鞭を執れ
はちみつ太郎 作
５１

　うつろな目の小春は、横に座る塩田に告白を続けている。

　塩田の忌み嫌う組織の名を声に出されても、いら立ちではなく別の興奮を覚えていた。

「密命本部、、、じゃ、小春さんは警察官なのかな。」

「はい、巡査です、、、密命本部所属です。」

「本部長は？」

「、、、わかりません、、、階級は警視長と聞いています。」

「かなりの上級だね、、、そうか、そこで、どんな仕事、もしかして潜入なんかな。」

「、、、はい、、、3年くらい、、、で、６件。半年おきにお休みしながら。」

「じゃ、聞こうかな、最初の潜入捜査はどんな感じだい、、、。」

　小春は、天井を見つめ思い出しながら、塩田にしゃべりかけた。

　計は、耳を隠したいがその術はない。

「、、、病院の医療事務で、、、潜入して、、、外科部長のしていた、臓器売買に、、、。」

「大きな話だね、、、新聞沙汰にはなってないようだね。」

「、、、お役所の力と、、、政治家の力で、、、潜入は途中辞めに。」

「へぇ、政治力だね、、、瀧井巡査の活躍は？」

「外科部長と、、、。」

「やっちゃったの？」

「ホームレスの臓器売買をが主だったのに、、、向精神薬の横流しをしている看護師さんを、、脅して。」

「狙いが変わったんだね、、、何人か臓器を抜かれた？」

「その女性看護師さん一人だけ、、、インドネシアで行方不明になって、、、私はその人をマークするために、色々近づいていたので、、、。」

「そして外科部長に狙われた。まぁ、今のところ手術痕もないから、抜かれていないんだろうけど、、どこまで危ない目に？」

「臓器ブローカーのインドネシア人の接待に、、、、10日間、、、。」

「よく妊娠しなかったね、、、。」

「外科部長が、、、子宮に避妊具を。」

「へぇ、、、ＩＵＤかなぁ、いいもの入れてもらって、、、よい医者だねぇ。」

「、、、。」

　一度計の方を向いた小春は、目が合うがＩＣを埋め込まれたアンドロイドのように視線を外す。

「インドネシア人はどうだったの？彼ら、結構長いもの持ってるよね。」

「すごく、、細くて、、、奥を突かれると、、、。」

「よかったんだね、、、まさか、そこで、、、アナルも？」

「2日目から、、、お尻の穴に興味を、、、お風呂で浣腸させられて、、、5時間ぐらい細長いバイブを入れたままに。」

「確かな使い方だね、、、五時間もほぐした後の初アナルは、よかったよねぇ。」

「、、、10日目にあずさ先輩に助け出されて、、、でも、、忘れられなくて、、、。」

「アナルフリークになったとさ、、、。」

　計に向けて、塩田は言い放つ。小春は、少しきつく太ももを閉じる。塩田はそれを見逃さず今の状況を尋ねた。

「話してるだけでも、蘇ってきた、、、ね。」

「はい、、、。」

　小春はきつく閉じた太ももの間に手を入れ、恥ずかしそうに計の方をもう一度向いた。

「彼、気になる？」

「どなたなんですか、、、苦しそうに。」

「あぁ、彼かはねぇ、、、私の研究に協力してくれる若者でね、、、名は、、、黒田計さんだよ。」

「、、、。苦しくないんですか。」

「大丈夫、、、だよね、がんばれるよね。」

「、、、、、、。」

　何も言わず顔を背ける計を見ても小春は、何の感情も沸いていないようにみえる。

「じゃ、瀧井巡査は、悪人と交わることに興奮を覚えてしまっているの？」

「率先して、、、交わることは、、、ないのですが、、、、その場に身を投じた時の、興奮が忘れられなくて。」

「で、再び潜入捜査に身を投じてしまうんだね。」

「です、、、はい。」

「一番興奮した、、、潜入捜査って、、、どんなだった。」

「、、、よく、、、思い出せないんですけど、、、、夫婦を装って、、、潜入する捜査の時に、、、。」

「うんうん、、、。」

　計を見ながら小春の肩を抱いている。

　手を振りほどくことなく、小春は肩をすぼめて小さくなるように話始める。自分のことが出てくることを予測した計は、大きく体を揺さぶりながら小春の意識の戻りを促すが、塩田の回した手が髪の毛を撫で始めると、小春の声は小さく聞こえなくなった。

　塩田の耳元でぼそぼそと始めた物語は、計には届かないでいる。


「どういういきさつか覚えていないんです、ただ、ある男性と偽夫婦になって、、、ネットで知り合った男性に抱かれに行くんです。なんのためかは、思い出せない。」

「あぁ、そこは思い出さなくていいよ、、、どんなとこだい興奮したのは。」

「見知らぬ男性に何度も抱かれていく間に、、、偽の旦那さんに、、、悪いなぁって、、、でも、なんか、それが、、、よくて、、、夫婦でもないのに、悪いなぁって、泣いちゃって。」

「ネットの男とはどうだったの？相性は？」

「よかったです、、、とても、、、紳士的なのに、回数を重ねたら、、、徐々に、、、命令的になって。」

「その命令に従うようになった。」

「上からの指示だったんです、従うようにいわれてたので、最初は。」

「ほぉ、、、逸脱したの？」

「はい、、、。先輩にも、仮の旦那さんにも言わずに。一度、、。」

「へぇ、、、詳しく知りたいなぁ、、、。」

　塩田は、小春の小ぶりな胸に手を持っていき下乳を持ち上げるようにし、続きを聞いた。

　より小さく塩田の耳元に口を近づけ消え入るようにMADとの密会を告白していく。
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2023年10月3日掲載
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