堕（おと）された完熟桃
極楽とんぼ 作
第１２章　　初体験を聞いてきた

　ＰＣのレッスン予定に関しては、俊英の思惑どおりに事が進み、夫人は新たな内緒事・秘密を積み重ねることになった。
　上出来だ！と、嬉しさを噛み殺しながら、今度は夫人の左側に席を取った。
「やっぱり藤堂君のコーヒーが美味しいわ・・」から始まる他愛の無いやり取りが続いた後、いきなり問い質してきた。
「ねぇ、ねぇ、ちよっと聞いて良い？・・・この前の話で、遊ぶ暇も無かったのは分ったけど、ほんとにガールフレンドは居ないの？・・・ちよっと取っ付きは悪いけど、清々しい男なのに、居ないなんて信じられないわ・・・初体験は何時？・・・どうなの？・・・」

　何度か胸の谷を覗いて気付かれたが、チラッとで済ましたからか、お叱りは無かった。
　チョッカイを出さなかったことで安心したのか、その時間帯からすれば大胆なことを聞いてきた。
　初体験を問い質される事は想定していなかったので、狼狽えたが、頭の中は猛烈な勢いで思案を巡らしていた。
　夫人の問いに答える形を取りつつ、欲情を喚起させるストーリーの運びを思案していたのだ。

「急にそんなこと言われても・・・それに・・いくら何でも、恥ずかしいですよ・・・」
「アーァッ！・・その言い方だと！・・・ねぇ、何歳の時？・・言いなさいよ！・・・大の男が恥ずかしいなんて、可笑しいわよ！・・・」
　鬼の首でも取ったような勢いで、畳み掛けるように問い詰めてきた。
　メガビッグボーイを持っていることはバレているのだから、どんな初体験だったのか？に興味を持っのは、当然かも知れないと思った。

「やっぱり・・恥ずかしいわ・・・笑われるか軽蔑されるに、決まっているもん・・・由美さんも話してくれるのなら良いけど・・・こういう話は公平じゃないと・・・」
　しどろもどろを装いつつ、聞き入れる筈の無い交換条件を持ち出してみた。
「男と女は違うじゃないの！・・・女性にそんなことを話させようなんて、非常識だわよ！・・・」
「非常識なら取り下げるけど・・・笑ったりしないと、約束だけはしてもらわないと・・・でも、喋り難いなぁ・・・」
　素直に引き下がる振りを装い、聞いてくるように仕向けたら、まんまと成功した。

「その約束は守るわよ！・・・じゃぁ、聞くわよ・・・ねぇ、何時なの？・・・」
　もう逃がさないわよ！とばかりに聞いてきたが、瞳が少しばかり煌めいていた。
「中２の夏だったから、１３才の時だけど・・・」
「えっ！・・中２の時？！・・・まーぁ、家の息子と同じ年の時じゃない！・・・で、相手はどんな女（ひと）？・・・」
「何か・・叱られそうな雰囲気なんだけど・・・」
「叱ったりしないわよ！・・・だから、誤魔化しは、ダメよ！・・・」
「相手の女性は・・確か、３３歳だったと思うけど・・・」
「えっ！・・３３！？・・・ねぇ、そんな！・・・２０歳も年上の女性と！？・・・」

　鳩が豆鉄砲でも喰らったような顔をしたので、経緯だけは簡単に説明しなければならなかった。
　相手は真田碧という名の未亡人で、寺が一番忙しいお盆の最中の出来事だった。
　その頃は、もう和尚の代理が勤まるほど、法要の手順や経文に慣れていたし精通していた。
　未亡人宅では夫の初盆を迎えていたが、親子関係が不仲だった上に、親戚関係も希薄で、参列者は無かった。
　布施も十分に包めないと相談された和尚は、見習い僧の俊英に法事を託した。
　俊英は型通りの供養の儀式を済ませ、控え室に戻って法衣を脱いで帰り支度をしていた。
　其処へ冷たい麦茶を盆に載せた未亡人が入って来たが、俊英はその服装を見て勃起させてしまった。
　ノーブラの素肌に綿のＴシャツと太腿が丸見えの半パンツ姿で、２つの乳首が薄いシャツを突き上げていたからだ。

