奥様は接待秘書
浩一 作
９　弁護士の女

　朝からどんよりとした曇り空でした。葬儀ミサから火葬後の祈りまですべての行事が粛々執り行われ、家族に残された物は空虚と言うか虚脱感だけでした。
　香里奈があんな小さな白磁の壺に収まる日が来るなんて、それも両親や姉である私よりも早く、天に召されるとは想像もし得えなかった。

　事件の一報を聞いたのは薬物使用の件で不起訴が決まり、緋紗子が釈放されたその日のその夜でした。
　私が弁護士として付き添い、非番の理恵が身元引受人として池袋署から、野方の理恵の狭いマンションに着き、緋紗子のこれからを話してる最中だったのです。

　それは捜査１課から理恵にかかってきた電話でした。最初、横で聞いていても、なにを言っているのか分からなかった。

「長野県警からですか、ハイ、ナイフのような物で胸を刺され心肺停止状態？！。現場は…？ハイ、(株)リソノ社長南野正道の別荘ォ！。ハイ、被害者の名は高桑香里奈…！？」
　理恵が唇を震わせ顔色を変え、あの鬼刑事とは思えぬ振る舞いに、聞き耳を立て聞いたこと、妹、香里奈の名が出て理恵と目が合った。

「搬送先は中軽井沢病院ですかハイ…！、先生、えっ…！光田浩一が容疑者？。ですか？」
　耳に入ったことを疑った。
　まさか、リソノ社長南野の別荘で妹、香里奈が刺され、容疑者として光田先生が拘束されたなんて。

「芹香…！すぐお父さんに連絡とって…！高桑教授に早くぅ…！」

「理恵っ…！分かった。おひさはどうすんの…？」

「とにかくさ、ここに居て、１課に戻ったらとにかく連絡を入れるから、お願いね…！」
　理恵は急ぎ捜査１課へと戻り、繋がらない電話にイラつきながら、放心状態の緋紗子を横に私は家族に連絡をとり続けた。

「うちのが…ウソ…！なんで主人が香里奈を刺すの。ある分けないじゃない！。そんな、絶対ウソよ…！絶対、ウソ…」

「おひさ、まだ良く分からないから落ち着くの。いいぃ…！」
　私自身、動転する気を落ち着かそうと必死でした。

　殺人容疑で先生が逮捕されたことを、理恵から知らされたのは翌日でした。家族にとって最悪の事態、両親が認めた香里奈の同棲相手、光田先生が殺人犯だなんて。

　妹、香里奈と光田先生を巡る愛憎劇、香里奈の横恋慕に緋紗子の裏切り。先生を取り巻く色恋沙汰と呼ぶには桁違いな、色んな感情が交差する中、通夜の祈りから緋紗子は香里奈のために泣きくれた。

　私自身、上司との不倫、検察官として身を引くしかなかった心の葛藤。女の愛憎という醜さを身を持って知った女にとって、心の赴くままを曝け出すことが出来て、思うままに生きる。それが緋紗子の強さなのかも知れないと思った。

　緋紗子に始終視線を投げかける男性、それを見守るかのような理恵。２人との微妙な関係、理恵と同じにいた男性の所作が気になった。まさか理恵まで道ならぬ関係に。

　気懸かりに記帳の尊名を検めた。添えられた名刺の名に覚えもあった。近藤という警察庁の幹部の方がどうして、香里奈の葬儀ミサに来て白菊を献じて下さったのだろう。

　理恵からも聞いたが、私はまだ先生に対する緋紗子の仕打ちのすべてを、許すことなんか出来ないでいた。なのに香里奈を通じての南野からの依頼に、なぜか緋紗子の弁護をすることになった因縁。
　先生は香里奈殺しの容疑者として逮捕され、軽井沢署に身柄を収容されたままだった。私にはなぜか、すべてのことが緋紗子の行動が発端だとしか思えなかった。

