１．

「そおぉっ・・・・・！もっとよっっ　ううう！」
　バックスタイルで撃ち込まれる桜木のペニスに、波打つ肉ヒダを絡みつけながら、双臀を迫り上げた沙紀は、もっと激しい責めを要求するように、呻きを振絞り訴えた。

　その求めに応える桜木は、汗の滲んだ白い臀部を鷲掴み、両方の尻肉を左右に割り拡げると、その狭間で蜜を撒き散らす淫穴へ、全身の力を混入するがごとく、杭打ちの速度と深度を強めてピストンを繰り返した！

「はああああ・・・っっ！　そおお！　イイっっっいいいいいい！！」
　沙紀の上半身が深くベットへ沈み込み、浮き出る背骨のラインに沿って、玉の汗が前方へと流れていく。
　裁断のない桜木の繰り出しが数分続き、汗の通り道となっていたラインへ、白く濁った液体が撒かれた。
　その液体は、汗と同じ様には前方へ流れず、粘り気の強さを存在が物語っていた・・・。

　呼吸を荒げたままベットで横たわる沙紀に一言だけ声を掛けると、衣服を整えた桜木は去って行った。
　汗で肌に張り付いたＹシャツが不快だったが、初夏には似付かない涼しい外気が、心地よく汗を乾かしていく。
　一時を過ごした団地敷地脇へ駐車しておいた車へ乗り込むと、その白いワゴン車は軽快に姿を遥かにした。

　団地妻の不倫模様・・・・そんなイメージが浮かぶ桜木と沙紀の情事だったが、二人が顔を合わせるのは本日が最初だった。
　しかし、偶然セールスに訪れた団地の一室で、妖艶な人妻と意気投合して・・・という背景ではない。
　今日、この時間に、この部屋を訪れれば、淫欲な人妻との濃密な空間が待っている・・・そうある人物に言われて、結果、その人物の言う通り、濃密な時間を満喫して、帰社したのだった。

「只今、、戻りました」
　勤務するオフィスへ戻った桜木は、黙々と業務をこなす他の社員に声を掛けると、オフィスの一番隅に置かれた自分のデスクへ腰を降ろした。
　しかし、桜木の言葉に反応を示す者は一人もおらず、それが桜木の置かれている立場を如実に物語っていた。
　３０代半ばにして、桜木は、俗にいう「窓際族」だった。
　１年前に起こした不祥事が、桜木を今の状況へと追い落とし、リストラされずに籍が残っただけでも、奇跡といえた・・。

　デスクに置かれた自分持込のノートパソコンを開き、受信メールを確認すると、そこには一件、今さっき送信されて来たらしいメールが存在した。
　送信名は「デビル」
　ここ１週間、桜木が唯一メール交換をした相手だ。

｛団地妻の味は、いかがでしたか？きっと御満足いただけたでしょう・・・・。もし、貴方様が更なる背徳をお望みならば、遠慮はいりません、いつでも、ご用命ください。また、本日ご賞味された沙紀の感想など賜りましたら、幸いと感じます・・・・｝

　まだ鮮明に残る沙紀との絡みが、桜木の脳裏に鮮やかに蘇る。
　半信半疑・・いや、殆ど疑った状態で訪れた家で、あれ程までに完璧な人妻に出会えるとは、全く想像もしなかった。
　ドアホンを鳴らし、自分を出迎えた人妻は、最初は何かに怯えた様相だったが、その人妻の携帯が鳴り、二言三言電話の主と話した直後、彼女の様子が大きく変わった。

　桜木の衣服を毟り取るように脱がすと、汗臭い男の身体を気に掛けることもなく、垂れ下がった状態の肉根に顔を埋めた。
　その巧みな性技が、桜木の男を瞬時に盛り立たせ、アッという間に訪れた射精感に桜木が慌てたほどだった。
　沙紀は、裸に薄手のワンピースを着ただけの姿だった。その唯一を頭から脱ぎ捨てると、中からは完璧な凹凸を誇示した姿態が現れた。
　そのまま、ベットで仰向けで固まる桜木の腰を跨ぐと、避妊もせずに男根を淫唇で咥え、呑み込んでいった。
　あとは、沙紀の乱れ様に必死に食らいつく桜木が悪戦苦闘し、自分の責めに恥じらいも無く乱れ飛ぶ人妻の背中に、溜まりきった精子を吐き出しただけだった・・・。
（こんな現実・・・・有ってもイイのか・・・？）
　帰りの道中、桜木は起こった事実を受け入れるべきか、否定すべきか、答えを見付けられなかった。

