堕（おと）された完熟桃
極楽とんぼ 作
第１５章　　勃起を見せた夜の作戦アドバイス　　　　

　夫人が別れ際に見た勃起した男根の威容は、衝撃的だった。
　台所に立っている俊英と、勝手口に下りた夫人が向き合ったから、ズボンに覆われた男根の膨らみが、目の前にあった。
　それまでは、コンドームのサイズから、大きさを想像していただけだった。
　盛り上がりの上部は先端近くで膨らんでいて、亀頭部のカリの張りだと直ぐに分かったし、肉径の太さも大凡の見当は付いた。
　あんなので突かれて捏ねられたら、どうなってしまうんだろう？・・・
　そもそも、受け容れられるのか？・・・
　何とか受け容れても、カリの張りで肉襞を抉られたら、気を失うほど感じてしまうかも・・・

　巨根と言えば、１年前の苦い思い出があるだけに、蕩ける様な快感を呼び起こす事を知っていた。
　淫らな想像が羽ばたこうとしていたが、生徒が来るまで３０分しかないと気付くと、何とか歯止めが掛かった。
　こんな顔では迎えられない・・と焦った夫人は、好きなリストの曲を弾いて気持ちを静めようと努力した。
　何とか無事にレッスンを終えた頃に夫から電話が入り、半夜釣りは悪天候の為中止になったことを知らされた。
　慌てて夕食の準備を始め、夫の帰宅時間までに何とか準備はできた。
　夕食が終った後の夫婦の行動にはほぼ決まったパターンがあったが、夫人はその日、いつもと違う行動を取った。

　ＴＶを見ている夫の傍に行き、甘え声で「ねぇ、パソコン教えて！・・・」と頼み込んだのだ。
　夫と居れば、淫らな想像にも少しはブレーキが掛かると思ったからだった。
　俊英に教えてもらい、ほぼマスターしていることを夫に尋ねていた。
「こんなことも分からんようじゃぁ、パソコンが泣くぞ！・・」と嫌味を言われたが、多くの秘密を作ってしまった自覚が有ったので、腹も立たなかった。
　共同作業は実に微妙なもので、並んで声を掛け合い、操作を繰り返している内に、２人の間に欲情の火種がくすぶり始め、それが行き交うようになっていた。
　もう言葉など必要はなく、旦那が風呂を浴びている間に床の用意を整え、夫人は風邪を引いた時と同じスタイルで夫の脇に滑り込んだ。

　何時になく夫は頑張り、夫人は久しぶりにエクスタシーを味わえた。
　排卵日前夜だったから、燃え様も激しかったが、安全策にも注意が必要だった。
　入念におしぼりで拭い取り、２度目を求める夫人のおしゃぶりで、夫は再度奮い立ち、夫人は久し振りに２度目のエクスタシーを味わった。
　だが、昼間見た盛り上がりの強烈さが残っていて、エクスタシーの残り火がじわじわと火勢を広げていた。
　傍らの夫に求めても応えて貰える筈が無く、夫人は隣の若者との淫らな妄想の世界に浸り込み、自から慰めるしかなかった。

「痛くて動き難い・・・」と言ったのを思い出し、その硬さに思いを巡らす内に、妄想の世界にのめり込んでいった。　
　妄想の中の若い男の怒張は、もうぼやけてはおらず、明確な輪郭を伴っていた。
　根元まで突き込まれると、胃が押し上げられるのでは？・・・
　抜く時にあのカリの張りで肉襞を抉られたら、叫んでしまうかも？・・・
　放つ時に、どんな呻き声を漏らすのだろう？・・・
　律動しながら迸らせるが、何回ビクつくのかしら？・・・
　淫らで奔放な妄想が夫人の心中を駆け巡っていた。

　夫と同衾の褥の中で、声を必死に押えながら妄想に浸って慰めている頃、俊英は村田からの電話を受けていた。
「経過を聞くと、思った以上に順調じゃないか！・・・もう、４回も１人で離れに来ているし、身体を触られることにも慣れたんじゃな・・・」
「ノートＰＣの小さい画面を見ながら炬燵に並んで座るでしょう？・・・肩も膝も、時には太腿もバッチリ密着しますよ・・・それでも逃げ腰にはなりませんよ・・・」
「少しは揺さぶりを掛けたんじゃろう？・・・単に親切にしているだけじゃぁ、進展は望めないぞ・・・」
「初体験を聞いてきた時には、碧のことをかなり話しましたし、風邪を治してやりながら尻に手を当てて操作を教えましたし・・・かなり際どい処までやってみましたけど・・・」
「炬燵に並んで座って、ワンピースの裾を捲って気海癒に手を当てたのか？・・・それは、効いたと思うぞ！・・・で、夫人の様子はどうじゃった？・・・」
「身体は火照っていたが、矢継ぎ早に教えたから、必死になって付いて来ていました・・・時々寄り掛かって来たり、膝はくっ付いたままじゃったけど・・・襟元も何度か覗き込んだが、気付いても殆ど文句は言わなかったなぁ・・・」
　村田が言うには、熟れた女体が逞しい強い男を欲している時の兆候らしく、乾き具合も相当進んでいると断言した。