　私自身、香里奈の死を素直に悼むことがまだ出来ないというのに。家族として一緒に暮らした期間があまりにも短かったこと、母と離婚後の父が米国人女性との間に産ませた子だったからか。
　何よりも香里奈が私の知らない間に先生と同棲してたという事実。真新しい交際を始めたばかりの私の中に、うじうじと先生への思いをまだ残していたことが有ったからか。

　長野県警は先生、光田浩一を香里奈の殺害容疑で拘束したままだった。先生は参列することも適わず、妹、香里奈の告別式が終わった。両親の悲しみはいかほどだろうと慮る。
　違う、絶対に違うと思っていても、心の何処かに先生が香里奈を殺害した可能性という不安から逃げ出すことが出来なかった。
　そんな私がまた、先生の弁護士を引き受ける羽目になっただなんて。

「芹香、少しいいかな」
　着替えたのかラフな部屋着に、声を掛けてきた父は度重なる心労に急に年老いて見えた。

「構わないけど、なに」

「芹香は光田君の弁護を引き受けたのか？」

「やっぱりその話…」

「やりにくい面もあると思うが、私からも引き受けて欲しいと思う」
　苦悩に頭を垂れた父。

「お父さん…！」
　父には反対される物だとばかり思っていた。

「芹香に話しておかなければならないことがある。事件の事、分かってること以上、憶測を含め香里奈のことだ」

「香里奈はやはり、事件に関係してたの？」

「うん、光田君も自責に苦しんでいると思うが、私自身苦悩もした。だから単純に信じられないだろうが聞いて欲しいんだ。村田君は生きては現れないだろうから」
　父は鎌倉の出身、Ｋ高校の２人の先輩にあたり先生も村田清麿という男も知っていた。罪を憎んでも人は憎まず、父はそういう公正さにやさしいところがある人だ。

「村田が生きて現れないって…！」
　あえて村田と呼び捨て、父に問うた。
　現、容疑者として軽井沢署に収監されているのは光田先生の方であったが。

「うん、自ら選ぶか選ばないか別にしてあの性格だ。心ならずもの自殺ってとこで終息だろう。この事件、下手をすると光田君が犯人で終わる。不幸なことだが」

「お父さん…！先生の言った車って、すぐ見つかったんでしょ。接触事故を起こした村田の車が見つかれば返り血が、いくらか香里奈の血がシートかハンドル回りにきっと付いているはずだって、言ったじゃない！」

「あまりにも南野の対応が早すぎるんだ。まるで警察の中に仲間がいるようにね」
　父は疑っている。警察にいる南野の協力者を。

「警察に南野の仲間って…？お父さんは、このままじゃ先生が無罪にならないって言うの」
　父はなにか知っている。わたしに話さないなにかを。

「芹香、難しいかも知れないが、もう一つは光田君が、村田が言ったと証言した埋められている玉川って男の遺体を見つけることかな。香里奈はその殺人をきっと知っていたんだと思う。だとしたらあの子のことだ」

「どういうこと？それ、警察が追う玉川ってヤクザがすでに死んでいるってこと…！」

「そう、香里奈はねえ、犯人グループの仲間だった分けじゃないが、先走りしすぎたのか罪を犯したことは間違いないんだ」

「罪って、企業脅迫事件の…？」

「それも含めた殺人事件のね。香里奈はね、まだ正式ではないが私たち夫婦の後継で、国務省東アジア太平洋局のエージェントでもあったんだよ」

「国務省のエージェントってアメリカの…？」
　驚き呆れ返るしかなかった。

　父は今、大学教授として政治経済学を教えている。日本という国にとって、また心情としても日米友好が望ましいと考え働いてもいたんです。父の妻キャサリンと共に。

「香里奈はね、私たち夫婦の協力者として潜入捜査、そこまでしなくとも、かまわなかったんだが…」
　香里奈は父母の協力者として怪しからぬ(株)リソノという企業の中枢に潜入すべく職を得た。ということだった。