「マァーッ！・・元気なのね！・・・小さい頃に“デカチン坊主“って、からかわれていたけど、ほんとかどうか叔母ちゃんが見てあげる・・・」
　その時には、男根はトランクスのベルト近くまで伸びていて、見事にテントを張った状態だった。
「ほんとだったのね！・・・こんな立派なのをしていたんだ！・・・」
　未亡人の碧は、そのトランクスを足元まで下げて剥き出しにしただけでなく、軽く握って扱いてきた。
「お・・叔母ちゃん・・そんなことをしたら・・・」
　泣きそうな声を出したが、その時にはビクビク震える男根から白い液が飛び散っていた。

「マーッ！・・凄い勢いじゃないの！・・・天井まで届いているわよ！・・・若いから、直ぐに元気になるんじゃない！・・・これって、天井や壁を汚す為に付いているんじゃないわよ！・・・何の為に付いているか、知っているんでしょう？・・・」
「汚して済みません・・・何の為と聞かれても・・・」
「俊ちゃんは、童貞みたいね・・・叔母ちゃんが教えてあげようか？・・・」
「・・・」

　道場の先輩たちの猥談を耳にしていたから、知らない訳ではなかった。
　でも、供養の読経で訪れている檀家で、そんな淫らなことを言える筈もなかった。
　モジモジしていると、手を引かれて寝室に連れ込まれた。
「これも脱ぐのよ・・」と声を掛けられた時には、シャツも抜き取られようとしていた。
　碧は目の前で半パンツを脱ぎ、続いてショーツを脱ぎ捨て、ベッドで仰向けになった。

　リアルに話せる事ではなかったが、事の概略だけは把握してもらう必要があった。
　ポツリポツリと、しかし、想像力だけは掻き立てるように言葉を選び、適当な間を置きながら話すように心掛けた。
　夫人は、時にはイライラした表情を見せていたが、想像力を駆使して成り行きを思い描こうとしている感じだった。

「ねぇ、そうすると、藤堂君が飛び付いて行ったんじゃないの？・・・」
「頭に血が昇っていたみたいじゃから、良くは覚えてないけど・・・気が付いたら抱きついていたから・・・でも、どうしたら良いか見当が付かなくて、しがみ付いているだけだったけど・・・」
　まさか、これで終わる筈がないことぐらい誰にだって分かることだが、敢えて言葉を濁した。
「で、どうなったの？・・・」
「気が付いたら足を絡められていて・・・尻も両手で押さえられていたような・・・」
　この表現で十分にその時の状況が描けたらしく、探るように向けてきていた眼を逸らした。
　尻を引き寄せるリズムに合わせ、突き込んでくるよう促しているのだと、理解したようだ。
　１発だけでは終わらせたくない時、脚を絡めて離そうとしないのも、夫人の年齢だと常識になっている筈だ。

「まーぁ、吃驚だわ！・・・大変な初体験じゃないの！・・・世の中にはエッチな女って居るんだわ・・・でも、それで終わったんでしょう？・・・まさか、その後もズルズル続いたんじゃぁないんでしょう？・・・」
　言葉とは逆で、その顔は続いたに違いないと確信しているようだった。
　俊英も、ここで終わらせる訳にはいかなかった。

「それが・・・」
　言葉を濁して間を稼ぐと、空かさず喰い付いてきた。
「まーぁ！・・藤堂君の方から押し掛けたの？・・・」
「そうじゃぁないけど、帰り際にお叱りを受けて・・・」
「誘ったのは未亡人の方でしょう？・・・だったら、肌に傷でも付けたの？・・・」
「もっと上手にならないとダメだから、教えてあげると言われたし・・・それに・・・」
　ここが肝心なところだから、頭を掻きながら言い淀んで見せた。
「何を言われたの？・・・傷つくようなこと？・・・」
「回数だけじゃぁダメだと言われて・・・２０分は持続できるようになれって・・・そう言われて、凄く反発心が湧いたのは覚えているけど・・・」
　隣の人妻に聞かせるには露骨過ぎる内容だったが、先輩の直感を信じて切り出してみた。

「えっ！・・そんなことまで？・・・中学生を誘う女だから、不思議はないのかも知れないけど・・・で、通ったの？・・・」
「向う意気だけは強かったし、鍛えて何時かはギャフンと言わせてやろうと・・・それに・・・吃驚するほど気持ち良かったから・・・もう済んだことだから、叱ったら嫌だからな！・・・」
「約束したんだから、叱ったりはしないけど・・・ところで、鍛えるって、どうしようと考えた訳？・・・」
　巧妙な仕掛けだとは気付かず、旺盛な好奇心を刺激され、この話題にも喰いついてきた。

