後ろの正面　だれ？ 風天（かぜ　あまみ） 作
第５話 入浴 慶介の章 　夕食が終わり、シャワーを浴びることになった。 「母さん、先に入りなよ」 　そう言って入浴を促したが、何やら困惑している。 　そうか、脱衣場的に身体を隠す場所がないんだ。 「なに? あ、後ろ向いてテレビ見てるから大丈夫だよ、覗きはしないから」 　平常心を装って、そっけない態度で声をかけた。 「あら、見せてあげてもいいわよ、母さんだってまだまだイケてるんだから」 　一瞬ドキッとしたが、 「ハイハイ、解ったから早く入れよ」 　と言いながら、マネキンの手を持って、ワクワクしながらテレビの前に座った。 　このモニターには光沢があって、背後の景色が見えることを知っていたからだ。 　予想通り無警戒な母の衣服が剥ぎ取られていく。 　ブラウスのボタンを外すとシルク地の薄紫色したブラジャーが、ブラウスの隙間から見える。 　スカートのホックをはずし、ジッパーを下ろすと、離されたスカートがパサッと床に落ちる。 　ブラウスを脱いだ下着姿の母をしみじみと眺める。 　４０半ばを過ぎたとは言え、確かにまだまだイケてるプロポーションだ。 　天に向かって伸びているペニスを、ジャージ越しにマネキンの手に握らせる。 　ブラジャーが剥ぎ取られ、ほど良い胸のふくらみに小さめの乳首が目に入る。 　駆け寄ってむしゃぶりつきたい衝動を抑え、マネキンの手を上下に移動させる。 　身を包む最後の一枚が、床に置かれ、黒々とした股間が見える。 　その股間をタオルで隠しながら、母は浴室へと消えていった。 　シャワーの音が聞こえる。 　しかしこの静寂な時間は、いきり立っていたペニスを落ち着かせてくれた。 　さながらの小休止と思うと、なぜか笑いがこみあげた。 　裸の母の登場を待ちわびながら… 　浴室の扉がガチャガチャと音を立て、タオルで軽く股間を隠した母が出てきた。 　裸体に滴る水滴が、瑞々しく母にまとわりついていた。 　その光景に、再びペニスが天に向かった。 　バスタオルでその水滴を拭き取り、頭に巻きつける。 　その何気ないしぐさにもエロチズムを感じてしまう。 　パンティを穿きかけた手が止まった。 　なんだろう？ 　パンティの股の部分に何かしている。 　反射している画面では、何をしているかはわからなかった。 　上半身裸のままで、スエットのパンツを穿く。 　どうやらブラジャーは、身に着けないらしい。 　スエットの上下を身にまとうと、母がスタスタと近付いてきた。 「はい、交代よ」 「うん、わかった」 　マネキンの手を床に置き、母に背を向けて立ち上がった。 　怒張した股間を悟らせないために。 　浴室の前で、威勢よく服を脱ぐ。 　母も映像のトリックに気付くだろうか? 　トランクスを脱いだ時、一瞬母の肩が揺れた。 　シャワーを浴びていると、不思議と怒張が収まってくる。 　程なくシャワーを終え、ドアノブに手をかける。 　母の反応を考えただけで、再び勢いよくいきり立つペニス。 　ドアを開けてバスタオルで身体を拭く。 　母は両手で片膝を抱きかかえるような姿勢で座っていて、抱きかかえた膝を前後にユラユラと動かしている。 　その余裕にも見える母のしぐさに、少し腹立ちを覚えた。 　見えていないのか? 　ためしにペニスをしごいて見せる。 　脚のユラユラは止まることもなく、しぐさは変わらない。 　おもむろにリモコンを手にした母が、チャンネルを変えるのを見て、慌ててトランクスを穿いた。 入浴 慶介の章 終
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2015年12月5日掲載
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