鞭を執れ
はちみつ太郎 作
４５

　杉山を前に座らせ、背中越しにモニターを見つめる長野。

「どうだ、番いの交尾を見て、、、。」

「はい、、、ありがとうございますっ。」

　手足に枷をされた計の上に乗り、自ら腰を振る小春。スピーカーからはやし立てる声もなく、黙々と計の陰茎を感じていた。

　杉山は、手錠をされてはいるものの、右手を動かし、モニター内の番いの交尾で自慰をしていた。長野は、杉山の威厳の無さに笑いをこらえている。

　小春の声が上ずり、喘ぐ声を押し殺すように計に唇を重ねていた。杉山は前のめりにモニターを見つめ、扱きが早くなると長野が抑えるように言った。

「杉山、、、お楽しみはこれからだ、、、もう少し待て、、、。」

「はい、、、副所長、、、、。」

　背筋を伸ばし、杉山は右手を離す。陰茎の先には滲んだカウパーが床に垂れ下がるまで越水していた。

　杉山は指示された長野の方に顔を向ける。

　長野は３本指を立て、

「あと三分。」

　杉山は、三分の意味を聞くことが出来ず、扱きを抑えた。モニターの中の小春は、計の絶頂間際まで腰を振り、最後の瞬間を名残惜しそうにスローダウンさせた。

　射精間際の計は、首を反らし、脊髄反射のように睾丸からの熱い迸りを小春に告げる。小春は、また計の唇を塞ぎ、舌を絡め、計の短髪を撫でまわしている。

「番の交尾が一番興奮するなぁ、杉山。」

「はい、、、一番です。」

「お前の、趣味、、、、聞いてるよ。」

「、、、。誰からですか？」

「舎弟頭、、、滝からだ。」

「あいつ、、、。」

「まぁ、許してやれ、、、お前の性嗜好を堪能させられるんだ、、、それを聞いているから。」

「、、、。」

「わかるよな、、、。」

「おいくらです？」

「２００。」

「、、、。」

「どうだ、、、？安いだろ、、、始末はこっちもちだ。」

「、、、用意させます。」

「電話、、、しろ、、、。」

　スマホを手渡された杉山は、金庫番の男に電話した。

「俺だ、、副所長、、、の口座、、、２００。いいな、、、すぐにだ。」

「いいだろ、、、、準備を始めるよ。」

　長野は後ろを振り向き、３８０９に指で合図した。

　モニターには、いまだ体を重ねている計と小春。檻の外に、一人の影が大きくなる。小春も、計も気づいてはいない。

「２００の価値はある、、、本物の性犯罪者の登場だよ、、、大山裕、４件の強姦と２件の強姦殺人。殺人２件は夫の前での強姦殺人だ。」

「、、、大山　祐、、、他にも余罪があるやなしやで、、、。」

「そうだ、行方不明のまま、、、埋まっている、、、仏さんも浮かばれんからな。」

「この、、、夫婦を？」

「あぁ、、、再現フィルムだよ。リアルなやつよ。」

　檻のカギが開き、囚人服を脱ぎ去っている男が小春の背後に立った。気配無く立ちつくし、檻のカギを３８０９がかけた音で小春は人の気配を知る。

「だ、、、だれっ、、、。」

　何も言わず、小春の首筋をチョークスリーパーで締め上げている。計は小春から陰茎が抜け、仰向けのまま反撃すらできないでいる。小春が意識を飛ばすと計は、反撃の為か体を起こそうとするが、大山に足蹴りされ、みぞおちを踏みつけられ、胃液を吐き出した。

　小春の首輪のカギを外し、悶える計の首輪を引きずった大山は計に向けてこういった。

「暴れろよ、、ち○こ、、、縮み始めてるよ、、、最初の旦那は、嫁の前で反撃するから、縮んだち○こを裁ちバサミで切ってやったよ。それを嫁に咥えさせて、犯したんだ。」

「おぇぇ、。」

　いまだ、計は胃液を戻し体勢は整わない。大山は生締めした小春を床に転がし、計の首輪を壁のフックに固定した。手足の枷はそのままで腹部のダメージを回復させる前に囚われとなった。

