鞭を執れ
はちみつ太郎 作
２６．


「変な気起こすなよ。」

　計は、黙って頷くだけだ。３８０９と呼ばれた男は警戒しながら計に話しかける。

「一人ばらすのも、二人ばらすのも、時間に差はない、硫酸の風呂に入れれば、あっという間さ。」

　計の心臓は鼓動を早める。尋ねることもできず、目のやり場もおぼつかない。

　身体を少しのけぞらした計は、３８０９への反撃を伺う準備のみはしている。

　この場の状況をあずさに知らせる術を考察する。

　発信機は、小春のバッグの中。音声発信も同じだった。

　部屋の中の小春の交わりの声はあずさに届いているだろう。自分の声を知らせる術は今のところない。

　３８０９は、計の背後に立ち、肩をさすり、脅しともとれる武勇伝を伝えた。

「知ってるか、俺たち、名前がないんだ。」

　計は、顔を向くことなく聞いている。

「戸籍も、ない。あるのはなぁ、、、３文字の戒名だけだ。」

　計は３８０９の言っている意味がわからない。扉の向こうのシルエットに顔を向けさせられ、小春の動きを追った。

「ＭＡＤの戒名は、何かなぁ、、、寝取の文字はいれてやりたいな。」

　３８０９の声は、いやみたっぷりで計を揺さぶる。小春が向こうにいなければ、と、思うだけで、具体的な反撃は思いつかない。

　小春のシルエットが四つんばいになっていることに気が付く計。

　どうも、しりを向けた方向には３２０１が胡坐をかいて座っているようだ。何をしているか、聞かずして判るシルエットを３８０９は、解説する。

「四つん這いでよ、ま○こ丸見えと、思うよな。」

　計に問いかける。

「違うなぁ、まだ見てはいないよ、汚れたショーツを見て興奮しているまでだ。そういう男よ。」

「かわいい尻を撫でてるよぉ、嫁ちゃんの尻をよぉ。どうよ、嫁ちゃんは尻の穴も経験値ありか？」

　計は答えることを拒む。

「聞いてんだろ。」　

　少しすごむと、計は静かに答えた。

「無いと思う。」

「思う？じゃ、あるかもしれんという事か？」

「、、。」

「希望的観測だな、いずれは、アナルも他人棒でって考えたか？」

「そ、それは。」

「あるんだろ、考えたことはよ。」

「、、、は、はい。」

「そうじゃないとねぇ、、寝取られもそこまでいくと本物よ。」

　３８０９は、計の肩を揉みながら、計の言葉を持ち上げる。

　いつのまにか小春のスカートは脱がされているのがシルエットでわかる。

　下着姿なのか、体のラインが四つんばいでわかり、乳房のぶら下がりはおさえられている。

「ほいほい、エロい嫁ちゃんだよな。結婚後からすぐに承諾した？他人棒は？」

「、、、。」

「答えろよ、何年目からだ、こんだけエロいんは。」

　計は実質の付き合いの浅さをごまかし切れず、適当に年数を答える。

「最近、で、、、結婚して２年目。」

　答えを聞いた３８０９は、小春の成熟度をもう一度聞く。

「初Ｈは？」

「３年前、、、。」

「嫁ちゃんの経験人数知ってるか？」

「、、、さ、さぁ知らない、、、聞いたことがない。」

「当ててやるよ、、、お前の前は１０人だな。恐らくよ。」

「動画でも見たが、、、あの尻の穴。もう、解されてるよ。ち○こ入れたかどうかはわからんがな。」

「ＭＡＤも狙ってただろ、多分。寝取の最終形は、、ま○こは、旦那用。菊門は他人棒用だからな。」

　計は、拳に力を入れるが、３８０９は余裕をもって小春と計を嘲った。

「反撃しろよ、、、硫酸の風呂に番いで入れてやるよ。あ、ＭＡＤと嫁ちゃんをつなげて入れて、それをお前に見せてやるか。」

「、、、。」

「どうするよ？」

「ご、ごめん、、、なさい。た、すけてもらえないですか？」

「お前次第だろ、、、嫁ちゃんは従順に犯されてんだ、、あ、違う、慰めを受けてるんだ。」

「従順であれば、生きて帰れるよ、、、ＭＡＤ殺人犯としては、指名手配されるがな。」

　計は、思考の中で、折り合いの付ける方向を見失う。

「考えてみろ、この状況で、俺らが逃げてもよ、話の筋書きでお前ら、まあ、嫁ちゃんを寝取られたお前の犯行であることは一目瞭然。」

　手のひらを見せる３８０９．

「俺の指紋、、、、どーこだ。」

　指先を見せた３８０９には、１０の指の指紋がなかった。

「な、戸籍も、指紋もない、あるのは戒名だけだよ。」

　計は、何も言えずシルエットを見つめる。小春の尻にまとわりついている３２０１の顔は、上下に動き、クンニの最中になっている。

　小春の背中は、舌の動きに呼応し仰け反りを繰り返している。喘ぎの声は発していないが、首の動きが落ち着かず、もうすぐ漏れてしまう頃合いと３８０９の耳打ちは正確だった。