「ところで、今日の昼、勃起しているのを見せたんじゃが、大丈夫かなぁ？・・・」
「ズボンの盛り上がりなら、問題ないよ・・・むしろ良いタイミングだったのかも知れないぞ！・・・今夜あたり、いろいろ想像しているに違いないわ・・・」
「夜にも来る筈だったんですけど、天候が悪くて釣りは中止になったから、次回は明日ですわ・・・胸元を覗き込んで勃起してしまい、それを見られたんですが、大丈夫です？・・・」
「心配無用じゃ！・・・最初にコンドームを見せておいたから、免疫はできている筈じゃ・・・ところで、夫人の話し方はどうじゃ？・・・冗談言ったりしてくるか？・・・」
　勃起を見られたこと等、大した事ではないと思っているようで、夫人の話し方に関心を示して来た。

「結構気楽に冗談も言ってくるし、じゃれ合いになることが多い気がするけど・・・これで良いんですよね？・・・」
「俊さんも、自然にじゃれ合いに乗っているか？・・・」
「まぁ、意識せずに対応出来ているみたいだから・・・自然と言えるかも・・・」
「無理せずに付き合えるってことは、互いが気に入っているんじゃな・・・相手を好きになれば、全て上手く回転すると言ったが、俊さんもあの熟女を好きになったみたいじゃな！・・・」
「じゃぁ、ボツボツ犯っても良い頃ですかね？・・・明日なんか、昼の１時に来て３時半まで居る予定ですから・・・あの身体でしょう？・・・２時間ぶっ通しで攻めれば味も覚えると思うし、後も上手くいくと思うんですが？・・・」
　このような出会いを体験したことが無かった俊英は、これまで身に着けた流儀しか考え付かなかったし、それで巧くいくと思っていた。

「もう一工夫したらどうじゃ？・・・今は、正常性バイアスにターボが掛った状態じゃから、今の状態を続けることは易しいと思うぞ・・・年増女と学生が、危うい予感を持ちながら、じゃれ合っている関係だもんな・・・いっその事、２〜３日間を置いてみたらどうじゃ・・・・」
「えっ！・・・せっかく積み上げた関係が崩れて、夜に来なくなりません・・・」
「心配するな！・・・目にした勃起から連想して、助平な妄想に浸っているさ！・・・生理現象だと言ったようだし、乳房や香水に慣れるよう協力すると迄、言っているんだ・・・時間が経つにつれ、エロティックなときめきを恋しがるようになるのが、熟女の生理だ！・・・」
“年増こまし”と言われた村田の意見だったので、聞こうとは思ったが、一抹の不安は残っていた。

「暫らく危険日だから、来週とその次の週辺りが狙い目なんですが、どうやって、その間を持ち応えたら良いか、策は有ります？・・・」
「入学式前後は思いの外忙しく、纏まった時間が取れそうにないので９日迄レッスンを中止すると言うんじゃ・・・」
　成程、そう言う手が有ったか？と感心しながら、数日間の間を置くことを決断した。
　村田との話が終った後、俊英はもう一度今後の成り行きを考えてみた。
　筋書きを進めるキーポイントが、“甘え”に有ることは明白だったが、これは何とか乗　り切れそうな気がしていた。
浮気もしたことが無さそうな人妻が、若い男の部屋に忍んで来る事がそもそも道から外れている。
　まして、ＰＣの操作を習ったり、施術の為とは言え、尻に手を当てさせているのだから、尋常な状態でないことは確かなのだ。
　これも、イチかバチかの賭けだが、俊英は実行する心算になっていた。

「俊さんがトチッテ見せたり、無骨者を装うと、年増女は年長者の威厳を示そうとして、調子に乗るもんじゃ・・・勇み足をするから・・・そこを狙え！」と言った先輩の読みを信じた。
　若い男を挑発してしまった、だから迫られても仕方ないと、相手が納得できる状況を作るテクニックの練習の心算だった。
　勇み足をした直後の女は抗らい難いと言う道理を、巧みに利用すれば良いのだ。
　色々な策を考えたが、辿り着いた結論は単純なものだった。
　次のＰＣレッスンの時、１つは、もう一度勃起した様子を見せること、もう一つは、おっぱいに触れてみたいと恐る恐る伺いを立てることだった。
　どう反応してくるかは分からなかったが、柔軟に対応出来そうな気がしていた。

　７日（火曜日）は夫人の排卵予定日で、興奮し易い時期に入るから接触は続けたかったが、計画変更に舵を切った。
　１０時半、大学の公衆電話から夫人の携帯に電話した。
「藤堂です・・・由美さんゴメン・・・入学式前後は、手続きやらガイダンスやらが多過ぎるわ・・・７〜９日の３日間は、ＰＣのレッスンは中止にして欲しいけど、ＯＫして呉れる？・・・」
「入学式前後は忙しいから、無理しなくて良いわよ・・・」
「うん・・時間の空きが取れなくは無いけど、ズレ込んだりしたら、生徒さんも由美さんも困るじゃろうし・・・確実に約束できるのは１０日（金）の夜だけど、良いかな？・・・」
「分かった・・・予定通りラベルマイティと言う事ね・・・」
　３日間のＰＣレッスン中止の件は、すんなり了解が取れた。
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2017年4月8日掲載
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