奥様は接待秘書　浩一 作
４　うわさの女 １

「いつまでも寝てんじゃないよ。もう１１時前だぞ。分かってんのか、おい…！」
　うるさいなあ、耳元に不機嫌な主人の声…？。

「アッ、無視してやんな、ゴラッ…！ゆすぶってやんぞ」

「わぁっ…なっ、なにすんだよぅ…やめろぉ…分かったからやめろよ…」
　もう、そんな揺すぶんないでよ。起きる、起きるから、起きるってば、もう…！。無理やり目を覚まさすんだから。

「あわわっ…つ、おは…よう…っ…眩しぃ…あん…もう〜っ、光が目に染みるよぉ…」
　目を覚ましたら陽光明るい日差しの中だ。

「ああっ、頭いた〜っ、気分が悪いぃ…ょ」
　眩しさが針のように襲って来て頭痛、思わずお腹に掛っかてた、タオルケットを掴んで両手に顔を被った。

「なに日光に当たった吸血鬼みたいになってんだ。おい…！いつまで寝惚けてんだよ」
　もう、怒鳴んないでよ。

　ガンガンとする頭、体のだるさ二日酔いだ。被ってたタオルケットを払いのけ、座り直すとリビングのソファーの上だった。しょぼつく目で仁王立ちする主人を見上げた。

「もう、出て行きゃなんない時間なんだから、いい加減目を覚ませよな」
　五月蠅きや、不快な頭に染みいる、主人の声か。あれ、わたしなんでこんな所で寝てんだろ。うっ、酒くさ。身体中から発散する酒のにおい。

　なにこれ、この格好…！。主人を前にして着ていた衣服に戸惑った。
　肩紐だけの真っ赤かの透け透け超ミニドレス。記憶は定かでないが、昨夜の接待に着たエロいコスチュームのまま帰ってきたようだ。

「おえっ…っ。座ると急に…吐き気がぐるじぃ…！」
　上目遣いに目を合わせた主人に、こっ恥ずかしさもあってオーバーに訴えた。

「どうしたんだ緋紗子…！そんなに嘔吐いて大丈夫なのかよ」

「あなたぁ…お水、お水を頂戴ぃ、おえっ…ああ…気分が…わる…ぃ」

「水か…！ちょっと待ってろ。手の掛かるヤツだよなァ…お前は」
　主人の背を目で追いながら、陰部の不快感がふと気になり視線を手元に移す。

　えっ…！やだぁ、座って嘔吐いたら毛のない陰部にねっちょりと、色合わせの透けパンにジュルリと白いシミ。膣に精液が残ってたんだ。

　わたし、ビデも風呂にも入らずそのまま寝てしまったんだ。

　主人がいないのを見計らって、手を伸ばしティッシュ上に、こらしょっとリキんで膣ん中に入れられた精液を絞り出して匂いを嗅いでみた。
　ひとを酔わせて誰よ、こんなに中にいっぱい入れたのって。主人のであるような、ないような、不安感にうかつに聞けない。最近、失敗ばかりだかんな。

「ねえ、わたしさぁ、なんかやらかしたぁ…？」
　冷蔵庫の閉じる音、キッチンにいる主人に恐る恐ると声を掛ける。

「ああ、うちの女房殿はいくらなんでも飲み過ぎだろ。朝の４時ってのにだな。
　近藤さんって言ってたか、酔わせて申し訳ありませんて恐縮されても、俺の方こそ、うちの女房がご迷惑をってな。名刺、テーブルの上にあんだろ。
　その人と運転手の長谷川君がここまで抱え上がってくれたよ」
　つう、まずぅ…。この態を近ちゃんと宏樹にまで見られたか…。宵のうちから飲むと記憶も飛ぶよ。

