眞由美


眞由美 so-ji 作
眞由美(42) 　夜の帳が下りるにはまだ少し早い時間、藤綾乃はホテルの一室で窓際に佇み外を見ていた。　加納が会長を務めるホテルの最上階のスイートルームは壁一面が窓ガラスになっており、高所恐怖症の人間なら怖くて近寄れないほど開放感に満ちている。　はるか下を車や人が行き交うのが小さく見えるのを綾乃はぼんやりと眺めていた。　袖を通し羽織っただけのバスローブは豊かな乳房の隆起を半分のぞかせながら呼吸に合わせてゆっくりと上下に動き、その存在を誇示している。　若い頃はグラビアモデルもしていた身体は出産を経験し多少の肉付きは良くなったが、42歳になった今も崩れることなく歳を重ね女として熟れきっていた。　10代でデビューした頃より全体に肉付きは良くなったが、それがかえって色気を増幅させており162cmB88W59H89の肉体は、男なら誰しもが一度は抱いてみたいと思わせるに充分な魅力に溢れていた。　来訪者を知らせるベルの音に綾乃は窓際から離れ、ドアスコープで来訪者を確認するとロックを外して中に招き入れる。「忙しいのに呼びたててごめんなさいね」「まだまだ外は暑いわね」　そう言いながら入ってきた女は浅葱色のミニのタイトワンピースの上に羽織っていたジャケットを脱ぎ、クローゼットのハンガーにかける。　来訪者は眞由美だった。「綾乃さんの頼みじゃ断れないわ。それに仕事もひと段落したところだし大丈夫よ。それより綾乃さんの方が忙しいのに大丈夫なの？」　このところ綾乃の人気は再ブレイクと言ってもいい状態で、映画やドラマだけでなくバラエティにまでその活動範囲を広げていた。　メディアで彼女を見ない日はないと言ってもいいほどだ。「忙しいと言っても収録は何本かまとめて録ってるし意外と暇なのよ」　実際は帰宅できるのも深夜になる事が多いのだが、そのことには触れずおどけて見せる。「ならいいけど…ところで話ってなに？」「眞由美さん、今日は時間ある？」　少し憂いを含んだ瞳で綾乃が眞由美を見つめる。（何か込み入った話のようね）　眞由美はそう考え即答した。「えぇ、大丈夫よ。綾乃さんが良ければ夕食もご一緒しようと思ってたくらいよ」「それは良かったわ」　ホッとした表情を浮かべ綾乃は微笑んだ。「私もシャワー浴びていいかしら？」「もちろんよ。その間にルームサービス頼んでおくからごゆっくり」「ありがとう」　そう言うと眞由美はバスルームのある隣の部屋に向かい、ワンピースのジッパーを下ろし下着姿になる。　エメラルドグリーンの総レースのハーフカップブラに同色のタンガ、ガーターベルトに少し濃いめのグリーンのストッキングが見事なプロポーションを際立たせている。「相変わらず綺麗ね」　芸能界に身を置く綾乃ですら、これ程見事なプロポーションを持つ人間を見たことがなかった。　それほど眞由美の肉体は日本人離れしている。「そんなことないわよ」　そう言いながらも満更でもない笑顔を見せながら眞由美は、隠すこともせず綾乃の前で全てを晒しながら身につけたものを取り去っていく。　その光景は扇情的で同性が見ても興奮させられる。　全裸になった眞由美は悩ましげに腰をひねり、綾乃に微笑むとバスルームに入っていった。　そんな眞由美を見送った後、綾乃はルームサービスを頼むとソファに身を預け煙草に火をつける。　バスローブの前がはだけ艶やかな白い肌を空調の効いた空気にさらし、ぼんやりと空間に視線を漂わせながらゆっくりと紫煙をくゆらせる。　2本目を吸い終わり3本目に火をつけようとした時、眞由美が濡れた身体にバスローブを羽織っただけの姿で出てきた。　そして時を同じくしてルームサービスの到着を知らせるベルが鳴る。　