「おきろ、、、これから何回も絞めてやる。」

　小春の頬を大きくはたき、目を覚まさせた。小春は、テレビのワイドショーで一時独占していた男の顔を思い出した。

「お、、おおやま、、、、。」

「有名人だねぇ、、、、ワイドショーに出続けてたから、、、いろいろ、嘘もかかれたよ、、、だって、、、、殺したのは４人だけじゃないのに。」

　180ｃｍ。120キロ。といった体格で相撲では十両にいそうな風格の大山は、小春の体に近づき、手首をつかんだ。

　仰向けのまま、押さえつけられると身動きすらできない。脚はフリーだが、蹴飛ばす先の陰茎を目で捉えたが、反撃をくらわすことで計への抗弁のカウントを気にしそれが出来ないでいた。

　小春の腹の上に尻を付け手首を握りしめているだけで、身動きは完全に止まる。３８０９に投げ入れられた、大きめのインシュロックは小春の手首を重ねたやすく縛られる。

　睨み付けたその眼を解説するように大山裕は計を見ながら言った。

「俺が、捕まる５日前の夫婦と同じだよ、田舎町で安全だと思ったか、鍵が開いてるんだよ、その家で喘ぎ声が聞こえたんだ、、、。」

　小春の頸動脈を押さえ顔が赤くなるのを楽しみながら、続ける。

「若い夫婦でね、、、おそらく、、、生でやってた、、、子供が欲しかったんだろうね、排卵してたんだろね、、、旦那の頸動脈押さえたら、失神してな。」

「奥さんなんだかわからねぇみたいでよ。入れ替わりで、奥さんにねじ込んで、生き締めで意識飛ばしてよ、３分で発射。」

　小春は混濁した意識から、指の押し込みがなくなり血流が戻る。

「俺の精虫が届くか、届かないかでね、、、旦那が意識戻して、、、な、もやしみたいな旦那をよ、滅多打ちにしちまった。」

　大山の陰茎が、血流を帯び、先端の被っていた皮も押し下がり、滲んだ尿道の先は小春の割れ目を狙っている。

　顔を近づけ、小春の意識戻りの顔を覗く。耳元で、昔犯した罪の言葉をつぶやく。

「おぉ、泣いてお願いしろ、殺さないで、、、殺さないで、、、、なんでも、言うこと聞くからぁぁぁって。」

　小春は、大山の言葉を無視し、視線をそらす。

　小春の髪の毛を鷲掴み、どすの利いた声で、脅す。

「本当に殺すぞ、、、お前で8人目だ、、、7人も8人かわりねぇ、どうせ、、、この世とすぐにおさらばよ。」

　小春の首をもう一度締め始め、意識が飛び、首の力が失せた瞬間に、大山は小春の足を開き、陰茎をねじ込んだ。

　直前まで計の陰茎を感じていた膣道は、ぬめりを残したままで、大山のものもたやすく奥まで入り込んだ。

「あの時と同じだわ、、、旦那のあと、、、簡単に入りやがる。だから、、、許せねぇんだよ、、、あんな、もやしち○ぽで、ぬめぬめにしやがってよ。」

　大山は、小春に覆いかぶさりながら、腰を揺らす。計は、大きな声を上げることもできず、胃液の逆流は収まるが抵抗の声も、小春への呼びかけもできない。

「あれれ、、、よみがえらねぇ、、、、往く前に、、、、あの世に逝っちまったか？」

　計は、大山の声に初めて反応した。

「こ、、、こはるぅぅぅ。」

「小春って、、、名か、、、いい名前だな。」

　計は、拘束をがしゃがしゃ揺らし、抵抗をみせるが、大山の嘲りを覆すような力は出ない。

「心配すんな、、、、小便漏らしてねぇから、、、死んじゃいねえよ。ま、嫁さん犯されて、、、抵抗もできねぇお前は、、もう、死んでいるがな。」

「く、、、くそっ、、、。」

　小春とつながっていた大山だが、計のつぶやきを耳にし、陰茎を抜き去り、立ち上がる。計に近づくとみぞおちめがけて拳をくらわした。

　計は、再度胃液を戻し、息の出来ない時間が訪れる。

「お前、9人目にしてやるよ、、、小春だっけ、嫁を8人目にして、、、そのあとお前、、、絞め殺すぞっ。」

「げ、げほっっ。」

　再び小春に交わり、挿入をし、２、３度腰を振り続けたのち、小春はブラックアウトから解放された。