「やっぱ、近ちゃんが送ってくれたんだ。よかったよ」

「お前、コンちゃんて簡単に呼ぶけど、内閣官房のお役人様だろ。なんでそんな人が送ってくるんだよ」

「飲み友達だから気にしなくたっていいの…！で、その後でさぁ…なんか…？知らないはずないわよね」

「後でってあれか…少しは記憶があるんだな」
　主人は零れるほどいっぱいの水をグラスに入れて持ってくる。

「いっぱい入れたから、こぼさないように気をつけろよ」
　ふふん、いっぱい入れたって。起き抜けの女房になんてことを言うんだよ。手に包み込んだティッシュに、フンだ…！こんなに出しちゃってさあ。

　わたしって愛されているんだな。いい女だかんな、わたしって…。

　空いた手をグラスに伸ばし受け取ったとき。

「どうしたのその引っかき傷？」
　主人の手首には紅く筋引いた傷痕に歯形まで付いていた。

「なんだ覚えがあるんじゃなかったのか…？。ベッドへ運ぼうと、着替えさせようとしたらだな。見てくれよ、朝帰りの牝トラが睡るまで吠えまくっていたんだぜ」
　わたし怒ってた？。確かになにかに腹立てて怒ってた覚えがあった。香里奈だ、香里奈のヤツだ。

　あの娘、社長秘書になってから生意気なんだよな。

「睡るまでって、じゃ〜わたしって…そのまま寝てしまったってこと」

「ああ、さぞかし咽も嗄れただろうよ」
　う〜むと、主人が注いでくれた水を恐る恐ると飲む。

「あ〜さんって誰なんだ。昨夜の客だったのか、親しそうには話してたけど…」
　えっ…！ア〜さん…？ん。わたし、またやらかしたんだ。

　不穏な頭に記憶が少し。昨夜は大事な現職大臣の接待だったんです。

　確か阿藤財務大臣だっけ…。

「じゃ、出掛けてくるからな」

「はあ、行ってらっしゃい…！」
　えっ、主人どこへ行くんだっけ。あ、そうだ、昨日から進学塾へバイトに行ってんだったか。頭がまだ混乱してるよ。

　出掛ける主人の後ろ姿をソファーから見送った。
　アルバイトの口も香里奈のパパの紹介だって。昨夜の顧客であるア〜さんに生出しでさせたって分からないはずないのに、主人ったら知らんぷりで出て行くんだ。

「この女心が分からないのかよ、バカ…！バカバカぁ…！なにが親しそうにだぁ…」
　なんで平然と出て行くんだよ。わたしのことどう思ってんだよ。

　主人が出て行った空間に怒鳴っても、分かりゃしないわか。香里奈って毛色の変わった小娘がそんなにいいのかよ。

　あ〜あ、連夜の飲み会に接待に飲酒淫行の果ての朝帰りか。

　主人に起こされて午前遅くの心地よくないブルーな目覚め。酔っ払った挙げ句に、リビングルームのソファーでそのまま寝ていたか。やだよな〜ぁ。こんな仕事ってさぁ…。

　わたしのことなんか、もうどうでもよかったりして…。ああっ〜憂鬱だよ。

　昨夜から夜半にかけて、初見からア〜さんと呼ばせてもらった大臣の接待にいそしみ。
　同気相求むと言葉巧みに酔いつ酔わされて、ア〜さんは、わたしの中に２回も生出しでされたんです。本当に年甲斐もなくと言うより、老年にして巧み絶倫でした。

　シャワーも浴びずに帰ってきたんだよな。まずぅ、思い当たれば赤面、ここ１年こんな仕事に酒に弱くなったのかなあ。
　あれって主人のじゃなくてア〜さんのだったんだ。いくらなんでも主人には昨夜の客に中出しさせたのバレてるよね。まずぅ、清河の後、続けてだもんな。

　カメラを意識したというか社長から言われてたんだよね。いい絵を撮りたいって。
　なにがごく自然にだ。清河のときからこのカメラならこう映るって、予行演習までやってんだもん、さぞかしバッチシだったろう。
　社長がモニターしてるの分かっててコンドーム着けなかったんだから。大臣の中出し見て社長も苦笑いしてたんだろうな。

