鞭を執れ
はちみつ太郎 作
３９．


　予定通り05：00に長野は清村の工場についた。出勤中の車も無いことはないがまだごく少量だ。

　護送用ハイエースは、頭の赤色灯をカバーし、車をバッグで扉のすぐ近くまでつける。

　ノックの合図で、扉が開くと、モグラのようにすぐに地下へ消えていった。

　中の様子を覗き込み、問題の無さを確認した。事務椅子に腰かけ、犯され続けている女を見た。

　喘ぎ声は、小さいが、抵抗もなく、数時間の姦通に耐えていることは理解できた。

　子分格の良太が、正常位で佳乃の口を吸い、舌を絡めながらピストンを繰り返す。長野は、それを見て滝に言った。

「二人は、新婚夫婦か？、、、種付け日のようだな、、、朝の５時まで、空が明るくなるまで、おま○こが精液で濡れ濡れよ。」

　滝は、煙草に火をつけ長野に言った。尋問のすべてを告げようとするが、スマホの動画を再生するように言った。


　撮影中のスマホを停止し、録画したデータを再生する。時間ごとに区切り、おおよその尋問部分を長野に見せ再生した。


　JIN002

　データを開けると、最初の尋問が始まっている。

　長野は、イヤホンを要求する。

「女の喘ぎと重なって聞こえにくいな。」

　イヤホンを受け取り、耳に入れる、一度ピストンを止めた良太は、再び腰を振り始めた。


　おおよその内容を確認したのち、滝に尋問の詳細を２．３聞いた。

「滝、桧山あずさのネコなんだな、、、この女。」

「えぇ、相当のＭです。」

「ＳＭクラブで、知り合ったと言っているが、、、実在するのかその店。」

「えぇ、上町の雑居ビルに構えている、５階にあるようですね。実在します。この女が沈んでいたかは、定かではないですが、

　定期的に素人の出演があるようで、その中に、雰囲気の似た女がＳ客に連れてこられたことがあったようです。」

「そのＳ客は女か？」

「そこまでは、、、。」

「そうか、で、子持ちとか、身内がいるようだが、聞いたか、その辺は。」

「旦那は、自殺したようで、、、娘が一人、母親にあずけているようで、２か月に一度程度連絡を取っているような状態と。」

「病気治療、、、旦那の自殺で精神が病んでいる、、、それで、預けているとか言ってましたが。」

「実のところは、自分のＭ願望を満たしたいだけの女ってことか？」

「へぇ、そんな感じで。」

「じゃ、概ね、旦那の自殺も、、、。」

「ってとこのようですかね。」

　長野は立上り、正常位で交わる良太の陰茎と佳乃の淫肉のつながりを見た。

「６回目、、、かな？」

「あ、すんません、、、、中で、ずっと出し続けてるんで、、、わからんっす。」

　長野は佳乃の交わる喘ぎ顔をのぞいた。

「兄貴は、顔射派なんで、、、そのたびに拭くんですけど。塊が、、、乾いて少し匂うっす。」

　突きながら会話し、佳乃の息が上がる瞬間同時に良太の体もビクついた。

「若いなぁ、、、。」

　佳乃は、覆いかぶさっていた良太が自分から離れると、腹式で息をしながら長野の顔を見た。驚きもせず、隠すことも出来ない裸体を見られても抵抗の意思はない。

「これだけのＭ嬢は、わがの施設に持って来いだ。桧山あずさへの警告で、この女フッ化風呂に沈む動画を送ろうと考えたが、やめだ。フッ化風呂には、車の中の奴を入れてくれ。」

　滝が、後ろの座席から一人の男を連れ出した。裸にされ、後ろ手に縛られた陰茎の切断後が生々しい姿の男だった。

　長野は、良太に佳乃の体を拭きとるように命令し、手首の拘束を解いた。

「戒名を、作っておくよ、、、、そうだな、君は生餌大姉、、、どうかな。」

　佳乃は、放心で長野の存在を認識できていないのか、視線は遠くを向いている。ぼんやりと見えた男の立ち姿は、異様であることを感じ、徐々に目の焦点は戻っていた。

　口を塞いだ男を佳乃の服や身分証が入れられていた浴槽に横たわらせる。

　残存薬品で、やけどを背中に帯びると、首だけを出し、蓋をした状態で、別の投入口から薬剤を注入していった。

　佳乃は、男の絶叫を耳に入れる前に麻袋に入れられる。身体は数時間犯された疲労と、快楽の連続と、化合物の影響で、袋に入れられるとすぐに意識を遠ざけた。

「うぅぅぅぅぅぅぅ。」

　男の絶命を見ることなく、長野は袋詰めされた佳乃を滝に担がせて良太に後を任せ、作業に取り掛かる。名残惜しそうに精液を出し続けた亀頭をショーツにしまうと、沈みゆく男を酸の湯に押し込んでいく。

　護送車の後ろに鎮座し、麻袋を横に置いた長野は滝のスマホで、尋問の内容を精査していた。

「女の、、、名前は、なんだったか？」

「あ、はい、加山佳乃、、、です。住所は、、、。」

「一人住まいなんだろ今は？」

「そういってました、、。」

「まっぱというわけにはいかんな、、、最後の時の死に装束を取りに行くか？」

「鍵は残しています。」

「そうか、護送を終えたら、ひとっ走り家に行ってくれるか。」

「何を持って来れば、、、。」

「生餌大姉に似合う、、、ごく平凡な普段着でいい、、、ただ、下着は、一番スケベなやつだよ。」

「はい、、、。桧山あずさとの関係性のあるものは？」

「あればなおのこといい、でも時間をかけるな、非番であろうが、生餌大姉のもとに来るかもしれん。」

「わかりました。」

「桧山あずさをひっかければ、、、、強盛会、杉山も、、、、本望だろうなぁ。」

「若頭は死んでませんよ。」

「俺からしたら、、、死んだようなものだ、、、、あいつの性的嗜好がわかっただけでもな。」

　滝は、バックミラー越しに若頭を蔑んだ長野を睨み付けたが、長野は佳乃の犯されている姿に釘付けでそこに意識はなかった。
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2020年9月29日掲載
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