　大山は腰振りを続け、小春の顎をしゃくる。小春の閉じた目を無理やり見開き、眼球に舌を這わす。閉じようとするも、大きく開かれ、抵抗のすべはない。

「齧り取るか？」

　脅すように黄ばんだ歯をむき出すと、小春は顔を振り従った。両の目を開き、ピストンの揺れが収まると大山は小春の眼球をべろべろ舐めた。

　肉食獣に捕食される前のいたぶりなのか、小春は近づく死への恐怖に呼吸を荒くする。

　次は耳だった。根元まで口に頬張られ、甘噛みののち出血を伴うほどの歯の当たりに小春は声に出す。

「い、、たいぃぃ、、、、。」

「コリコリして、、、うめぇんだよ。」

　甘噛みを通り越し、おおよそ歯型以上のものが耳に付け根に感じた。

　耳から離れたのちは、頸動脈。

　小春の首筋に舌を這わした後、脳への血流の中枢を探り当てる。

「一噛みで、あの世行き、、、、どうよ、、、俺と一緒にあの世で暮らさないか？」

「や、、、やめて、、、まだ、、、死にたくない。」

「だよなぁ、、、俺は、、、もうすぐに、、、強引に連れてかれる。だからよ、、、。」

　一言最後の言葉を継げずに、首筋に目いっぱいの歯形を当てた。

　苦悶する小春、抵抗をせず大山のいたぶりを受け止めたまま、女体の奥に宿っていた興奮を感じてしまう。

「、、、、、あぁぁ。」

　無数の歯形が首筋に刺青のように、浮かび上がる。鬱血と血のにじみがあいまって、小春の首筋に首輪のように歯形が装飾された。

「おい、、、ぬるぬる、ま○こになってんぞ、、、なにも動かさなかったのに、ぬるっと抜けちまった。」

「嫁さんよ、、、まさか、、、そういう性癖？、、、、半殺しフェチ？」

　抜けた陰茎をまじまじと見た大山。陰茎にまとわりつく白い小春の愛液を指で掬い、計の方に見せつけた。

「殺される前の興奮か？死を前にして、生殖行動が活発化する。実験に値するな、、、独房の塩田先生の実験材料に持ってこいじゃん。」

　再び挿入し腰を振り始める。首筋の歯形に合わせて手を当て、じわじわと首を絞めつける。小春の顔が真っ赤に染まり、そして緩める。

　小春は耐え切れず、意識を戻した回数を忘れかけたとき、大山のピストンが最高潮に早まった。

　首筋に力強く、頸動脈を抑えられると、2秒ほどで意識を飛ばしブラックアウトした。

　大山は小春にかぶさるようにし、精虫を小春の生き締めの卵巣に放出した。

　ブラックアウトのままの小春は、計の叫ぶ声が聞こえないまま、大山の精虫を中へ中へと無意識のうちに一粒の卵へと誘導していた。

　放った精虫の残党は、小春の割れ目から零れ、大山は小春を見下ろすように立ち上がる。精虫のこぼれを振りきりると、小春の意識ない下半身を持ち上げ会陰部からの精虫のこぼれを無くそうとする。

「俺が生きた証を、、、体に刻んでくれよぉぉぉぉ。」

　こぽこぽと流れ出ようとする、精虫を一つでも多く流し込もうと、小春の尻を天井に向け、ひいては計の視界に入るようにし、親指の先でこぼれた精虫を押し込んでいる。

　流れが出なくなるまで、2，3分。小春は意識を回復させる。大山は、小春の横に添い寝するように体を合わせる。小春は、嫌悪と意識の混濁の中、横にいる死刑囚から顔をそむける。

「マッドドクター、、、お前も聞いたことあるだろ、塩田和正死刑囚、、、。あの宗教団体の医療部の医者。」

「、、、。」

「あの医者に聞いたんだ、、、女は、排卵日以外にも、、、、死を意識した瞬間に、、、排卵することがあるらしい。あいつは、それを研究していた。」

「それが事実なら、、、奥さんの卵と俺の精虫が、、、。」

「い、、、やぁぁぁぁ。」

　小春は、大山の声をかき消すように叫び、その声に反応した大山は、小春の下腹部に歯をたて、臍下の肌に子宮に似せた歯形を丁寧に装飾していった。
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2020年10月31日掲載
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