「うぅぅんぃぃぃぃ。」

「始まったなぁ、、、。」

　３８０９は解説を再開する。

「嫁ちゃんのま○この縁を舐めて、臭いを嗅いで、太くした舌先を穴んこに入れてるよぉ。２分ほど舐めたら裏返して、入れちまう。」

「、、、。」

「あぁ、そうさ、レイプ犯はじっくりお試しなんかしないよ。」

「湿り気なんか、待ってられない性よ。なんせ時間がないんだ。早漏も多い。」

　３８０９は、背後から計のボクサーショーツに手を入れ少し腰を浮かせると、半立の陰茎を露わにする。

　しごくことなく、陰茎の先の滲みを蔑む。

「嫁ちゃんより濡れてんな。」

「や、やめろ、、、。」

「やめろだ？、、、硫酸風呂番いで入れるって言ってんだろ。」

「、、、。あぁ、、、。」

　きつい言葉を撤回する言葉を飲み込む計。頷くだけで許しを請う。

「わかったろ、、、先に入れるのは嫁ちゃんとＭＡＤ。その溶けるさまを見ながらおまえにはオナニーでもさせてやるよ。」

「ご、ごめんなさいぃぃ。」

　ち○こをいじられ始めた計は、抵抗することなく徐々に血流を増やしていく。

「ほら裏返した、、、今日は早いな、まだ１分半だ。よし、お前と３２０１どっちが早いか競争だ。」

　しごきはじめた指先は、しなやかに動いている。ローションもなく滲み汁を指先から手のひらに乗せるようにし、滑らかに計の陰茎を高射砲のように持ち上げた。

　シルエットは、小春の準備もままならない状態のように見える。小春は体を重ねる３２０１の胸元を押し、準備の整いの悪さを告げているようだ。

「まぁ、ゴムぐらいして欲しいよなぁ、他人棒の指示とはいえ、見ず知らずの男なんだから、、、でも、相手は、計８人、、を犯した男だぜ。」

　小春は観念したように３２０１に押し返される。陰茎の突き刺さりは見えないが小春の発した声で、挿入は確認された。

「あ、、いぃっぃ、、、。」

　入口は濡れているものの、奥の準備はまだで乾いた膣道を馴染ませることなく３２０１の陰茎が挿入された痛みを感じた声だった。

「レイプ犯はこれだから困る。」

「こ、は、、、。」

「こは？嫁ちゃんの名前呼びかけたな？」

「なんて名だよ？ま、あとで、財布の中身見ればわかるけど。」

「、、、。あぁぁ。」

「お、逝っちまいそうか？」

　しなやかに動く指に計の我慢は限界を迎えている。

「どうだ、どうだ、おい、おい。」

「あ、、、あ、、、や、やば、、、、ぃぃぃ、、、あっ。」

　しごきのスピードを速めた３８０９は計の根元が膨らむのを感じると達っするのに時間は刹那であった。

　ビュビュッ。

　４０ｃｍほど先のフローリングに白い精を吐き出す。力は抜けず、計は３８０９の顔を見た。

　吐き出した後も、しごきを続け、計の喘ぎは小春のそれを上回っている。

「あぁぁぁぁぁ、、、、ひひ、、、ひぃぃ、、、あぁぁっ。」

「や、やめ、、、やめてくれぇぇっぇ。」

　ピュッ。ピュピュッ。

　迸りのあとに断続的に放出が続く。透明度を増したそれは尿道から止まることがない。嘲るように、小春にも聞こえるように笑う３８０９。

「嫁ちゃんより、、早かったぜぇ、、、後潮吹きまで、しちまったよぉぉ。」

　組み敷かれる小春はその言葉が少し聞こえるが、何が起きているかは判別できない。

　小春は重くのしかかる３２０１のピストンが馴染み始め、かすかな喘ぎが響くが、計の鼓膜には３８０９の蔑みと、指先の止まらぬ摩擦音だけが届いていた。
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2020年8月8日掲載
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