６．

　好奇と軽蔑の織り交じった多数の目が、浮輪の中で苦悶に歪む早苗に注がれていた。蹂躙された細身の肉体がプールで冷され覚醒すると、その数々の視線に晒された人妻は小さく悲鳴を挙げ、苦渋に充ちた表情で捲られたビキニを戻し、囚われの浮輪を一気に持上げると、輪の中から飛び出した！
　プールの底を蹴り、水の抵抗を受けながらも必死にプールサイドへ辿り着く。
　腕の力で身体を持上げ水中から這い出すと、途端に重力が早苗の全身に重く圧し掛かる・・・。それでも懸命にプール外へ身体を逃した早苗に、背後から卑猥な驚嘆が聞こえた。
　水着をズラされたまま桃尻の片側を晒す後姿が余りにエロチックで、子供連れの父親まで思わず声を挙げたほどだった。

「いやっ！！・・・・・・・っ」
　慌てて片尻に水着を被せると、早苗は眼鏡の奥から涙を溢れ出させ、その場から走り出した。
　その慌て振りを、まだプールで浮かぶ田之上は、恍惚とした表情で見送った。
　だが、気付けば自分の周りには好奇と軽蔑の集団が押し寄せており、流石の田之上もそれには耐えられずに、ソソくさとプールから這い出すと早苗の姿を追った・・・。

　涙を後方へ飛ばしながら、人混をただ走り続けた早苗は、少しずつ走る速度を落としていくと、施設突端の人少ない雑木林へ逃れ込んだ。
　目の前には太い松の木が聳えており、その幹へ片手を着いた早苗は、込上げる嗚咽を抑え切れずにその場へしゃがみ込んだ・・・。
　従順なれと自分を偽ってきた今迄が、走馬灯のごとく頭を駆け巡る・・。
　自分の犯した罪への償いとして、デビルの命令を絶対としてきた。だが、これ程の屈辱は我慢出来なかった。これ以上、何を償えば良いと言うのか・・・自分が進む道が解らなくなってしまった。

「さ、早苗さん・・・・・」
　松の幹にすがり嗚咽する早苗に、桜木が声を掛けた。やっとの事で見付けた早苗は、無我夢中にこの場へ走り込んでいたのだった。
　早苗の身に起きたコトの重大さを、桜木は彼女の状態で理解した・・・。早苗をここまで追い込んだ田之上に、抑えようの無い怒りが込上げてくる！

　桜木の姿をクシャクシャな顔で見上げた早苗は、溢れる涙のまま、桜木の胸へ飛込んできた！
「さ、桜木・・・さん・・・わたし・・・・ううぅ・・どうしたら、あああぁぁぁ〜っ！」

　桜木の胸に顔を押付けた早苗は、背中に廻した腕で必死に桜木の身体を掴み、堰を切ったように大きな声で泣き始めた。
　二人の様子を、通り掛った数人が訝しげに眺めては行くが、それ以上は興味を示すことをせずに通り過ぎていった・・。

「ごめんよ・・・辛い目に合わせて・・・・。アイツに酷いコトされたんだね？・・・クソッ！」
　自分にすがり初めて弱さを見せる早苗の髪を撫でながら、桜木はなんとか早苗を落着かせようとした。だが、悪意を持った男は、それまでも許せないのか、厭らしい音色で二人を揶揄する。