立ち上がろうとする綾乃を手で制し、眞由美はドアスコープで外を確認しドアを開けた。「ご苦労様」　バスローブの前を左手で抑えただけの姿で眞由美は労いの言葉をかけドアを開ける。　カートを押して部屋の中に入って来たスタッフが驚いたように立ち止まった。　髪をアップにし濡れた肌にバスローブを纏っただけの眞由美の姿にも驚かされるが、ソファに身体を投げ出すように腰掛けている綾乃のバスローブは大きくはだけ全裸に近い姿だった。「あ、あの…ど、どちらに」　まだ若い男性スタッフは部屋の中の光景に動揺を隠しきれない。「そこのテーブルの上にお願い」　そんな姿に微笑を浮かべながら眞由美はソファの前のローテーブルに置くよう指示を出す。　そこは綾乃の脚元で、マナーとしてできるだけ見ないようにしようとするが、どうしても綾乃の裸体が視界に入ってくる。（藤綾乃、だよな？）　特別ファンというわけではないが、メディアで見かける綾乃の事は友人達の間で色っぽいと話題に上ることもしばしばだ。　中にはあからさまに綾乃の身体を性の対象として見ていると口にする者もいたが、目の前の本物はその考えを肯定するに余りある迫力を持っていた。　カートから料理を運びながら、チラチラと綾乃の身体を盗み見る男の股間が意思とは関係なくチカラを持ち始める。（すごい…藤綾乃の裸見ちゃったよ。あいつに話したら悔しがるだろうなぁ）　ズボンの中心が膨らんでいる事にも気付かず、綾乃のファンだという友人の顔を思い浮かべながらいつもより時間をかけてテーブルをセッティングしていった。　綾乃がわざと脚を大きく拡げてみたり組んだりする度に男の視線に綾乃の秘所が飛び込んでくる。　動揺を隠せないままワインの栓を抜きグラスに注ぐが、手が震えてカチカチとグラスの縁に注ぎ口が当たり上手く注げない。「ふふふ、どうしたの？手が震えてるわよ」　その声にハッと我に返り振り返ると眞由美がバスローブの前を合わせずに立っていた。　ゴクリ　大きく盛り上がった乳房の先端こそ隠れていたが、腹から無毛の股間にかけて遮るものはなく男の視線に飛び込んでくる。　この女性も芸能人なのか？覚えはなかったが、その裸体は素晴らしい魅力に溢れていた。そんな事を思いながら男はすいませんと謝罪の言葉を口にする。「あとはこちらでするわ。ありがとう。そうそう、ここで見たことはナイショよ」　悪戯っぽい笑顔を見せて近寄ると人差し指を男の唇に当て、眞由美は男の手にチップを握らせる。動きに合わせぷるんと震える豊かな乳房が男の劣情を刺激する。　くちびるに触れたその指の感触だけで男は吐精してしまいそうなほどに興奮し、己の股間が痛いほど起立している事に気が付いた。「は、はい！」　裏返った声で返事をし男はガクガクと首を縦に振ると、股間を隠すようにして慌ててカートを押し部屋を出ていった。「あははははは」　男が部屋に来てから無表情だった綾乃が手を口に当てて大きな声で笑いだし、それにつられるように眞由美も身体を捩るように声を上げて笑う。「あんなに大きくして、あの子どうするのかしら？」「今頃お手洗いに直行じゃない？あのままじゃ仕事に戻れないでしょう」「刺激が強すぎたかしら？」「結構大きそうだったわよね」　アラフォーの女達は勝手なことを言いながら舌舐めずりしそうな表情で顔を見合わせ、まだ二十歳そこそこだろう男の股間を思い出しながらひとしきり身体を震わせる。「冷めないうちにいただきましょうか」　眞由美が笑いながら綾乃の隣に腰掛け、ワイングラスを傾けた。（すごいの見ちゃったよ。藤綾乃もだけどもう1人の女の人もすごかったなぁ）　部屋から慌てて出た男はカートを前かがみで押しながら廊下を進んでいた。　