奥様は接待秘書
浩一 作
復讐の女２の続き

　もう２年も前になるのか、テレビに映るビデオはあの頃のわたし。あらためて見るとじいちゃんの言うとおり、我ながら恥じらう乙女の初々しい表情だった。

「女って、２年でこんなに変わる物なんだ」
　と、ちょっとショックでした。
　若妻の身に接待秘書としての初仕事、不安げな顔で時を待つ。あのときのわたしを感慨深く見ていたら、じいちゃんは早送りってか途中を飛ばしたんです。

　なにこれと映った映像は女上位、あはん、あは〜んって、甘い逝き声、ダックという黒人の上で、２６になったばかりのわたしがお尻を振っていた。

「まあなんとモロな映像、芸術のかけらもない。我ながらというか、さっきと同じ女と思えないよね」
　俗に言う裏四八手の突き回し、日本人だと抜けそうな浅くなる体位なのに、黒人相手に腰を浮かせて尻を振るか。

「楚々と淫乱、それが緋紗ちゃんの魅力でもあるがの」

「やだ、わたしったらカメラを意識しちゃって、手を着いた前屈みに顔なんか上げちゃってさ」

「フォホホッ…ッ、ダックのヤツ、緋紗ちゃんの動きに合わせ教えもせんのに、突き回しから炬燵掛かりに、身を起こした緋紗ちゃんのあのオッパイまで上手に攻めよるわい」

　炬燵掛かりと起こした身にご開帳。太い、わたしの中を出入りする真っ黒な肉棒が太すぎる。こうして撮られたビデオに見ると、ダックという黒人のおチンポが超ド級だというのが良く分かった。

　正面からだなんてエロすぎだ。ジュッポジュッポンとぬめる音を立てて、下から突き上げる黒肉ピストンを、社長ったらこんなに間近に撮してたなんて。

「どうじゃ緋紗ちゃん、またヤツとする気はあるかの」
　そう言って、にやけ顔のじいちゃんは、わたしの顔を覗き込む。
　じいちゃんたら、こんなの見せられて断るはずがないと知ってるくせにさ。

「でもさ、わたしはダックていうブッサ顔の黒人でもいいけど、あんな事件引き起こした後で、じいちゃん平気なの」

「キンタとの対抗意識もあったと、ヤツも留学生のリーダーとして反省しちょるよ」

「あんなのが留学生のリーダーだって。言っとくけど、複数プレイはお断りだからね」
　じいちゃんが考えそうなこと、また黒人留学生とさせるに決まってる。留学生仲間ってか、また日本人女に興味津々のお友達を連れてきたりしちゃてさ。

「じいちゃんさ、この後、キンちゃんとしてるのも写ってるのかな」
　初めて見たこの映像に、久しぶりにキンちゃんのこと思い出したりしちゃって。

「おう、そうじゃのう、ならこういうのはどうじゃな」
　じいちゃんは場面をサーチする。現れたのは３Ｐ、複数姦を想わす場面。

「なにこれ、じいちゃん…！ふ〜ん、わたしが酔って前後不覚だからって、こんなことキンちゃんにさせたんだ？」
　わたしはニガ虫に、じいちゃんの顔を覗き込む。

「イヤ、それはじゃ、よう覚えておらんのはお互い様じゃ。だからヤツも未遂だから、キンタを責めず許してやってくれ」

「未遂ってなにそれ、やっぱしまたじいちゃんが、そそのかしたんでしょうが…！」
　大きな４Ｋテレビの中、黒人２人に抱かれながら、背に乗っかるキンちゃんは、わたしのお尻を狙ってたんです。こんなことまでと、つい見ちゃいました。

　四八手の筏茶臼に凶悪顔とベロベロのキッスか。うむ、なるほど、ダックという黒人の巨体を挟むように足を開いた女上位に後ろからか。社長のカメラは背後に回り込む。
　キンちゃんたら、さんざんわたしのお尻に挿入しようと突ついたあげく、肉蕾ちゃんにおチンポの先端を押し当てたまま、勇み立つ身にブシュブッシュと射精しちゃってさ。