「おいおい二人とも、こんな場所でラブシーンですか〜？お熱いですねー・・・・て、コラ！逃げるんじゃネェよ奥さん！」
「た、田之上！貴様〜、彼女にナニをしたんだ！許さんぞっ」
　刺す様な田之上の視線に、桜木は今度は負けなかった。今この怒りを相手に見せなければ、きっとこれからも、この悪意の男に弄ばれる！
　しかし、悪意の同僚は桜木の怒りなど耳に念仏なのか、黙ったまま桜木の目を見据えると、二人に近付き、身体を震わせる早苗の腕を力任せに引張る。
「きゃっ・・・・！　やめて、ヤメテください！」
　自分を大衆の面前で辱めた男の感触に、早苗は表情を引き攣らせて抵抗した。だが、お構いナシに引き腕を緩めずに引寄せる田之上の力に、体勢を崩した早苗は２、３歩だけ田之上に寄せられてしまった。
　その直後、早苗の耳元で何やら田之上が囁いた。すると、抵抗を見せていた早苗の表情が虚ろになり、黙ったまま地面を見詰める・・・。
「分かったな！」
　何事かに念を押す田之上に静かに頷いた早苗は、手を引かれるまま夫の親友に従って歩いていく。

「早苗さんっ！？」
　早苗の急変に堪らず叫んだ桜木だったが、こちらを振向いた早苗は、寂しそうな瞳を桜木に一度だけ見せると、前を向き直し、田之上と共に人混みに紛れていった・・。

　急変した早苗を呆然と見送った桜木は、力無くその場へ座り込んだ。
　田之上はあの時、何を早苗に囁いたのだろう？・・・・。そして何故、あれ程の狼狽を見せていた早苗が、その囁きで悪意を持った男に従ってしまったのだろう・・・・。
　桜木は、髪の毛を思い切り掻き毟った！だが、答えなんて浮かんでこなかった。
　ただ言えることは、この場でアレコレ考えてもラチが明かないと言うことだった。田之上に連れ去られた早苗を、このままにして良い訳がない！
　立ち上った桜木は、二人の姿を探すべく、プールサイドをひたすらに走り回った！

　いくら探しても見当たらない二人に、体力の限界に達した桜木は座り込んだ・・・。

　肩で大きく息をし、灼熱の太陽に照らされた身体からは汗が噴出していた。
　暫くその場で休憩をとった桜木は、もしかしら二人は施設から出ているのかもと思い、ロッカーへ行くと着てきた服へと着替えた。
　そのタイミングを見計らったように、桜木の携帯が鳴った。慌てて耳にあてた携帯からは、あの悪意の篭った声が聞こえてきた。

「やっと携帯が繋がったよ〜・・。随分と探し回っていたみたいだな！お疲れさん」
「貴様っ！早苗さんをどうした！？」
「そうムキになるなよ、同僚！早苗はちゃんと俺の隣に居るさ。だからお前もサッサと来いよ」
「何処にいるんだ！教えろ」
「俺の車だよ。駐車場の東ゲート近くに停めてあるぞ。この前乗ったから、どれかは分かるな？待ってるぞ」
　不通音を繰り返す携帯を握り締めた桜木は、まるでバトン替わりに携帯を握り締めたリレー選手の様に、脱兎のごとく田之上の大型ワンボックスカーを目指した！

　ゼェゼェと喘ぎながら発見した田之上の車は、誰も乗って居ないかの様に静かに停車していた。
　だが、微かに聞こえるエンジン音が、中に人が居ることを桜木に教えているようだった・・・。
　荒れた呼吸を整えながら車へ近付いた桜木を迎える為か、サイドのドアが突然スライドした。ドアの先から自分を見ていたのは、口の端をいびつに吊り上げた、田之上だった。
　怒鳴りつけたい感情に駆られた桜木だったが、カラカラの喉が声を振絞ることを許さない。必死に唾液を飲込みながら、開かれたドアへと近付いていくと、乗れとばかりに田之上は片手を前後に揺らした。
　乗込んだ桜木に、良く利いたエアコンの冷気が心地よかった・・・・。田之上に差し出されたペットボトルの水を数口含んだ桜木は、潤った喉から罵声を搾り出そうとした。
　しかし、サードシートに座らされた早苗の姿を発見すると、出掛った罵声を呑込まずにはいられなかった。
　桜木が目にした早苗の姿は、全裸に剥かれた細い身体が、両脚をＭ字に開脚され、両方の膝に括られた縄が左右に別れながら、その先を背後へと廻され、開脚された脚を固定されるという、破廉恥極まりない姿だった！

