| 2 しかし、陽二はうらやましい奴だ。あんな美人の義姉さんがいて、ほとんど二人っきりで生活してるなんて。俺だって同じ環境なら覗きまくっているだろう。それだけじゃ済まないかもしれない。 陽二の話によれば新式にリフォームされた風呂場は本来の壁との間に隙間があり、ダクトを外せば通風口から覗けるらしい。 「靴を持ってきて。足場が悪いんだ」 家に入った陽二はそう言った。 陽二は納戸の奥にあるメンテナンス用の扉を開けて、中から手招きをした。 「なっ」 懐中電灯の明かりの中で陽二が俺を見て笑った。 「うん・・・すげぇな。これなら丸見えだ」 通風口は湯船の上の方にあり、ダクトを外すと浴室全体が見渡せたし、この位置なら注意をひくこともない。覗くには絶好のポイントだった。 「兄貴の寝室だって覗けるんだぜ」 「じゃあ、お前・・・」 「ああ。兄貴と義姉さんがエッチしてるとこだって見たことある」 「マジかよ〜。俺も見てぇ〜」 「もっといいこと教えてやろうか」 「なんだよ」 「義姉さんオナニーしてるんだ。ほとんど毎晩」 「う・・・ウソだろ・・・」 俺は思わずそう言ってた。バリバリ清楚系の美由紀さんがそんなことをしてるなんて信じられなかった。 「ホントさ。俺が離れにいると思ってるから、安心してすげぇ恰好してやるんだぜ」 言い忘れたけど陽二の部屋は母屋とは別になった離れなんだ。 「それも・・・見れる？」 「生写真くれたらね」 「約束するよ。オヤジの目を盗んでプリントするから・・・絶対・・・」 俺は手を合わせる。 「なんて、直人と俺の仲じゃないか」 陽二は俺を見てニッと笑った。 「お前って、ホントいい奴だなぁ・・・」 俺は本音で言った。 「秘密にしてるの、嫌だったんだ。直人は親友だし、この前、ヘンな奴らにからまれたとき助けてくれただろ。恩返ししたいって思ってたら・・・今日、本物の裸が見たいって言うからピンときたんだ」 そう、数週間前、商店街を歩いているときに不良っぽい他の中学の奴らに陽二がからまれたことがあった。カツアゲだと思った俺は顔が広い知り合いの名前を出して解放してもらったんだ。あんなことを恩に着てたとは思わなかった。 「そんな・・・でも、うれしいよ。仲間って感じだな」 「うん」 俺と陽二は顔を見合わせて笑った。 3 陽二の話だと美由紀さんはパートの後に母さんの看病に行ってて帰りは面会時間が終わる八時過ぎになるらしい。 「時間があるから、いいもの見せてやるよ」 陽二は俺を兄さんの寝室へ案内した。 「ジャ〜ン」 ワードローブの引き出しを開けるとエロサイトで見たことのあるバイブレーターやローターなどがタオルにくるまれて仕舞ってあった。陽二はその中のひとつを俺に手渡した。 「こ、こ、こ、これって・・・」 思わずどもってしまう。 透明なプラスチックの本体の中に白い芯棒のようなものが入っていた。 「スイッチ入れてみな」 「うん・・・うわっ！」 根本にあるスライド式のスイッチを入れるとギュインギュインというモーターの音とともに先端が円を描くようにくねる。 「隣のスイッチを入れると、その小っちゃい方が震えるんだ。かなり感じるみたいで、義姉さん、そっちを押しつけてイッちゃうんだ」 「ほ・・・ほんとかよ・・・」 試しに、もう片方のスイッチを入れると陽二の言うとおりになった。 「兄貴が帰ってくると義姉さんに使ってるんだ。で、義姉さんがこれでオナニーしてるのは、きっと、兄貴のこと思い出しているんだぜ」 「すげぇ・・・」 俺は言葉が出ずに、その樹脂でできたものを見つめていた。 「ほら、あそこにも通風口があるだろ。リフォームしたとき付けたんだ。天井裏から入れるから、あそこからも覗けるんだ」 寝室の通風口は天井にある。場所はベッドの足元側の角だ。 「お前ってば、毎日、あそこから美由紀さんのこと覗いてるわけ？」 「そうだよ」 「で、オカズにしちゃってるんだ」 「ま・・・ね・・・」 陽二はちょっと恥ずかしそうに答えた。 「うらやましすぎる」 「だから、直人にも見せてやるって」 「でさ」 「なに？」 「お前、美由紀さんの写真とか動画とか音声とか撮らないわけ？」 「あっ・・・うん。そういうの、どうやっていいかわからないから」 陽二はパソコンすら持っていないし男のくせに機械とかに弱い。 「撮ってもいいかな？」 俺はオヤジから仕込まれているから知識もある。それにオヤジは機材道楽で気がいいから借りるのは問題ない。ネットなんかで晒されている盗撮画像よりいいものが撮れる自信があった。 「いいけど・・・」 「けど？」 「それ、どうするの？ バレたらヤバイんじゃね？」 「俺たちが楽しむだけだよ。なんか興奮するじゃん。ネットなんかにバラ蒔かないから安心しろよ」 「だったらいいよ・・・でも、一応、兄貴の嫁さんだから・・・」 「わかった」 「なにが？」 「お前、美由紀さんのこと好きなんだろ？ でも、どうすることもできないから、俺に見せようとしたんだ」 「・・・」 陽二が黙り込んだ。図星みたいだ。 「いいよ。お前が嫌なことはしない。それに美由紀さんの裸が見れるだけで超ラッキーだしな」 俺は陽二の肩をつかんで引き寄せた。 「仲間だろ。さんきゅ」 そう言うと陽二はやっと笑った。 俺は、なんとなく陽二の気持ちがわかった。なんてったって、俺たちはまだ中学三年生なんだ。学校には女子と付き合ってエッチしたとか自慢してる奴もいるが、対象が義理の姉さんだったら手なんか出せるはずがない。憧れるのが精一杯。