　翌朝のモジモジとした真面目さは、これだったのかキンちゃん…？。あのシーツの染み、あっちこち手の形や紅くなった所が全身にあったはずです。

「じいちゃん…！湯浣腸もしてないアナルにさ、もしでも入ったらどうするつもりだったのさ。まあ、あんな太いのが、わたしの協力なしに入る分けないけど」
　プチリっとリモコンでテレビの電源を落としてやった。

「アアッ…せっかく」

「じいちゃんさ、こんなの見てるより、横に生のいい女がいるんだよ。失礼だと思わない」

「許せ緋紗ちゃん…！よおく分かっておるて、もうあんなことをさせるつもりはない。緋紗ちゃんの意志を尊重する。それがこのじじいの緋紗ちゃんへの愛じゃ、たとえ一夜の相手にも愛をもって接する。それが緋紗ちゃんだものな」

「分かってんじゃない」
　なのにさ、このじいちゃんったら。

「じゃから緋紗ちゃん、罰ゲームとして罰ゲームなら少しくらいなら。じじいのお願いじゃ、ワシの意志も少しくらい尊重してくれ」

「バカ…！なんの罰ゲームよ。じいちゃんのバ〜カ、そんなにアナルを撮させたいのなら前の１００万円と合わせて２００万円を、じいちゃん社長から出させなよ。どうだ…！」

「うん、緋紗ちゃんは、たった２００万円の出演料で良いのか？」

「ええっ…！出す気なの…」

　黒人とアナルのプレイか、別にイヤじゃないからわたしもつい、ダックという黒人と撮影されるとこを想像してしまう。う〜む、わたしとしたいがため、大臣の職を投げ捨て日本へか、あのブサ面なかなか良いとこあるじゃない。

　余計なことですが、ダックというあの黒人のご面相、並外れた肉体がもたらす性的能力、並外れた大きさの男性器が与える女の悦び。男は顔や人種じゃない。
　屈強の黒人に抱かれるとき、主人が先生の頃、授業で教えてくれた歌を思い出したんです。

　イマジン。英語クラブのわたしが訳したその一節。あなた、まだ覚えてるよ。

　想像してみて、所有物のない世界を。
　あなたなら出来るのだろうか。
　欲や飢えは必要のない。男たちは兄弟だって。
　想像してみて、みんなで。
　世界を分かち合うこと。

　あなたはわたしを夢想家と言う、しかしわたしだけではありません。
　わたしは望むの、あなたがいつか参加するのを。
　そして世界は一つとして生きて行きます。

　そう、黒人種との異性間交渉、本当にわたしのような女が、自由に生きられたのは主人のおかげだった。世間では許されることのない性の飢えや欲望のすべてを許してくれた。

　この世界には男と女しかいない。そう思ってたけど現実には色んなセックスがある。それを教えてくれたのが南野一族だというのはシャクだけど、お互いが引かれ合い一緒にいたいと思い。その精神的な世界を共有する。それが愛だ。

　肌の色、人種間を分け隔てなく互いの意志を尊重する。それがなければ相手を傷つけ排斥することになる。わたしの最愛のパートナーだった光田はそれができる人だった。なのにわたしは裏切った。

　獄中の主人の無念、わたしや主人を陥れた南野一族、わたしは南野正道を絶対許しはしない。

「よし、久しぶりにじいちゃん孝行でもするか」
　と、じいちゃんの方を見ます。

「ホホッ、なんだ緋紗ちゃんは、肩もみでもしてくれるのかのう」
　期待を持った目でじいちゃんは、足元からタイトミニの太ももを舐め見てる。

「それだけでいいの。色々と気になるんでしょ」
　と、言えば好色そうな笑み。ふふふ、あの頃とちっとも変わらないんだから。

「そうじゃ、目の前にして緋紗ちゃんこそじゃ。せっかくワシを訪ねてきてくれたというのに」
　不満そうな目、すねる素振り、分かるよじいちゃん。

「やっぱしそうなんだ。じいちゃん、この膝上１５センチのスーツ姿が不満だったんだ」
　さすが親子、そんなとこ村田と一緒だよ。

「ブラとガーターから黒下着とは気付いとったが、身を低くしてもパンティが見えもせんかった。てっきり緋紗ちゃんのことだから、超ミニでエロい下着で来てくれるもんじゃとばっかり」
　もう、いい年のじいちゃんがいじけちゃってさ。