「さ、早苗さんっ！！」
　余りにも無残な早苗の姿に、その元へ進もうとした桜木の腕を、田之上が掴み制する！
「オマエ！彼女にナンてことを・・・・・！」
　怒りで目頭を熱くする桜木を半笑いで見上げた田之上は、早苗に向かって「オイ！」と言葉を発した。
　すると、下を向いていた早苗の顔が桜木を見詰め、一度だけ小さく頷くと信じられないセリフを言った。

「桜木さん、イイんです。私が望んでシているコトですから・・・・。だから、田之上さんを責めないでください・・お願いします」
　早苗の顔からは、眼鏡が外されていた。それが余計に、切れ長の瞳が小さく震えているのを桜木に認識させる・・・。
「田之上！彼女は本心で言ってる訳じゃない！オマエ、いったい・・・・」
　汗の引いた身体を痙攣させ、桜木は悪意の同僚の胸倉を掴み上げた！その腕を不貞腐れた顔で振り解いた田之上は、開きっぱなしだったドアをリモコンで閉めると、今度は逆に桜木の胸倉を掴み上げてきた。

「おい！彼女の言葉を聞いてなかったのか？自分から望んでるって言ってたのが分からネェのかよ！なあ早苗、もう一回このバカに言ってやってくれよ」
「はい、私が田之上さんに頼んでこうして貰ったんです・・・。ですから、お願いですから言い争いはヤメテください・・」
「分かったかっ？桜木！分かったら大人しく、俺の言う事を聞いてりゃ〜イイんだよ！」
「な、何故だ・・・・早苗さん」
　胸倉を掴まれたまま、身体の力が抜け落ちた桜木は、すがる目で早苗を見詰めた。その目に、早苗が答えを返してくれるコトは無かった・・・。

「ホラっ桜木、オマエがこの車、運転してくれよ！ココじゃ狭いから、もっと楽しめる場所へ行くんだよ！分かったのか！！」
　田之上の恫喝と早苗の言葉に、正常な思考を一瞬にして奪われた桜木は、無言で従うと運転席へと腰を降ろした・・。ギアをドライブに入れ、ハンドルを握ると車を発進させる。
　後部座席でアレコレと指示を出す田之上に操られる様に、桜木は目的地へと虚ろなまま車を操作していった・・・。

　高速インターのホテル街へと到着した大型ワンボックスは、一際派手な装飾を施したホテルの駐車場で停まった。
　ギアをパーキングに入れ、サイドブレーキを掛けた桜木は、ルームミラーで後方の二人を確認した。行き先を指示したあと、田之上は拘束された早苗の裸身を好き勝手に弄んでいた。
　そして今も、Ｍ字に開かれた脚の間に顔を埋没させ、舌と指で人妻早苗のクレパスを責め込んでいる。眼鏡をしていない早苗の表情が苦悶と官能の狭間で揺れ動く様子が、桜木には手に取る様に分かった・・・。

「着いたぞ・・・・」
　顔だけを後方に向け、人妻の股間に張付く同僚に呟くように言った。
「おお、やっと着いたか〜。これ以上責め続けたら、この奥様が耐えられなかったからな！良かったな、早苗奥様！すぐにもっと楽しませてやるからな〜」
　自分勝手なセリフを吐いた田之上は、愛液で汚れた唇を拭うと、蜜穴に挿入したままの指をグリグリと掻き動かした。
「ああああっっ・・・！　イヤぁぁ・・・っ」
　早苗の頭部が後ろへ弾け、切れ長の瞳が堅く閉じられる。

