息子の担任に一目惚れされる美しい母親 ＹＯＫＯ 作
翌朝になっても弘樹の興奮は収まらなかった。 　夢の中でまだ名前すら知らない美しい女性を抱いた。 　早くまた顔が見たくて堪らなかった。 　落ちこぼれの中山優太の母親だからきっとデブスだと思い込んだことを後悔した。 　きっと父親がダメ男なのだろうと弘樹はまた決めつけた。 　母親があそこまで美しくて、丁寧な女性なら、旦那がダメに決まってる。 　ダメ男のくせにあんな美女の旦那とは生意気なと勝手に想像しては優太の父を貶した。 　しかしダメ男なら都合がいいとも思った。 　弘樹は自分の容姿に自信があった。スタイル抜群なのだ。それだけではない。スポーツ、音楽、美術など何でもそつなくこなす器用さを兼ね備えていたからだ。 　彼女も自分の魅力に夢中になるのではないかとさえ思った。 　まずは次の参観日の懇談会で決める保護者役員に彼女を推薦することを考えた。 　そうすれば、彼女と二人きりになれる機会も増える。弘樹はまた鼻の下が伸びていた。 　二人きりになれるといえば家庭訪問。 　その家庭訪問が楽しみで仕方なかった。 　しかも落ちこぼれの中山優太ということで話すことも多く長居もできる。 　弘樹はようやく布団から出た。 　いつもならする真希子とのおはようのチュウもスルーした。 　話しかける二人の息子たちの声も耳に入らない。 　起きてからも優太の母親の事だけを考えていた。 　少しでも長く彼女のことを考えていたかった。 　清々しい朝を迎えた弘樹とは対照的に優太は寝付けなかった。 　弘樹と同じように母、真理子のことを考えていた。しかし興奮していた弘樹とは違って母のことが心配で堪らなかったからだ。 　弘樹先生がママに惚れた。一目惚れした。その思いが頭から離れないでいた。 　まだ短期間ではあったがあんな弘樹先生を見るのは初めてだった。 　恋愛感情とかわからない優太ではあったがあそこまでデレデレする弘樹先生を見たら一目惚れしたことぐらい察することができた。 　僕のママにあんなにデレデレして鼻の下まで伸ばしてと弘樹先生を批判する思いは強まる。 　同時にママが弘樹先生に狙われることを心配した。 　真面目なママを騙して二人きりになる機会を作るのではないか。お茶に誘うのではないか。家庭訪問で長居することや楽しみなママに会うためにウチを最終日の最後にするのではないか。 　様々な不安が優太を襲った。 　寝不足の優太は母を見て安心する。やっぱり綺麗だ。弘樹先生が一目惚れするのも無理がない。でも教え子の母親に一目惚れするのはやっぱり許せない。 　今までもたくさんの男たちがママに心を奪われていたと思うと悔しくて堪らなかった。 　そして不安がまた押し寄せた。 　毎年、家庭訪問前に提出する調査票にはママの名前や年齢を書く欄がある。 　弘樹先生にママの名前や年齢が知られてしまう。 　年齢に限ってはまだ自分も教えてもらってないのにとまたしても先を越されるのかと思うと憂鬱になった。
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2015年4月22日掲載
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