「ねえ芹香、人材派遣業って何だろ。働く者をレンタル商品として扱い上がりを吸い上げる。ヤクザの如きピンハネ業が、大手を振って一流企業って、狂ってるよこの国はさ…！」
　怒りに目を潤ませた父の瞳。リソノって言う企業への憎悪、香里奈も父の正義感を受け継いだのだろう。

「ねえ、お父さん、香里奈が中枢に潜入って、そんな入社早々上手く行くものなの」

「現に上手く行ったじゃないか、鎌倉で高桑といえば名はあるし、芹香は南野正之助学園理事長が南野社長の親父殿だと知っているだろう」

「じゃ、そっちに」

「理事長の身元保証、そう言うことだ。まあ相手が、あの女好きの南野社長だということもあったがな」

「じゃ警察が追い求めている財務大臣の流出映像は？」

「香里奈の手からすでに米国国務省へ、今は副大統領の手元にある。それを知ったか南野は考えたんだろうな。光田君を犯人に仕立てすべてを知る香里奈を抹殺することを」

「南野の完全犯罪？。そんな…！」

　父は言う。

「光田君が警察に話したように、香里奈が衝動的に村田に刺されたとは思わない。あれは非常に良く計算されたものだとも思うよ」

「計算されたって…！南野は軽井沢に向かう車の中よ」

「だからさ。南野は光田君と香里奈を別荘に呼びつける。南野自身は遅れると香里奈に伝える。するとどうだろう、なにか食べなければいけない。有る物は鴨のローストとナイフ、後はパンぐらいだろう。これであの部屋に光田君の指紋の付いた凶器が出来上がる」

「それがあのサバイバルナイフか」

「女には扱いにくいし、あの固いフランスパンだ」

「まさかそこまで…」

「南野から香里奈に陥れられると洗脳のごとく吹き込まれた村田も、ずらされた時間にあの別荘に現れる。２時間も間の空いた２人は知っての通りだった。そこにカギを持った村田が現れた。２人の時間を邪魔された香里奈は機嫌が悪い」

「そんなぁ…上手く行きすぎよ…！」

「そうだろうな。上手く行きすぎた。けどな、上手く行かなければそれだけだ。また次の機会にってことだろうな。おそらく南野はすでに何回かは試したはずだと思うんだ。南野の別荘より香里奈たちが住むマンションとかで、残念だけど村田も香里奈のマンションのキーを持ってる」

「香里奈はどうしてあんな男とも、先生の言うとおり、あの一族って絶対狂ってる」
　と、私は憤るしかなかった。

「想像の域は出ないが、ホテルでの殺人は警察の推察通りだろう。どのような形かは分からないがそれに香里奈が協力したか、あるいは事後処理を香里奈一人が行ったってこともある。そのアリバイを村田が証言する。玉川と香里奈が軽井沢の別荘に戻ると、そうだな体格差から考えて村田が玉川を毒殺し別荘近くに埋めたってとこかな」

「じゃ、お父さん。ホテルでの殺人も仕組まれてたこと」

「内閣官房にカウンターインテリジェンス推進会議という物がある。警察庁警備局から近藤という男が参加している」

「近藤って理恵と緋紗子と香里奈の葬儀に参列して頂いた方！」

「そうだ、どうしてと不思議に思ったが、大臣に寄り添ってたのは脇の甘い阿藤さんの行確に当たっていたのかも知れない」

「じゃ、緋紗子も公安の行動確認のその対象だったの」

「それはどうだか知らないが、彼が言うにリソノの南野は巨悪だというんだ。政財界に重鎮たちをハニートラップを仕掛け自在に操る。政財界に未だに中国を擁護する意見が多数あるのがそれなんだと言っていた」

「中国人のスパイ？」

「さあそれはどうか？、情報を流しているのは確かだが」

「じゃ、南野って日本人なのに、中国に日本って国を売ってるの？」

「さあ、南野自身がハニートラップに掛かったか協力者にされ、ヤツらと同じような手口を使ったのかも知れない。南野は日々公安に監視されてる。だから、中谷由香利を利用したんだと思うよ」

