　じいちゃんの好奇な目、撮影ライトが黒人と繋がる股間に当てられ、社長のカメラが間近に撮します。

　向こうにあるテレビがモニターなんですね。目をこらすと真ん中に隆起した淫茎からクリトリス肉芽が剥き出て、その下に小陰唇を丸く広げる真っ黒な肉棒が淫汁に濡れ光り、上下に動く丸まった睾丸から上に伸びていました。
　もう心臓がバクバクと音を立てています。すごい、ビデオに撮されるなんてもう最高、レンズの向こうに見入る大勢の男たちの姿を、つい想像しちゃいました。

「あふっ…あふぅ…あぅ…ああ…ああっ」
　ノッシノッシと揺れる肉体に髪がふわり、乳房はブルンブルと跳ね動く。彷徨うエクスタシーの中、夢中の締め付けに、さすがの絶倫黒人も、たまらなかったのでしょう。

「ヒサさん、いいぃ、出していいですか」
　と、そのままベッドに手を着かせ、最後は後背位に射精の動きを見せたのです。今さらコンドームを着けるには遅すぎるんです。
　目の前に、わたしの逝き顔を追う社長のカメラ。注視される視線の中、寸前のわたしと同時に果てるようにと、お尻を突き出し膣肉をキュキュギューっと、中を動くカリ首を締めたんです。

「あっ、いく、いくいく、いちゃうよぉ…！」
　先に逝かされた。
　真白くかすむ意識の中、細腰を持つダックの手が、真っ黒い黒人の手に力が入り、後方からは野人の咆哮が聞こえたそのときです。
　膣口に感じた拍動、尿管が息をする動きに飛び出る黒人の種液、ドクドクと膣奥に流入される温みに、手は震え支えを失い、身はベッドに崩れる感無量の恍惚感。
　ほんと黒人って最高、そう思いました。
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あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
2015年12月5日掲載
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