五章

　数日振りに会う京子は黒のスーツに身を包み、熱心にノートパソコンを眺めていた
　オフィス街の小さな喫茶店の中で、その姿は目立たないはずだが京子の付近に座るサラリーマン達は遠慮がちに彼女を盗み見している。
　やはり美貌とスーツで隠し切れない妖艶な体のラインがその原因であろう。
　俺は彼女の向かいに座ると、京子はパソコンを閉じながら
「この前は、ありがとう　貴方が紳士で良かった。」
　彼女は小さく手を上げて、ウェイターを呼ぶ
　俺は仕事に徹して特に返事をせずに煙草を取り出してくわえる。
　仕事の依頼者に特別な感情で接する事を自然に経験が制御してくれる。
「突然の計画変更は困るね。依頼は中止しますか？」
　来たウェイターに珈琲を注文して煙草に火を点けた
　京子は以前と違い明らかに好意的な態度を隠すこともなく
「依頼は続行します。それよりあの晩、貴方が暴走しなかったほうが嬉しい」
　俺は煙を深く吸い込んで彼女の瞳を見つめた。好意的な女には喋らずに見つめるほうが得策なのは間違いないからだ。
「あの後、困らなかった？」京子は口元を少し緩めて俺の反応を伺う
「仕事だから仕方ない・・・それよりあの後夫人は？」
　ウェイターが珈琲を持ってきたので京子は会話を留めた。
　ウェイターも京子が気になるようだ。ちらりと見ながら下がっていく。
「あのウェイター　さっきから私の脚ばかり見るのよ　嫌になるわ」
　京子は表情を引き締めてタイトなスカートから伸びる細くて長い脚を組みなおすと夫人のその後の様子を語った。
　俺は運ばれてきた珈琲を飲みながら彼女の話をじっくりと聞かせてもらった。
　彼女が話し終える頃には、珈琲は残り少なくなるほどの時間を要したが・・・
　要約すれば、夫人の裸体を写真に納めて、社長の性器も写真にとって彼女があの出来事を他人に言う事ができないようにしたらしい。社長の弱みまで写真に取るのは素人らしからぬ動きだ　容姿だけではなく頭も良いらしい。油断できない女だと思いながら彼女の話に適当に相槌を打っていたら
「やっぱり貴方にこの仕事を頼んで良かった。友達の言う通りだった」
「友達？・・・」彼女が何故俺に依頼したのか疑問もあったので問いただした。
「どんな仕事でも一番信用できる人をってお願いしたら、貴方の話をしてくれたの。貴方があの宗教から沢山の女性を救い出した話を聞いて・・・」
　苦い経験を話したくないので、打ち切るように語尾を強めて、
「古い話だ。あれは俺じゃなく友人達のおかげさ　それに救えなかった人も沢山居た。」
　彼女は俺の話し方からそれ以上の追求はせずに、コーヒーカップを持つ俺の手を触りながら
「強いだけの男なら、あの時に私もあの女も犯されてるわ・・」
　京子の行動は俺を挑発しているのか？本当に惚れたのか？真意を計れないが、彼女の目的は社長への復讐だとしたら、今後も秘密を守れるパートナーを必要としているはずだ、とりあえず俺は据え膳の箸を持つことにした。
「この前は我慢できたが・・次は自信ないね」
「あの女は魅力的だもん　匂いもね」京子は指を絡めてくる
「夫人にはそれほど魅力を感じないけど・・」とりあえず嘘をついてみる。
　京子は俺の手をカップから引き剥がすとそのまま彼女の口元に引き寄せた。
「女が、男のどこに惚れるか・・知ってる？」
　京子は言い終わらないうちに、俺の指を舐め始めた。
　舌を使ったり　唇を窄めて慈しむように、指を舐める。
　周りのサラリーマンが呆然と眺めているのを無視して唇から指を離さない。
　上目遣いに指を舐める京子を眺めていると自然と下半身が反応してしまう。
　周りで見ている男達も同じらしく、腰を引いた怪しい姿勢で美しい京子の横顔を眺めている。
　しばらく彼女の思い通りにさせていたが、周りの目が気になるので、少し手を引いてみると京子は諦めたようにハンカチを出して俺の指を拭った。
　俺の凶器は既に痛く感じるほど固くなっている。
「もう少し付き合ってくれる？」
　彼女は長い髪を振り上げて席を立つと、甘い香水の香りを漂わせた。
　パソコンを片手に店を出る彼女に遅れないように、店のレジにレシートと数枚の札を叩きつけて淫靡な甘い香りの後を追いかけた。