「この拳を見てよ！・・・骨を砕くほど鍛えたんだから！・・・杭を打って荒縄を巻き、水を掛けて塩を刷り込んで突き続けるんです・・・皮が破れ肉も傷むけど、続ける内に強くなるんです・・・」
「血が出るでしょう？・・・その時は休む訳？・・・」
「休んだら元の木阿弥だから、休みませんよ・・・鍛える方法はそれしか知らなかったし・・・少しは違う工夫もしたけど・・・」
「違う方法って？・・・」
「手の皮と違って最初から強くないでしょう？・・・だから、手元に有った鹿のナメシ皮にごま油を塗って扱いたり、縄束を湿らせて叩いたり・・・」
「まーぁ！・・負けず嫌いの少年は、血だらけになりながら頑張ったわけだ！・・・その間は、通わずにお休みしたんだ！・・・」
　思い描いた光景が滑稽だったのか、夫人は呆れ顔で茶化してきた。

「それが・・・早く一人前になりたかったし・・・気持も良かったので、つい・・・」
「もーぅ！エッチなんだから！・・・痛くてそれどころじゃないでしょう？・・・」
「痛いのはコンドームで少し和らげられたし、それに、あまりに痛いと感覚が麻痺して、我慢できることも分ったから・・・」
　夫人の意識を持続力に集中させる為、お叱りを覚悟で正直に話した。
「まーぁ！・・負けず嫌いだけかと思ったら、見栄っ張りなところもあるんだ！・・・でも、そういう表現って露骨過ぎない？・・・」
　真っ赤になっていたから、どんなことを想像しているのかは、一目で分った。
　照れ隠しに叱ろうとしたみたいだが、約束を思い出したのか、穏やかな言い方をしてきた。
「見栄っ張りは認めるけど・・・それがエネルギーになって、頑張れたのは確かじゃもん・・・気に入られようとして、必死になっていたから・・・」
「健気だと言えば健気だわね・・・で、ギャフンと言わせることができたの？・・・」
　素直に恥を認めたことで、ついつい調子に乗って、こんな質問をしてきた。
　未亡人を堪能させることが出来たのか？と言う趣旨の、露骨とも言うべき問いを、投げ掛けてきた。

「やっと喜んで貰えたり、褒めて貰えるようになったと思ったら、とんでもない事が起こってしまって・・・」
「とんでもない事って？・・・まさか？・・妊娠？・・・」
「そうじゃないけど・・・折角の努力が全てパァーになってしまって・・・」
「何か起こった訳？・・・叱ったりしないから正直に言えば？・・・」
「隠すほどのことじゃぁ無いから言いますよ・・・お隣の奥さんに気付かれて、和尚に言い付けるとお目玉を頂戴して・・・」
「あらっ、大変じゃないの！・・・でも、通い詰めたからじゃないの？・・・バチが当たったのと違う？・・・」
「由美さんて意外に冷たいんだ！・・・バチは酷いよ！・・・通ったのは１日おきで、夜中の１１時に忍んで行って２時過ぎには帰るようにして・・・気を付けていたんだけど・・・」
「３時間も！・・・その上、そんなに足繁くじゃぁ、バレて当たり前よ！・・・」
　一日置きに３時間も、しかも褒められるまでになったと聞かされて、どんなことを想像しているか表情に現れていた。
　それを覚られまいとすれば、呆れ果てるか意地悪な言葉を投げ付けるしかなかったらしい。

「その頃は周囲が全く眼に入らなかったから、そう言われても仕方ないけど・・・」
「和尚さんだって、訴えられたら揉み消せないわよね・・・」
「軽くて本山に閉じ込められての修行だと思ったし、重い処分だと寺から追放だと覚悟はしたけど・・・拾われた身分だから行く所なんか無いし・・・目の前が真っ暗になって・・・」
「でも、きっぱり切れたんでしょう？・・・許してもらえたの？・・・」
「勿論ですよ！・・・和尚は知らん顔していたから、それが逆に恐かったわ・・・」
「ね、出会った女が悪かったのは認めてあげるけど、それで本当に懲りたの？・・・もう、そんなことはしていないわよね！・・・」
「そりゃぁ懲りましたよ！・・・」
「あらっ？・・・もう一つの質問に答えてないわよ！・・・男の人って、我慢するのが苦手みたいだから！・・・何か怪しいわよ！・・・・」
「散々恥を曝したから、もう何も言わないからな！・・・」

