| 1 「あ〜あ。こんなんじゃなくって本物が見てぇなぁ・・・」 「見せてやろっか？」 「ガチ？」 「ああ。その代わりアイドルの生写真くれね？」 夏休みがはじまったばかりのある日、陽二と俺は、いつものとおり俺の部屋でエロサイトを覗いていた。 俺の名は小山直人。どこにでもいる普通の中学三年生。一緒にエロサイトを見ている右近陽二とは小学校からの親友、いや、悪友と言った方がいいかもしれない、妙に気が合っていつも行動を共にしている。 無修正の画像や動画は山ほどあったが、やはり本物が見てみたいと思うのは中坊の俺たちにとって当たり前のことだ。ところが陽二は本物を見せてくれるって言うんだ。 「お前、本物見たことあるのかよ？」 「うん」 「誰の？ お袋とか言ったらブッ飛ばすぞ」 「教えて、見せたら生写真くれる？」 「いいけど・・・相手によるな」 俺のオヤジは写真が趣味で、いい年こいてアイドルの追っかけをやってる。その道では、かなり顔みたいで、有名なタレントのデビュー当時の写真とか、アイドルやグラドルのパンチラ写真も持っているんだ。陽二もアイドル系が好きで、前にオヤジのコレクションを見せたら超興奮してた。どうも、あの写真が欲しいらしい。 「オヤジのパソコンからデータ引っ張ってきてプリントアウトしなきゃなんねぇから、今すぐってわけにはいかないぞ。で・・・誰なんだよ？」 俺は続けた。オヤジのアルバムから写真を抜き取ったらエライ目に遭うに違いないのだ。 「約束する？」 「当たり前だろ。俺とお前との仲じゃないか」 俺と陽二は隠し事なんかしたことがない。 「義姉さんだよ」 しばらく間があって決心するように陽二が言った。 「えっ。ねえさんって・・・美由紀さんのこと・・・？」 「うん」 陽二には、ひとまわり上の兄さんがいて、三ヶ月ほど前に結婚した。その相手が美由紀さんだ。アイドルなんてブッ飛んじゃうくらい、ものすごくきれいな人だ。 「お前・・・見たのか・・・？」 「うん」 「・・・」 俺はゴクリと音を立てて生唾を飲み込んでしまった。 「マジかよ・・・」 「兄貴は結婚してすぐに長期出張で海外に行っちゃっただろ。で、義姉さんはお袋の面倒見なきゃなんないから、こっちにいるんだよ。だから覗き放題なんだ。直人にも見せてやるよ」 そう、陽二の母さんは身体を悪くして、入退院を繰り返しているんだ。父さんは事故で亡くなっているから、美由紀さんは結婚して母さんの面倒を看るために陽二の家に住んでいる。 「ほんとに・・・ほんとか？ どうやったら見れるんだ？」 「任せとけよ。バッチリ見えるポイントはいっぱいあるんだ。なんてったって、生まれ育った家だから、隅から隅までよ〜く知ってるんだよ」 陽二の家は、いわゆる旧家で、木造のでっかい家だ。元は武家屋敷だったそうで、それを改築して住んでいる。小学校の頃は陽二と忍者ごっこや探検ごっこをして遊んだ。 「た・・・たのむ。で、いつ？」 俺の声はうわずっていた。 「今日でもいいよ。来る？」 「行く、行く」 こんなチャンスを見逃す奴がいたらバカだ。想像しただけで俺の股間はパンパンになっていた。 俺は母さんに帰りは遅くなると言い残して、陽二と家を出た。 |
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| 2013.1.21掲載 |
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1話（2013.1/21時点）
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