　ＰＣの画面を虚ろに見詰める桜木をよそに、一人、また一人と業務を終えた社員が帰っていく。時刻は１９時を指していた。
　見渡せば、オフィスには桜木と、離れたデスクでＰＣを凝視する女性社員だけになっていた。

　桜木は、キーボードに置かれたままの指を動かし、「デビル」へ返信を打つ。
｛本日、引きあわせて戴いた女性、僕には勿体無いくらいの奥様でした。有難うございます。でも、何故に僕がアナタ様から、この様な恩恵を受けることが有るのでしょう？｝
　送信ボタンを押し、そのままＰＣを見詰めた。

　デビルとの始まりは、１週間前に舞込んだ、一本のメールからだった。
　桜木のＰＣに、ある日、送信名ナシの電子メールが届いた。
　昨今、ウイルス関係のメールが話題をさらう中、そんな正体不明のメールを開くことなど、完全なる御法度だったはずだ。
　だが、職場での地位も失い、守るべき家族もいない桜木には、そのメールが齎すかもしれない現実なと、なんの心配でも無かった。
　開かれたメールから発せられたのは、「デビル」と名乗る者からの、意味不明の文章・・・。
｛初めまして・・・貴方は、私と良きパートナーに成れる人物だと勝手に決めさせていただきました。つきましては、これから数日、私とメールを交換していただければ、その先に、きっと貴方の人生を大きく変化させる出来事が訪れるでしょう・・・さあ、勇気を出して、私と共に、新しい人生の扉を開きましょう・・・・・｝
　全くもって、怪しいメールだ・・・正直感じた桜木だったが、文章から発する禍々しいオーラに惹き込まれる様に、｛宜しくお願いします｝とだけ、メールを返したのだった。
　それから、自分の身の上や現在の生活状況など、「デビル」に問い掛けられるまま、ほぼ素直に返信したのだった・・・。
　そして今朝、デビルから住所と名前が書かれたメールが届き、その場所へ１６時に行けば、素晴らしい空間が待っていると伝えられた。
（あの始まりは、いったい、何だったんだろう・・・・）
　そんな風に、頭を巡らす桜木のＰＣが、メール受信を知らせる電子音を奏でる。
　送信者、当然、デビルだった・・・。

｛素晴らしき感想、誠に感謝致します。もし御希望とあれば、再度、沙紀との時間を設定しますので、いつでも御用命ください・・・。さて、貴方様からの質問ですが、大変申し訳ありませんが、今の時点ではお答え出来かねます。今言えることは、私を信じて戴きたい、それだけで御座います。その証拠に、新たな貴方様の出会いを提供いたします。それを見て貰えれば、きっと私を信じて、いや、私と共に歩む素晴らしさを実感して頂けるものと信じております。添付ファイルを御覧ください。
そこに、貴方様の求める現実が存在するはずです・・・・。お受けになるか、拒否するかは、貴方が決めて戴ければ結構で御座います｝

　桜木の瞳は、添付ファイル一点に注がれた・・・・。
　これを開くと、いったい何が待ってると言うのだ！・・。
　この先に、俺の求める物が存在すると断言するデビルを、本当に信用して良いのか？

