鞭を執れ
はちみつ太郎 作
４６

　身体を九の字に曲げた小春。壁に掛けられていた計の姿はなかった。

　小春の臍下の肌に子宮の形の歯形を施した大山は、止めろと叫んだ計に再びみぞおちを殴り、嘔吐したあと、3回目の抗弁として、小春の独房を退去させられた。

　小春は、大山に噛みつかれ、叫ぶ声をうるさいと叫んだあと、再び首を絞められブラックアウトした。

　そして計が抗弁にて引きずり出される姿を見ることが出来ずにいた。

　九の時に曲げた体を後ろから貫き、ピストンを続ける大山。背後から何度も首を絞めながら、尿漏れを始めた小春の変化に喜びを告げる。

「おしっこ、、、漏れ始めてるな、、、意識の飛び方が、死を意識し始めたんだ。」

「どうする、、、本当に、、、絞め殺そうか？究極の快感だぞ、、、。」

「あぁぁぁぁあぁぁ、、、、、い、いやっ、、、、こ、殺さないでぇぇぇ。」

　小春は、振り向くことなく首に手を回され、生への懇願を細切れに発し続けている。

　背後から抱きしめ、大山が体を密着させるとカメラの方からは小春の姿が隠れるほどであった。

　カメラの向こうの長野は、杉山に射精を命じた。

「杉山、、、そろそろ、、、時間だ、、、出すなら出せ、、、独房に帰って、、、夢精でもいいぞ。」

　杉山は、長野の言動に何も言わず床に飛び散った精液で答えた。

「どうだ、、、死刑囚の再現フィルム。」

「データを、、。」

「ん？」

「動画データ、、、録画、、ないんですか？」

「おぉ、、今日のはないが、、、明日の実行版は、、録画予定だ。」

「い、いくらで、、、、？」

「２０００で、どうだ。」

「た、高すぎる。」

「そうか、、、本物の死刑囚が、、、、本物の強姦殺人をする再現フィルムだぞ。欧州だったら５，０００は堅い。」

「、、、。」

「どうだ、、、。」

「明日返事でも、、、。」

「まぁ。いい。検討してくれ。」

「あすも、この人妻で？、、、本当に殺ちまうんで？」

「いや、、、別だ、、、お前のお気に入り、公雌大姉。」

「、、、。」

「番を処理してしまってね、、、ショックで、、首でも括りそうだ。だったらな、、、早く楽にしてやろうと。」

「、、、。」

「明日、、大山の餌にしてやるのさ。」

「大山、、、が。」

「あぁ、、、さっきげろっただろ、、、４人以外にも３人の殺害を自供しそうだ。だが、仏さんの骨を上げてやるだけだ、あいつの罪はもう確定している。時間を要さず、明後日の死刑が確定している。」

「、、、。」

「杉山、２０００出すなら、特別にお前を旦那の代わりで独房に入れてやる。公雌大姉の生き締めの姿、見届けるなら、すぐにでも返事しろ。」

「わかりました、、、スマホを。」

「お、滝に連絡か？」

「はい。」

　長野は、滝の番号を押すとつながるが、応答までの時間が長い。しびれた長野は、一度切り、リダイヤルを待った。


　滝からの返信はショートメールだった。

『あとでかけなおします』

　長野は、滝のメールを読み上げ杉山の顔色を伺う。舎弟の返事にいらだちを感じている。長野は明日の返事なら２５００と値を釣り上げる。

　何度も電話をつなげるよう頼んだが長野は、返事の無さと杉山のいらだちに呆れている。

　２０分後、ようやく滝からの返事があった。

「す、すいません、、、、取り込み中でした。」

「兄貴の緊急な用事も取れぬほどの？」

「え、あ、、杉山の兄貴が？」

「あぁ、、、２０００万用意しろと。」

「え、、、、な、何を。」

「高い、ＡＶを買うそうだ。な、杉山。」

「滝、、、明日の朝一、、、振込は出来ないだろ、、、２０００、長野さんの自宅に、。」

「おお、８:４０だ、夜勤明け、その時間には戻る。」

「ご、ご用意いたします。」

「なんだ、焦ってるな？声が、何かあったのか？」

「あ、その、、、実は。」

　長野は、滝の声に隠し事を見抜く。動画での通話に切り替えさせると、長野は状況を確認するのに３０秒ほど要した。

　画像の状態を滝に問いかける。

「おい、、、もしかして、、、、桧山、、、とかいう女警官か？いま、犯してるのは？」

「はい、、、あの、この前さらった、、、桧山の家から出てきた女、、、加山佳乃の、、、囲われていた店に行きついたら。」

「女警官に出くわした。」

「はい、、、で、らちって、、、いま、、、尻の穴を。」

「ほぉ、、、抵抗は？」

「それが、、、こいつ、実は調教済み女でして、、、。」

「どういうことだ。」

「へぇ、、クリ剥き切除にラビアピアス、乳首ピアスに、、、ア○ル、、ＯＫでして。」

「ド変態警官か。」

「はい、、、兄貴のパクられた原因の女だったので、、、仕置きを。」

「杉山、、、いい舎弟頭をもったな。」

「、、、。」

「杉山さんは、ち○こを大きくして感謝しているぞ、滝。その女どうする。」

「はい、いかようにも、、、、ご指示を。」

　杉山は、長野に声を掛ける。

「仕返ししたいか？」

「はい、、、出来ることなら、、、公雌大姉のかわりに、、、大山の生贄というわけには。」

「その条件なら、３０００だな、、、どうだ。」

「へぇ、、、わかりました。滝に命を下してください。」

「よし、、、滝、明日の21：00、、護送車をフッ化部屋につける。桧山とかいう女警官を連れてこい。」

「はい、、、それまでは？」

「殺さず、、、犯し続けろ、、、ただし、薬は使うな、、、素面の状態で、、、葬る。」

「わ、わかりました、、、２１:００お待ちしています。」

　少し緊張気味の滝の声。犯され始めたあずさの顔を映し続けたままの動画は、杉山の眼前に映し出され再び陰茎を勃起させていく。

　いつもと違う滝の緊張は、拘置所にいる二人の男に伝わることがなかった。
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2020年11月7日掲載
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