| 母の男 しろくま 作 |
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| ５４. 母は、ベッドの上で足を少し広げた状態で、私とＲに向かって話し始めた。母の声は冷静で落ち着いていて、高校生Ｓに注ぎ込まれたばかりの精液を股間から垂れ流しているという光景の異様さとの対比が変に思えた。 母は、満ち足りたような表情を浮かべながら、「お礼じゃないけど、今日は２人にもね・・」と話し始めた。私も、心の中で蠢いていたはずの嫉妬や屈辱感が少し和らぎ、母の言葉に、ある程度、落ち着いて耳を傾けることができるようになっていた。私の隣に座っているＲだけが、まだ目の前のことを現実として受け止められずにいるようであった。 Ｒのほうに視線を向けた母は、Ｒを落ち着かそうと、「Ｒちゃん・・今日は色々と驚かせちゃったわよね・・ごめんね」と優しく声をかけた。それでも、女子高生Ｒは、自分の交際相手が母親のような年齢の女性と繰り広げた濃厚なセックスを、夢の中のことのように感じているに違いなかった。 しばらく間を置いてから、母は、やはり優しい声で「大丈夫・・？」とＲに尋ねた。Ｒは、自分を落ち着かせようと胸に手を当てながら、小さく頷いた。Ｒの瑞々しい横顔からは、Ｒが非常に動揺しながらも、母の真剣な思いに応えなければならないと感じていることが伝わってくるようであった。 Ｒの様子を見ていた母は、綺麗な笑みを浮かべて、「Ｒちゃん、今日は・・」と話を始めた。母の声を聞いたＲは、勇気を振り絞るように、床に落としていた視線を母のほうへと向けた。私は、その横顔を凛としていて美しいと感じた。 Ｒの視線に気がついた母は、その覚悟を感じ取ったのか、優しい表情で「いっぱい驚かせちゃったと思うけど、ごめんね・・」とＲに語りかけた。Ｒが「いえ・・」と言いたそうな様子で小さく首を横に振ると、母は、微笑みながら、広げていた足を閉じていわゆる女の子座りの体勢になった。 母は、「Ｒちゃんは、これからＳ君とずっと何度も愛し合うことになるわ・・」と言うと、いったん言葉を区切った。私は、母が女としての嫉妬を隠そうとして笑みを浮かべたままでいるのかが気にかかり、母の顔を凝視したが、そのような目で母を見てしまう自分のことが嫌になってすぐに視線を母から外した。 Ｒのほうを向いたままの母は、「２人で何度も愛し合って、お互いに気持ちよくなれると素敵ね・・」と言って、Ｒの応答を待つかのようにしばらく間を置いた。Ｒが小さく頷くと、母もそれに応えるように頷いた。 母は、少し口調を変えると、「でもね・・Ｒちゃんに怒ったり、ショックに思ったりしないでほしいんだけど・・Ｓ君のような人は、将来、他の女性とそういう関係になることも多いと思うの・・」と言った。Ｒのほうを見ると、Ｒはこれまでとは異なる種類の戸惑いを感じているようであった。 母は言葉を続けた。「いや、その・・Ｒちゃんのことをちゃんと大切にして、愛してくれると思うのよ・・そこは勘違いしないで。でも、偉くて立派な男の人は、奥さんとかそういう人以外の女性とも関係をもったりするものなの。男の甲斐性といっても、ピンとこないかもしれないけど・・そういうものなの。Ｓ君が悪いとかじゃないの・・」。 母が言葉を止めると、Ｒは「大丈夫です」と言い聞かせるように小さく頷いた。Ｒの様子を見た母は、少し安堵した様子で、これまでよりも早口に「だから、一番心から好きなＲちゃんと愛し合うときは、Ｓ君に気持ちよくなってもらって、満足してもらってほしい、そんな風に私、思うの・・」と言った。 大切なことをＲに諭すかのように話す母の様子を見ていた私にも、母がどうして自分がＳに抱かれる様子をＲに見せようと考えたのか、その気持ちが理解できるように思えた。 Ｓも、その父親であるＴと同様に、あと何年もすれば社会で責任のある地位につき、経済的にも恵まれた立場になるに違いなかった。