季子と視線が交わった俊介は、慌てて体を捩りベッドに腰を落とした。
　というのもパンツの前が膨らんでいることを季子に知られたくなったからだ。
　何度も肉体を重ねあった恋人同士ならいざ知ｫ上がり、初心な少年のごとく頬が真っ赤に染まる。
　恥ずかしい行為が全てばれていたと思うと言葉に詰まる。
「もう、さっき、愛しているっていったじゃない。早く、言って」
　季子が甘ったるい声で促す。 　
「……愛してる」
　俊介は照れ目線をそらした。
「ちゃんと私を見つめて」
　季子に言われるままに、視線を合わせた。潤んだ瞳に誘引されるように自然に唇が開く。
「愛してる」
「もっと言って」
「季子、愛してる」
「ほんとに？」
「ほんとさ。誰にも負けないくらいに愛してるよ」
　気分が高まっているからだろう、さっきの羞恥が嘘のように消え、ラブストーリーの１シーンみたいなセリフが平気で言えた。
「嬉しい……わたしも、好き」
　季子は頬を紅潮させながら囁いて瞳を閉じた。　
　季子が何を望んでいるのか考える必要はない。
　隣に寄り添い、肩を引き寄せそっと顔を近づける。若者ののようにガムシャラに抱きしめたいとの思いを懸命に抑え、季子の顎をそっと上に向け、艶やかなピンクのルージュで彩られた唇に唇を重ねた。
　(柔らかい……なんて柔らかいんだ)
　女の唇がこんなにも柔らかく心地良いものだったなんて、当の昔に忘れていた。その感触に感激しながら、唇を押し込み季子の口の中に舌を差し入れた。
　女の柔らかい舌がねっとりと絡んでくる。欲望に任せ、俊介、季子と互いの舌が互いの口内をせわしなく移動する。体中が蕩けてしまいそな、なめらかな舌の感触が官能の欲望を高め、萎えかけた股間のものを奮い立たせる。
　
　深いキスを止めることなく、右の手をスリップ越しの左の乳房へ重ね、５本の指を食い込ませた。
「あん」
　季子はキスから逃れ、悩ましい声をあげた。
「可愛いよ」
　と俊介は囁き、乳房を揉みながら唇で耳たぶを挟んだ。挟みながら舌の先端を左右に素早く往復させる。
「あん。くすぐったい」
　季子の言葉に構わずに、唇を耳たぶから首筋へと滑らせた。
「はぁ……あ……っ」
　季子が甘い吐息を放つ。
　
　　俊介は顔をあげ、乳房を揉む手を離し、スリップを捲くりあげ、首から抜いた。それをはらりと床に落として、両手をか細い肩に乗せ、ブラジャーの肩紐を親指でずらした。

　つづく