「おい桜木、車から降りて、ガレージのシャッター閉めてこいよ！」
「ああ・・・分かった」
　開閉ボタンを押すと、鉄製のシャッターがワンボックスの姿を外部からシャットアウトしていく。
「よしっ！じゃあ部屋まで行きましょうか、早苗奥様！」
　意気込みさえ感じさせる声で言うと、Ｍ字に拘束された早苗の裸身を抱え上げ、そのまま田之上は車から降りた。
　シャッターが閉じていなければ、男の腕に抱えられ、小振りな双臀を曝け出した早苗の痴態が、容易に外から確認出来ただろう・・・・。
　田之上に言われるまま、部屋のドアを開けた桜木は、これから繰り拡げられる事態を想像するだけで胸が張り裂けそうだった・・・。

「シャレた部屋じゃねぇかー！これなら存分に奥さんと遊べそうだな・・・それっ！」

　ベットへと放り出されたＭ字の早苗は、スプリング作用で数回バウンドすると、小振りな桃尻を左に向けた状態で転がり、後ろ手に拘束された両腕をモジモジと動かした。
　開かれた両足は、横になっても閉じるコトを許されず、丁度桜木の視線下で、愛液に濡れた淫裂がピンク色に染まっていた。

「さてと、ヌレヌレの奥さんをまずは満足させてあげますか！」
　ソソクサと全裸になった田之上は、完全に怒張する肉根をヒクヒクとさせ、転がる早苗の背後に膝を着いた。
「でわでわ、早苗奥様。僕も貴女と一緒で我慢できないので、ヤッちゃいますよ〜！」

　ニヤついた笑いで早苗を反転させると、突き上がった桃尻の間へ肉根の狙いを合わせ、躊躇いもなく挿入していった。

「はああうううっっっ！！・・・・・うううっ」
　人妻の蜜壷を味わう訳でもなく、一気に突き挿れられた肉幹の衝撃に、早苗の唇から苦しげな呻き声が挙がる！
　支を奪われた人妻の裸体は、後方からの裁断なき繰出しに半身をベットカバーに擦り付けながら大きく前後に揺れる・・・・。
　時折、荒げた呼吸をうつ伏せの顔を歪めて発し、競り上がった尻肉を男の腰が叩き赤く変色させる。
　じょじょに乱れをみせる人妻の喘ぎは、無言で見詰める桜木の下半身を刺激し、ズボンの生地が大きな膨らみを見せる。

「桜木、オマエも見てるだけじゃツマんねぇだろ？一緒に奥さんを可愛がろうぜ〜」

　虚ろな思考に、悪魔の声が自然と浸透していく・・。この同僚の声は、何処かデビルのメールと波長が似ている・・・そんな感覚を意識下に感じる桜木は、操られる様に全裸になると、揺すぶられる早苗の頭上へ屹立したペニスを差し向けた・・・・。
　
「はい・・・っっ・・！」
　拘束バックスタイルで男の抽送を受ける早苗は、肉根が子宮口を貫く衝撃に呻きながらも、自分へと供えられた桜木の陰茎に持上げた顔を寄せる・・。
　ズンっ！と一際強い突きに拡げた唇から淫声を奏でた人妻は、その勢いのまま前方の塊を喉元深く飲み込んでいく。
　早苗が顔を前後する必要もなく、後ろからの揺り動きで自然と前のペニスを唇と舌腹がスライドを繰り返し唾液で濡らしていく。
　虚ろなままの桜木は、腰から登ってくる甘美な痺れ具合に、段々と表情を恍惚に変えていった。

　田之上は、性を放ちそうになると、桜木と役割を交代させ、美人妻の唾液と口内粘膜のハーモニーに男らしく無い声を挙げてヨガッった。
　それから数回、お互いの場所と体位を変化させた男二人は、遅めのクライマックスを前後の穴へ殆ど同時に撒き放った！
「はああああああああ〜〜〜っっっあああああああ！！」
　唇から零れ出す精液をそのままに、囚われの妻は全身で歓喜を表す悶えと嬌声で限りなく深い闇へと果てていった・・・。