堕（おと）された完熟桃


堕（おと）された完熟桃極楽とんぼ作
第２１章　　　脆くも崩れた戒め　　　夫人は朝６時に目覚まし時計で起こされたが、目覚めは不思議なほど爽快だった。　だがその日の夫人には、昨夜のことを思い出す余裕など無かった。　夜釣りから帰る夫の朝食の準備と、釣り道具や釣り着の洗濯、魚の料理と、しなければならないことが目白押しだった。　夫は帰るや否や、何時もの様に洗って乾かして於いて欲しい物を揃えていた。　それが終わると風呂に入り、用意されている朝食を食べ、ベッドに潜り込むのが通常だった。　幸運だったのは、夫と向かい合って話す機会が無かったことだ。　片付けが終わったのは９時だったが、夫が目を覚ますのは１時を回る頃で、昼食はそれからが通例となっていた。　一休みと、紅茶を持ってレッスン室に入った瞬間、昨夜のことを思い出していた。　カーテンは閉めていたが、悶えに悶え、呻きながらのた打ち廻ったベッドが、３～４メートル先の窓の奥に有るのだ。　思い出すだけで身が竦む様な恥ずかしいことが、幾つもあった。　最も打撃を受けたのは、何時の間にか学生のトランクスの中に手を入れ、男根を扱いていた事だった。　これは夫人にとって、「奮い立たせて、もう一度して！」と、言葉を発するのと同じ意味を持つ行為だったからだ。　次は、エクスタシーの後の愛液を呑ませ、自分も学生のスペルマを呑んでしまった事だった。　女がメスになった象徴の体液を与え、男がオスになった象徴の体液を身の内に取り込んでしまった事だ。　男根の太さと固さに驚愕したが、やっとの思いで口に咥えたその表皮は、しっとりした感触などは無く、手の甲のような感触だった事を次に思い出していた。　鍛えたという話は聞いていたが、持続力の秘密を知り、改めて驚いた。　その驚きは、膣壁に残っていた感触を生々しく甦らせた。　あれを３時間近くも突き込まれたまま、「廻して！・・」と囁かれたらグリグリ廻したし、「締めて！・・」と促されれば、呻きながら締めていた事まで思い出してしまった。　若いから激しいとは思っていたが、鍛えたと言っていた持続力と回復力の速さに翻弄され、覚えているだけでも９回のエクスタシーを経験させられていた。「もう・・ダメ・・・死んじゃう・・・」と口にしながら倒れ込んだ後、互いの乳首を捏ね合うような恥戯をして、又もや燃え上がったことが強烈に残っていた。　乳首を突きだすように乳房を握り、突き出た乳首で男の乳首を捏ねて歓ばせると言う、人妻に有るまじき痴態を演じてしまったからだ。　その行為の最中に起きた反応を抑え切れず、自分から腰をくねらせ、最後のエクスタシーを貪ったからだ。　挙句の果て、エクスタシーの余韻の中で、求められるままに唇を合わせ、舌を差し入れて絡ませ合い、体液を男の口へ注ぎ込み続けてしまった。　これまで夫人がそれをした相手はたった１人で、結婚する前の旦那に対してだけで、その旦那とも、もう１０年以上もの間していない性技だった。　夫人の中には奇妙な掟があり、キスをしながら体液を相手に注ぎ込む性技は、愛情を感じる相手にだけ許されることだった。「あの男」が言ったように、「私はタフな巨根が好きな女」なのだろうか？と、自分を責めだしていた。　一度身体を許すと男は図々しくなり、秘め事をあからさまに表現しながら呼び出しを掛けて来ると言う話を聞いていた。「ふざけ合って居る時に手で押さえさせたら、直に握って扱いてくれたじゃないか！・・・最後は、跨って呻きながら腰をくねらせていたぞ！・・・したかったんだろう？・・・今夜、やらないか？・・・」　こんな野卑な言葉を浴びせられ、呼び出されたらどうしよう？・・・誰にも相談できない事態だと分かり、身が竦む思いをしていた。　あの絶倫ぶりなら、毎日でもしたがるかも知れない・・・　愛撫されたら簡単に淫らな女になる姿を見せてしまった以上、拒絶しても信じてもらえないと観念するほど、夫人の心は砕かれていた。　