そして、そのような男である以上、美しく、誰もが憧れるような女性たちがごく自然と周りによってきて、そのうち何人もと体の関係をもつことになるのは避けられなかった。 そうした男たちに体をささげてきた母は、そのことを誰よりもよく分かっていた。だからこそ、自らがＳに抱かれ、Ｓに奉仕する姿を見せて、Ｓが喜ぶことを少しでも伝えることで、Ｓにこれまでどおりの快楽を味わえるようにし、そして、それと同時にＲには男の欲望を受け止める女としての喜びを伝えたいと感じていたのだろう。 気がつくと、私たちがいるホテルの部屋には沈黙が流れていた。しかし、それは決して気まずい沈黙ではなく、Ｒが母の意図を理解し、その気持ちを受け入れようとするのに必要な時間であり、母もそのことをよく理解し、自分の息子よりも年下のＲのことを温かく見守っていた。 しばらくすると、Ｒは、再び視線を母の方に向けて、「はい・・」と返事をして頷いた。その声は確かに小さかったが、Ｒの覚悟を感じさせるしっかりとしたものであった。母は、「良かった」と言いながら嬉しそうな笑顔を見せた。母が「じゃあ・・Ｒちゃん、大丈夫ね」と言うと、Ｒは再び「はい・・」と答えた。 Ｒの返事を聞いた母は、Ｓのほうを向いて「じゃあ、Ｓ君・・今日はＲちゃんと・・」とまで言うと、何かを促すようにＲに目配せをした。突然に話しかけられたＳは驚いて少し姿勢を正した。Ｒは母が何を言いたいのか分かったようであったが、どぎまぎした様子で何も言い出せぬまま視線をベッドに落した。 母は、Ｓのほうを再び向くと、「今日はね、Ｓ君。Ｒちゃんと２人のために、お部屋をとってあるの、このホテルに」と言った。「それでね・・」とまで言うと、母は思わせぶりな仕草でＲのほうを見た。Ｒは視線を上げられないまま黙っていた。私とＳは、母が何を言いたいのか分からず、戸惑っていた。 母は、それほど間を置くことなく、「Ｒちゃんはね・・実は・・」と言葉を続けた。一度息を飲み込んだ母は、一瞬Ｒの様子を気にかけるような素振りを見せた後、「前の生理の時から・・ピルを飲んでるの・・」と言った。 母の言葉を聞いた私はその意味が理解できず、思わずＳと顔を見合わせた。私もＳも、私たち２人が顔を見合わせていることの奇妙さに気がついてすぐに視線を外したものの、やはり母の言ったことの意味がのみ込めていないことに変わりはなかった。 Ｓのほうを向いた母は、「もちろん、Ｓ君のためよ。２人で愛し合った時に、Ｓ君が心の底から満足してくれるようにって・・」と言った。困惑したＳが「えっ・・」と呟くと、母は頷いて「この階にね、お部屋もとってあるの・・２人のために」と言った。 さらに一瞬間を置いてから、Ｓは母の言っていることを理解したようであった。少し遅れて私も母とＲの意図を理解したが、それがまったく思いがけないことだったので思わずＲのほうに視線を向けた。 おそらく母に言われたのであろう、この美しい高校生はＳも知らないうちにピルの服用を始めていて、今日、このホテルの一室で生まれて初めての膣内への射精を許す準備をしていたのであった。 ベッドの上に座っていたＳのほうに視線を戻すと、Ｓは、戸惑った様子で母と向かい合っていた。母は、柔らかな表情でＳを見つめていた。母の横顔は、ＲがＳのことを思ってピルの服用を始めたのだから、受け止めてあげるようにとＳを諭しているようだった。 言葉にしなくとも母の想いを理解したのか、Ｓは、母を見つめて頷いた。そして、ＳはゆっくりとＲのほうに視線を向けた。Ｒも、視線を外してはいけないと自分に言い聞かせるような様子でＳのほうを見つめ返していた。若くて綺麗な高校生カップルは、しばらくの間、無言で互いを見つめていた。 さっきまで困惑した様子であったＳであったが、その表情からは、高校生であるＲが自分を受け止めるためだけにピルを服用してくれているという気持ちを嬉しく思い、Ｒのことを愛おしく思っていることが伝わってくるようであった。 