　元々カメラでの撮影は社長の趣味だったし。なにがレンズの向こうにある男の目線を意識しろだ。
　理事長のじいちゃんに仕込まれた露出好きに、ついカメラを意識してまたやらかしてしまった。なにも言わなかったけど、そういうことに主人も敏感なんだよな。

　ア〜さんか、現職の大臣の接待なんか初めてだったけどスケベ過ぎるよな。いくら普段からハメを外せないったってな。
　ア〜さんいわく、うちの迎賓館って都会の隠れ里か桃源郷か。まあそれで、うちの会社だって急成長したんだけどね。

　大臣を取り持ったのは、近ちゃんって呼ばせて頂いている、近藤何某って言う内閣官房ってところのお役人様。出向らしく元は警察庁の課長と言ってたお巡りさんです。

　警察官らしく真面目で実直な近ちゃんが、南野正道つう変態社長とツーカーの仲って信じられないよ。でも…意外と近ちゃんも悪趣味だもんな。

「緋紗ちゃん、大臣の接待、頼まれてくれないか」
　だって…！直だもんな。

「あの大臣、チョー女好きで聞き上手だから、つい白牌脱毛のこととか、小ちゃな三角の恥毛とかさ。無礼講の席でさ、緋紗ちゃんのこと自慢げに話しちまったんだよね。
　だったら俺にも紹介しろって、大臣って手が早くてさ」
　近ちゃんのこと、愛想が良くて好きだけど、いくらなんでもさ。わたしのこと好きだと言ってたくせに大臣に抱かせようたってな。

「大臣だからさ、お供も大勢来るんだ。僕の知り合いとかも部下だった警備局のヤツも。
　そんなの前に緋紗ちゃんを人身御供になんて申し訳ない。埋め合わせは必ずするから頼まれてくれないか」
　だって。

　でも、近ちゃんに両手を合わせられたら断り切れなくって、つい、要望に応えてしまったんだよな。あ〜あ。社長も社長だよ。

「オレは緋紗子を誰にも抱かせたくはないんだ」
　って、言いながら隠し撮りだもんな。

　熱いシャワーでも浴びなければと思いつつ、だらしなくソファーにまどろむ、カーテン越しの日中のまぶしさ。
　テーブルに乗っけたままのバッグから、スマホが奏でるメロディに、電話に出る気になったのは、そんな寝覚めの悪い小昼前でした。

「もしも〜し、先輩ぃ…大変大変で〜す。明けの連休が無期限になっちゃいましたよ」
　香里奈からの電話か、出るんじゃなかった。

「もう、いきなりなんなのぉ…！２日の休みが無期限って、どういうこと…？」

「口に出来ない、秘密事項なんですよねぇ。なんだか分かります」

「秘密事項…？そんなの分かるわけないじゃない。だから、あんたってさ…」

「だからぁ、昨夜の接待相手の大臣が、まかり間違えば先輩の上で腹上死っていうか。帰宅後、心臓発作で救急救命に緊急入院ってことで、本社筋が大騒動で〜す」

「えっ…！ア〜さんが帰宅後、救急に入院…？腹上死寸前の心臓発作って、どういうことよ…！それで大丈夫だったの」

「なんでも持病の不整脈に飲酒と情交過多で、もう少しで死ぬとこだったんですって。
　由香利先輩なんか、休みんとこ大臣の秘書さんに病院に呼びつけられて、恐縮至極。大臣相手に時間延長、早朝までさせたなんて、もっての外だってプンプンで〜す」

「なにがプンプンよ。ア〜さんには、心からのおもてなしをするようにって…！由香利にきつく言われての接待なのにさぁ…」

「そうですよねぇ…！先輩が大臣への生身のおもてなしでした。ざっくばらんって言うのか、大臣、先輩にいきなり全開モードですものね」

「ふふふっ…！生身ぃ…？って、そうよね」

「そうよねって、私、イヤミのつもりで言ったんですけど！。
　先輩は恥ずかしくないんですか…？宴も初っぱなのうちから、お供の方やお付きの秘書さんの前で肉体盛りだなんて、なんなんですか…！」

