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～あらすじ～
首都圏をエリアに探偵業を営む平尾孝治(42歳)は、自宅に近い横浜駅の近くに自分の興信所を構えていた。数年前、平尾の依頼者である由美子という人妻に頼まれて、由美子と由美子から夫と家庭を奪った、Ｋ子という女を報復レイプする仕事を受けてしまった。以来、探偵仲間の噂が噂を呼び、レイプを有償で請け負うことになってしまった・・・。
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第６話【 依頼人No.071 の場合②】
＊依頼の内容＊
依頼人、山本富士夫(40歳)は、妻・美佐枝(40歳)をレイプしてくれという。理由は、１２歳になる娘はどうも自分の子ではなく、当時美佐枝が務めていた会社の上司の子であるという。一方、中々男児を出産しない美佐枝に富士夫は愛想をつかし、富士夫の会社の若い女子社員に男児を産ませた。富士夫はその子供を自分の子として認知し、給料以外にも毎月きっちり生活費を送金している。富士夫は福島県の会津若松市の有名な醸造味噌会社の御曹司だ。美佐枝をレイプして、その不貞を根拠に美佐枝を離縁する。そして、富士夫の男児を出産・養育している林照美(28歳)を後妻に迎えゆくゆくはその息子を自分の跡取りにしたい。
～以上が今居隆の依頼内容だ～
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照美が富士夫と、交際を始める少し前、富士夫の会社の支店には木村幸一という男がいた。
照美より三歳上だ。照美と木村は愛し合っていたのだ。それを察知した山本富士夫は権力にものを言わせて木村を照美の手の届かない大阪支店に左遷したのだ。左遷されてからも、木村は休日を利用しては上京して照美を抱いた。上京して照美に会う木村をみて、富士夫は激怒した。
激怒してとうとう木村を些細な理由で解雇した。ある慰安旅行の日、富士夫は眠り薬を用いて照美を抱いた。眠りこむ照美相手に膣内射精を５度も行った。富士夫は、誠はその時の子であると勝手に思い込んでいた。退職後の木村は、富士夫にバレないように照美のアパートの近くに転居していた。会社帰りの照美の体を毎日堪能した。何しろ、富士夫とは若さも違うし、カラダだけでなくて照美の心も愛していた。誠はその時に懐妊した子なのだ。富士夫の薄汚い精子で妊娠したのではない。正に相思相愛の受精卵が誠という男児なのだ。ところが、照美の幸せは長くは続かなかった。木村が交通事故で急死したのだ・・・。
～以上が、山本富士夫が自分の子だと信じて疑わない、林誠の出生の秘密だ。
照美の話を１００％信じるわけにはいかないが、照美の話した時期に木村幸一という男は富士夫の支店に在籍してのも事実だし、木村の事故死も事実だった。平尾は事務所で、一人呟いていた・・・
『マ、まずいことになった。こりゃあ、ＤＮＡ鑑定の費用４５万円は回収できんゾ！・・・』
『それに、このまま事が運ぶと美佐枝は追い出されることになる。中村武が怒るゾ・・・』
『まさか、照美に黙っててやるから４５万よこせ！なんてセコイこと言えんしな・・・』
『あ～、困った困った・・・』
困り果てた平尾は、中村に会うことにした・・・、妙案を引き出す為に。
今度は、横浜の伊勢佐木町の平尾の馴染みのスナックに中村を呼んだ。
「どうしました？困ったことでも起こりました？」
図星だった。空手部時代の関東インカレで中村武に助けてもらったように、今度も助けてもらうつもりだった。中村武はビデオのテープを平尾に渡した。
スナックのママが、一連の先輩・後輩の"手続き"らしきものが終わるのを確認して、中村武の横に座って、名刺を差し出して挨拶をした。平尾がＨ市のクラブのラウンジ、で平尾の紹介を中村がした時のように茶化して、後輩中村を紹介した。
「平尾さん、こちら、中村さん。イイ男ねぇ！ゾクッと来ちゃうわよ！お仕事、何されてる人？」
『中村様か。俺の後輩だけど、この人は数段、俺より上の人間よ。ママだって、昼間の平尾様に会ったらビビル、というか脱帽するぜよ！笑』
「平尾さん、もったりぶらないで教えてよ♪」
ママが平尾の太ももを抓った。
『いや。政府関係の仕事をされている・・・』
「・・・。って、どんな？・・・、アタマの悪いアタシでも理解できる？」
『ああ。中村様は、日本政府のＫ政権の、いくつかある諮問機関の少子化対策委●長様なのよ！』
「へっええ～・す、凄い！、というかお偉い方なのね、中村さん、って・・・」
