翌朝、ユリは、出勤した。
「どうだね、エステの内偵は進んでいるかね？」上司が質問した。
「はい、今いろいろと調べ中です。」まさか自分が相手の罠に落ちてしまったことなど言えるはずがなかった。
「どう、調子は？最近元気がないみたいだけど大丈夫かい？」同僚であり、恋人でもある良だった。
「うん、大丈夫。」ユリは答えた。
　その夜、久しぶりに良と食事をした。
　二人で公園を散歩しながら仕事の話をした。
「エステの件は大丈夫？俺も手伝おうか」良が尋ねる。
「う、うん大丈夫よ。」良の気持ちは嬉しかったが、相談などできるわけなかった。
　暗闇になっているところで突然、良が抱きついてきた。
「あっ。」ユリは驚いた。
　良はキスをしてきた。はじめこそソフトなものだったが次第にエスカレートしていった。
　良の舌がユリの唇をこじ開け進入してくる。
　ユリは、そのまま受け入れる。
　二人の舌は絡み合い、時には吸い出す。
　良は、ユリのスーツに手を入れ乳房をまさぐり始めた。
「あぁ、ぁぁぁ。」ユリはすぐに反応した。
　ブラウスの上からでもすぐにわかる位、乳首が勃ってきた。
「はぁはぁはぁ、」ユリは喘いだ。
「ユリ、すごいなぁ。外だから刺激が強いのかい？」
「う、うん、すごく感じる。あぁぁ。」
　良はユリの興奮ぶりに驚いたが嬉しくなった。ブラウスのボタンをはずしブラジャーをまくった。
「きゃっ。」暗いとはいえ、さすがに驚き胸を隠した。
　良はキスをしながら手をどけて、胸を愛撫した。
　乳房全体をゆっくり揉んでから、そっと乳首をつまむ。
「あぁぁぁ。」ユリはたまらず喘いでしまった。
　良は胸を揉みながら、乳首を口に含む。それから歯にかむ。舌を使って乳首を転がす。
「はぁはぁはぁ、あぁぁぁ。だめぇぇぇ。」ユリはイった。
「随分、敏感になったじゃないか。」良は興奮していた。
「はぁっ！」良の手が下半身に移った時、思わずユリは腰を引いた。
「どうしたんだよ、ユリ。ここまできて、それはないじゃないか。」良は少し腹を立てた。
「ご、ごめんなさい。今日は体調が悪くて。」
　もちろん、ユリの秘部は、大洪水であった。しかし良には剃毛された秘部を隠しておきたかったのだ。

　帰ってからメールをチェックしてみると、また呼出があった。
「○月△日から一泊で開催されますのでご出席をお願いします。」
「今度は泊まりなの。」ユリは気分が重くなった。
　次の日、仕方なく有給の申請をした。
「ユリ君、有給取って彼氏と旅行かい？」上司はユリの気持ちもわからず冷やかした。
　隣で良がじっと二人のやりとりを聞いていた。

　次の日、いつものように迎えの車が来た。泊まりということもあるせいか、かなり郊外に来ていた感じがした。もちろんアイマスクをされていたので、どこに来たのかは、わからなかった。
　運転手はユリを降ろし、待合室に案内をして帰っていった。

　一時間が過ぎても誰も現れない。ユリは、隣の部屋を覗いてみた。
　そこには、ビデオ機器などが置かれていた。
　辺りを見渡すと一本のテープがあった。ラベルには「ユリ、マスターテープ」と書いてあった。
「テープさえあれば、もう怖くない。」ユリは、テープを自分のカバンにしまい、辺りを見渡して建物を後にした。

　取りあえず逃げ出すことに成功はしたが現在地がわからない、携帯電話もつながらない。ユリは途方にくれた。
　さらに二時間ほど歩いてみたが一向に町らしきものは、見つからなかった。
　そこへ一台のトラックが通りかかり止まった。中から男が降りてきた。
「お、いい女だな。こんな所で何をしているんだ？」男はナメ回すようにユリを見ながら聞いた。
「町に出たいの、ここから一番近い町までどれ位あるの？」
「そうだなぁ30キロ位だな。」
「そんなに・・・。」ユリは落胆した。
「おぃそれよりも俺達といいことしようぜ。」いやらしく男が言う。
「なにバカなこと言ってるのよ。」そう言ってユリは逃げた。
「逃がすか！」男は車に乗り込み追った。
　ユリは懸命に走り、近くの廃墟に逃げ込んだ。
　男も後を追った。
　ユリは物陰にじっとしていた。
　やがて男が入ってきた、しかも仲間も一緒だった。男は四人、格闘技をやっている体付きであった。
「ここに居ても見つかるのは時間の問題だわ。」ユリは焦った。
「おい、ネエちゃん出てきてやらせろ。」男は言いたい放題だった。
「こうなったら仕方がないわ。一か八かでやるしかない。」ユリは決心して姿を現した。
「おぉやっと出てきたか、イヒヒ。」男は薄気味悪く言う。
　ユリは空手のポーズをとる。実は空手の有段者だった。
「ほう、空手か。」男達は目付きが変わった。
「うぉぉ。」男が飛びかかる。
　ユリは寸前で身を交わし、突きや蹴りをする。
「ぐぇぇ。」男は声をあげる。
　男達は次から次へと飛びかかり、その度に声をあげる。
　そんなやりとりが30分程続いた。
　男達はまともに食らっているのだが、倒れない。
　ユリは息が上がってきた。
「なんて男達なの、全然効いてない。」ユリは、そのうち交わすのが精一杯になった。
　そして、ついに捕まった。
　男はユリの手を掴み、ユリの頬を打った。
「ピシャッ。」
　ユリの唇からスーと血が流れた。
「手間かけさせやがって。」男は更に数発打った。
　ユリは軽い脳震盪を起こし、ふらついた。
　そしてそのまま男がユリを押し倒した。