　未だ有ると匂わせつつ、勝手に想像するように仕向けておいた。
　初体験が中２の時で、しかも相手が未亡人だったとしたら、その後何も無いとは考え難いからだ。
　当然問い質したくなるだろうし、危ないかな？と、意識し始めるに決まっている。
　ここでも、先輩の勘と知恵を信じた。
　何時言い寄られるか？という緊迫感を持ち続けてもらう方が、攻略し易いと聞いていたからだ。

「あっ！・・１０時になっている！・・・ご免、帰るわ・・・」
　努めて平静を保とうとしていたが、顔は赤らんでいた。
　周囲の目を気にしていたのか、足音も立てないようしていたし、振り返って愛想顔を送ることも無かった。
　見送りながら、やり過ぎたか？と気にはなったが、必ずまた来ると確信していた。
　空いている時間帯を教えて一応の約束をした訳だから、自分の方から働き掛けはしないことにした。

　自分が問い質した事だったが、生々しくて想像力を掻き立てる未亡人相手の初体験談は、夫人の脳裏から離れなかった。
　家に帰ったものの、特別にしなければならない用事も無かったし、夫が帰って来る朝までの時間が長過ぎた。
　夫人は、習ったことを復習してみようとパソコンを立ち上げたが、途中で止めてしまった。
　努めて平静を装って問い詰めたり、時には呆れ顔で茶化したりしていたが、話の内容は夫人の関心事と密接に絡んでいた。
　ポツリ、ポツリと漏らした俊英の一言一言が、夫人の想像力を逞しく羽ばたかせていた。
　蜜壺の潤みはショーツを濡らすまでになっていたし、火照る身体は横になることを欲していた。
　夫人は、すぐ傍にあるレッスン教室のソファーに寝転んだ。

　告白が怖ず怖ずした口調だったから、巧く乗せられたとは思ってなかった。
　最初に想像したのは、未亡人に寝室へ連れて行かれ、誘われるままに抱き付いた時の状況だった。
「気が付いた時には脚を絡められ、尻を手で押えられていた」と言う表現が、夫人の好奇心を刺激したのだ。
　好きな体位だったからだが、ことは想像だけで終わらず、その未亡人が取った体位をソファーの上で演じてしまった。
　両手両足を絡め付けている相手には、まだ中学生だった俊英を想像していた。

　夫人の初体験は高１の時で、相手は幼馴染の同級生だったが、その男も初めてだったらしい。
　突入口の周りを探して突いている最中に、焦った男が放ってしまったのを思い出していた。
「きっと、未亡人が手で握って誘導したんだわ・・・」と、想像は妄想にまで発展し始めていて、歯止めが利く状態ではなかった。
　息子の成長ぶりを見ているだけに、男根は１０歳ぐらいから大きくなり始め、１３歳では未だその途上に過ぎないことは知っていた。
　その歳で未亡人を堪能させたとなると、今はもっと逞しくなっているに違いない。
　ソファーの上で仰向けになっている夫人の股が更に広げられ、絡めているつもりの脚の位置も少し高くなっていた。

「２０分は持続しないと・・」と、クレームを付けた女に褒めてもらえるようになっただけでなく、毎回３時間も居たとなると・・・
　単純計算では、７〜８回していたことになる！・・後始末の時間や休憩時間を取ったとしても、５〜６回・・・
　関心の的であった持続力とタフさ加減の見当は付いたが、それは予想を超えていた。
　１４歳の頃には未亡人を歓ばせるまでになったとすれば、４年後の今では、のた打ち回らせる程になっているのでは？と、思っていた。
　心密かに憧れていた逞しい男根の持ち主が、塀１つ隔てただけの隣家に居て、潜り戸さえ通れば簡単に会えるのだ。

「あの男」など比べ物にならない！・・そこから、淫らな想像が羽ばたいた。
　思い描くのは「あの男」の家の応接間で曝した絡み合いであったが、もう相手は「あの男」ではなく、隣の学生に代わっていた。
　だが、大きさの見当はついていても、屹立した男根の像はぼやけてしまい、はっきりと描けなかった。
　顔はもちろん、体型も肌の色も毛深さも、全裸のイメージまでハッキリしているのだが、肝心の部分にボカシが入った状態なのだ。
　ボカシが入ると大きく思えるもので、巨根で貫かれながらも愛液を溢れさせ、なおもヒクついている淫らな光景が最初に浮かんでいた。
　続いて想像したのは、両手で上体を支えながら腰を浮かせ、淫蕩な廻し腰を打つ入船本手での交合の姿だった。