「じゃ公安は盗撮録画をまだ捜してるの」

「父さんが教えてあげたんだ。もう大臣の亡霊はこの世には現れない。例の盗撮録画は中国じゃなく米国に渡ったとね」

「そんなこと言ったら、日米関係がおかしくならないの」

「ならないね。首相を支持する国務省のお偉いさん方は日本製のポルノを面白がってみるくらいだろう。阿藤大臣も閣内で少しは温和しくなる。彼も分かってるから、代わりの情報を教えてくれたよ。リソノのことをね」

「リソノのことって…！お父さん。近藤さんって実は南野の仲間じゃないの？」

「まわりがそう思うくらいだから南野もそう思ってたんだろう。なんせ優秀な人だから。南野は中谷由香利とそのバックである龍仁会系暴力団の、玉川という負の遺産の存在を抹殺することを考えたんだろう」

「急速に成長する企業の闇か…」

「２億円と引き替えに中谷由香利の処置、薬物中毒で玉川もいい加減飽きの来た女の処分に乗った。そこに香里奈の存在があったのだと思う」

「でも、お父さん。最初に殺される予定は緋紗子だったんでしょう」

「本当に南野って悪賢いよ。中谷由香利を通して清河というピエロを殺人犯役として用意する。清河が緋紗子ちゃんを殺させたくなくて、ホテルには連れてこないと読んでいた。清河は分け前としての１億円が是非とも欲しいから、単身ホテルに来るだろうってね。南野にとって、清河が来なかったことが一番の誤算だったんじゃないかな」

「ということは、中谷由香利が最初から殺される予定だったってことか」

「由香利は長谷川にとって致死量の薬物を飲む。薬に耐性のある由香利にとって、この後の段階で緋紗子とすり替わるつもりだったはずだ」

「薬物使用の性行為後、長谷川って男が薬物によるショック状態に落ち入っても、由香利自身は死ぬつもりはなかった。ってことよね」

「ただ余分に入れられたＰＭＡで思った以上に体がいうことを効かない。そんなとき玉川だろう誰かが現れ介抱するでなく、逆に覚醒剤を致死量分、由香利の足に打つ」

「じゃ、理恵が不思議に思ったという、洗面所の屑入れに捨ててあった注射器は、玉川が捨てたってこと」

「傘下の企業舎弟があのホテルに入り込んでるから、玉川と香里奈は堂々と従業員出入り口から、正規のカギで入ったんだと思う。当然、奥の非常階段だ。新しくもないホテルだから、防犯カメラはフロントを除くとエレベーターの中やホールだけ」

「普通、客室を監視するカメラなんてある分けないしね」

「非常口からカメラのあるエレベーターホールまで遠すぎるし、画像も写らないか鮮明じゃ無かったことまで、ホテル事情を知っていたんだろうな。マスターキーを取りにフロントには行くはずがないから、部屋のキーは合い鍵だろうな。注射器を洗面に捨てたのは、おそらく玉川か誰かの指紋が付いたから洗い落としたか、それとも香里奈の悪戯心ってところだな」