ベッドの上で座っていたＳは、いつの間にか少し背を伸ばす体勢になっていた。ふと気がつくと、その股間の若いペニスは、天井を向いていきり立っていた。母との交わりを終えて、最後の口唇での愛撫を受けた後、その勃起がおさまったのかを見ていなかったが、今、若い雄の生殖器がＲへ向けられた欲望で勃起しているのは明らかだった。 私がＳの勃起を見つめている自分に気がついて視線を外すと、母の声が聞こえてきた。「Ｓ君・・お部屋を用意してあるから、Ｒちゃんと・・ね」という母もＳのほうを向いていた。母も、Ｓの股間の様子に気がついていたに違いなく、あえて遠まわしにそれを指摘するように「まだ、いっぱい愛し合えるでしょう、Ｓ君なら」と言った。 Ｓは、自分の股間を隠す様子もなく母のほうに向きなおると、はっきりとした口調で「はい・・」と返事をした。そして、先ほどまでＲを見つめていたのとは違った表情で母の顔をじっと見つめた。母も、Ｓに応えようとするかのようにＳの目を見つめていた。 10分ほど前までの２人であれば、そのままキスを始めるような空気がベッドの上には流れていた。しかし、先ほどまで互いの生殖子を受精させるべく濃厚な性交をしていた母とＳであったが、２人とも、自らの中に潜む欲望にもう流されないと決めていることもその横顔からは伝わってきた。 Ｓは、自らの初めての女性となり、熟した美しい体で若い欲望を優しく受け止めてくれた母に対して、感謝の念、そして尊敬の念を抱いているに違いなかった。温和な表情を浮かべた母も、女性を抱く喜びを教えてやり、そして自らにもその欲望を率直に向けてくれたＳが、これから数多くの女性と交わるべく自らの下を巣立っていくのを温かく見守っているようであった。 Ｓを見守る母の視線が息子に向けられるべきものであるように感じられ、私は、男としてなのか、それとも息子としてなのか、よく分からない嫉妬を覚えていた。 私が複雑な気持ちでベッドの上の様子を見つめていると、母は、突然、私のほうを向いて「ゆう君も、いつも見てばっかりだったよね、ごめんね・・」と言った。母から話しかけられるとは全く思っていなかった私は、その日、最も激しく狼狽して、どこに視線をやればのかさえ分からなくなった。 母は、私が動揺するのを予測していたのか、しばらく私を見つめたまま黙っていた。私が落ち着くのを母が待っていると思えば思うほど、私の心臓の鼓動は早くなっていったが、母は優しい表情のまま待っていてくれた。 どれほどの時間が経ったのか分からないが、私が母のほうを見ることができるようになると、母は「大丈夫よ」という言葉をかけるように笑顔を浮かべた。私の目に映る母の表情、そして白い肌に包まれた母の体の美しいフォルムは、母性をそのまま具現化したもののように見えた。 私がつばを飲み込んで「大丈夫」というつもりで頷くと、母もそれに呼応してゆっくりと頷いた。そして、さらにしばらくの間、私の鼓動が落ち着くのを待った後に、「ゆう君はいつも見てばっかりで、ほんとにごめんね」と言った。 母が同じ言葉を繰り返したのだと私が理解すると、母は、「ゆう君にも、これまで心配をかけたし・・でも、母さんが、ゆう君にしてあげられることはほとんどないのよね・・」と言葉を続けた。母は、その後、一呼吸おいてから、「今日は、ゆう君にもね・・その、素敵な方をお願いしてるの・・・」と言った。 母の言っていることの意味が分からなかった私は、自分の動揺がその原因なのだと思って、必死に自分を落ち着かせ、母の言葉を反芻しようとした。しかし、自分の頭が少しずつ冷静になっていっても、母の提案の意味がやはり理解できなかった。その様子に気がついた母は、「うん、ゆう君ね・・」と説明を始めた。 |
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| 2018年2月8日掲載 |
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