鞭を執れ
はちみつ太郎 作
３２
　３人目の人物が消え、残存する雰囲気が消えかけたのは、小春が気を許し睡魔に襲われたすぐの事だった。

　強張った小春の体から、力が抜け、脱力とともに睡魔をおびき寄せた。

　夢に落ちかけたのか、落ちたのかわからない時に、耳元で念仏のような声が聞こえていた。


「あの時だよ、あの時と同じだ。」

「髪の長さも、体つきも、後手に縛ってさ、芋虫みたいに転がして、。」

「みおとかいう名前だった。年も同じくらいで、２３だったか。反抗的でさ、唾を吐いてきた、一発なぐったらおとなしくなって、。」

「反抗がおさまったから、尻の穴に指突っ込んだんだ。そしたら、う○こが爪の中に入ってよ、臭くて、」

「臭い嗅がせたら、指を噛みやがったんだ。自分のう○このついた指をだよ。」

「中指で良かったよ、人差し指なら噛み切られていたかもしれないよ。」

「もう一度、芋虫ころがしの女の尻の穴に指突っ込んでよ、う○こが付いた指をな、鼻の中に入れてやってよ。」

「臭そうにしてるんだ。自分になのによ。」

「仕方ないから、おれのとどっちがくせぇか、おれも突っ込んでな、試してみたわ、そしたらよ。」

「おれのを鼻に入れたら、すぐのまに吐きやがって、ゲロゲロゲロよ。」

「涙ながしてやめてっってよ。」

「ま○こいじられるのとどっちがいいか聞いたんだわ。」

「そしたらな、ま○こいじられる方がいいっていうんでな、でもよ、どっちの指が俺の尻の穴ほじったのかわからなくなってよ。」

「嗅いでみたんだは、左の方がくせぇから、こっちが俺のだって言ってよ、女のま○こに突っ込もうとしたらよ、そっちじゃないって。」

「いいやがるんだ。どういうことだって聞いたらよ、そっちじゃないしか言わないんだわ。」

「意味を勘違いしてよ、ま○こじゃなくて、尻の穴をいじれって言われたんだと思っちまってよ。」

「あー、そういうことかい。ま○こは、誰か彼氏かなにかのものだから、尻の穴で勘弁してという意味と勘違いしたんだわ。」

「そしたら、そうじゃない、指を変えろって言うんだ。女って難しいな。」

「また尻の穴をほじったから、どっちがどっちかわからんようになってな、使ってない指でいじくりまわしたわ。」

「涙流しながらな、鼻の穴にう○こ付けてよ、鼻水流しながら、許して、帰して、の合唱よ。」

「１日、一台通るか通らないかわからん林道でよ。大きな声出しても、寄ってくるのは、ツキノワグマぐらいだって言ったらよ。」

「まぁ、何も言わなくなってよ、一回やったら許してって、いうもんだから、よっしゃ、ツキノワグマが来ないうちによ、やるだけやっちまおうって、」

「まだ濡れてないけどよ、起ってもないけどよ、ま○こにいれてよ、ま、３こすり半でよ、ピュッピュッて出しちまって、恥ずかしいやらよ。」

「芋虫ころがしのみおって女はよ、やられたのか、なんだかわからんうちにピュッピュッって感じたんだろうな、もう終われ、って一回したから許せって。」

「まぁ、たしかに１回は１回だけどよ、俺からしてみりゃ、我慢汁かもしれんだろって、よ。」

「また騒ぐもんだからよ、どうするかって、ちゅうちょしたのが、悪かったなぁ。」

「がさがさ、草むらからよ音がしてよ、鉢合わせよ。」

「くまっこによ。あわてた、あわてた。」

「汁を出したまま、ち○こをしまってよ、慌てて車によ乗り込んだわ。」

「Ｒにいれてよ、何メートルか下がったらよ、俺の方を見ないんだわ。」

「そらそうよ、芋虫みたいなみおって女っこが転がってりゃよ。」

「ごろごろ、転がって逃げようとすんだけどな、くまっこはよ、おもちゃみたいによ、鼻でつんつんするのよ、うめぇかどうか臭いを嗅いでんだな。」

「尻の方を嗅いでよ、そしたらよ、芋虫ころがしのみおがよ、小便をぴゅーっと漏らしやがったんだわ。」

「慌ててくまっこがよ、仰け反った後よ、立ち上がって、芋虫ころがしのみおによ、覆いかぶさって、まぁ、尻の肉にかじりついたんだわ。」

「ものの、２０分も立たんうちによ、まぁ、見るも無残だったな、くまっこが腹膨らんだか、芋虫ころがしのみおをよ、林道のわだちに置き去りにしてよ。」

「脇の草むらに消えていったのよ。」

「おれもそのまま立ち去るか考えたけどよ、後手に縛ったままじゃ、さすがによ、くまっこのせいにならんと思ってな。」

「１時間ほど、くまっこの気配を気にしてよ、そのあと縛りを解いてやったんだわ。」

「で、一週間後のローカル新聞に載ってたわ、山菜取りの女性か？、クマに襲われた形跡。ってよ。」

「みんな言ってた、あの若さで、山菜取りはないだろってよ、ま、田舎の警察じゃ、その程度だわな。」

「芋虫ころがしのねぇさんよ。くまっこに喰われてみねぇか？」

「あれからよ、くまっこに喰われてる女をみねぇと、たたねぇんだ。だからよ、あの後はよ、おれ、３回しか、ち○こが起ってないんだ。」


　小春は、最後の言葉を聞いた後、この念仏が現実の言葉であることを感じた。

　添い寝するようにした男に指をねじ込まれ、尻穴の中ほどで中指をかぎ状に入れられた後、指先を鼻の穴にねじ込まれてしまう。

　小春は、念仏話のみおのように許しを乞う。

　男は、あの時と同じだと連呼し、自分の尻穴に入れた指を小春の反対の鼻の穴にねじ込んだ。

　どっちが臭いか尋ねられる。答えることなく、首を振るだけだ。

　嘔吐するまで、尻の穴の臭いを嗅がせようと、小春の尻の穴を解し、鼻ではなく、喉奥に差し入れた。

　反射で、噛み切ることなく、小春は激しく嘔吐した。とめどなく胃液のみの吐しゃ物を男が説明する。

　小春の胃の中を想像し、何も食べていないことを声高に言った。

　吐しゃ物が出終わり、唾液の塊が、床に伝うと、男は念仏のような話と同じように、起ちもしないち○こを小春の乾いたま○こにねじ入れる。

　小春は、大きさや、屹立不足に、助けられたのか女の声を出すことはない。男は話と同じように３こすり半で射精に達すること出来ず、小春のそばから強制的に消えた。


「後の三回は、どこだ、覚えているんだろ。」

「げろったら、この女っこ、くまっこに喰わせても、、、。」

「約束はできん、、、ただ、もう少しこの世の気分は味わえる、再捜査が始まればな。」

「そ、そうか、、、。じゃ、おれの実家の、、三味田の農業用水隧道の脇から、、、林道に入った５００ｍほどの所に。あれもツキノワグマに。あと、、」

「あとは、向こうで聞く。離れろ。」

　小春の背後の念仏男は立ち去り、再び鍵の閉まる音が小春の耳に入る。夢か現実かわからぬまま、鼻の異臭を忘れるように意識はシャットダウンした。
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2020年9月5日掲載
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