| 息子の担任に一目惚れされる美しい母親 ＹＯＫＯ 作 |
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ある土曜日、弘樹は真理子を役員の打ち合わせと言って呼び出した。 会議室が仕様中と言って近くのカフェで打ち合わせを提案した。 全ては計画通りだった。 これも優太の予想どおりではあったがやはり弘樹は落ちこぼれの優太がそこまで見通してるとは気づくわけがなかった。 だから優太はママに会いたいだけの弘樹先生の気持ちを察し、落ち込んでいた。 自分はママを守ることはできないと自分に苛立ちさえ覚えていた。 「ここのカフェ美味しいんですよ」と弘樹は真理子に案内する。 真理子は鼻がムズムズしていた。弘樹先生と会うと鼻がムズムズする。 その理由は分かっていた。弘樹先生のタバコ臭が原因だ。 しかし会う度にくしゃみをしていたら何だか恥ずかしいと真理子は思い、必死に我慢する。家庭訪問の時も弘樹先生と同じタイミングでくしゃみをしてしまい恥ずかしい思いをしたからだ。 カフェに入るとお洒落な雰囲気だった。しかし客は誰もいない。 マスターらしき人が近寄ってくる。 「先生！噂の美人な奥様ですか？」と質問に弘樹は頷きそうになりながらも否定した。 若い夫婦が入店して来た。 静かなカフェの雰囲気の中でコーヒーを煎る匂いとやはり弘樹先生のタバコ臭が真理子を再びムズムズが襲う。 今日の天候は曇り。ややジメジメ。それもまた真理子の鼻をムズムズが襲う原因だろう。 太陽はない。弘樹先生に教えてもらった綺麗なくしゃみはできない。 必死でくしゃみが出そうなのを堪える。 この静かなカフェの雰囲気の中でくしゃみしたら響くのは目に見えていた。 「くしゅー」奇跡が起きた。 真理子は今までにこんな静かな控えめなくしゃみをしたことがなかった。 くしゃみをした真理子に弘樹は「大丈夫ですか？」と声をかける。 真理子は赤面しながらも「はい」と返事をする。 くしゃみで心配されたのなんて久しぶりだ。 アレルギーに花粉にでくしゃみは日常茶飯事だ。 家族はうるさがることもある。 弘樹に心配されたのが真理子は少しだけ嬉しかった。 そしていつもの大きなくしゃみではなくいつにない控えめなくしゃみを弘樹先生の前でしたことに安心した。 「美しいくしゃみですね」とまた真理子のくしゃみを褒めた。 静かな雰囲気の中でくしゃみしてしまったこととくしゃみしてしまったことで更に真理子の顔は赤くなった。 そのまま親子レクリエーションの打ち合わせをした。 次第に客も増える。夫婦やカップルばかり。 弘樹は自分たちも夫婦に見えていると嬉しくなる。 打ち合わせを終えて、カフェを出る。 今度は弘樹の鼻をムズムズが襲う。 「フブン」弘樹は口元を腕で抑えてくしゃみした。 「このくしゃみの仕方はは唾が飛びにくいから料理中とかおすすめですよ」と語る。 「弘樹先生ったら」真理子は笑顔だ。そして「今度、私もやってみます」と答えた。 弘樹は真理子を抱きしめたいのを堪えた。 自分の前でくしゃみを堪えるのは自分に嫌われたくないからではとまた前向きに弘樹は捉えた。 先ほどの真理子のくしゃみを想像して興奮する。 くしゃみが汚いと思っていた弘樹が真理子に限ってはくしゃみまでプラスに思える。 不思議だった。 今日の控えめなくしゃみもツボだったがあの初めてみたくしゃみももう一度見たいと思えてきた。 連発して苦しそうな表情がツボに思えた。 くしゃみと言うよりも自分に対して「.苦しい!助けて!弘樹先生！」と叫んでるように思えてきた。 くしゃみが嫌いな弘樹だったので真理子のはくしゃみに思えなかった。 真理子ならすべてを愛せると思えた。 その晩、弘樹は真理子がくしゃみが止まらず苦しんでいる夢を見た。 真理子にくしゃみをさせているのは自分のタバコ臭とは知らない弘樹はなぜか興奮した。 家で料理中に真理子はムズムズが来た。 早速弘樹先生に教わった仕方でくしゃみをしてみる。 そして第一回親子レクリエーションを迎えた。 「フブン！」と弘樹先生と同じようなくしゃみが出る。ボリュームとしてはまあまあだろうか。 料理中としては確かにツバも飛ばすいいかもと思う。 優太は弘樹先生が以前したことのあるくしゃみをまたママがしていると弘樹先生に教わったのでは？くどかれたのではと不安に襲われた。 司会は弘樹と真理子。 弘樹はまたしても美男美女の組み合わせと思う。 内容は工作だった。 弘樹は得意の工作を披露する。真理子の気を引こうとする。 同時にやたらと真理子の作品を褒めた。 優太の父は出張で来ることはできなかった。 弘樹が担任と知らない父兄が弘樹を優太の父、つまり真理子の夫と勘違いをした。 弘樹は嬉しそうに否定した。 締めの挨拶で再び事件は起きた。 弘樹と真理子が横に並び、弘樹のタバコ臭が真理子の鼻をムズムズが襲った。そして弘樹にもムズムズがやってきた。 2人は同時に「フブン」と腕で口元を抑えてくしゃみをした。 まるでコントかのように2人のくしゃみは重なった。 同じ仕草でもあったので2人はできている。 弘樹先生は優太のママと浮気しているという冗談を言う児童がクラスの中に出てきて優太を悩ませることになってしまった。 優太は同時にくしゃみしたことと言い気絶しそうだった。そしてこんな時に出張に行った父親を責めた。 |
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| 2015年5月9日掲載 |
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