「だって、ア〜さんが罰ゲームだから、皆もお相伴にあずかりなって言うんだもの」

「もう、野球拳の罰ゲームって…！あんなの大臣の作戦ですよ。勝てるわけないでしょうが、大臣が脱いだ物って帽子に上着にネクタイに靴下。
　先輩ったらシースルーのミニドレスにＴバックのパンティ、そんだけで素っ裸、勝てっこないでしょ…！」

「わたしだって、あんなバカやりたかないわよ〜だ。ア〜さんから逃げるのかって言われたら、仕方ないじゃない」

「そ〜なんですかぁ…？そんな風には見えませんでしたけど。胸から下腹部まで、オードブルのカナッペの具をズラッと並べられて。
　趣向だからって男性陣に順番に口から直に食べさせるなんて…。
　賽の目に切ったアボカドですか、恥毛のとこなんか唇で挟めず、ＳＰの方の困惑が映像からでも分かりましたよ」

「そうなのよね、無骨な強面顔に唇が震えてて。舌先に鼻息って意外とこそばゆいんだよ。
　それにア〜さんったら、ゴルフに見立てて恥毛の上に葡萄の粒を乗っけて、舌先でおへそのカップへコロコロって…」

「先輩ぃ…！先輩には女性の尊厳ってないんですか…？いくら接待秘書だって、だから由香利先輩に注意されるんですよ」

「分かった。もう分かったって…二日酔いの起きかけなんだよ」

「それにあれ、なんですか…！。乳首にイクラを乗せて、大臣がチュウと口で吸い取るの。
　何回もしつこくチュウチュウと音立てさせて、先輩の乳首を舌先で転がしたり、唇で挟んでコリコリとされ、それだけで先輩ったら…」
　昨夜の失態が、だんだんと思い出されて…。つう…。

「だって、上手に乳首なんか責められたらさあ」

「もう、ヘルプに付いた秘書室の同期の新人や何人もの男性の前ですよ。先輩って、乳首を吸われると勝手に脚ゆるむんですか…？」

「香里奈はそう言うけど、寸足らずのローテーブルの上に横なってんだよ。普通に足着くでしょ。
　それに毛のないマムコちゃんなんて、今日び無修正のでも珍しくもないだろうに」

「あれワザとですよね。先輩がこれ見よがしに、ハイヒールの立て膝を閉じたり開いたりして、興味引くもんだから大臣が赤貝の躍り食いだって…」
　そうだよな。
　最初、面白半分にさ、ご開帳って囃してた近ちゃんを始めお供さん達、わたしの白牌マ○コちゃんを覗き込んでた男性陣が、三々五々に潮が引くように出て行ったはずだ。
　大臣のオマ○コ舐めってエロ過ぎて、こりゃ嫌われたのかな。