「来ると聞いてな、悶々と想像するんじゃ。超ミニで電車に乗る緋紗ちゃんの姿を、前から男どもが見よるズボンの前を膨らませての」

「なにをバカな…！。ホント、じいちゃんのそんなとこ村田と同じだね。違うとこって、なんで村田ってあんなかわいそうなくらい早漏だったんだろう」

「そう、緋紗ちゃんに思い出してもらえば、清麿も本望だろう。三擦り半と表現があるがどうにもならん病的な早漏というのはだ。男性器の感度、すなわち亀頭の感覚が鋭すぎるのじゃよ。負の遺伝と言うのかの、あいつの母親がそうじゃった。あそこの感度が良いというのか、おそその具合がなににも増して良かったからのう」

「はあ！、じいちゃん、それどういうことよ」

「クリ豆が敏感な緋紗ちゃんもそうじゃが、女にして最高は、男として最悪ということじゃな。女子の陰核というのが男にとっての珍宝なのじゃ。と言えば分かるじゃろ」

「じゃあさ、わたしが男の子を産んで、わたしに似たら早漏になるの…？」

「そう、そうならんが為の少年期のオナニーじゃ。男は幼少より珍宝を擦り粘膜の皮膚化で物理面での我慢が効くようになる。女は緋紗ちゃんのように毎晩しとったら、より敏感に感じるようになるがの」

「もうヤだぁ、わたしのことオナニーのしすぎみたいに言うんだから」

「ワシの責任もある。良かれと母親に内緒でやつが高校生のときじゃったか、ソープに連れてったことがあった。清麿はそのときからおかしくなりよった」

「きっと、ゴムを着けるときに漏らしてソープのおねえさんに笑われたんだよ。そんな人わたし知ってるもん」
　彫雅の顔が思い浮かんだ。

「巡り合わせなんだよ。村田が言ってた。浩一より先にわたしと出会ってたらって」

「そうかも知れん。なんか浮かん話しになったのう」

「じゃ、息苦しいスーツなんか脱いじゃって、じいちゃんパッっと行こうか」

「オオッ、そうじゃよ。教え子が刺青とは教育者としては慚愧に耐えんが、背中の龍が芸術品だとかすごい出来映えとか聞いちょって、今日は是非にもと思うとったのじゃよ」

「うふふふっ、じゃ下着姿で見せちゃうね」

「おう、それでこそ緋紗ちゃんじゃ。ならワシは風呂に湯を入れるとするかのう」
　立ち上がり、じいちゃんはキッチンにある給湯リモコンの押しボタンを一つ。わたしはじいちゃんの飲み残したビールをゴクリ。これ潮吹き用の水分補給。

　見る見ると、湘南海岸は夕景に黄昏れて西空にあかね雲、群青の空を濃い藍色に宵闇が東からとばりを下ろす。沖ゆく船の灯り、今はシーキャンドルと呼ぶのか江ノ島灯台の燦めく閃光にライトアップも始まった。
　国道際の街光を、早やクリスマスのイルミネーションを透かせ、カガミのように室景を映すバルコニーのガラス戸。眺める女がひとり。

　上着を脱ぐ女がガラスに映る。半袖のカットソー姿に黒のハーフブラが透けています。
　振り向けば、じいちゃんの好奇な目差し。その前でカットソーを手繰り上げ脱げば、黒ブラ一つの胸、腕をクロスさせ肩をさするように撫で胸上の緋牡丹をじいちゃんに。

「ワオオッ、緋紗ちゃん…！最高じゃ」
　黒ブラをそっと持ち上げ谷間を深く、胸から腰へと両の手を艶めかしく動かし、微笑みの中、スカートのホックを外す。
　ファスナーを引き下げゆっくり腰を左右に動かして、スルスルすとんと脱いじゃって下着姿になっちゃいました。

「オオッ、太もものは紅が濃い。ドキリとする花と蝶か」

「もっ…！じいちゃんったら、せっかく下着姿を見せてるのに…」
　お馴染みの黒の下着セットに黒靴下にガーター。代わり映えしないけど、じいちゃんも清河に負けないくらい好きなんです。

