息子の担任に一目惚れされる美しい母親　ＹＯＫＯ 作
弘樹の声を聞いて真理子は鳥肌が立つ。 「はい。中山です。いつもお世話になっております」と言うのが精一杯だ。 「実は二学期の行事のことでお会いしたいんです」と弘樹は言う。 　真理子はまたあの改造した教材室で襲われるのではないかと不安になる。 　そんなとき真理子はまた鼻がムズムズして電話中ながら「ふぐしゅー！ふぐしゅー！ふぐしゅー！」とくしゃみを連発してしまう。 　慌てて「失礼しました」と謝る。 　弘樹はついに真理子のくしゃみで勃起してしまう。 　また真理子とのセックスを思い出してしまったのだ。 　真理子が弘樹とのセックス以降、くしゃみが増えたのは弘樹に紙縒りで粘膜を刺激されたのが原因だった。 　そのことで鼻の粘膜が更に敏感になってしまったのだ。 　不安になる真理子に弘樹は「またあの喫茶店で会いませんか」と言った。 　正直な気持ち、弘樹と二人で会うのは避けたい。 　しかし役員、しかも委員長になった以上、話はしなければいけない。 　学校ならあの教材室で襲われる可能性があるが喫茶店なら襲われる心配はないだろう。 　デートみたいなことは避けたいがやむを得ない。 「わかりました」真理子は渋々、承諾した。 　そして弘樹と会う日がやって来た。 　学校の校門で待ち合わせだ。 　真理子は夏で暑さもあったがいつも以上に露出に気をつけた。 　普段から露出などない真理子だったが、あんなことがあった以上、気をつける必要があると思った。 　弘樹は真理子との待ち合わせに興奮していた。 　待ち合わせが恋人のようだと思っていたからだ。 　未だに真理子とのセックスを思うと興奮する弘樹だったが真理子に対して再び美しさへの憧れが勝っていた。 　喫茶店に入るとコーヒーを煎る匂いで真理子は「ふぐしゅー！ふぐしゅー！ふぇくじゅー！」と早速くしゃみしてしまう。 　弘樹の前てはくしゃみも気をつけなければと思いながらもくしゃみが抑えられない。 　弘樹に対する恐怖は予想以上だ。 　声が震えているのがわかる。 　弘樹の話は林間学校、レクリエーションの話だった。 　新学期もまた弘樹とは二人で会う機会は増えそうだ。 　また襲われるのではというのは自意識過剰なのか。 　自分の美しさに気づいてない真理子はそんな気持ちもないわけではなかった。 　くしゃみが止めらない真理子を心配する弘樹は以前のように紳士だった。 　紳士の弘樹を見て、真理子はやっぱりあれは夢だったのかと思いたくなっていた。 　弘樹は助手席に真理子を乗せ、しばしばドライブを楽しんだ。 　真理子との普通のやり取りが楽しかった。 　弘樹は真理子を襲ったことをなかったことにしたかった。 　しかし真理子への性欲はなくなったわけではなかった。 　そのことに弘樹本人も気づいてはいなかった。 　そんな弘樹の異変に妻、真希子は気づいていた。 　弘樹に好きな人ができたことをとっくに察していた。 　夏休みも終盤、弘樹は買い物先で真理子と出会った。 　弘樹は「どうもどうもこんにちは」と初対面の時と同じように挨拶する。 　その様子を見て妻の真希子はこの女性に弘樹が夢中になってると確信する。 　妻の中で真理子に対して強烈に嫉妬心が芽生えた。 　人の旦那を誘惑してという感情が出てきた。 　そして夏休みも終わった。 　いよいよ林間学校だ。 　行き先は軽井沢だ。 　最後の打ち合わせも終えて真理子はすっかり弘樹への信頼を取り戻していた。 　くしゃみの酷さも落ち着いた。 　教師があんなことするわけない。きっと夢だったんだ。 　弘樹先生に下の名前で呼ばれ、何か勘違いしていたのかもしれないと人がいい真理子は思うのだった。 　しかし軽井沢で悪夢が蘇るとは知るわけがなかった。
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2015年5月30日掲載
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