　あれを突き込まれて、腰を廻せるのだろうか？・・２０分も突き続けられたら？・・・
　妄想に翻弄されている内に、ワンピースの前ボタンは外していて、左手で乳房を、右手はショーツの下に潜り込んでいて、疼く秘部をクチュ・・クチョ・・と捏ね回しながら腰をくねらせていた。
　誰にも見せられない淫らな姿と行為は１時間以上続き、火照りの取れない身体を温めの湯船で醒ました後、ベッドに横たわったが、夜中の１２時近くになっていた。

　翌朝は５時過ぎに目を覚まし、朝食の準備を済ましてからは、帰ってきた旦那の釣り道具の片づけや洗濯に昼近くまで身体を動かし続けた。
　夫と顔を合わせている時には、奔放な想像は羽ばたかなかったが、レッスン教室に入って一人になると、忽ち淫らな想像が掛け巡る始末だった。
　恒例の土曜日の夜の交わりは、久しぶりに息子が帰って来たことで日曜日に繰り延べされた。
　待ち侘びた夫人の床の中での振る舞いは、何時にも増して積極的だった。
　ずっと以前に止めていたことだが、素っ裸の上にネグリジェだけを身に纏い、夫より先にベッドに入り、前ボタンを全て外して待っていた。

「ねぇ、して！・・・」
　夫がベッドに入って来るや否やしなだれ掛り、夫の手を陰部に導き、しとどに濡らせて待っていることを伝えた。
　泥濘を捏ねる指先の動きを確認してから、夫人は両手を伸ばし、玉と柔らかな茎を揉み始めた。
　久しぶりに発散させている夫人の妖艶な気配に煽られたのか、夫のそれは何時もより早く勃起した。
　経験を積んで得た技を駆使して勃起させることは成功したが、夫は１０分も持続できず、先に放ってしまった。
　今日みたいな日には、いかせて！・・・の願いも空しく、充足感のない行為は呆気なく終わってしまった。
　粘度の薄まった精液が直ぐに流れ出すことは分かっていたから、慌ててティッシュで拭き取らねばならなかった。
　グンニャリした夫のを拭き取るのも、夫人が続けてきたことだったが、その夜には失望感がすら感じてしまった。

　気配を感じたらしい夫が背中を向けた瞬間、満たされなかった夫人の欲情が噴き上げてしまった。
　諦めて自分で慰めるしかなかったが、心の中では、隣の若者と絡み合い呻き合っている情景が自然に浮かんでいた。
　妄想の中の夫人は、あの未亡人がした体位を採っていて、尻に廻した手でもっと激しく突いてと、男の尻を引き寄せていた。
　若い男の一突き毎に長い髪を振り乱し、「凄く良いの！・・・もっと！・・・」と心の中で叫んでいた。
　声も出せない同衾の床の中では、火照る身体を静めることもできず、燻ぶりを残したまま寝入ってしまった。
　熱い身体を冷まそうとして布団からはみ出したらしく、風邪をひいてしまったのだ。

　満たされないまま月曜日を迎えたが、時間と共に気怠さは増していた。
　熱でぼんやりした頭の中では、複雑な思いが激しく行き交っていた。
　あんな話を聞いてしまったのに平気な顔で出向いたら、エッチな女だと思われないかしら？・・・
　この怠さだったら、あんな手際良い指導には付いて行けないわ・・・
　止めておこうかしら？・・・
　でも、風邪の初期なら簡単に治せると言っていたし・・・
　入学直後の忙しい時に、都合着けて呉れているのだし、連絡だけでもしないと失礼になるわ・・・
　夫人の心は、若い男を訪ねることを正当化する理由を探し始めていた。

　話の内容に驚いて少し取り乱したけど、向こうも恥ずかしがっていたし・・・
　お坊さんの修行をしていたから、意外に真面目なのかも？・・・
　この前だって、頬に手を当てられても良いと思っていたけど、直には当てなかったわ・・・
　時々ふざけるけど、あれでも結構気を使っているみたい・・・
　そう言えば、世間知らずの無骨者だと留美さんが言ったけど、ほんとにそうだわ・・・
　スリリングなときめきに心が浸食されたのか、都合の良いように現実を解釈する傾向が次第に強くなっていた。
　村田先輩が指摘したように、所謂、正常性バイアスが、由美夫人の心に作用し始めていた。
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あなたのひと言が作者の励みとなり、新たな作品が生まれます。ご感想宜しくお願いします。
2017年3月18日掲載
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