鞭を執れ
はちみつ太郎 作
４１．

　20：30　串焼き屋のお金は、あずさが支払おうとした。経費で落とす格好のようだが、小笹はそれを良しとしない。

　支払いを制し、自らのカードで支払った。

　何度かの押し問答のなか、小笹の支払いにあずさは応じた。

　小笹は領収書を要求せず店を出た。

　あずさは、支払のお礼とし、もう一軒付き合ってほしいと告げる。

　小笹は気をよくしたのか、あずさに呼応した。

　店まで歩く中、あずさは、飲食中に聞けなかったことを聞いた。

「小笹さん、広山拘置所って、、、解体工事は始まらないんですか？」

　小笹は、酔いも相まって、聞かれたことに軽く答える。

「施設が施設だけに不調に終わっていますね。、、、でも、どうしてそれを？」

「この間、伺った時に長野さんにお聞きして、うちの官舎も古いので、なかなか予算がつかないのに、ついた予算を消化できないなら、こっちに回してもらってもなって。」

「そういう事ですか、でも、もうじき決まると思いますよ、、、近いうちに。」

「いつごろですか？」

「えらく、食いつきますね。」

「えぇ、じつは、廃墟マニアでして、、、一度行ってみたいなと。」

「死刑室ですよ、、、、僕は御免だなぁ、、、。この前も、、、。」

「このまえ？」

「あ、いや、前を通った時にね、、、変な声が聞こえてね。それで、、。」

「どんな声なんですか？まさか、誰もいないはずなのにねぇ。」

「ですよ、、誰もいないのに。」

　小笹は、隠すように言葉をごまかす。あずさの耳に残るこの前もの表現は、隠された言葉を開き出したい表れと感じる。

　あずさは、上町の雑居ビルの５階へと小笹を連れていく。



「尻童女、排泄の処理の時間だ。」

　房に入れられてから初めての事だった。和便器の中に落としたそれを処理するだけの男がやってきた。

　前回小水を吸い取られた男と違い物言わぬ男が、鍵を開けたことを耳で感じる。鎖を持った男は３８０９であろう。小春に角によるよう命令する。

　小春は、排せつ物を気にし、言葉を掛けようとするが、一言も言葉が思いつかない。

　鎖に繋がれているであろう者が、バケツで水を流す音が聞こえる。小春は、尻の間についた排泄残りをつけたくなく、中腰のままだった。

　水を何度か流すと、排泄の流れを確認し、新たな指示を飛ばす。

「尻童女、四つん這いで尻を上げろ。」

「、、、で、できません、、、、紙をください、、、自分でします。」

「抗弁、、、１回目だ、お前に許されているのは３回までだ、、、３回目の仕打ちは、、、、尻童中の去勢だ、、、わかるな。」

「う、、きょ去勢、、、、まさか、、、。」

「わかったら早くしろ、、、きれいにしてやろうとしている身になれ、排泄残しで蟯虫が流行られても困るんだよ。」

　小春は、恐る恐る尻を上げる、四つん這いで陰唇の割れも気にしながら、半開きで足を開き尻をあげた。

「よーし、、、、動くなよ。」

　３８０９は小春の背中から腰を踏みつけ、動かぬようにする。鎖を引き、合図の言葉を放つ。

「ウォシュレット、、開始。」

「なんだ、、、嫌なのか、、愛した嫁ちゃんの尻の穴に蟯虫がうようよしててもいいのか？おま○このなかは、精虫でいっぱいになるんだろうがな、今晩。」

　予測の範囲と大きく違った言葉を、小春は耳にした。

　一つは、鎖でつながれ、同一の空間で排便を処理したのが計だったこと。もう一つは、この後、行われる夜の仕打ちの事。

「い、いや、、、、っ。」

　四つんばいの尻に鼻息が近づいている。尻の谷間に舌先が触れるのがわかる。手を使わず、舌だけで尻の穴の脇肉を舐め揚げ、むせるようにし、片方ずつ仕上げている。

「ほぉ、さすが、尻舐めを調教した甲斐があるな、なかなかのものだろ嫁ちゃんよ、、、。」

　計の舌触りが小春の敏感な部分にも触れる。尻の筋肉が緊張し強張ったのを見逃さない。

「尻童中、、、、どさくさまぎれに、嫁ちゃんのま○この襞襞なめてんじゃねぇよ、、、う○こついたらどうすんだよ。」

「この後嫁ちゃんは、お楽しみがあるんだ、、、きれいに仕上げろ、お楽しみがうまくいかなんだら、、、抗弁対象で、、、リーチだぞ。」

　計は、繋がれたまま必死に小春の尻を清めている。３８０９が覗き込み、小声で指示した。

「この前の通りしてみろ、、、さぁ。」

　計は舌先をすぼめて、小春の菊門に突き当て、押し込むように先だけを穴に入れた。小春は、感触を小声で漏らす。

「いいだろ、、、、毎晩してくれるんだぜ、、、こいつよ。」

「あぁぁぁ。」

　計は、一度舌先を放し、尻肉の割れ目を仕上げなめした。

　３８０９が計の顔を遠ざけ、自らの指先で小春の尻の隙間を触診する。鼻先に突き当て、問いかける。

「尻童女、、、臭うか？」

「、、、。」

　首を振り、四つん這いの姿勢を終える。

　３８０９は、計へ轡を噛ませ、鎖を引き戻す。縮み過ぎている生殖器を小春の眼前に持っていく。

「触れてみろ、、、お前のおま○こを舐めてもぴくりとしないようになった。元々、そっちの方が向いているようだな、抗弁を続けて楽にしてやるかなぁ。」

　３８０９は、引きずるようにして、計を檻の外につなぐ。もう一度戻り、今度は小春のラバーマスクを取り外した。

「おぉ、やっぱり顔が見える方がいいね、なに、なに、、、泣いてたの？」

「、、、。」

「ま、見てみろよ、、、あの姿よ、、、。」

　計の方を指さし、股間のふくらみの無さを嘲る。

「ま、寝取られ願望じゃ、、、仕方がないな。」

「、、、。」

「今日の夜、お前たち二人を番いにしてやる、、、、２時間後だ。いいな。オナニーして待っててもいいんだぜ。好きなだけ繋がってもいい。」

　計はそのことを耳に出来ず、怯える野良犬のように、震えている。
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2020年10月7日掲載
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