　喫茶店からそう離れていない古いシティホテルの一室で俺は彼女の甘い香りを堪能していた。但し、全裸にされてベッドの上で仰向けになり、バスローブの紐で両手を縛られた俺の首筋に京子が吸い付いているからであって、俺に主導権がある訳ではない。
　これが彼女の好むスタイルらしい。全裸になった京子を眺めると、どうしても夫人の事を思い出してしまう。京子は俺の凶器をゆっくりと上下に摩り始めた。凶器を掴む指の微妙な力加減で思わず登りつめてしまいそうになり、思わず腰を引いてしまう。

「あの宗教が施した洗脳から彼女達を目覚めさせた方法は？」
　俺の首筋から耳元に唾液を残しながら京子が囁く
「この手を自由にしてくれたら、教えてあげるよ」
　京子は含み笑いをすると、口紅の後を残しながら　ゆっくりと顔を俺の下腹部へ移動させる。手で俺の足を曲げてＭ字開脚させると
「先に答えさせてあげる・・」
　唇を窄めると俺の凶器にゆっくりと被せ始める。まるでコンドームを装着するかの動きだが、舌で絶えず凶器の先端を小さく刺激している。凶器と唇の間から唾液を惜しげも無く垂らすので、京子の唇が熱く感じ始めたときに　俺の肛門に彼女の指が突き立てられた。
「うっ・・・」息をつくまもなく彼女の細い指の半分が一気に進入する。
　思わず体に力が入った俺を見て京子は凶器から唇を外すと
「初めてなのね・・力を入れないで・・男にも急所があるのよ」
　京子は再び凶器に唇を被せる・・今度は全く唇に力を入れずに喉の奥まで飲み込むように肉棒全体を包み込むようにすっぽりと咥えた。彼女の指がゆっくりと動きはじめると俺は体験したことのない震えが睾丸から肉棒までを支配した。
　しばらく同じ姿勢のまま、京子の意のままに弄ばれて、彼女の口の中で舌が俺の凶器にまとわり付いて射精感が立ち上ってくるとタイミングを計ったように凶器から唇を外した。
　俺の肉棒は唾液で濡れたまま、鼓動に合わせて震えている。京子は十代に戻ったような角度で腹に張り付いている俺の凶器を掴みゆっくりとしごき始める。肛門に差し込まれた指も同調するように小さく動くと、先ほどの鋭い快感と違った鈍くて物足りないような快感が下半身に広がっていく
「教えてくれる？　彼女達を救えたなら、あの女の男嫌いも治せるでしょ」
　彼女のプロ級のテクニックに翻弄された俺は、とりあえず老師に面談してもらって、この女の正体を見定めてもらうことにした。京子はやたらと俺の過去の話に詳しいようだ。決して心を開いて話すことは出来ない。
「俺の師匠が彼女達を救ったんだ。　そろそろ往かせてくれ・・」
「師匠って・・？」京子は凶器を握った手に力を入れて早く動かし始めた。
「老師だ・・会えば解る・・もういいだろう　咥えてくれ」
　京子は返事の代りに、俺の肉棒を深く加えると音を立てて吸い始めた。
　肛門に差し込まれた指が軽く曲げられると　俺の肉棒が大きく震えだす。
「うぉぉ・・うぅぅ・・出すぞ」　宣言すると俺は脚を踏ん張って腰を上げて京子の喉の奥にありったけの精液を注ぎ込んだ。
　やがて肉棒から発する感覚が敏感になる頃を見計らうかのように、京子は唇を凶器から外すと俺の下腹に顔を押し付けて、動かなくなった。