　だが、一度、背徳の蜜を舐めてしまった人間など、全くもって弱いものだ。
　桜木は、添付ファイルを開いた！

　数秒掛かり、ファイルが全貌を桜木の目に認識させた。
　そこには、女性を被写体とした数枚の小さな写真と、その女性のプロフィールらしい文字列。
　最初に、沙紀を紹介されたときは、ある場所へ時間に行くようにとの指定のみ・・・・だが今回は大きく違っていた。
　写真の下に、クリックすると拡大します・・・と書かれていた。桜木は、カーソールを一枚の写真に合わせると、ＰＣをクリックした。
　画面一杯に拡大された写真は、一人の女性が、風呂上りとおぼしき、裸体にバスタオルを巻いただけのモノだった。
　若干俯き加減のため、顔はイマイチ確認できない・・・だが、妙に桜木の鼓動を速める写真だった。
　２枚目の写真を拡大してみる・・・すると、一枚目と同じらしき女性が、笑顔でこちらを向いていた。その顔を見た桜木は、思わずＰＣから顔を上げた！
　桜木が目線を向けたのは、前方で黙々と残業をこなすＯＬ・・・・確か、名前は太田さん・・・太田早苗だったはずだ。
　桜木の視線に気付かず、太田早苗はＰＣと格闘を続けている・・・こんな事が、あってもイイのか！？
　桜木の鼓動が、一層速さを増した。
　震える指をなんとか動かし、最後の一枚を拡大してみる・・・・一糸纏わぬ太田早苗が、直立不動の姿で、こっちを睨んでいた・・・・。

　惜しげなく裸体を晒す太田早苗の写真を横目に、記されたプロフィールを確認する。

　氏名・・太田早苗
　年齢・・２７歳　人妻（結婚３年。子供は無し。配偶者は、同じ会社勤務の男）
　職業・・�鰍`ＴＦ　社員
　身長・・１６５センチ　　体重・・４９キロ　スリーサイズ・・Ｂ８４（Ｄカップ）Ｗ５９Ｈ８７
　性感・・乳首、クリトリス、背中
　特技・・フェラチオ
　※その他・・現在、配偶者出張中のため、朝までのプレイ可能。ピル服用、避妊不要。病気なし

　再度、太田早苗を凝視する桜木の目が霞んだ・・・。
　目と鼻の先で黙々と仕事を続ける同僚が、自分のＰＣでは白い裸体を晒している。
　その余りにも整ったプロポーションに、桜木は釘付けになる。
　デビルの仕掛けた罠が、少しずつ、桜木を取り込んだ瞬間だった・・・。
　
　ＰＣが電子音を鳴らす。
　デビルからのメールに、桜木は目を疑った！

｛いかがですか？貴方様の目の前にいる女性が、次に御紹介する相手です。同じ会社だと、気が引けますか？ご心配はいりません！今、この時点から、早苗は貴方様の言葉に忠実な僕に変わります。
　信用戴けないのであれば、今回は無しとしますが、興味が沸かれましたら、どうぞお試しください・・・。一言、彼女に声を掛けさえすれば、夢の始まりで御座います・・・・｝

　あんなに早鐘を打っていた鼓動が、何故か修まっていた・・・。
　デビルの文章が発するオーラが、桜木に不思議な暗示を掛けたようだ・・・。
　視線の先に居る早苗は、こちらを見向きもせずに、黙って業務を続けている・・・。だが、心なしか、小さく肩が震えている様にも思えた。
　頭の中で、ゆっくりと６０数えた桜木が、掠れた声で言った。
「お、太田さん・・・」
　その声に、背中をビクリとさせた早苗が、ゆっくりと、こちらを振り返る。
　眼鏡の奥から覗く瞳が、怯えたように揺れていた・・・。

「はい・・・・・なんでしょう」
　押し潰されそうな小さな声で、早苗は返事をした。
「いや、あの・・・まだ、仕事残ってるの？」
「あと、少しです・・・あっ、でも、もう終わります・・・」
「そうなんだ・・・・大変だね・・・」

　そう言って、桜木は早苗から目を逸らした。
（本当に、デビルの言う通り、太田早苗が相手で間違い無いのか！？　あんな、真面目そうな主婦が、言葉に忠実な僕だと！ウソだ、きっと騙されてるに違いない！）
　桜木は、邪念を払う様に２、３度頭を振ると、上目遣いに、早苗の方を見た。
　早苗は、潤んだ瞳のまま小さく震え、だが、桜木から目線を外さずに、こちらを見詰めていた。
「うっ・・・！マジ、かよ・・・・」
　桜木は、意を決して早苗に言葉を掛けた・・・・。