「香里奈の悪戯…？」

「あの子の悪戯のセンスって、我が娘ながら計り知れないとこがある。芹香、もしもだよ、あの注射器に清河の指紋が付いていたとしたら、どうだろうか？」

「清河の指紋…？。だと間違いなくこの事件の容疑者、そんなことが可能だったの？」

「あくまでも推測だけど、清河と中谷由香利の関係ってあったんだろうな」

「でも言われてみれば、清河が潜んでいたのは、偽名の由香利が名義人のマンションだったわよね」

「だろう。瀕死の中谷由香利を長谷川宏樹の死体の上に乗っけ、騎乗位のポーズを取らせるなんて、香里奈の悪戯にして最高だろう」

「そんなの香里奈ひとりで出来るの？」

「まだ、絶命した分けじゃないんだから、脱力した由香利を死んだ長谷川の上にずらせるくらい難しくはなかったろうな」

「そ、そんなそれ、お父さんの想像でしょう」

「この事件に香里奈が絡んでいる。と、思うのはそれなんだ。南野はさぞ驚いたろうな、由香利という脅威を取り除いたら、そこにはそんな悪戯好きで得体の知れぬ香里奈がいたんだから」
　悪戯と父は言ったが、私には香里奈がした南野への警告、そんな気がした。

「南野はどう思っただろうか。注射器という証拠がなくっても、清河がホテルの隣の部屋に来ていれば、事件はそれなりに終わってたことだろうけど、現に警察の捜査は終わらない」
　そんなことのために妹、香里奈が殺されたなんて。

　しかも、このままじゃ先生が香里奈を殺した殺人犯にされてしまう。

「芹香、お父さんは南野正道やあの一族が許せないんだ。だから頼まれて欲しい。光田君を救うためにも緋紗子ちゃんに光田君と別れ、南野の元へ行って欲しいと。ただ南野を安心させるだけが目的じゃない。情報も欲しいんだ。こんなこと頼めた義理じゃないのは分かってるが、理恵ちゃんは緋紗子ちゃんの説得を承知してくれたよ」

「理恵が…？」

「理恵ちゃんと、しょっちゅう会っているんだろ」

「うん、探偵団の真似事みたいな感じで…」

「理恵ちゃんが言ってた。芹香は何か悩み事があるんじゃないかって」

「理恵が…！」

　気分がすぐれず疲れがあるのに、今夜は色んな思いが交差して、なかなか寝付けなかった。父が言う、香里奈を犯罪という深みにはまらせたのは、私という女の存在ではなかったのか。私って女はどうして…。

　(株)リソノ社長、南野正道の顧問弁護士という甘いエサ。

　不倫という不祥事で検察官という職を辞した女が、一弁護士としてどんなに弱い立場であるのかを知っていたから。このチャンスを逃がすまいと懸命だった。
　最初はクライアントとの良好な関係づくり、そんなつもりで食事に付き合った。それがその夜のうちに男と女の関係に。酒の酔いに、我が身のだらしなさと打算。

　関係を隠さない南野に、香里奈は何を思ったのだろうか。

　気づかなかったよ、香里奈はこの愚かな姉を守るつもりだったのかな。

　バカな姉ちゃんは香里奈に負けたくなくて、あの男に緋紗子と比べられるのもイヤで、どんどん深みにはまってしまって。家族や理恵という親友まで裏切ってしまった。

　どうしようもないくらいこの肉体が火照っていた。男を待ちわびる女か。男が最中に外れたと言ったコンドーム。妊娠への不安にアフターピルだと飲まされたあの薬で、こんなことになるなんて。

『弁護士先生なら分かるよね。ＭＤＭＡにアンフェタミンが入ったヤツ』
　私がこんな薬物を使う性的行為に、こんなにも溺れるなんて。
　男に抱かれた肉欲の記憶、なぜ、こんなにも思うようにならないのだろう。
　男に父や理恵の動きを逐一と告げ、ズルズルと男と女の関係を続けるしかない自分がイヤになる。

　何もかもを捨てるつもりで、これが最後と夜間に携帯に呼び出しを掛けた。記録の残るメールは使えない。機械的な呼び出し音ののち、男が電話に出た。

「モシモシ、大事な話です。裏切り者は近藤です。緋紗子のことはお考えの通りに…はい、お願いです。香里奈が亡くなった今、これを最後にして下さい…！」
　それ以上話せなかった。たとえ父のなにかを知っていたとしても。スマホを持つ手が震えていた。もう市販の睡眠導入剤では眠ることもダメなのかな。
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あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
2016年1月23日掲載
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