「気がつきゃ誰もいないんだから、いいじゃない」

「そりゃ、誰だって遠慮しますよ。先輩ったら、アヘアヘアヘって、あんな大きな逝き声出すんだから」

「ア〜さんの舌づかいって絶妙なんだもの、クリちゃんまでレロレロって責められたら仕方ないじゃない」

「それは良いとしても、その後です。口移しで飲ませてもらったお酒を、大臣に噴き掛けるなんてどういうことですか」

「もう、あれ、ア〜さん悪のりしすぎだよ。燗冷ましの日本酒じゃなくて、ストレートのヘネシーって強すぎんだよ」

「最後、あれワカメ酒って言うんですよね。先輩のは短く刈ってあって、ワカメっていうほどないですけど…」

「ア〜さんったら、潮だまりの岩のりみたいだって笑ったくせに、酒の中に若い女のエキスが溶け出すんだって、しつこくて…」

「そうですよ、大臣もまたそのまま吸い付くものだから、もうソファーが酒浸しです」

「ゴメン…！ア〜さんの口が、舌先が締め付けた太ももを、チュルチュルリと舐め上がると…つい、お股が緩んで漏らしちゃって…」

「感じてましたね。あれだけで逝ったでしょ。最悪は潮吹きです。大臣の指先だけであんなに噴き出すなんてエロ過ぎますよ」

「てへへ…」

「先輩、あれオシッコでしょ…！営繕の小父さんに言われたんですよ。張り替えないと使えないって、あれ時代物のソファーなんですよ」

「香里奈、ゴメン…！そのくらいで許して、あまり覚えてないの」
　と、言ったものの記憶はあった。

　だってあんな気持ちいい指マンって、ア〜さんって、さすが年の功ってか、中指一本なのにさ、親指でクリちゃんを挟むようにされ、
　Ｇスポットから膀胱の裏んとこをキュキュウってされたら、ピュピュって飛び出るんだよな。んでもって、ア〜さんったらしつこいんだよ。

『ああっ…ダメ…ダメぇ…いく…いくぅ…！』

『どだァ…指マンの潮吹きって、ええもんじゃろ』

『ああっ、ああっ…！ア〜さんダメ…ぇ…！』
　ってな具合でさ。

「じゃぁ、風呂場で３０分てのは、湯あたりしないのがおかしいでしょ。過剰サービスですよ、あんなの…！。カメラに映らないからって大臣と何してたんですかね」

「ワルぃ…！風呂場にカメラないの知ってたけど、ア〜さんが、ソープの真似事って言うもんだから…つい張り切っちゃって、けっこう自慢なんだよね」

「ソープの真似事って…？あ〜あっ、あのお風呂場って、そのためにあったのか」

「そうか、香里奈はまだ、ソープの技、社長に教えてもらってないんだ。体洗いに始まって、たわし洗い。
　うふふふ…それがさ、わたしって、あの辺りの毛って脱毛してないでしょ。だから余計感じちゃってさぁ…」

「……？」

「ん、そうか、ゴメン…！体洗いって、だいたい分かるよね」

「そりゃまあ、体洗いってくらいですから。だと、たわし洗いって…？グクッ…！」
　電話の向こうで小さな苦笑、さすがに香里奈も気付いたようだ。

「そう、正解…！あそこの毛で、腕や太ももを挟むようにしてさ。それから潜望鏡」

「せんぼうきょう…？！」

「一緒にお風呂に入って、向き合って男の人が腰を浮かせると…」

「先輩っ…！分かったァ…！」

「そいでね、ア〜さんたら、６９の逆バージョンをさ。頼まれたら断れないし風呂の中だよ。
　縁持って跨ぐようにしてお尻を向けて、ア〜さんったら舌でベロベロっとか２本の指でクネクネと壺洗いのいたずらするのよ。それもしつこく」

「そりゃ大臣、のぼせて血圧も上がる分けですね」

「もうベッドまで待てないから、風呂場でって言われてもカメラがさぁ」

「それで二人とも全裸でソファーに濡れたままですか」

「そう、上がるなりズドンと最初の１発、そのまま撃たれちゃったって分け。ア〜さんも１発抜かなきゃ落ち着かないって」

「へへえ、見たところ余裕たっぷりにですね。色んなポーズ取ってらっしゃいましたけど」

「色んなポーズだって言うけどさ、顧客様のあうんの呼吸に応えるのも仕事でしょ」

「進んでのサービスなんですよね。先輩のバカでかいオッパイのパイズリとか、犬のような後背位に、先輩ってワンワンってホントに鳴くんですよね」

「だって、ア〜さんが、気持ち良ければ、ワンワンと犬のように鳴けって…」

「大臣、大はしゃぎでした。先輩も酔った大臣に騎乗位とかの格好で、前を向いたり背中を向けたり、知ってますよそれくらい。あれ花電車ってんですよね。
　社長なんか上に乗っかって尻を振りすぎだって…」