「太田さん・・・・こっち、来てくれる？・・」
　毛穴からは、汗が滲み出していた。
「はい・・・」
　太田早苗は、消え入りそうな声で素直に返事を返すと、椅子から立ち上がり、二人の間のデスクを縫うように歩き、桜木の前へ佇んだ・・・。
　桜木の唇が微かに震え出した・・・・しかし、早苗の唇は、それよりもハッキリと震えを伴い、瞳は宙を彷徨い、表情は強張っていた。
（デビルの話は真実だ！・・・・）
　早苗の怯えた表情が、沙紀と対面したときと同じ様子だと感じた桜木は、気持ちが強くなるのを感じた。

「あのね・・・・太田さんは、僕と、その、う〜ん・・・いいのかな？」
　訳の解らないセリフに、桜木の顔が一気に熱くなる。
　だが、早苗は暫く間を置いたあとに、ポツリポツリと声を漏らした。
「はい、桜木様の望みを言ってください・・・な、なんでも、聞きますから・・・・はあ・・」
「えっ？ええ・・・」
　早苗が、本心からその言葉を発したとは、桜木には感じられなかった。
　何かに操られている・・・もしくは、逆らえない立場にいる・・・・そう直感した。

　これがデビルの影響？・・・そういう、コトか！
　なら、共に歩むのも悪くない。いや、是非、一緒に歩んでいった方が特かも。
　桜木の表情が、穏やかだった面影を消去し、何かに執り付かれた様に変化していった。

「こっちに来て、もらえる？隣に・・・」
　自分の椅子の肘掛をトントン叩き、早苗に場所を指示する。
　デビルと歩むことを受け入れたはずだったが、やはり強気には出れなかった・・・。

　そんな桜木の態度を、虚ろな目で見下ろした早苗は、制服の前で組んだ指をモジモジと動かす。だが、唇をキュッと一度だけ結びと、震える脚を一歩ずつ前に出し、椅子に座る桜木の隣へ場所を移した。

「あ、ありがとう・・そしたら、え〜と、どうしよう」
　動揺を隠せない桜木は、ＰＣの画面に目を向けた。
　釣られるように画面を見た早苗が、小さな悲鳴を挙げる。
　それもそのはずだ、画面には、裸の自分が大写しになっているのだから。

　早苗が床に視線を落とし、全身をワナワナと震えさせる・・・・・その怯えた仕草が、妙に桜木に火を点けたようだ。
「ほ、ホラ、床ばっか見てたって、何も始まらないよ！あのね、ココにも書いてあるけど、クチ・・・が得意なの？太田さん」
　桜木の問いに、早苗は震える身体のまま、小さく頷く・・・。
「そうか・・・だったら、シテ貰おうかな・・・いい？」
　そう言うと桜木は、ズボンのファスナーをチリチリと指で下げていった・・・。

　椅子に腰掛けたまま、桜木はファスナーを全て降ろし、両手を左右に小さく広げた。

　どう？こんな問いかけを早苗に向ける仕草が、自然と出るとは自分でも想像していなかった。
　だが、ここまで来たら引下ることは出来ない・・・両手を広げた格好のまま、桜木は早苗の動きを待った。

「し、失礼・・・します」
　会社の制服姿の早苗が、膝を折り曲げ、桜木の足元で身体を低くした。そして、ゆっくりと右手を前に出すと、白魚の様な細指を数本、ファスナーの中へ進めていく。
　早苗の爪先が、ペニスの幹に当たり、桜木の腰が若干跳ねた！
　桜木の動きに指を止めた早苗だったが、顔を上げ、桜木の目を見詰めると、止めた指の動きを再開し、モゾモゾとトランクスの上からペニスを撫でる。
　反応は素早く、ペニスは屹立をはじめ、すぐに大きさを最大にする。それを感じ取った早苗は、左手を伸ばし、ベルトの留めを緩める。
　ベルトの合せ目が左右に分かれ、桜木のウエストが幾分楽になった。早苗の指は、そのままボタンを挟み込み、器用に外しとる・・・。
　いよいよだ！・・・・そう感じた桜木の腰は、期待で痺れ出した。