いきり勃った股間をどうにかしないと仕事に戻れない。歩いて擦れるだけで逝ってしまいそうになるのを堪えながら、男はトイレで処理しようと歩いていると前から来た人影に気づいた。（会長だ…）　一代でこのホテルを築いた加納治五郎が秘書の冴木亜由美を連れて向こうから歩いてくる。　男は廊下の端に寄って立ち止まり頭を下げて通り過ぎるのを待っていると、思いがけず声をかけられ驚いて顔をあげる。「佐藤くん、じゃったかな？頑張ってるようだね」「は、はい」　末端の人間まで合わせると百人を超える人数が働くこのホテルで、自分のような者の名前を覚えている事に驚きを隠せないでいると、「故郷のお母さんに連絡はしとるか？お独りで寂しいだろうからちゃんと連絡して差し上げるんだよ」　家族の事まで言われ更に驚かされる。　佐藤浩一は早くに父親を亡くしていて母子家庭で育った。ホテル業界で身を立てたいと猛勉強して、大学も奨学金を利用して卒業後この春に入社したばかりだった。「僕のこと、ご存知なのですか？」　驚きの表情を浮かべる佐藤に、「うちで働いてくれている者の事は知っていて当たり前じゃよ」　そう言って加納はカラカラと声を出して笑った。「ところで」　それまで柔和な表情を浮かべていた加納の表情が一変し言葉を続ける。「君は何か見たかね？」　質問の意味がわからず答えられずにいる佐藤の目を真っ直ぐに見ながら、加納は静かに同じ問いを繰り返した。「あの部屋で何か見たかと尋ねておる」　加納の言葉が先ほど出てきたばかりの部屋の事を指しているのだとわかったが、自分より小さな老人の身体が何倍も大きくなったような気がして、佐藤は身体を硬くして身動きできなくなっていた。　決して大声ではないのだが返答次第では自分は殺されるのではないか、大袈裟ではなくそう思わせる何かが加納の身体から感じられ全身から汗が噴き出しているのがわかる。　背中を伝う冷たい汗を感じながら佐藤は何とか声を出すことがでかた。「い、いえ、何も」「何も見ておらんのじゃな？」　畳み掛けるような加納の問いに佐藤は首をガクガクと縦に振るのが精一杯だった。「そうか、ならいいんじゃ」　加納の表情がいつものように柔和になり、佐藤の肩をポンポンと叩いた。「これからも頑張ってな。期待しとるよ」　その場に膝から崩れ落ちそうな佐藤をそのままに加納は亜由美と共に去っていく。　去り際に亜由美がそっと近寄り、「すごい汗よ」　そう言ってレースのハンカチを渡す。　背の高い佐藤は亜由美を見下ろすカタチになり、大きく開いたブラウスの胸元から谷間の黒子が見える。（そういえばさっきの女の人も同じところにあったな）　眞由美の胸にあったホクロを思い出すとおさまりかけた下半身のチカラが再び甦る。「クスッ」　そんな男の変化に気付かないふりをしながらも亜由美は悪戯っぽい笑みを浮かべる。　いい匂いのするそのハンカチを手にしたまま、佐藤はその場に立ち尽くし2人を見送った。　食後のワイングラスを口にしながら眞由美は綾乃から相談を受けていた。「そうねぇ…確かに綾乃さん1人だとキツそうね」　2人ともバスローを肩にかけているだけで、ほとんど全裸に近い姿でソファに腰掛けている。「でしょう？眞由美さんとこが羨ましいわ。ちゃんと美咲さんっていう彼女がいて、そのご両親も理解があって…私も仕事がなければいくらでも相手してあげられるんだけどそうもいかなくて」　綾乃の相談とはひとり息子の雅彦の事だった。夫を亡くし息子を溺愛するあまり綾乃の方から誘って関係を持った。　その後、色々な経験をさせたいと倶楽部にも母子で参加し、雅彦の性技は大人顔負けになり14歳という年齢は飽くことのない性への欲求に溢れていた。