『どうすれば、今の日本国の人妻、いや家庭が、一人でも多くの子を出産できる仕組みを作れるか・・・。
日夜、そういうことで頭と心を悩ませていらっしゃっるのだよ！ママのところはどうよ？もう一人欲しくないかい？・・・相談にのって下さるよ、親身になって・・・笑』
無邪気なママは尊敬の眼差しで中村を見た。
聞いた中村は、飲み始めたばかりウイスキー水割りを、めんくらって、爆笑して全部噴き出ししまった。
『ほら、ママがあんまり色っぽい目で見詰めるから、女性経験の少ない中村様は戸惑ってらっしゃるではないか！』
「ひ、平尾先輩・・・か、勘弁して下さい・・・。腹がよじれて死にそうです・・・」
中村は、久しぶりの体育会空手部流のブラックジョークで腹が攀じれる程笑った・・・。
ママは、途中で、平尾に中座を求められて、平尾・中村のテーブルの席を立った。
「これ、美佐枝とのビデオです。美佐枝とは初めてコンドーム使いました(笑)」
『いつも生でしてんのか？』
「はあ、まあ。趣味ですから・・・、本人も生で欲しい、って言いますしね」
『お前、中村。美佐枝への種付けが男の子だったら良かったのにな・・・笑』
「いや、流石の私でも、そういう器用なまねはできません！笑」
平尾は、照美と富士夫の現状を詳細に中村に話した。
賢い中村は、平尾が追い込まれるであろう状況を数種類、予め考えていた。そして、美佐枝との撮影小旅行の時に、これから美佐枝の身におこる想定される幾つかのパターンについて、美佐枝自身にも尋ねていたのである。
「まあ、照美のそういう状況じゃあ、やっぱり、ＤＮＡ鑑定は富士夫には話さんほうがええでしょう？人情として」
「結局は、交通事故で死んだ木村幸一の子である誠を、山本富士夫の子として育てさせることが、本意でなく抱かれて奴隷同然になった照美ができる唯一の復讐劇なんじゃないですか？」
『まあな・・・。だけど、それをすると・・・、お前には悪いけど、美佐枝が娘ともども山本家から追い出されることになるゾ』
「でしょうね・・・」
『で、でしょうね、って他人事のようなこと言うてええのか？』
「まあ、待って下さいよ、平尾先輩。私は美佐枝に聞いてみたんです。美佐枝自身は照美の子のことを知ってます、ニセモノだってことを・・・笑」
『・・・』
「だけどね、美佐枝が本当のことを喋れば、自分の娘のこともバレる訳ですよ。で、それより以前に、いや、もうずっ～と前から、もう美佐枝自身は、富士夫と離婚しても良いと思ってるんです。実家の意向でいちいちビクビクするマザコン亭主には、もう愛情のカケラも無いそうです」
「美佐枝はこうも言いました。林照美は自活能力が無いから、富士夫に捨てられたら途方にくれる。だから、自分が山本家から去るのよ、と」
『できた女だな、美佐枝は！』
「ですから、私は、富士夫の不貞という事実を"先に裁判"にして、幾らかまとまった金を美佐枝に出されるように仕向けたいんです」
平尾は、妙案だと思った。この中村案なら、照美親子は路頭に迷わなくて済むし、木村幸一の子が次々社長にでもなれば、木村幸一の怨念というか、照美の冷静で冷徹な復讐劇も達成されることになる・・・。こういうのにうってつけの弁護士も数人知っている・・・。
『しかし、中村。弁護士の成功報酬は負ける(であろう)富士夫が払うとして、着手金はどうするな？』
「照美に出させてください」
『はあ？』
「敵（美佐枝）の敵（照美）は味方・友達ですよ！笑。第一、美佐枝の諦めのお陰で、照美親子は助かるんですよ。照美に出させんで、他の誰が弁護士への着手金を出すんですか？笑」
「それから・・・」
『なによ？』
「林照美ですが、写真を見る限り中々えぇ女じゃないですか？」
平尾は中村の言う意味を直ぐに理解した。
照美を抱かせて下さい、という意味であろう・・・。
『犯りたいのか？照美と？笑』
「はあ、まあ(笑)。照美を抱けば、平尾先輩とも山本富士夫とも"穴兄弟"ということになります、まあ、あたくしが末っ子ですが(笑)」
（照美を抱く話以外は）もっともな話だ。平尾は関心した。
故に、富士夫へ美佐枝レイプのビデオテープを渡すのは、少し遅らせた。弁護士暗躍の為の時間稼ぎだ。平尾は、大急ぎで、弁護士を手配した。急いだので着手金は平尾が立て替えた。
照美には美佐枝の話をして着手金支払いを承諾させた。勿論、美佐枝の子は富士夫の子であると照美は信じている。富士夫の無精子症のことも照美には話していない。平尾が、手配した弁護士が動きはじめた初日に、照美は平尾の口座に100万円送金してきた。