「それで無期限の休暇って…。そりゃぁ、ア〜さんって若そうに見えるけど７４歳のお爺ちゃんだもん。
　少しやり過ぎたと、思わないこともないけど、ア〜さんとは気が合ちゃったんだよね」

「先輩って、清河さんだけじゃなくって、あの大臣にも中出しでさせたんですよね。カメラの方、向いてさせるから録画にバッチリです。それも２回も…」

「だって香里奈ちゃん、それぇベッドルームじゃなくってぇ、カメラを意識したゲストルームのソファーでしょ。
　コンドーム着けるのに手元になくて、取りに行こうとしても放してももらえずぅ…」

「ブゥ…！それウソで〜す。先輩はバッグの中に予備を２つ入れてるはずで〜す」

「バレてたかゴメン…！ずっと生でしてたから、ア〜さんにどうすんだと言われても、今さら着ける分けにいかなくて、それに意気投合しちゃってさ。
　あのさ、ア〜さんて鉄砲撃つのが上手いんだって、俺ので妊娠させてやろうかって、しわがれ声のべらんめえ調で言うもんだから、ついぃ…」

「先輩ぃ…！そんな理由で中出しさせたんですか…？もう…！ちょっとはご主人のこと考えてあげて下さいよ」

「そりゃ、わたしだって主人のこと愛してんだから。でも主人って精子が少ないの。
　男の能力がないって言えば分かる。誰かの精子でなけりゃ妊娠の可能性もないんだから、仕方ないじゃない」

「ふ〜ん、男の能力ぅ！先輩ってそんなの口実にしたんだ」
　なによ、その切れた物言い。

「ふんだ…！接待秘書の職務上、コンドームなしでさせちゃいけないのは知ってたけど、ア〜さんに飲まされての誘導に、ついペラペラとさ。
　不妊体質で確率１００分の２〜３だと言うと、俺に任せろって言うんだから…。もういいじゃない香里奈ちゃん。大臣なら、主人だって文句はないはずよ」

「やっぱり、ご主人慮って酔っ払った先輩を、そのまま朝帰りさせんじゃなかった！」

「なによ、おもんバカってだって、主人なら分かってくれてるわよ」

「職務違反の無期限休暇と、酒の上での不祥事につき夜遊び厳禁、言ってること分かりますよね。
　先輩…！。大臣とはいえ、生出しさせたんだから、血液検査と尿検査も受けて下さいね」
　覚めた香里奈の声、言い返す言葉がなかったけど、夜遊び禁止なら、もう自宅謹慎と変わらないじゃないですか。

「ふんだぁ…なによ大げさな、中出しのひとりやふたり」

「先輩ぃ…！先輩は、その甘えがダメなんです。だから由香利先輩を始め…分かってんですか…！」
　香里奈まで由香利に付いて…。

　由香利のヤツ…！。その前、清河とさせたのとなにが違うんだよ。それよりか、何に使うか知らないけど、盗撮なんてそっちの方が問題じゃない。

「いいよ、どうせ誰も、この肌寂しい女の気持ちなんか分かりはしないんだから。こんな仕事なんか辞めてやるから、このマンションだって出てけばいいんでしょ！」

　接待秘書のどこが悪いと言うのよ！。

　夜半や明け方に帰るのだって仕事のうちじゃない。ハイヒールの音がうるさいだとか、酔っ払って帰るのの何が悪いって言うのよ。
　それを隣近所の女ったら、お高くとまってなにか悪いことしてるみたいにさ。

　クソォ…！良くないウワサってなぜこんなに早く広がるんだろ。

　ご近所さんとの付き合いだって、挨拶を交わす程度にはしているし、だのに、わたしのこと、これ見よがしに枕だって。
　あんたたちのダンナだって関連会社の職員さんでしょうが。なんでこんなに悪く言われなければならないんだろ。もう疲れちゃった。
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あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
2015年8月29日掲載
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