「もう私1人では身体がもたないわ」　綾乃と雅彦の関係を知り、自らも息子の翔太と関係を持った眞由美には綾乃の悩みが痛い程にわかった。　翔太の若い雄の性欲はとどまることを知らず、性に関しては好き者を自負していた眞由美ですら悲鳴をあげそうになった事もあった。　幸いにも同じ嗜好を持つ美咲とその両親に出会えた事で、翔太の性欲は上手く発散させることができるようになった。　毎日学校に行き水泳部で練習した後に美咲を相手にし、時には美咲の母親の美雪や父親の健二も交えて性の交歓を楽しんでいた。　その上で朝晩の眞由美との交わりも欠かさないのだからその精力は底なしともいえた。　どうやら綾乃のところも同じ状況らしい。　仕事柄、帰宅が深夜に及ぶ事も多く休みも少ない綾乃だが、出来るだけ家に帰るようにしてはいる。しかしながら仕事の内容によっては家を開ける事も多く、その間に溜まった息子の性欲は更に倍増し綾乃を休ませる事なく責め続ける。　しかも最近、格闘技をはじめた事でみるみる体力がつき身体つきも逞しくなって、それに伴い精力も向上しているらしい。「どうにかならないかしら」　綾乃は疲れた表情を浮かべ煙草に手を伸ばす。　何度も肌を合わせた雅彦を脳裏に思い描いてみる。つい先日も家に遊びにきた雅彦と息子の翔太を相手にしたばかりだった。　確かに初めて肌を合わせた頃に比べると身体つきも逞しくなり、その性技も格段に上がっているように感じる。マシンガンのような腰の動きは闇雲に突き動かすだけでなく、微妙に強さを変化させ巧みに相手のツボを責めるようになっていた。　息子の翔太も眞由美の薫陶を受け、今では間違いなく倶楽部でも1～2を争えるほどの性技を持っていた。　そんな少年2人の飽くなき精力に眞由美は気を失うほどの絶頂を何度も味わったものだ。　好き者という点では綾乃も相当なものだが、息子の度を超えた性欲に1人で付き合うのは相当負担になってきていた。「嫌じゃないのよ…ただもう少し休ませて欲しいのよ」　愛する息子に抱かれる事は綾乃にとっても歓びではあるのだが、仕事で疲れた身体で毎日毎日相手をするのは大変に思えてきたのだ。「こんなこと相談できるの眞由美さんしかいなくて…」　深いため息を吐きながら綾乃は眞由美にしなだれかかるようにもたれかかる。　先日の交合を思い出すと身体の芯がジュンと熱くなる。「そうねぇ…何か良い案があればいいんだけど」　眞由美は綾乃の隣に移動して腕をまわし、綾乃の頭をそっと抱き寄せる。綾乃は眞由美の首筋に顔をを埋めるように身体を預け、それが当たり前のように眞由美の乳房を覆うように手をあてる。「あ…」　やわやわと揉みながら頂きを指で弄るとすぐに固く尖り、眞由美の口から甘い吐息が漏れる。「ほんと、どうにかならないかしら」　何度目かの同じ問いを口にしながら綾乃の指は本格的に動き出し、眞由美の首筋に当てた唇は上へと移動しやがて吐息を漏らす眞由美の唇に重ねられる。　舌を絡めあわせ、ぴちゃぴちゃと音を立てて互いの唇を貪るように合わせながら、眞由美の指も綾乃の乳房にあてられやわやわと揉みしだき始める。「あぁ…」「あふぅ…ああぁ」　2人の熟れた女たちの動きは本格的に互いの身体を愛撫し始め、感じる処を熟知している2人は瞬く間に押し寄せる性の快楽の波に身を委ねていくのだった。
【前】/【次】
あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。

2019年11月30日掲載
Copyright (c) 2014-2019 so-ji All rights reserved.

▲