山本美佐枝は、夫・富士夫を富士夫の不貞が原因での（弁護士を代理人にして）離婚訴訟を起こした。弁護士側の戦略で、山本富士夫と、会津若松市に住む（富士夫の実父である）会津●寺味噌の社長・山本権一郎も同時に訴えた。実家に頭が上がらない富士夫だけ訴えていたのでは裁判に時間がかかる。美佐枝からすれば、金さえ入れば出何処が誰であろうと関係無い。
この、実父を相手取る、という弁護士の作戦は直ぐに効をそうした。
会津●寺味噌・株式会社の老舗の名前に傷をつけるわけにはいかない。
権一郎は、会津●寺味噌の応接室で、交渉に来た弁護士に、慰謝料として3,000万円、即金（小切手）で手渡した。加えて、富士夫と美佐枝の娘"まなみ"が４年生大学を卒業するまでの間、養育費として月額１５万円を送金する約束もした。こちらは、公正証書を直ぐに作った。権一郎は、美佐枝の慰謝料から支払われる（捻出される）であろう弁護士の成功報酬はいくらか、と弁護士に尋ねた。
「成功報酬は２０％ですから、６００万円です。１００万円を着手金として預かってますので、残り５００万円を頂戴することになります」
「そうかね。ならその500万はワシが払う。少ない慰謝料から抜いてやるな・・・」
権一郎は、しばらく中座して現金で３００万円持ってきて弁護士に渡した。
（残り、200万円は小切手だ）
権一郎は、離縁になる美佐枝を庇った。息子、できが悪い富士夫を２０年も支えてくれた女なのだ。弁護士のほうでも、報酬さえ入れば出何処はどこでも良いだ。弁護士は交渉は長引くものと予想して会津若松の市内に安いシティホテルを取っていたが、それをキャンセルして、一泊５万円もする観光旅館に泊まった。
『会津●寺醸造味噌株式会社 取締役 東京支店長』。これが今までの、富士夫の肩書きだった。
だが、昔堅気の権一郎は一連の騒動の責任を富士夫に取らせた。まあ、一族なのだから、３年くらいすれば、会津若松の本社に呼び戻すつもりではあったが・・・。
『会津●寺醸造株式会社 大阪支店長』。取締役から外した。しかし、将来の布石として照美を入籍した。誠は名実ともに山本富士夫の子になったのだ。
神奈川県の大磯の大磯●リンスホテルのダブルルームでは、一連の騒動解決のアイデア提供と、美佐枝説得という大役を果たした成功報酬として、照美は中村に抱かれた。照美は夫となる富士夫を愛してはいなかったので、富士夫には内緒でリングをしている。富士夫の子など身ごもりたくないからだ・・・。照美は、避妊は自分がしているから、気にしないで、生で射精してくださいと告げた・・・。中村のほうとしては、別に照美に許可されなくても、全部、生で中に出す予定ではいたが・・・、いや、それより「膣内射精拒否」をする人妻の中に出すのが中村の趣味だという(笑)。
美佐枝は、手にした3,000万円の一部で、前からやりたかった自然食品の店を始めた。アレルギーとかアトピーとかの食事制限を持つユーザー相手の商売だ。目の付け所が良い。しかも、会津●寺味噌の"無添加・減塩版粉末味噌"の独占販売権契約を（離婚前の）富士夫に結ばせていた！
照美は木村幸一の子・誠を名実ともに"富士夫の子"にして、もうすぐ復讐劇は完結する。
富士夫は、娘"まなみ"の養育費を支払う義務が生じた。"まなみ"にしても"誠"にしても自分の真の子供ではないのに、である。"まなみ"も"誠"も真の父親が富士夫でなくて助かった。馬鹿が遺伝しなくて済んだからた(笑)。（当然、子供本人達は知らないが・・・）
誠は偏差値の高い私立Ｙ小学校での成績はトップクラス、まなみも音楽方面でぐんぐん才能を発揮しているという。
平尾は、事務所にいた。ウイスキーの水割りをやりながら、今回の依頼案件を回想して、一人呟いていた・・・。
『今回は、中村武のお陰で助かった・・・な。照美はしかし、イイ女だったなぁ。あの弾力のあるオッパイに締りが良い膣・・・、もういっぺんくらい抱いておくべきだった、か(笑)。しかし、富士夫の不幸というか間抜けさというか、なんというか・・・同情してやるよ。天は二物を与えず・・・だな。味噌屋の大会社の財産と地位を生まれながらに与えてもらったが、肝心の男としての才覚や、女を妊娠させる能力なんかを神様は与えてくれなかった訳だ・・・。ふ～ん。しかし、後輩の中村も相変わらず、チャカリしとるのぉ。抜け目なく、照美とやっとったからなぁ・・・笑』
【 依頼案件No.071 は、これにて解決 】
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