呼び出し電話が掛ってくるのでは？と、ビクビク、そして、ドキドキしながら１日が過ぎた。　２日後も３日後も思い出す事と、心を過ぎる思いは似ていたが、自分のしたことの破廉恥ぶりが一段と鮮明になるだけで、夫人は庭に出ることを控えるようになっていた。　その理由は幾つも有ったが、最初に「犯された」時の俊英の目が、忘れられなかったからだ。　三浅一深の突きを見舞いながら、俊英の目は夫人の瞳の奥を覗き込むように見つめていた。「どうだ！・・良いんだろう？・・・こんなのと、したかったんだろう？・・・」と、反応を探られていると感じていた。　気付いたが、反応してしまう身体を制御出来なかった。　それだけでなく、「・・良いわ！・・こんなに・・凄いの・・初めて！・・」と、何度も口にしたのを思い出していた。　逞しく大きなペニスが好きなのだと、見抜かれてしまった！・・　庭に出ていて声を掛けられたら、蛇に睨まれた蛙のように身動きできなくなる様な気がした。「来い！」と言われたら、囚人のように項垂れ、応じてしまいそうな気がして、怖かったのだ。　呼び出しを掛けられるとしたら、夫が夜釣りに出る１３日の金曜日だと考えると、心は騒ぐのに身体の方は勝手に熱くなって、慌てる始末だった。　何事も無く夕食と後片付けを済ますと、安堵した夫人は少し冷静になり居間で寝転がっていた。　排卵日を知っているから、まだ安全日なことは知っている筈・・・呼び出しを掛けられるかも？・・・　そんなことを思っていると、どうした訳か、風呂場での出来事を初めて思い出した。　まだ勃起していたのに、冷静にタオルで洗っていたし、湯船の中では抱かれる形にはなったが、悪戯もせずに施術に専念していた・・・　あの時、乞われた訳でもないのにふぐりまで洗ったし、湯船の中では喘ぐほど興奮していた・・・　あの若さで、あの逞しさで、何故我慢できたのだろうか？・・・他の女に躾けられたのかも・・・　風呂場での出来事は、理解出来ない事だらけだった。　次には、帰り際の事も思い出していた。　大好きだ！と言って抱き締めてきたが、自分も自然に腰に手を廻していた。　その直後に唇を重ねられたが、先に舌を差し込んだのは自分だったと思い出した。　あんな激しいことをされたから、感覚が狂っていたのだと、自分を慰めるしかなかった。　でも・・私って・・淫乱なのだろうか？・・・火照る身体と膣の疼きとに翻弄され、夫人の思いは乱れ始めた。　小学３年の時の担任の様に、「デカチンと絶倫」の魔力に取り込まれてしまい、熟女を狂わす魔力の虜にされそうな予感に慄いていた。　呼び出されても応じたらダメ！という人妻としての抑制は、辛うじて働いていたが、カーテンの隙間から隣の様子を覗うようになっていた。　あの夜から２日経つと、乱れ続けた夫人の心に新たな要素が入り込んでいた。　ふと、「優しく犯す」と言われ、股を広げて迎えた時のことを思い出した。　口では拒絶したが、身体の方はもうその気になっていたし、相手にも見抜かれていた。　口で拒絶しても、応じてしまえば、本気で抗わなかったことになる。「あの男」だったら、「したいと言って、オ○ンコは涎を垂らしているじゃないか！」と、辱めながら犯してきたに違いないと思った。「優しく犯され」れば、人妻としての体面も、ほんの少しだが保たれたと思った。　あの時の状況では、思いやりのある「声掛け」だったように思えた。　武骨者だが、結構細かいことに気を使っているのかも・・と、感心するようになっていた。　この僅かな好印象が、夫人の思考と想像を危うい方向に曲げようとしていた。　大好きだと言われたからではなかったが、俊英のことが気になりだしていた。　お坊さんの修業をしているから、信用はできそうだし・・・　軽はずみだったと詫びて、本気で話したら、きっと分かってくれる・・・　何も仕掛けて来ない相手に安心したのか？