「オオ、そうじゃった、そうじゃった」
　じいちゃんの前へと、つま先立ちにセクシーウォーク。

　Ｇ線の細いＴバックの腰ひも、ウエストラインにレースのガーター、サスペンダーに繋がれたシームのストッキング。その隙間から見える真白い太ももに、紅色牡丹と揚羽蝶の刺青。

「オオゥ、確かに肌にしっとりとした緋牡丹じゃ、胸は紅、肩は白牡丹なのじゃな」
　右乳房の上側の膨らみから鎖骨に掛けての緋牡丹。もう紅色も肌に落ち着いて、腕を揃えると上腕から肩に掛けては淡く紅色で縁取った白牡丹。くるりと背を向ける。

「オウ、柔らかい、久しぶりの緋紗ちゃんの肌じゃ…！。それが紅白の牡丹に背はなんと昇り龍か…！立派な物じゃな。よおく見せておくれ緋紗ちゃんや」
　直ぐ手を出して触ってさ。じいちゃんって、てき面に食いつくダボハゼみたい。

「ワシらの世代なら覚えておる。片瀬の浜の若衆も、近在の鯔背な漁師の彫物を見ておったから抵抗はないが、女だてらに緋紗ちゃんはよう決心したものじゃ」
　そんな風に言われると、池袋署の留置場係り若い婦警を意識しちゃうんです。昭和の遺物、稀少動物って言われたことをついさ。
　昭和も最後の生まれ、平成生まれと変わらないのに。なのにさ、若いグラビアアイドルを気取ったポーズをしても、昇り龍に牡丹、花と龍のこの刺青、どうよじいちゃん。

「分かるぞ彫師の腕前が、よう白い肌をこんなにも残してくれた。この白い肌が有っての牡丹に龍じゃ。確かにじゃ、ぼかしに彫った雲といい、背景の牡丹は濃い色じゃダメじゃ、輪郭にわずかに紅を刺すか白牡丹。腕の良い女の肌を理解した本物の彫り師じゃ」
　まあ、じいちゃんは彫雅って男を知らないからね。

「なにぃ、やだぁ、じいちゃん本当に着させる気なの」
　じいちゃんはあのセーラー服を取り出したんです。

　もう用意してただなんて。ランドリーのビニール袋に包まれた物がドサリと目の前に置かれたんです。

「なにこれ、恥ずかし…！じいちゃんこんなのクリーニングに出してたの」

「そうじゃよ、覚えちょるじゃろ。緋紗ちゃんが余りにも興奮させるから、セーラー服になけなしの精液をブッ掛けてしまったからのう」

「もう、この変態じいちゃんが…」
　好色そうなじいちゃん。その目の前でビビリと袋を破き、古式ゆかしい脇ファスナーのセーラー服を被るように着ました。ガラス戸に映るその格好の可笑しさ。笑いがこみ上げてきます。

「ちょっとじいちゃん、やっぱし可笑しいって…！」
　胸のスナップボタンを留めファスナーを引き下げ、超短いスカートを腰に引き上げる。ホックを止めるとウエストのこの余裕、やっぱしあの頃より痩せてるんだ。

　そりゃそうだわ連日連夜、薬物ドリンク剤に黒川に清河、彫雅と男をとっかえひっかえだもん。それにこの１ヶ月いろんな事がありすぎたと、ガラス戸に映る自分がうなずいていた。
　スカートのウエスト芯を１回２回と折り返す。超ミニどころか上から目線にパンティの透け透けデルタが見えそう。ってことは。

「オオッ…！久しぶりの緋紗ちゃんの制服姿じゃ。それもプリップリのヒモパンティのお尻まで、神々しいのう」
　クルリとターン、返り見るとソファーに沈み込むスマイルじいちゃん。

「いいのう、緋紗ちゃんの制服姿は」

　お尻が丸見えの黒の下着セットの上にこのセーラー服だなんて、上着の下に見えた背に龍の爪と胴がガラス戸に映り、なにかの模様のようにも見えました。
　短か過ぎるスカートから太ももの紅牡丹が、ガーターのサスペンダーが丸見え。ちょっとした２Ｄのエロ画像並の変態さです。
　カガミ代わりのガラス戸の向こうはもう夜の海でした。
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あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
2016年2月13日掲載
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