なんにもできないんだったら、ちょっと汚してみたいと思ってもおかしくはない。 陽二の家系は、このN市が城下町として発達した時代に家老職を勤めていたそうで、この家は当時の建物だそうだ。古い外観を残したまま、中身は近代的にリフォームしてある。太い柱や梁はそのままでモノコックというのだろうか箱形の部屋が中に組み込んである感じだ。事故で亡くなった陽二の父さんが歴史的な建物を壊すのが惜しくてそうしたんだそうだ。窓などの外と接する部分を活かすと柱を避けなきゃならないので部屋と部屋の間が大きくなったらしい。おかげで部屋の隙間は人が通れるくらいの空間があり、覗ける場所になっている。陽二の話によれば改築したときにお兄さんは東京に勤めていて、こういった構造になっているのを知らないそうだ。そして、病弱なお母さんを気遣って地元企業に転職して美由紀さんと結婚した。 美由紀さんはミスN市として観光関連の仕事をしていた。俺が初めて美由紀さんを見たのは去年のこと。地元の祭りで江戸時代のお姫様の恰好をしてイベントのアシスタントをしていたときだった。細面の顔に切れ長の眼が日本的で着物姿が似合っていた。いや、それどころか、中坊のガキにとって衝撃的な美しさだった。 陽二の兄さんと知り合ったのは会社のキャンペーンで美由紀さんを使ったときのことらしい。陽二の家へ遊びに行ったとき、兄さんの嫁さんになる人だって紹介されてビックリしたものだ。それに、普通の服を着た美由紀さんのスタイルのよさに興奮した。着物姿からはわからなかったバストの大きさやウエストのくびれにノックアウトされた気分だった。 美由紀さんに会えるという楽しみが陽二の家へ遊びに行く目的のひとつになった。俺にとって手の届かない大人の女だということはわかっていたが、間近に見て声が聞けるだけで幸せだった。でも、陽二への遠慮もあって美由紀さんのことを話題にすることはなかった。なのに陽二の方から、こんな話を持ってこられるなんて夢のようだった。 時間はあっという間に過ぎた。 俺と陽二は家中の電気を消して風呂場の奥に潜んだ。陽二の話だと美由紀さんは帰ってきてすぐにシャワーを浴びるんだそうだ。 十分も経たないうちに美由紀さんが帰ってきた。期待で鼓動が早くなり喉がカラカラになった。そんな俺の状態を察したのか、陽二は人差し指を立てて唇に当て「シッ」と言った。 「陽二さ〜ん・・・まだ帰ってないのかしら・・・」 離れに向かって陽二を呼ぶ声が聞こえる。 しばらくすると脱衣場と風呂場の電気が点いた。 陽二は懐中電灯のスイッチを切る。 磨りガラスのドア越しに美由紀さんが服を脱いでいる。うっすらと浮かぶ姿が肌色になっていく。それを見ただけで俺のものはギンギンになっていた。 とうとうドアが開いた。髪をアップにした生まれたままの姿の美由紀さんが風呂場に入ってきた。夢にまで見たバストの膨らみ、薄茶色の乳首、そして黒い茂みを俺は息をするのも忘れてガン見した。心臓が破裂しそうだった。しかし、正面の姿を見られたのはほんの一瞬で、美由紀さんは風呂用の椅子に座ってシャワーのレバーを操作して湯加減を見ている。斜め後ろから見る美由紀さんも生唾ものだ。ヒップの丸みや腰のくびれをゆっくり観察できる。ちょっと上を向いた乳首がたまらない。 それはネットなんかで見る女の裸と決定的に違っていた。バーチャルとリアルの違いだけじゃない。初めて本物の裸を見るという理由も大きいが、憧れの美由紀さんの裸を覗いているというシチュエーションが興奮を百倍くらいにしてる感じだった。 無意識に俺はジーンズの上から大きくなったものをこすっていた。そうでもしなきゃ、壁をブチ破って美由紀さんに襲いかかりそうだった。 泡に包まれた美由紀さんの裸を見ながら俺は射精してしまった。心底、美由紀さんの身体を洗っているスポンジになりたいと思った。 股間にベットリと生暖かいものがへばりつく。 それでも俺は風呂場から目を離すことができないでいた。 髪を洗い終わった美由紀さんは風呂場から出て行き、やがて脱衣場の電気も消える。 「こっち」 懐中電灯を点けた陽二が小声で言う。 「うん・・・」 俺は納戸の方向へ行く陽二について行った。 「お前、出しちゃったんだろ？」 「ごめん。我慢できなかった」 「いいよ。俺もそうだったから」 「だよな・・・すごかった・・・」 俺たちはヒソヒソ声で話す。 「どうする？ 俺、帰ってきたことにしなきゃならないし、メシも食わなきゃ・・・お前、夜中までここにいる？」 「できれば着替えたい」 「だったら11時くらいにまた来いよ。義姉さんが寝るのそれくらいだから」 「わかった・・・でさ・・・」 「なに？」 「やっぱ写真撮っちゃマズイかな？ 誰にも見せないから。お前と違って、俺は毎日見れないから・・・頼むよ」 「う〜ん・・・わかった。いいよ」 陽二はしばらく考えた後に言った。 「サンキュー。恩に着るよ。データ、お前にもやるから」 俺たちは美由紀さんに気づかれないよう納戸から出た。そして、窓から外に出て、陽二は玄関へ、俺は通用門へ向かった。 |
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| 2013.1.26掲載 |
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2話（2013.1/26時点）
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