、焦れたのか？、夫人の妄想は、又もや自由に羽ばたき始めていた。　俊英の方は、７人もの熟女を相手にしてきた経験と、村田の助言を得ていたから、事態の推移をかなり冷静に予測していた。　何時もは生徒を表玄関まで見送っていたが、あの日以降はそれも止めたらしく、庭に姿を現さなくなっていた。　発情したメスの姿を曝した熟女は、そうさせた男の誘いを拒絶出来ない事を、俊英は経験で知っていた。　顔を合わせるのが恥ずかしいのか、呼び出しを恐れているのか、取り敢えずは目に付かぬように用心している段階だと見抜いていた。　３日後の木曜日の夕方、庭掃除をしている夫人を目にした。　姿を現したと言うことは、「黙ったままだと、誘いを待っていると思われる」からだと睨んだ。　急に挨拶も交わさなくなれば、夫も訝るだろうし、留美さん夫婦にだって怪しまれてしまう。　何らかのけじめも着けないでやり過ごすことなど、出来っこないからだ。　俊英の結論は明白だった。　今までに抱いたどの女より、由美夫人との一夜の方が手応えは大きかったし、怒張の味を覚え込ませた自信があった。　心配だったのは、未亡人では無く人妻だと言うことだが、犯（や）られても仕方ない状況も出来上がっていたので、心配は無いと確信していた。　最後の交わりでは、自分が跨って仕掛けて来た末に悶絶したのだから、呼び出しても拒めないと確信していた。「由美さん・・ちょっと・・」　急いで自転車で外へ出て、付近に人が居ないのを確かめ、玄関近くで草取りをしている夫人に声を掛けた。　偶然の通りすがりを装えるし、その付近の庭木の丈は短く、柵越しに話し掛けるのに適した場所だった。　一瞬だが、身体をビクッとさせ動きが止まったように見えたが、近づいて来てしゃがみ込んだ。「こんな所でそんな呼び方したらダメよ・・・此処を通る人が居たら聞こえるじゃない！・・・」　しゃがみ込んでいるのも囁くような声も、人目に付かぬようにする配慮らしい。「明日の晩、７時過ぎに来てよ・・・居間の電気は消しておくからな・・・」　目を合わせようとしないので、それだけ言い残してその場を去った。　あからさまに言えば、旦那が夜釣りで居ない間に忍んで来いと言う呼び出しだった。　その場での返事は無かったし、明白な拒絶の意思表示も無かった。　母屋での夕食は、旦那が釣りに出かけた夜だけの決まりだったが、頼み込んで３０分繰り上げてもらった。　旦那の留守の夜にストーカー紛いの行為が有っても対応出来るよう、「旦那が夜釣りの夜の食事は、留美義姉さんと一緒に食べろ！・・」と、和尚が言いだしたことだった。　食事の途中、何時もの慣わしらしく、留美さんの旦那から電話があった。　風も穏やかで、無事磯上がりをしたという知らせだった。　由美夫人にも、同様の知らせが届いていることは確実だった。　やって来ると確信していた俊英は、万全の準備を整え、台所の奥にある居間で待っていた。　７時を少し過ぎた頃、台所の勝手口をノックする音がして、ジャージのトレーナー姿の夫人が入って来た。　人目が気になるのか、トレーナーは庭の手入れの時に使っている濃いグレーだった。　そろりと戸を閉め、灯りの点いていない居間の様子を確かめていた。　いきなり襲って来ないか？、言い争いになって、声が外に漏れないか？等を心配しての行為だと感じた。　予想通り、一応は拒絶する姿勢を示すつもりのようだ。　前回交わった経験から、タフな巨根に淫らな迄の反応を示す女体だと分かっていた。　覚え込ませた快感を呼び覚ませば、簡単に攻め堕とせる秘策を携えて待っていた。
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2017年5月4日掲載
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